日本でも多くの人が知るMMORPG『メイプルストーリー』。今回、韓国ソウルのロッテワールド・アドベンチャー内に同作をテーマにした常設エリア「Maple Island」がオープンすることに合わせ、弊誌では同作グローバル版のChief Product Officerを務めるオ・ハンビョル氏と、韓国版のディレクターを務めるキム・チャンソプ氏へのインタビューを行うことができました。
23年という長期運営タイトルにおける「コミュニティ」へのそれぞれの向き合い方が語られた2本のインタビューをご覧ください。
グローバル版『メイプルストーリー』CPO オ・ハンビョル氏

ゲームの"持ち主"は、いつしか開発者からコミュニティへと移っていく
――まず、『メイプルストーリー』というIPにおいて、プレイヤーコミュニティをどのように認識されているのか。そしてなぜコミュニティの維持・拡大を重要視しているのかをお聞かせください。
オ・ハンビョル氏(以下、ハンビョル): ゲームサービスを開始してから20年以上が経っていますが、ゲーム開発というものは、ゲームが発売される前まではディレクターと開発者の領域だと思います。自分たちが作りたいゲーム、発売したらうまくいきそうなゲームを作る段階ですね。
ですが、実際にゲームが発売された後から、サービスが3年、5年、10年、20年と続いていくと、開発者が作りたいと思っているゲームよりも、ゲームを楽しんでくださっているユーザーの声がどんどん上がっていきます。そうしてゲームの"持ち主"が、開発者からユーザー、コミュニティへと移っていくんです。
だからこそ、その後はコミュニティ中心にゲームを運営すべきだと思いますし、タイトルが、次のステップに進んでいくためには、コミュニティと一緒に歩んでいかなければなりません。そういう意味で、コミュニティをより重要視し、ケアする方向に力を入れるようになったのだと思います。
良いコミュニティとは"バランスの取れた"コミュニティ
――良い状態にあるコミュニティとは、どのように定義されていますか。
ハンビョル: すごく難しいし、いい質問ですね。特に最近よく考えていることです。
ゲームコミュニティに限った話ではないと思いますが、私はバランスの取れたコミュニティがすごく大事だと思っています。グローバル版は北米中心ではあるものの、世界中のいろいろな地域からユーザーが参加しています。文化も違えば価値観も違う、考え方も異なる。そんないろいろな意見が集まる場所なので、ぶつかり合いも多い。その中でバランスを取ること、どこか一方に偏らないことが、とても重要であり、同時にとても難しいことだと思います。
特にこのゲームは20年以上経っていますから、国や文化の違いだけでなく、プレイヤーの層も多岐にわたります。新規ユーザー、カジュアル層、ミッドコア、ハードコア……。ヘビーユーザーの意見ばかりがコミュニティの中心になってしまうと、カジュアルプレイヤーや新規プレイヤーの声が無視されかねない。いろいろな層が共存して、互いを尊重できるバランス感覚のあるコミュニティが、非常に重要だと考えています。
コミュニティの"シグナル"を読む
――コミュニティが盛り上がっていきそうなサイン、逆にクールダウンが必要だと感じるのはどのような時ですか。
ハンビョル: 長年サービスをしていると、やはりシグナルというものがあります。
良い兆候としては、例えばファン同士がファンアートを描いて自慢し合ったり、ゲーム内の楽しい思い出やエピソードを語り合ったりする投稿が自然と増えていく時ですね。それがいろいろなユーザーに波及して、長く続いていく。そういう状態は、コミュニティが良い意味で盛り上がっているシグナルだと思います。
一方で、対立が起きるのは、例えばクラス(職業)のバランスに関する議論や、特定のアップデートに対して見方が分かれるケースですね。こうした場合は、基本的にはそこまで介入はしないのですが、問題は事実が確認されていない噂や誤った情報が広まり始めた時です。公式で認めていないことが「実はそうらしい」という形で広がっていくと、不必要な緊張が生まれてしまう。
そういう時は、私が自分の名前を入れた「Inkwell's Note」という形で投稿する、もしくはDiscordなどのコミュニティチャンネルを通じて運営チームの見解を示すようにしています。出回っている情報について事実確認をして、「これは誤解です」「今後このように対応します」「心配しないでください」とクリアにすることで、コミュニティをクールダウンさせていく形を取っています。
ユーザーの声を聞く――ただしバランスを取ることは欠かせない
――コミュニティからのゲームへの意見は、アップデートや運営方針にどの程度反映されるのでしょうか。
ハンビョル: 非常に核心的な質問ですね。コミュニティをありのまま見ると、偏った意見を多く目にすることになります。コミュニティに投稿するのは、やはりゲームに情熱的なヘビーユーザーやハードコアプレイヤーが中心です。一部のユーザーの声が過度に大きくなるケースがあるので、私たちは一定の基準をもってバランスを取ることを常に心がけています。
コミュニティを長くモニタリングしていると、いつも投稿している人の名前が把握できるようになります。「この意見を言っているのはこの人だ」とマッチできるので、その意見が本当に多くのユーザーの代弁なのか、それとも個人の声なのかを判断する根拠になるんです。
また、社内にはいろいろなサイトやコミュニティから情報をクローリングして収集し、フィルタリングするツールも用意しています。キーワードやテーマごとに情報を分類して分布を観察するような形で、ありのままの情報だけを100%信じてしまわないよう、いろいろな措置を取ってモニタリングしています。
――プレイヤー目線で見た時、声を上げた方が得なのでしょうか。ちゃんと見てもらえるという意味で。
ハンビョル: ユーザーの方々に声を上げていただくこと自体は、すごくいいことだと思います。いろいろな国や文化の方々がいるからこそ、多様性を尊重することは大事ですし、声を上げることは重要です。私も、多くの声を聞こうと努力しています。
ただ、100人の意見を聞くことは大事ですが、2人や3人の声がまるで80人の声のように聞こえてしまったら、それは危険です。一部の意見が全体の世論のように広まってしまうと、ネット上でのいじめのような状況にもなりかねません。だからこそバランスを取ることが重要なんです。
限られた開発リソースの中で優先順位をつけなければならないので、多くのプレイヤーが本当に求めているものは何かをキャッチしていくことが重要です。一番声が大きい人の意見だけを受け入れてしまったら、残りの98人が不幸になる可能性もありますから。……とはいえ、全部叶えてあげられたら一番いいんですけどね。
SNSにはカジュアル層、Discordにはコア層――チャンネルで異なるコミュニティの性質
――グローバル版では多くの地域からのユーザーが参加しますが、地域ごとにコミュニティの性質は異なりますか。
ハンビョル: 正直なところ、コミュニティ上で一人一人がどの国や地域、文化圏の人かまでは把握できるようになっていないので、国ごとの傾向までは正確には分かりません。
ただ、チャンネルごとの特徴は明確に分かれています。FacebookやTikTok、InstagramなどのSNSで活動している方々は、カジュアルユーザーが多く、Classic Worldのようなノスタルジア要素を好む方が大多数です。一方、DiscordやWeb上のコミュニティでは、ミッドコア以上のハードコアプレイヤーが声を上げることが多く、現行のモダン環境への関心が高い。国ごとの見分けは難しくても、チャンネルごとの特徴に合わせてユーザーの声を聞くことはしています。
――チャンネルごとにアプローチは変えていますか。
ハンビョル: はい。SNSはカジュアル層や『メイプルストーリー』を一時休んでいるけど関心を持ち続けている方が多いので、バイラルしやすいコンテンツを提供したり、ファンアートの紹介やタグイベントなど、カジュアルに参加できるものを用意しています。
逆にDiscordのようなチャンネルでは、ゲームに直接関わるものが中心です。例えばボス討伐の最速タイムを競うイベントや、GM(ゲームマスター)イベントへの参加誘導など、ゲームプレイそのものに結びつくものですね。
「MapleFest」から「MapleCon」へ――オフラインイベントで"一つ"になる
――そうしたチャンネルごとのアプローチと、オフラインイベントに共通して意識されていることはありますか。
ハンビョル: チャンネルごとにアプローチを変えると、ユーザーを別々に管理する形になりがちです。でも、私たちにとっては皆さん同じプレイヤーです。だからこそ、それを一つにまとめる場として、毎年オフラインイベントを開催しています。
私が一番大事だと思っているのは絆ですね。ゲームの楽しみ方はそれぞれ違っていても、このキャラクターが好き、このモンスターが好き、このゲームの何かが好きという気持ちだけは、皆さん一緒なんです。『メイプルストーリー』というIPを中心に、共通の絆を形成し続けることが非常に重要だと思います。
オンラインでゲームをしていると、誰かと繋がっているという実感はなかなか持てません。でもオフラインで実際に集まると、『メイプルストーリー』を好きだという気持ちがさらに大きくなりますし、「自分は一人じゃないんだ」と感じられる。その感情を育んでいくことが、コミュニティ運営においてすごく大事な役割だと思っています。
――絆を高める取り組みの中で、直近で最も成功した施策は何でしょうか。
ハンビョル: やはり毎年のオフラインイベントですね。もともと「MapleFest」という名前で約8年ほどLAで開催していて、コロナで一時中断はありましたが10年近い歴史があります。以前は100人から200人規模のファンイベントでした。
私が2024年からグローバル版『メイプルストーリー』を担当するようになって、規模を大きくしようと決めて、2024年は約1,200人を招待しました。そして2025年にはさらに拡大して3,000人以上をお呼びし、「MapleCon」と名前を変えてLAで開催しました。
チケット価格が安くはなかったので、正直周囲から心配の声もあったんですが、販売開始から1時間で完売しました。すごく大きな反響をいただきましたし、大変盛況でした。毎回ほぼ2倍の規模に拡大してきて、いつの間にか3,000人を超えるプレイヤーが現地に集まるイベントにまでなっています。運用面においては今後も改善を続けていきますが、ユーザーの方々からも多くの好意的な感想や口コミが寄せられましたし、その後の冬のアップデートの成功にもつながったと思います。実際にゲームとIPに良い影響を与えたと感じています。
ユーザーが揃って"感謝の踊り"を踊ってくれた日
――コミュニティの維持・拡大において、最も課題に感じていること、そして最もやりがいを感じることを教えてください。
ハンビョル: 課題は、やはりユーザーからいただくすべての意見を叶えてあげたいということです。100個あれば100個、1,000個あれば1,000個、全部やりたい。でも限られたリソースの中で優先順位をつけなければならない。
メジャーな声だけを追いかけると、多様性を失ってしまいます。10あるうちの6か7はメジャーな意見に集中するとしても、残りの3か4で、マイナーだけれど着実に出ている声をどう拾うか。そのバランスを取ることが、私にとって最大の課題です。
やりがいについて言えば、私がグローバル版『メイプルストーリー』を担当するようになって初めてプレイヤーの声を本格的に反映したアップデートを行った時、ユーザーの方々から「ありがとう」というメッセージをたくさんいただいたんです。その時は本当に感動しましたし、自分が正しい方向に向かっているんだなと確信を得られました。
特に忘れられないのは、「Go West」アップデートの時です。ゲーム内に私と同じ姿をしたNPCがいるんですが、アップデート後にプレイヤーの皆さんがその帽子を揃って被って、一つの場所に集まって、一緒に踊ってくれたんです。感謝の気持ちを表してくれて。それがフォーラムにも投稿されていました。
長くゲーム開発をしてきましたが、あの瞬間は本当に胸が熱くなりました。これからもプレイヤーの声を聞いて、それをゲームに正しく反映していこう――そう思えるきっかけになった出来事です。
韓国『メイプルストーリー』ディレクター キム・チャンソプ氏

ライブサービスゲームにとってコミュニティとは"次に向かうための土台"
――まずは『メイプルストーリー』において、コミュニティを維持・拡大していくことの意味と重要性についてお聞かせください。
キム・チャンソプ氏(以下、チャンソプ): 『メイプルストーリー』はライブサービスゲーム基盤のIPです。ライブサービスゲームは基本的に永続的な、つまり非常に長い期間維持されるサービスを前提としています。そのため、ユーザーに新しい楽しみを継続的に提供するためには、ユーザーのニーズをよく聞き取ること、そしてそのニーズをうまく取り入れて反映することが非常に重要です。
ユーザーの意見をきちんと聞くためには、まずそうしたニーズが集まることのできる場所が必要です。そして、その場所こそがユーザーコミュニティだと考えています。
『メイプルストーリー』は今23年目です。20年以上続いているのですが、ユーザーのニーズもその間ずっと変わってきましたし、広がってもきました。そうしたニーズがきちんと集約されていて、議論が活発に行われているコミュニティがあるからこそ、私たちはそれを基盤にそのIPを成長させていけるのだと思います。
良いコミュニティとは"多様な意見が飛び交う場"
――そうしたコミュニティにおいて、"良いコミュニティ"とはどのようなものでしょうか。
チャンソプ: 良いコミュニティとは、先ほどの回答の延長になりますが、いろいろな意見が多様に生まれているコミュニティだと思います。ひたすら批判ばかりだったり、逆にひたすら褒めてばかりの意見だけで構成されているコミュニティは、良くないと考えています。いろんな意見がいろんな方法で自由に飛び交っている――そういうコミュニティが良いコミュニティですね。
――逆に、コミュニティが悪い状態になったと判断される場合はどのような時でしょうか。また、そうした時に何か介入されることはあるのですか。
チャンソプ: まず、コミュニティは自発的にユーザーによって生まれていくものですから、コミュニティの中の意見をコントロールしようとは思っていません。
ですが、否定的な意見が見られた時に、それが何かの誤解や間違った情報に基づいている場合は、それが違うということを説明できる論理を提供することで、ユーザー同士で議論ができる根拠を提供すること――それが私の仕事だと思います。
ユーザーの声をどう聞き、どうゲームに活かすのか
――韓国は『メイプルストーリー』のアップデートが最初に行われる地域ですし、熱量の大きいプレイヤーも多いと思います。コミュニティの意見はどのように収集され、ゲームにどの程度反映されているのでしょうか。
チャンソプ: 意見を収集する方法は部署ごとに異なります。運営チームや開発チームはコミュニティの投稿について、バズっている量に応じて重要なものを中心に直接目で確認して収集しています。マーケティングのチームは言葉として直接目にすることはなくても、数字を通して分かるものがあるので、そうした形でも見ています。
そしてゲームへの反映という意味では、ほぼすべてのものが反映されていると考えていただいて構いません。私たちの仕事は、すごく長い時間にわたってユーザーに楽しんでいただけるものを提供し続けることですから、そのためにユーザーが心から求めているものは何かを把握しなければなりません。
ただし、もちろんユーザーの意見をそのままゲームに入れ込む、というケースはほぼありません。長期的なサービスを維持する上での方向性や優先順位については、当然私たち開発側が多くの専門知識を持っています。ユーザーからは率直なご意見をいただきますが、その中で実際に求めているものは何か、その要となるニーズは何かを解釈し、ゲームに取り入れていくこと――それが私たちの仕事のすべてだと言えます。
韓国ならではのオフライン施策――首都圏の人口密度が生む効果
――リージョンごとの特徴を踏まえた、韓国ならではのアプローチはありますか。
チャンソプ: 事前にいただいた質問にもあり、普段あまりこういうことを考えたことがなかったので改めて考えてみたのですが、韓国に特化しているものとして言えるのは、韓国は首都圏に人口が集中している国なので、オフラインイベントを実施した際の効果が特に優れているという点ですね。例えばアメリカのように大都市が分散されている地域だと、オフラインイベントの効果は韓国並みにはならないかもしれないとは思いました。
それ以外のオンラインやオフラインの取り組みとしては、特に韓国に特化しているというよりは個々のゲーマーの特性によるものだと思うので、韓国だけの特別なアプローチというものは、特に思い当たらないかなと思います。
「Maple Island」は『メイプルストーリー』だからこそできた
――今回の「Maple Island」がロッテワールドで展開されることについて、やはり首都圏という立地の影響は大きいのでしょうか。
チャンソプ: ロッテワールドは韓国で最も有名なテーマパークの1つで、首都圏にあるためアクセスが良いことも、そこを選んだ理由の一つになっています。
こうした象徴的なスペースに大規模な常設テーマパークを開設できるということが、特に韓国においては大きな意味を持つと思います。そしてそれができるゲームIPは限られており、 『メイプルストーリー』はその1つであると思っています。
――「Maple Island」を通じて、 『メイプルストーリー』というIPにどのような効果をもたらしたいとお考えですか。
チャンソプ: 『メイプルストーリー』は常に大衆性を目指しているIPです。ジャンルとしてMMORPGである以上、ある程度のユーザー規模が集まってこそ生み出せるゲームの面白さがあります。また、(MMORPGゲームでなくとも)大衆性の確保はゲームへの直接的な流入動機になるという意味で非常に重要です。
ここで何かを直接宣伝して「このゲームを始めてください」ということではなく、 『メイプルストーリー』IPが持つ一般向けのイメージを広く育むことで、間接的にゲームへの流入効果を生み出せればという感覚ですね。
補足すると、ライブサービスゲームは長く維持されていくと、コミュニティのコアユーザー中心になりがちです。常に意識してユーザー層を拡大していく取り組みをしていかないと、ゲーム自体がそういった人だけのものになってしまいます。次世代へ、そしてまだ経験していない層へと広げていくこと――それが大事だと考えています。
――そうなると、「Maple Island」は 『メイプルストーリー』に詳しい方もそうでない方も楽しめるように作られているのでしょうか。
チャンソプ: はい。『メイプルストーリー』に詳しい方ならば、それぞれが持っていたゲームへのファンタジーが現実化しているところを見て楽しんでいただけると思いますし、詳しくない方でも、ロッテワールドに溶け込むよう設計された空間として、それだけでも十分楽しめるものになっていると思います。
常設施設からショーケースまで――韓国メイプルストーリーの多彩なオフライン展開
――日本ではポップアップストアやコラボカフェ、コンサートイベントなどが主なオフライン施策ですが、韓国ではどのような展開がありますか。
チャンソプ: おっしゃったポップアップカフェやコンサートなどは、私たちも過去に何度もやってきましたし、今も計画中のものはあります。
常設で運営しているものとしては、まず済州島にある『メイプルストーリー』カフェがあり、これはネクソンミュージアムと連携しています。次に、ソウルにある常設ネットカフェ「メイプルアジト(MAPLE AGIT)」。そして今回の「Maple Island」です。
それ以外にも最近は、社会貢献の一環として、『メイプルストーリー』のコンセプトで公園の遊び場を整備するプロジェクト「Maple Leaf Playground」を進めていて、現在3箇所まで完成、4箇所目も準備中です。韓国ソウルにある子ども向けの大きな公園には、約700坪規模の『メイプルストーリー』をテーマにした遊び場も設置されています。

こうした常設のオフライン施策は、『メイプルストーリー』だからこそできるものだと思います。韓国でゲームIPがここまで一般向けに認知されている例は多くありませんので、積極的に取り組んでいます。
今度、6月14日からは劇場版長編アニメ「ディアマイヒーロー(DEAR MY HERO)」も公開される予定です。

また、他のゲームに比べて特に独創的なものとしてはショーケースがありますね。『メイプルストーリー』のショーケースは、韓国はもちろん世界を見ても、これぐらいの規模と形式でゲームアップデート情報を公開しているイベントは他にないと思います。
直近でも6月13日に2026夏ショーケース「オーバードライブ」を行います。今回のショーケースもすごく大きいイベントとして企画していて、オリンピック公園ハンドボール競技場を借りて3,000席規模で展開します。

"ゲーマーのファンタジーに応えているか"を常に自問する
――コミュニティの維持・拡大において、最も難しいと感じることは何ですか。そして、やりがいはどこにありますか。
チャンソプ: 課題としてはまず、私たちはゲームコミュニティなので、基本的にゲーマーのファンタジーを満たすことを一番の方針にしています。ですが、IPの拡張や大衆的なコミュニティを目指す取り組みをしていると、その根本を忘れてしまう時がある。そうした時は「果たしてこれはゲーマーのファンタジーに応えられるものなのか」と自分自身に問いかけるようにしています。
もう一つは、コミュニティには常にネガティブな意見があるということです。それをちゃんと見ることは担当者として辛いことですし、振り回されてゲームに良くない判断をしてしまうことにも繋がるので、あまり耳に入れたくないと思う時もあります。ですが、そうした意見の中にこそ、ゲームが正しく向かっていける方向がちゃんと隠されていると信じて、一つずつ見ていく努力が必要だと思っています。
やりがいについては、事前にいただいた質問を見ながらいろいろ思い出してみたのですが、あまりにもたくさんの経験が思い出されました。その中で共通しているものは何かと考えてみると、このゲームと一緒に成長してきたユーザーが、『メイプルストーリー』が自分の人生の中ですごく大きな意味を持っている、と話してくれたことです。
20年以上サービスしているゲームですから、小学生の頃に始めた方が今は私と同じ30代半ばになっています。そうした方々の人生の一部になれるものを作り出したという事実が、私にとっては最大のやりがいです。これからも、より多くの方々の人生の一部と言えるようなコンテンツを作っていきたいと思います。
23年にわたって運営されてきた『メイプルストーリー』。その歴史を支えているのは、ゲームそのものの魅力だけでなく、ユーザーの声に真摯に向き合い続ける姿勢と、オンライン・オフライン両面での多彩なコミュニティ施策であると、今回のインタビューからは強く伝わってきました。ロッテワールドに常設される「Maple Island」は、そうした取り組みの集大成の一つと言えるでしょう。ゲームIPとしての存在感を、テーマパークという形でリアルの世界に根付かせていく――その挑戦がどのような成果を生むのか、今後にも注目です。








