
セガおよびGPTRACK50が2026年10月22日に発売を予定している完全新作アクションRPG『ステューピッド・ネバー・ダイズ(Stupid Never Dies)』。今回は、同作プロデューサーの小林裕幸氏とディレクターの佐々木栄一郎氏へのインタビューをお届けします。
「東京ゲームショウ2026(TGS2026)」のセガブースでは、5面特殊LEDを用いた巨大スクリーンによるプロモーション映像の放映など、ド派手な展示で大きな注目を集めました。本作は『バイオハザード』や『デビル メイ クライ』『戦国BASARA』を手掛けてきた小林裕幸氏が代表を務めるGPTRACK50の第1弾タイトル。
モンスターたちの反乱で崩壊し、僅かな人間と地上に取り残されたゾンビたちだけが残った世界で、最弱のゾンビ「デイビィ」が凍死していた人間の女性「ジュリア」に一目惚れし、彼女を生き返らせるためにダンジョンの最深部に君臨する「KOM(キングオブモンスター)」の討伐を目指すシングルプレイ専用アクションRPGです。
敵を喰らって能力を奪う「スタイルイート」や肉体を改造する「ボディハック」、そして潜るたびに強化効率が跳ね上がる「爆速成長」など、独自要素が満載の本作。Game*Sparkでは、開発の中核を担う両氏に、独自の戦闘コンセプトや、ユーザーからの反響を受けた近日公開予定の体験版アップデートなどについてじっくり話を伺いました。

「パンク×ラブ」がテーマ―すべてはゾンビ軸から始まった
――TGS2026への出展おめでとうございます。ブースの印象やステージに立たれた感想はいかがですか。
小林裕幸氏(以下、小林):久々の出展だったので非常に楽しいですね。木曜日にはセガさんのステージに登壇したのですが、2階にあって景色が抜群でした。前職(カプコン)のステージは低めの設計だったので目線がまったく異なり、緊張せずに楽しくやりきれました。ブースも5面特殊LED仕様で、何度も見返してきたPVのデイビィが巨大に映し出されていて本当に嬉しいです。
――グラフィティ調のアートはデイビィからの世界の見え方を表現したものでもありますが、独特のビジュアルスタイルそのものはどのように生まれたのでしょうか。
佐々木栄一郎氏(以下、佐々木):全体のトーンとして「ファンキーゾンビアクション」という言葉を掲げています。この“ファンキー”の根底には「パンク」と「ラブ」という2つのキーワードがあります。パンクは文字通りパンクロックの精神で、もうひとつのラブは、死んでいる女の子にゾンビが恋をするというパンク精神あふれるラブストーリーを意味しています。
私自身が昔のパンクロックが好きでして、CDジャケットに見られるコラージュや落書き、権威に反発するようなアートワークをゲームのビジュアルモチーフとして落とし込みました。

――ゾンビを題材にしつつも、単にガワを着せ替えただけではない独自システムが印象的です。企画の原点はどこにあったのでしょうか。
小林:新規のアクションゲームを作ろうと思って、「ゾンビを主人公にしてください」っていうお題を僕からディレクターはじめコアメンバーにまず投げたんですね。ゾンビ主人公で企画を考えてくれというところからスタートして、ゾンビならではのアクションを入れようと佐々木を中心にアイデアを膨らませていきました。ゾンビだから食べて回復するし、敵の能力を奪うのも食べて奪う。世界観やストーリーも含めて、すべてがゾンビ軸でいろいろ考えていった形です。
ゾンビってモンスターの中でも最底辺だったり、いろんなゲームでザコ敵として扱われるじゃないですか。その最弱の存在が成り上がって強大なモンスターたちをなぎ倒し、ボスの「KOM」を打ち倒したら最高に爽快なんじゃないかという発想ですね。
――初期の企画書からはかなり変化したとお聞きしました。
小林:スタジオの設立と予算取りのために僕が最初に8ページで企画書を作ったんですけど、あくまで叩き台でした。でも、社内で叩きまくられて何もなくなりかけたんです(笑)。だから「ゾンビだけは生かしてくれ、ゾンビだけお願いします」と頼み込みました。それがなくなって全てがゼロになると(予算を取得済みの)企画としてまずいので、そこだけは死守して今の形へと発展していきました。

避けない、防がない―「チェンソーマン」のような泥臭い殴り合い
――本作のバトルシステムは、いわゆる「死にゲー」的な高難度タイトルとも、従来のスタイリッシュアクションとも異なる手触りを感じます。戦闘のコンセプトはどのように設計されたのでしょうか。
佐々木:戦いのイメージはまさしく漫画「チェンソーマン」のデンジみたいに、防御姿勢を一切取らずに愚直に殴り合うようなバトルを目指しました。一般的なガードや回避で華麗にいなすのではなく、頭から突っ込んで殴り続ける泥臭さですね。
パリィ(ステューピッドパリィ)もあるのですが、シビアにタイミングを合わせるというよりは、敵の攻撃に頭から突っ込んで弾き飛ばすような感覚です。ただ、パリィをやるたびに体力だけはどんどん削れていくんですよ。だから「殴ってパリィして、体力が危なくなったらガブッと食べて回復する」、これが基本のサイクルになります。
――「永久機関が完成しちまったなアア~~!!」って奴ですね(笑)!
佐々木:ノリはほんとにそれですね(笑)。
小林:『デビル メイ クライ』だとスタイリッシュにかわして戦うじゃないですか。そこは自分のこれまでの経験も含めて、明確に差別化しています。

――対空やパリィが苦手なプレイヤーに向けた装備やビルドの選択肢はあるのでしょうか。
佐々木:例えば空を飛んでいる敵に対してかなり便利なのが「ホーミングミサイル」ですね。自動追尾してくれるので非常に戦いやすくなります。装備のスキルレベルも最大レベル3まであるので、レベル3になれば大半の敵を圧倒できるようになります。
また、パリィが苦手な方向けには、構えておくだけで攻撃を受けた際に相手を吹き飛ばす「シールド」もあります。装備のバリエーションも用意したので、なにか自分と相性がいい装備が見つかると思います。
さらに「自身がダウンした時」などに自動発動するオートスキルもあって、ダウン時に周囲へまきびしを撒いたり、つららを落として敵を凍結させたりと、ピンチを切り抜けるカスタマイズが可能です。
小林:一撃のダメージが大きい大剣のような武器も当てたいですよね。でも隙が大きい。そういうときは「スノーフェアリー」というスタイルを取って相手を凍らせて動けなくしたところに叩き込む、といったようなスタイルと装備の組み合わせを楽しんでいただきたいです。
体験版の反響を受け、ロックオンではなく「誘導と当たり判定」を大きく調整
――体験版が配信されて以降、ユーザーからの反響はどう受け止めていますか。
佐々木:非常に多くの反響をいただいておりまして、まず感謝しております。その上でいただいた意見として、「なんでロックオンがないんだ」という部分も含め本当に多くの声をいただきました。そこで、そうしたフィードバックを参考にして、より遊びやすく調整した体験版のアップデートパッチを用意しておりまして、近々公開させていただく予定です。
小林:体験版をすでに遊んでいただいた方も、パッチが当たったら手触りがかなり変わっていますので、ぜひもう一度触って確かめていただきたいですね。

――ロックオンをあえて入れなかった企画意図と、今回のパッチで施した調整内容について詳しく教えてください。
佐々木:ダンジョンの深層に進むほど敵のプレッシャーがものすごく強くなって、四方八方から敵が押し寄せてきます。右からも左からも敵がどんどん来る中でスピーディーに立ち回ろうとしたとき、ハードロックオンで1体を固定してしまうと、ターゲットの切り替えなどでどうしても手間取ってしまうんです。そのため、レバー操作やカメラ操作で直感的に素早く敵を捉えられるように、あえてロックオンを採用していませんでした。
小林:体験版の範囲って、まだ敵が少ないんですよ。その状態だと、1体に対してロックオンできたほうが戦いやすいというのは、まさにユーザーさんがおっしゃる通りなんです。テストの段階でロックオンを入れるかについては議論にもなりましたが、その上で今回の形にしました。ただユーザーの意見にも向き合いたいので今回調整を入れました。
佐々木:ですので、今回のパッチではロックオンの仕組みそのものを入れるのではなく、デイビィの殴りや蹴りといった通常攻撃がしっかり敵に当たりやすくなるような調整を入れました。
小林:特に序盤で苦戦する方の多かった飛行敵の「ハーピー」なども、格段にぶっ飛ばしやすくなっています。空中戦でも、だいぶ戦いやすさを実感していただけるはずです。
難易度を大幅緩和!オプションの特殊設定「ゴーナッツ」モード
――アクションが苦手なプレイヤーでもクリアまで楽しめるような配慮はあるのでしょうか。
小林:実は、告知はしていないのですがアクションが苦手な方に向けて、オプション画面内に「ゴーナッツ(Go Nuts)」という特殊なモードがあります。これをオンにするとだいぶアクションがしやすくなって難易度が大幅に緩和されますので、アクションに自信がない方はぜひゴーナッツを使ってください。何を隠そう、僕自身がこれがないと本編はクリアできないんですよ(笑)。
――そこまで強力な救済設定なんですね!
小林:(配信中の体験版を含めて)オプション画面からいつでもオン・オフの切り替えが可能ですので、難しいと感じたらいつでも気軽に使って楽しんでいただければと思います。

潜るたびに状況が変わるランダム性と“爆速成長”のサイクル
――ダンジョン探索におけるスタイル獲得のランダム性やゲームサイクルについて教えてください。
佐々木:スタイルは敵を倒して奪うものですが、ダンジョンに潜ったときにどの敵がどこに出現するかは毎回ランダムでセットされます。「さっきここで狼男と出会ったと思ったら、次はハーピーしかいない」といったことが日常茶飯事に起こります。そのため、決まりきった計画通りに遊ぶというよりは、その場で起こるハプニングに対して臨機応変に対応していくアドリブ力が求められます。
小林:エリート敵から手に入るスタイルは枠が2つあるので、「今回は狼男とハーピーでいくか」「次はヴァンパイアとゴーレムにしよう」とその場の引きに合わせて選択していくのが面白いところですね。
佐々木:スタイルは3フロア進むと効果が切れてしまうため、常に入れ替えていかなければなりません。また、同じ狼男であっても浅い階層と深い階層では強さも持っているスキルもまったく違います。常に強かったり自分と相性の良いスキルを持つ個体を探し、デッキを入れ替えるような感覚で楽しんでいただけます。

――1回のダンジョンダイブ(あるいはストーリー上の進捗)にかかる時間や、クリアまでの想定時間はどれくらいでしょうか。
佐々木:1回のダンジョンは、20~30分程度でボスに会える設計になっています。上手い人なら1回潜ってそのままクリアできたり、少し失敗しても2回目くらいで突破できる調整です。テクニックに自信がない方でも、3~4回挑戦して永続強化を進めればしっかりクリアできるようになっています。ストーリーのエンディングまでは、上手い方で約20時間、じっくり進めて30時間程度を想定しています。
ただし、ダンジョン内ではレベルを上げるために片っ端から敵と戦い時間を使いすぎると、ボスのフロアに着く頃にはタイムアウトになってしまう危険もあります。とくに、ストーリーが進めばダンジョン自体も深くなっていきます。
そこで、もともとある時間だけでボスと十分戦えるレベルに到達し「壁」を打ち破るのに必要なのが爆速成長(EXPブースト)です。
小林:僕はボスと同じかちょっと高いレベルにして挑まないと勝てないですね。弱点を見つけないと苦労するボスもいます。
――体験版では成長の伸び率が比較的緩やかに感じられますが、本編ではどのように変化しますか。
佐々木:体験版の範囲では数値を抑えていますが、本編に進むと「EXPブースト」の量が跳ね上がって、異次元のスピードで成長していきます。
小林:最初から爆速にしすぎるとゲームバランスが崩れてしまうので、序盤は抑えています。
佐々木:永続強化の要素も装備(ボディハック)を始め、とんでもない性能のものを多数用意していますのでご期待ください。
――「EXPブースト」の桁数は、PVでチラ見えした4桁を超えて、5桁に届きますか?
佐々木:楽しみにしていてください(笑)。

ゲーム本編はすでに完成、万全の状態で10月発売へ
――現在の開発状況や、発売後の展開についてお聞かせください。
小林:本作は予算もスケジュールも計画通り順調に進んでおり、すでにゲーム本編は完成しています。急に発売延期や中止になるようなことは絶対にありませんので、ご安心ください(笑)。発売後の展開については発売後の反響次第ですが、大型DLCなどを予定しているわけではなく、いまのところは発売日と同日に見た目を変えるカスタマイズ系のDLCや、不具合対応などの小さめのアップデートを配信予定であるぐらいです。売れなかったら『2』は作れないですしね(笑)。
――最後に、発売を楽しみに待つファンに向けてメッセージをお願いします。
佐々木:ゾンビが大好きな開発陣が集まり、新しいゾンビの価値観にチャレンジしたタイトルです。奇天烈な世界観やストーリーをたっぷり楽しみつつ、ユニークな新しいアクションの挑戦もたくさん詰め込んでいますので、ぜひ繰り返し遊んでいただければと思います。
小林:まずは現在配信中の体験版をぜひ遊んでみてください。アクションが苦手な方は、先ほどお話ししたオプションの「ゴーナッツ」をオンにしていただければ格段に遊びやすくなりますので、気軽にお試しください。まもなく配信されるアップデートパッチで操作感もさらに向上しますので、万全の準備をして10月22日の発売をお待ちいただければ幸いです。
――ありがとうございました。

『ステューピッド・ネバー・ダイズ』製品情報
タイトル:『ステューピッド・ネバー・ダイズ』(Stupid Never Dies)
対応プラットフォーム:PS5/PC(Steam)
発売日:2026年10月22日発売予定
価格:通常版 7,689円 / ゴージャスバカエディション 8,789円
開発:GPTRACK50
発売:セガ











