気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、makaroll氏開発、PC/Mac向けに9月3日にリリースされた高難度弾幕リズムゲーム『アステリカ:ファントムローズ・リフレイン』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、6×6グリッドで自分だけのルートを切り開いていく高難度弾幕リズムゲーム。リズムに合わせて動き、反応し、弾幕を回避していきます。ファントムハンター「アイリス」と怪盗「ヴィネット」、そしてエンジニア「クレア」が織りなすテキストによるストーリーモードも搭載。日本語にも対応済みです。
『アステリカ:ファントムローズ・リフレイン』は、1,900円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
makaroll『アステリカ:ファントムローズ・リフレイン』(以下『アステリカ』)の開発者、makarollと申します。個人でゲーム開発とイラスト制作をしています。これまでに『ファントムローズ』と『ファントムローズ2 サファイア』を開発しました。
ゲーム開発者という仕事をしている以上、幅広いゲームに触れることも仕事の一部だと思っているので、「一番好きなゲーム」をひとつだけ選ぶのはなかなか難しいです。最近では『ウマ娘』や『ゼンレスゾーンゼロ』が好きですし、音楽ゲームでは『Deemo』や『jubeat』などが特に好きです。
ただ、あえて自分にとっての「ソウルメイト」のようなゲームを一本挙げるなら、『ファイナルファンタジーXIV』(以下『FF14』)だと思います。一番長く遊び続けているゲームですし、吉田直樹さんからはゲーム開発者として大きな影響を受けています。ストーリーや世界観はもちろん、その中で作ってきた思い出も含めて、とても大切な作品です。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
makaroll『アステリカ』の核になっているのは、音楽のビートに合わせて6×6のグリッド上を移動しながら、さまざまな弾幕や障害物を避けていくというシステムです。一般的な音楽ゲームのように、流れてくるノーツを待ってタイミングよく入力するのではなく、「移動すること自体がリズム入力になる」というのが大きな特徴です。
ビートに合わせた移動も、グリッド上を移動するゲームも、それぞれ単体では新しいアイデアではありません。僕が興味を持ったのは、そういった既存の要素をひとつの方向へ極端なくらい突き詰めてみたら、どんなゲームになるのだろう、という部分でした。
僕自身、小さい頃から音楽ゲームが大好きでした。『DJMAX』『beatmania』『押忍!闘え!応援団』『jubeat』『Muse Dash』『Deemo』など、本当にいろいろ遊んできました。日本へ行ったときには『太鼓の達人』や『pop'n music』を遊んだり、ゲームセンターで新しい音楽ゲームを見つけたら触ってみたりしています。
ただ、すでに大好きな音楽ゲームがたくさんあるからこそ、自分まで似たような体験のゲームをもう一本増やす必要はないとも感じていました。普段遊んでいる音楽ゲームとは違う刺激を探している人や、従来の縦スクロール型音楽ゲーム(VSRG)にはあまり興味がなかった人が『アステリカ』を見て、「なんだこれ、ちょっと遊んでみたい」と思ってくれるようなゲームを作りたかったんです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
makaroll『アステリカ』には、「この一本を参考にして作った」という作品はありません。いろいろなゲームから得た体験やアイデアを集めて、それらをかなり極端な方向へ組み合わせたゲームだと思っています。
例えば『Crypt of the NecroDancer』は、ビートに合わせて移動すること自体の楽しさを分かりやすく示している作品ですし、『ゼンレスゾーンゼロ』に以前存在していたグリッドベースのゲームプレイも個人的にとても好きでした。
そして、障害物を見て安全な場所を判断する部分については、『FF14』のレイド体験からも間違いなく影響を受けています。これから何が来るのかを読み、安全地帯を判断して、正しいタイミングでそこへ移動する。あの感覚が僕はとても好きなんです。
『アステリカ』は、そういった異なる体験を集めて、「これらを全部、徹底的に“音楽ゲーム”の方向へ持っていったらどうなるだろう?」と考えて生まれた作品です。リズム要素のあるローグライクやRPGを作りたかったわけではなく、ビート移動、グリッド移動、障害物のパターン認識そのものを土台にした、純粋な音楽ゲームを作りたかったんです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
makaroll公開デモを実施していた頃、あるプレイヤーからは「すでにかなり難しい」という意見をいただく一方で、別のプレイヤーからは「ミスしたときにもっと厳しいペナルティがほしい」「もっと緊張感がほしい」という声もありました。ほとんど正反対の要望ですよね。
もともと僕は、『アステリカ』を誰でも気軽に楽しめるカジュアルなゲームにしたいと思っていました。ただ、何度もデモを公開して改善を重ねていくうちに、それは現実的ではないのかもしれないと分かってきました。『アステリカ』らしさを残したまま、どこまで遊びやすくできるのかには限界があります。そこで、『アステリカ』は難しく、人によってかなり好みが分かれるゲームだということを受け入れて、その個性をむしろ明確にしていこうと思ったんです。
より大きな緊張感を求めるプレイヤー向けに「サバイバルモード」や「ナイトメア」難易度を追加する一方で、チュートリアルや視認性、ゲームからのフィードバックについては徹底的に改善してきました。
製品版を発売した後も無料体験版を常設している理由のひとつもそこにあります。購入する前に、「これは自分に合うゲームなのか」を実際に遊んで判断してほしいと思っています。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
makaroll一番嬉しいのは、プレイヤー同士が競い合っている姿を見ることですね。僕は毎日ランクサーバーの状態を確認しているのですが、何千件ものスコアが送信されていたり、お互いの記録を追いかけていたり、コミュニティで自分の記録を投稿している様子を見るのは本当に嬉しいです。
『アステリカ』で一番生み出したかった感情を言葉にすると、「もっと上手くできる。もう一回!」だと思います。
面白かった例としては効果音があります。僕自身は音楽ゲームではできるだけ曲そのものを邪魔せずに聴きたいタイプなので、最初は効果音をあまり入れたくありませんでした。ところが、プレイヤーからは「もっと音でフィードバックがほしい」「もっと効果音がほしい」という声を何度もいただきました。結果として、かなり多くの効果音や音によるフィードバックを追加しつつ、それぞれ設定からオン・オフや調整ができるようにしました。
何度も公開デモを出してよかったと思うのは、自分にとって気持ちいいものが、必ずしも他のプレイヤーにとって遊びやすいとは限らないということを何度も学べた点ですね。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
makaroll一番多い要望は、とてもシンプルです。「もっと曲がほしい!」ですね。もちろん楽曲数は今後もっと増やしていきたいですし、「いつか声をかけたい」と思っているアーティストのリストもすでにかなり長くなっています。楽曲ライセンスを取得すること自体はそれほど難しくありません。一番大きなダメージを受けるのは、だいたい僕の財布ですね。
その一方で、非常に才能のあるアーティストの方からご厚意で楽曲を使わせていただけることもありました。そういった素晴らしい音楽も、ゲームを通してできる限り魅力的に紹介したいと思っています。
楽曲追加以外では、ゲーム内でもっといろいろな目標や報酬を作りたいです。ランクモードは競争が好きなプレイヤーにとって非常に強いモチベーションになっています。ただ、実際にはランクを遊ばないプレイヤーの方が多数です。そのため、『アステリカ』を「ランキングを競うことだけが長期的な目標になるゲーム」にはしたくありません。いろいろな遊び方をするプレイヤーが、それぞれ追いかけられるアンロック要素や報酬、目標を増やしていきたいと思っています。
まだ発売から数週間しか経っていないので、今後のアップデートについて細かいことをお話しするには少し早いのですが、現在、サバイバルモードのように通常とはルールが変わる新しいゲームモードを考えています。ただし、非常にシビアな生存競争というよりは、さまざまなチャレンジをクリアして、新しい報酬をアンロックしていくことが中心になる予定です。
今後『アステリカ』を育てていく中で、一緒にお仕事をしてみたい音楽アーティストやイラストレーター、クリエイターの方々もまだまだたくさんいます。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
makarollはい。『アステリカ』のゲームプレイ動画やライブ配信については、配信・収益化ともに自由に行っていただいて大丈夫です。
また、ゲーム内の設定には「配信者モード」を用意しています。Content IDなどによる問題が発生する可能性をできるだけ減らしたい場合は、配信や動画収録の前に「配信者モード」を有効にすることをおすすめします。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
makaroll『アステリカ』は、僕自身のように音楽ゲームが大好きだけれど、普段遊んでいるものとはかなり違う音楽ゲームを探している人のために作りました。そもそも音ゲーマーって、ひとつの音ゲーだけを遊んでいる人のほうが珍しいですよね。
一方で、『アステリカ』は激しい場面の動画だけを見ると、「何をやっているのか分からない」、ちょっと意味不明に見えるゲームだということも分かっています。なので、動画や文章だけで判断しなくてもいいように、無料体験版を用意しています。ぜひ実際に触ってみてください。
そしていつか一曲を終えたあとに、「もっと上手くできる。もう一回!」と思ってもらえたら嬉しいです。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








