Game*Sparkレビュー:『Dead Take』異色の実写×3Dサイコホラー。俳優を起用した没入感ある物語や探索・謎解きは楽しいが、「ホラーゲーム」としてはやや物足りない | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『Dead Take』異色の実写×3Dサイコホラー。俳優を起用した没入感ある物語や探索・謎解きは楽しいが、「ホラーゲーム」としてはやや物足りない

『パルワールド』のポケットペアがパブリッシングを担当する期待のサイコホラーをレビュー。

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『Dead Take』異色の実写×3Dサイコホラー。俳優を起用した没入感ある物語や探索・謎解きは楽しいが、「ホラーゲーム」としてはやや物足りない
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実際の映像や写真を使ったいわゆる「実写ゲーム」は意外と珍しいものではなく、古くは1998年の名作『街 ~運命の交差点~』、『アナザー・マインド』、2001年PS2向けに発売した伝説の実写ホラー『The Fear』をはじめ、2025年には恋愛ADV『しまった!美人に囲まれた!』『異世界帰りの僕と失われた恋』が話題を呼ぶなど、現在まで脈々と受け継がれてきたゲームジャンルです。


そんな実写ゲームの中には、実際にドラマや映画で活躍する俳優を起用した作品もあります。というわけで今回は、Surgent Studiosが開発を手掛け、『パルワールド』のポケットペア(Pocketpair Publishing)がパブリッシャーを担当し、PC(Steam)向けに7月31日発売の『Dead Take(デッドテイク)』のレビューをお届けします。

さまざまな分野で活動する俳優をキャストに迎えた実写パートと、Unreal Engine 5製のリアルな3Dグラフィックが融合した期待のサイコホラーゲームです。なお、レビューにあたり開発元よりビルド版の提供を受けています。また、ネタバレを含んでいますので閲覧には十分ご注意ください。


◆「ショービズ業界の闇」を描いた迫真のストーリー

本作は、一人称視点のサイコロジカルホラーゲームです。プレイヤーは俳優として活動する「チェイス・ローリー」となり、消息を絶った俳優仲間の「ヴィニー」の行方を探すため、陰鬱な雰囲気が漂う巨大な邸宅を探索していきます。

友人に何が起き、そしてなぜ行方不明となってしまったのか。プレイヤーは邸宅に隠された真実を解き明かしていくうちに、華やかなショービジネスの裏に潜む腐敗と背筋の凍る闇を目撃することになります。

主人公チェイスはニール・ニューボンが演じる
『Alan Wake』で著名なサム・レイクも出演

本作は、実写を取り入れたインタラクティブな探索ホラーゲームです。このユニークなゲーム性をさらに特徴づけているのが、実在の俳優が数多く出演していること。

たとえば、主人公のチェイスを演じるのは、『バルダーズ・ゲート3』『バイオハザード ヴィレッジ』の英語版声優でも知られるイギリスの俳優「ニール・ニューボン」。また、もうひとりの主役であるヴィニーは、『FF16』のクライブや『Clair Obscur: Expedition 33』のヴェルソ役を演じた「ベン・スター」が担当しています。

他にも、『ヒットマン』シリーズの「ジェーン・ペリー」や、『Alan Wake』出演も話題となったRemedy Entertainmentのクリエイティブディレクターである「サム・レイク」など豪華な顔ぶれが揃っています。

このように、実在する俳優がそれぞれのキャラクターを演じてストーリーが進行していくのは、やはり生々しい迫力があり物語への没入感が非常に感じられました

実在の人物を3Dキャラクターに再構築する手法でインタラクティブな映画的体験をもたらす作品ももちろん魅力的ですが、本作における「実写」のインパクトはとくに大きく、新鮮なプレイフィールでした。

また、先述したように本作は「ショービジネスの裏側」をテーマにしています。華やかな芸能界や社交界には、良くない噂や根深い闇がつきものです。本作に登場する「デューク・ケイン」という人物は、その強権的で冷酷な態度や仕事ぶりから“ハリウッドで最も恐れられる映画界の大ボス”として知られています。

作中の資料から、彼がしてきた数々の残酷な仕打ちや行動が徐々に明るみになっていくのですが、現実世界においても、映画俳優らに対する長年の性的暴行によって逮捕された「ワインスタイン事件」が起きており、あながちフィクションだけの出来事とはいえません。

筆者が本ゲームで感じたのは、底なしの欲望と業の深さからくる「人間の怖さ」であって、超自然的な怪異や霊的なものとは異なる、ある種の不快感を伴うリアルな恐怖でした。

ちなみに、本作は日本語字幕に対応しています。実写パートにおいては、それぞれのキャラクターの個性が際立つように微調整されていたり、アイテムやメニュー画面などのテキストは違和感のない日本語で正確に表現されていたりと、翻訳に関してはほぼ完璧で没入感を削がない快適なものでした

◆インタラクティブな探索とやりごたえのある謎解き

ゲームプレイは広大かつ複雑な構造の邸宅を調べ、各所に仕掛けられた謎を解きながら進んでいきながら、道中で見つけた映像の断片を編集し繋ぎ合わせ真相を暴き出すというもの。アイテム探索と謎解きパズルを組み合わせたオーソドックスなタイプで、本作ならではの抜きん出た特徴的な要素はありませんが、他のホラーゲームと比較してインタラクティブ性が豊かであり、密度の濃い探索を楽しむことができます。

たとえば、入手できるキーアイテム以外にも、壁に貼られた意味深な注意書きや引き出しのメモ、主人公チェイスの免許証などさまざまなアイテムを調べることが可能です。インタラクトすること自体楽しいので探索するモチベーションに繋がっていました

また、プレイヤーの観察力が試される謎解きパズルもやりごたえは十分。まず最初の難関は、邸宅の玄関セキュリティを突破して中に入ることなのですが、それには特定の暗証番号が必要になります。

現在判明しているのは、PC近くにあったメモの「今日の周波数.320」「最初の2桁は常にケイン邸の住所と同じ」という情報のみ。試しに入力画面に「.320」と打ち込みますがエラー。うーむ……どうすればいいのでしょうか。

そこで周囲をもう一度調べてみると、何やら意味ありげな4桁の数字を発見。なるほど、この住所番号の2ケタと先ほどのメモの数字を組み合わせればいいのか。「51.320」と改めて入力すると見事に正解し、邸宅内へと無事進むことができました。

邸宅内は鍵のかかった扉や、行き止まりの空間、謎めいた仕掛けが施されたオブジェクトなどが行く手を阻んでいて、まるで迷宮のようです。すんなりとサクサク進めることは難しいですが、それだけやりがいがあるとも言えます。

謎解きはいたるところに仕掛けられており、キーコードの数字を発見する単純なものから、キーアイテムを集めて並び替えたり、楽譜の記号を読み取ってピアノを弾くものなど、バラエティに富んでいます。難易度は、ゲームを進めるにつれ徐々に難しくなっていくデザインでした。

◆「ホラーゲーム」としての恐怖感が物足りない

本作は、異形のクリーチャーとの戦闘やチェイスといった要素はなく、ウォーキングシミュレーター的な側面が強い作品です。ジャンプスケア的なものは多少ありますが、そこまでチープなものではなく不穏さを演出するくらいものでした。

ホラー要素としては、あくまで「人間の狂気や悪意」といったものに焦点を当てており、“ヒトコワ”的な恐怖が中心となります。

それは別段構わないし、本作独自の「ホラー表現」として素晴らしいものです。ただし気になったのは、そうした狂気的な恐怖を描くための演出や背景美術といった、舞台である邸宅内の様子がそこまで「恐ろしい」と筆者は感じなかったことです。

なんというか、得体のしれない恐ろしい場所にしては小綺麗すぎるうえ、不気味さや気持ち悪さ、もっといえば「一秒たりともここにいたくない」と思わせるような背筋の凍るような感覚がなく、ホラーゲームとしての恐怖感が足りていないと思いました

また、ゲームプレイにおいても、アイテムを見つけるための探索と謎解きの繰り返しであまり起伏がなく、驚くような展開がなかったのも惜しい点でした。

◆総評

本作は、豪華俳優を起用した実写パートと美麗な3Dグラフィックが違和感なく融合し、新鮮な感覚をプレイヤーに与える高品質なサイコロジカルホラーゲームでした。インタラクティブでワクワクするような邸宅内の探索は楽しいものであったし、観察力と推理力の試される謎解きパズルもやりごたえは抜群で文句のない出来です。

そして、ショービズ世界の深い闇を描くストーリーは、俳優陣の迫真の演技も相まって没入感が非常にありました。クリアまでのプレイ時間は長すぎず短すぎず、ダラダラとせずちょうど良かったのも好印象です。

「ホラーゲーム」としての恐怖感が物足りなかったことや、ゲームプレイの単調さなど、惜しかった部分はありますが、総じて唯一無二のゲーム体験ができるので、ぜひともプレイしてみてはいかがでしょうか。


Game*Spark レビュー 『Dead Take』 Windows PC(Steam) 2025年07月31日リリース

実写と3D探索を融合させた個性的なシステムとやりごたえある謎解き、豪華俳優を起用した迫真のストーリーは見事だが、単調で起伏のないゲームプレイが惜しい作品

GOOD

  • 実写と3Dグラフィックの融合がもたらす新鮮な感覚
  • 「ショービジネス」業界の闇に迫ったスリルある物語
  • インタラクティブ性豊かな探索と謎解きパズル

BAD

  • 演出や舞台環境などホラーゲームとしての「恐怖感」が物足りない
  • 驚きの少ない単調なゲームプレイ



ライター:DOOMKID




ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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