『タイタンフォール』シリーズが持っていたFPSとしての魅力を考えたとき、ひとつ大きな要素はキャラクターの機動性の高さと言えるでしょう。壁を走り、二段ジャンプで空中を舞い、ときにはグラップリングフックでスイスイ移動する……激しい戦いの中を立体的に駆け回るあの体験は、もはやただ「FPS」とだけ形容するには不十分な、アクションFPSのひとつの到達点と言えたと思います。
『Apex Legends』にも、Respawn作品らしいスピード感やキャラクターごとの移動アビリティは受け継がれています。しかし、それでもふと思ってしまう瞬間はないでしょうか。
「やっぱり、メカが足りない」と。
そんな寂しさを埋めてくれるかもしれない、注目すべき対戦FPSが登場します。その名も、『EMPULSE』。本記事では、LAにて開催された「Summer Game Fest: Play Days」における試遊レポートをお届けします。
メカはチームの“最終兵器”
本作は、アリーナFPSにポータル移動を組み合わせた“『Halo』 ×『Portal』”的な作品として話題を集めた『Splitgate』で知られる1047 Gamesが開発する、6対6の対戦FPSです。
ブースにいた開発者にお話を聞いたところ、『タイタンフォール』から多大な影響を受けつつも、コピーするのではなく、独自の魅力を持つことを追求しているとのことです。

今回プレイできた試合のルールは、リスポーン無限で、ゲーム内に現れるオブジェクトを相手エリアにあるゴールまで運ぶというもの。オブジェクトを持つプレイヤーは射撃ができなくなる上、位置が常に敵に知らされるため、連携プレイはほぼ必須です。
実際のプレイ感としては、確かに『タイタンフォール』を思わせる機動力の高さで、スライディングに壁走りに、とにかく動いているだけでも気持ち良いです。ジャンプは二段階ではなく、数秒間ホバリングできるというような方式のため、『TF2』よりも少し操作難度は下がっている印象です。グラップリングフックも、『TF2』プレイヤーが想像するあの挙動、ほぼそのまま味わえると言えるでしょう。
プレイヤーをキルするまでの時間(TTK)は比較的短く、撃ち漏らして逃げられた……という体験はそれほど多くなさそう。武器カスタマイズが可能で、ARからショットガンまで、一般的なFPSでみられるものは一通りあるようなので、マップや得意な戦略によって変えることが求められそうです。一方、本作はヒーローシューター要素はないので、覚える情報そのものはそれほど多くないはずです。
ただ、今回のプレイは対BOTであったため、人が集まり、よりプレイヤー同士の駆け引きや腕前が深化すれば、ぐっと環境は変わるであろうことは容易に想像できました。逆に機動力で敵の視線を翻弄して、スルッとオブジェクトをゴールに運ぶという気持ち良いファインプレーもこなせました。

マップの構造は全体として縦長気味で、ひとつ大きな中央通路と、いくつかの裏取り用サイド通路があるというような構造となっているようです。開発者の意図としても縦方向の動きを重視しつつ、ややコンパクトな作りに仕上げ、『コール オブ デューティ ブラックオプスIII』と『タイタンフォール』の中間のようなサイズ感を目指して作っているそうです。
変わった要素としては、「P.A.I.N.T.グレネード」と呼ばれるシステムが挙げられます。読者の皆さんは『Portal 2』のジェルを覚えていますか?特定のペイントが塗られた床に触れると、加速して遠くまでジャンプできるようになったり、トランポリンのように跳ねることができたり……といったアレです。
P.A.I.N.T.グレネードはそれを思わせる要素で、投擲すると壁や床にペイントのようなものがぶちまけられます。それに触れることで、ジャンプ力やスピードが上昇したり、回復する、反対にダメージを与えるなど戦略的に使用できたりと、移動にも戦闘にも活用できます。今回のプレイではどれほど重要な要素になってくるかは掴みきれませんでしたが、回復を味方内で共有できるような使い方は、守りを固めるようなシチュエーションでは有用かもしれません。

開発者によれば、壁走りやスライディングにジャンプペイントを組み合わせて一気に加速したり、壁にペイントを当てて跳ね返るように移動したりと、各アクションを連鎖させることで、より立体的でスピーディーな動きが可能になるとのこと。グラップリングフックも用意されており、コーナーを回り込むような動きを出しやすくするなど、高度なアクションを引き出しやすい設計が意識されているとのことです。

メカは『タイタンフォール』のように各プレイヤーが呼び出すものではなく、マップ上に出現する強力な“パワーウェポン”のような存在です。一定時間ごとに各チームが利用できるメカが現れ、それをいかに確保し、活用するかが戦局を大きく左右します。開発者は『Halo』のロケットランチャーのような、マップ上に一定時間ごとに出現する最後の切り札的な武器となることを想定しているそうです。
メカができることは、自分を覆うシールドの展開、マシンガンの射撃、ミサイル射撃(広範囲攻撃)、チャージジャンプの4つ。いずれもクールダウンが短めでたくさん使用できるので、圧倒的な力でねじ伏せるあの感覚はここでも味わえます。
敵が何人も固まっているところにミサイルをぶち込んだり、果敢に立ち向かってくるヤツの体力をマシンガンで溶かしたりと、かなり強力(筆者は最大で連続10キルもできました!)。一方で、やや撃たれ弱いと感じる部分もあり、数人に一気に撃たれるとガリガリと耐久力が削れていきます。対メカ同士もうまくシールドやミサイルを活用しなければならない緊張感があります。
メカが壊れると脱出する間もなくデスしてしまう反面、メカが壊れきらないと次のメカの補充が始まらないというジレンマもあり、引き際をどう作るべきかは悩ましい要素となりそうです。
今回の試遊は対BOT戦だったため、実際の対人戦でどれほど駆け引きが深まるのかはまだ未知数です。とはいえ、壁走りやグラップリングフック、P.A.I.N.T.グレネードを組み合わせた移動の気持ちよさと、戦場の“最終兵器”としてメカを奪い合うわかりやすい熱さは、短時間のプレイでもしっかり伝わってきました。
『EMPULSE』は、PC(Steam)向けに6月25日発売予定です。







