皆さんはSteamで新しいゲームを探している時、ストアページに表示される「タグ」に注目したことはありますか?
「アクション」や「RPG」と聞いてそのゲームがどんな内容かイメージできると思います。さらに掘り下げると、普段からSteamにかじりついて新作をチェックするようなコアゲーマーでないと聞き馴染みのないジャンルが数多く存在します。こういったジャンル名は単なる専門用語ではなく、開発者が提示する遊び方そのものといえるでしょう。
本記事では、5つのジャンルについて、おすすめのタイトルとともにご紹介。併せて、これから名前がつくかもしれないジャンルも勝手に予想します!
タグを知れば遊びが広がる!奥深いジャンルの世界
毎月1000本以上のゲームがリリースされる現在、様々なジャンルが生み出され細分化されています。今なお議論の余地があるサブジャンル。あなたはいくつ知っていますか?
ナラティブ
ナラティブという単語は本来、「物語」や「語り」を意味します。ストーリーと似た意味ですが、語り(物語)とゲームプレイが分断されず一体化している点で大きく異なります。従来のゲームがプレイの合間にムービーを見て状況を理解するものだったのに対し、ナラティブ作品では環境ストーリーテリングと呼ばれる手法が多用されます。
壁に貼られたメモや家具の配置など、ゲーム内のあらゆる要素を通じてプレイヤーが能動的に物語を読み取っていく仕組みが没入感を増幅させます。システムそのものが感情を表現する設計こそが、このジャンルの醍醐味です。Steam内では「物語性」や「雰囲気」といったタグも似た位置づけで分類されます。
おすすめタイトル: 『What Remains of Edith Finch(フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと)』、『Journey(風ノ旅人)』
インタラクティブフィクション
インタラクティブフィクションとは、1970年代の「テキストアドベンチャー」を源流とする文字通り「相互作用(interactive)する物語」です。映像やアクションではなく、言葉と選択に特化していることが最大の特徴です。プレイヤーの入力が複雑なフラグ管理によって物語の枝葉を広げ、読み進めるごとに自分だけの物語が作り上げられます。
現代の作品においては、スキルを利用した対話の成功・失敗や時間制限のある選択肢といったゲーム的な緊張感を加えることで、決断することの重みがさらなる没入感へと繋がっていきます。
おすすめタイトル:『ダレカレ』、『未解決事件は終わらせないといけないから』
インクリメンタル
「増加の」、「増分の」を意味するこのジャンルは、いわゆる放置ゲームやクリッカーゲームを包括する概念です。その核となるのは指数関数的なインフレの快感です。スキルなどのアップグレードを繰り返すことで桁外れの数量まで自動生産されるようになります。
効率化の最適化と桁が変わっていくことで飛躍的に増加する資源や報酬が、プレイヤーにとって強烈な多幸感を与えます。また、リセットして強力なボーナスを得るような言わば「強くてニューゲーム」システムによって、無限に近い中毒性を生み出しています。
おすすめタイトル: 『Gamblers Table』、『Timber Rush』
アイソメトリック
これはゲームのルールではなく、「等角投影法(クォータービュー)」という視点の形式を指します。斜め上から見下ろすことで、キャラクターの立体感とフィールドの奥行きを一度に把握できるのが特徴です。
もともとは限られたハード性能や描画技術の制約の中で3Dのような立体感を出すための工夫でしたが、現代では360度の状況把握と地形の高低差を利用した戦略性を両立させるためのシステムとして数多くの作品に採用されています。独特の箱庭感のある美しいグラフィックを実現しやすいのも、この視点ならではの魅力です。
おすすめタイトル:『Hades』、『Path of Exile 2』
リニア・ノンリニア
ゲームの構造が「設計された一本道(リニア)」か、「自由な順序で攻略可能(ノンリニア)」かという対比を表しています。「リニア」では脚本に沿ったイベント進行により、映画のような密度の高い感動を最適なタイミングで体験できるのが醍醐味です。
一方「ノンリニア」では、プレイヤーが次にどこへ行くかを決める主導権を持っています。オープンワールドやメトロイドヴァニアのように、自分自身の発見によって道が切り拓かれる楽しさがあり、独自の攻略順序が生まれる設計が特徴です。
おすすめタイトル:『REANIMAL』(リニア)、『Leap Year』(ノンリニア)
〇〇みたいなゲーム、そろそろ名前が付いてもいいのでは?
『Vampire Survivors』の爆発的なヒットにより「ヴァンサバライク」というジャンルが生まれたような例に対して、特定のヒット作がないにもかかわらず似たようなシステムなどを持つ作品が増えています。
ここからは、独特なシステムでありながらまだ専用の名前がなく、いずれジャンル化されるかもしれないゲームについて筆者の個人的な観測に基づいて予測していきます。
デスクトップで起動して作業しながら遊べるゲーム
画面の下部や隅で常に動作し、PCでの仕事や動画視聴を妨げない設計のゲームです。「デスクトップ常駐型」などと呼ばれているのも見受けられますが、明確な名前はまだありません。従来の「放置ゲーム」よりもさらに生活の一部としての共生を重視しており、作業の合間に眺めたり少しだけ手を加えたりすることで進行します。作業しながら気軽に遊べるのにゲームを探しにくいと感じているので、ジャンル化されてほしいと思っています。
おすすめタイトル: 『Rusty's Retirement』、『BERSERK B.I.T.S』
PC画面そのものを操作するゲーム
ゲーム内の主人公が「PCを操作している」という設定で、フォルダを開く、ファイルを移動させるといった操作がそのままアクションになる作品です。メタフィクション的な没入感が極めて高く、自分の現実のデバイスとゲームの境界を曖昧にします。フォルダ構成やOSのUIそのものをパズルのメカニクスとして解く快感は唯一無二です。OSの挙動を模したこの特異なシステムに、専用のジャンル名が付くのは時間の問題でしょう。
おすすめタイトル: 『Outcore: Desktop Adventure』、『プリコラージュ -IDOLIZED-』
現実世界に干渉して攻略するゲーム
攻略の鍵がゲーム画面の外に存在するタイプです。配布されたPDFを印刷する、PC本体にある特定のファイルを開くといった現実世界に干渉するアクションを要求します。デジタルに閉じた体験では物足りない層に向けた、あえて「紙とペン」や「PC本体の機能」を利用したスタイル。ARG(代替現実ゲーム)の要素を内包しつつも、よりパーソナルな体験として独立していくのではないかと見ています。
おすすめタイトル: 『Dyping Escape』、『Keep Talking and Nobody Explodes』
「名前がつく」ということは、その遊び方が共通認識になった証拠です。今はまだ「〇〇みたいなゲーム」と形容せざるを得ない作品たちも、数年後には立派な一つの公式タグとしてSteamに並んでいるかもしれません。
次にストアを訪れる際は、ぜひタグも覗いてみてください。そこには、あなたがまだ出会っていない新しい驚きを見つけられるかもしれません。












