
7月18日から20日の期間に「BitSummit the 13th(以下、BitSummit)」が開催されました。みやこめっせで毎年行われるゲームの祭典には、今年も多くのゲームが並びました。
本記事では『TANUKI: Pon's Summer』のレポ&インタビューをお届けしていきます。
油断してると力士にされる!?BMXを使った“ひと夏の交流”は他にないシステムかも

『TANUKI: Pon's Summer』はDenkiworksが手掛ける、自転車で技を決めるBMX要素と、タヌキの「ポン」と街の住人の交流が味わえるアドベンチャー要素が混ざった珍しい作品です。
ストーリーおよびゲームの概要としては、神社のタヌキである主人公の「ポン」が管理を怠ったために荒廃してしまった神社を、得意のBMXを駆使した配達業によって復活させていくという物語。50年に一度行われるというお祭り目指して、街の住人と交流しながら仕事に励むという内容です。

本作はとにかくタヌキの「ポン」が可愛らしい! 街の住人も個性的で、雰囲気にあふれています。Denkiworksはほとんどのスタッフが海外在住ということで、(批判ではなく誉め言葉として!)「海外から見た日本」が描かれており、非常に良い雰囲気の世界になっていました。“海外の人が憧れる日本の良さ”が感じられるテイストですね。

BMXは、結構な本格派。飛んでいる最中に指定のコマンドを入れることなどで、トリックが発動できます。スピードが足りなかったらそもそもジャンプが出来なかったり、こけたら自転車が吹っ飛んだりしてしまいます。そして実現できるトリック名からくる“ポンのガチ感”! BMXの練習ばかりしていたから神社管理を怠ったんだろうな……くらいに感じさせてくれます。

配達で駆け回ることになる市街地にはいたるところにBMXを決められるスポットが点在しています。牧歌的でありつつもオシャレな街並みとマッチしており、配達もそこそこにBMXをしたくなってしまいますね。


「配達をすぐ終わらせてBMXに戻ろう!」と思いつつ、最初の配達先である元力士のもとを訪ねます。彼は昔のビデオを見て、自分の栄華を思い出そうとしている様子。……すると、ポンが目をつけられました。力士になれ! と言わんばかりに、なぜか始まる相撲のお修行!


これが結構ガチ! いつのまにやら四股を踏み、張り手の練習に励むことに……! さっきまでBMXで遊んでいたのに、なんで角界目指してんだろう!? 街の人間は個性的な人間ばかりで、なかなかに面白い交流が味わえました。
プレイフィールとしては、まさしく、BMX&アドベンチャーなプレイ感でしたね。どちらかというと、ひと夏の体験の中にBMXという要素が違和感なく組み込まれているような塩梅です。ポンは可愛いし、ちょっとカッコいい一面もある。個性的な面々とひと夏を過ごしつつも「BMXアクションも好きだ!」というユーザーにはとくに刺さるタイトルなのではないでしょうか。

ちなみに、試遊すると「ポンが被っている配達帽」が貰えました。そのおかげか、一般デーには時間が経つほどにポンの帽子を被った来場者がたくさん増えるという事態に! 着ぐるみも登場していましたし、ブースのみならず会場も沸かせた一作でした。

デモ版もリリース!“海外から見た理想の日本”についても聞いてきた
今回は、Denkiworksのタク・アリオカ氏にもインタビューを行いました。同氏は開発スタッフのほとんどが海外のメンバーというDenkiworksでも数少ない日本人。『TANUKI: Pon's Summer』についてのアレコレを聞いてきました。
――まずは、『TANUKI: Pon's Summer』の概要についてお教えください。

タク・アリオカ氏(以下「アリオカ」):『TANUKI: Pon's Summer』は日本の美しい島とそこにある神社を舞台に、お祭りを開くためにタヌキのポンが郵便配達をしてお金を稼いでいくゲームです。
神社はお祭り以前に、復興が必要なぐらい荒廃してまして……これはなぜかというと、神社の仕事を、主人公のポンが怠け切ったせいなのです。そして人にどんどん忘れ去られていってしまって。
そして神社の本殿にいるタヌキの神様に主人公が怒られるんです。「お前は毎日何をしてるんだ!」と「神社を復興しなければならないから、夏の1か月間で50年に1回のお祭りが開催されるまでに神社を復興せよ」と。
ポンは自転車の操縦、「BMX」が非常に得意です。郵便配達にBMXを活かしてお金を稼ぎつつ、住民たちと交流を広げていくことが『TANUKI: Pon's Summer』の物語です。
―― 冒頭のチュートリアルにポンに語りかける存在がいましたが、これがタヌキの神様なのでしょうか。
アリオカ: そうですね。話しかけられるけれど、神様は実体がないというか、ご神体にとりついている状態なのでポンがちゃんと稼がないといけない。
―― 今回プレイさせてもらっている途中、急に相撲に巻き込まれるなど「街の人との交流」が見られましたね。

アリオカ: 街の住人たちには各々バックグラウンドがありまして、デモの中で言うと、元関取の人間が昔のビデオを見て自分の栄光を振り返りながら……目の前のポンを弟子にしたらどうかと思いつく。それでポンが四股踏みや張り手を練習するミニゲーム的アクティビティをしながら、仲良くなっていきます。
―― 遊んだ限り、BMXゲームとしての側面も面白くありつつ、その一方で住人との心温まる触れ合いもしっかりと行われていました。これらは違うジャンルだと思うのですが、ふたつをかけ合わせた理由についてお聞かせください。
アリオカ: 夏休みや夏をテーマにしているのもあるのですが、BMXだけ、配達だけとなってもすぐに飽きが来ちゃうと思うんですよ。交流を通してミニゲームを遊び「この人と仲良くなったらどんな展開が待っているのだろう」と思ってもらいたい。それで交流にも遊びの幅を広げています。
―― ユーザーが遊ぶ指標になるイメージ像などもお聞かせいただけると幸いです。
アリオカ: よく開発中にタイトルが上がるのは『トニー・ホーク プロ・スケーター』とかですね。そして開発メンバーは、僕以外はほとんど海外のメンバーです。ですので「海外から見た日本の面白さ」というのが押し出されています。主人公がタヌキであることや、相撲の話もそうですが、“海外から見た日本の情景の良さ”に興味を持って、楽しんでもらいたいです。
―― “海外から見た日本の美しい景色”が良い味を出していますね。
アリオカ: そうですね! やっぱり僕から見た日本も作中にはあるのですが、開発メンバーに「日本はこうだ」とコントロールはしないです。もうみんな思い思いに“好きな日本”を入れ込もうとしています。
―― 今回のデモ版では体験できませんでしたが、神社の復興でオブジェクトを置いているシーンもあります。その点についてもお聞かせ願いたいです。
アリオカ: まだ開発中の部分もあるため、あまりオープンにできる要素がまだないのですが、目標としては、ポンが集めたお金を使って神社に飾り付ける、自分の好みに沿って配置していって、神社を評価してもらうシステムを導入したく、絶賛開発中です。
―― 「可愛さ」以外で、主人公がタヌキであるという要素がどう関わってくるのか、お教えください。
アリオカ: 主人公がタヌキであるため「人間の言葉が話せない」という点があります。人間は一方的に喋りかけるものの、ポンは全て絵文字とボディーランゲージでコミュニケーションをとっています。
これもちょっと面白いところで、「外国人が日本に来たら自分たちの言葉が伝わらない」とか、逆に「外国に行くと相手の言葉がわからない」みたいな……コミュニケーションのもどかしさも、ゲームに含まれてます。
―― “海外の方から見た日本”ではありますが、舞台になった場所などはあるのでしょうか。
アリオカ: 参考にしてるのは京都が1番多いですね。もちろん特定の都市はあまりなく、開発の序盤に、九州や北海道だったりを「日本各地からの面白いところをピックアップして混ぜられないかな」と思いつつ取材旅行をしたりしました。
―― 『TANUKI: Pon's Summer』はどういったゲーマーに遊んでもらいたいでしょうか。
アリオカ:リラックスできるゲームが好きな人にも遊んで頂きたいですし、“日本の文化”に興味がある人にも遊んで貰いたいです。もちろんBMXでトリックを決めて楽しめるので、そういうアクションゲームが好きな方も、ぜひ!
―― 最後に読者に向けて、コメントをお願いします。
アリオカ: 僕たちは今、タヌキのポンと一緒に郵便配達を楽しめるように、ありとあらゆるアイデアをありとあらゆる国の人たちと話し合って作り上げていってる最中です。デモ版もありますので、ぜひ楽しんでもらえたら幸いです!
――今回は、ありがとうございました!
『TANUKI: Pon's Summer』はPC(Steam)向けにリリース予定です。デモ版は7月24日から配信が配信されています。













