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『AI:ソムニウムファイル』シリーズPは日本のゲームを世界に届ける役目も担っていた!最新作『伊達鍵は眠らない』お話も交えて訊いてみた

『AI:ソムニウムファイル』は「サザエさん」のように当たり前にある存在を目指す!

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『AI:ソムニウムファイル』シリーズPは日本のゲームを世界に届ける役目も担っていた!最新作『伊達鍵は眠らない』お話も交えて訊いてみた
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7月20日まで京都・みやこめっせにて大規模インディーゲームイベント「BitSummit the 13th: Summer of Yokai」が開催されました。本記事では、スパイク・チュンソフトで『AI:ソムニウムファイル』シリーズプロデューサーを務めつつ、国内の作品を海外に届ける販売支援も行う飯塚康弘氏に伺った内容をお届けします。

――まず、海外展開支援活動について教えてください。どのような活動をされているのでしょうか?

飯塚: 基本的には日本のデベロッパーさんの海外販売のお手伝いをしています。去年から本格的に始めたんですが、きっかけは知り合いを含めて「ゲームづくりはプロフェッショナルだけど、売り方が分からない」というメーカーさんが多かったからです。特にSteamはタイトル数が多く、プロモーションも難しいので、思ったより売れないケースが多いんですよね。

――具体的にはどのような支援をされているのですか?

飯塚: 我々は海外展開の経験がそれなりにあるので、まずは相談を受けて、私たちの経験から「こうした方がいい」「こういう事例があった」といったアドバイスをします。ただ、規模が大きくないメーカーの方は実行するリソースが足りないことが多いので、弊社のチャンネルを使ってグローバル展開のお手伝いをしています。

――支援するタイトルを選ぶ際のポリシーを教えて下さい。

飯塚: ありがたいことに相談数は増えていますが、全てのタイトルを扱うわけではありません。私たちが携わることで売れる可能性があるタイトルでないとやるべきではないと思っています。数ではなく、勝率を重視しているわけですね。

特にビジュアルノベルなど、日本のポップカルチャー的な要素があるタイトルは固定ファンがいるので、我々のファン層にまずアプローチできます。そこから横へ横へと広げることができれば……と考えています。そう思うと、MAGES.さんは相性が良いですよね。

――DMM GAMESさんやグッド・フィールさんとはどのように繋がったのでしょうか。

飯塚:どちらも、プレゼンしにいきました。やはり彼らも「日本は自分たちでできるけど、海外は本当にわからない」という人が多いので、うちのやり方を含めて理解してもらい、そこから可能性を見出してもらうという感じです。

支援タイトルのひとつ『豆狸のバケル(BAKERU)』。グッド・フィール製の仕掛け満載3Dアクション。

――『AI:ソムニウムファイル』シリーズのプロデューサーということで、ある種ものづくりをする立場でもあるのですよね。

飯塚:そうですね。本来はゲーム作ったりローカライズしてたりするのが一番楽しいんですが、ゲーム業界ってそれだけでは成り立たないですよね。数字の計算とか、会社の方針とか、面白くはないけど、やらなきゃいけない。この海外支援は儲けるためではなく、日本やアジアのデベロッパーが成功することで、ゲーム市場全体が大きくなることを願ってやっています。

――ありがとうございます。次に、『AI:ソムニウムファイル』シリーズプロデューサーとしての活動についてもお聞かせください。

飯塚: 最初に打越(鋼太郎)さんと約束したのが「サザエさんのように未来永劫続くコンテンツを作りたい」ということでした。ナンバリングタイトルは時間がかかるので、ファンを待たせないようにスピンオフを挟むなど、継続的にコンテンツを出すことを心がけています。

――新作『伊達鍵は眠らない - From AI:ソムニウムファイル』の反響はいかがですか?

飯塚: 実は今回、初めてプレイする方からの評価が高いんです。メインシリーズは緻密でダークなストーリーや分岐がありますが、今回は一本道でギャグ要素も強めでと、エントリータイトルとして良いのかもしれません。これをきっかけにシリーズファンになってくれれば嬉しいですね。

――ファンの反応で印象的だったことはありますか?

飯塚: アメリカのファンが一番多いんですが、今年のAnime Expoでは初めて2,000人キャパの会場を借りたのですが、ほぼ満員になりました。去年の倍以上の人が来てくれて、ファンが育っているのを実感しましたね。毎年最前列に来てくれる常連さんもいて、そういうリアルイベントに来てくれるファンの存在は本当に大切です。

――プレイさせていただきましたが、いい意味で「変わらぬ味」でほっとしました。

飯塚:今回打越鋼太郎さんはシナリオを書いていないんですが、スタッフとしては過去作でディレクターなどを務めてきた山田和也や岡田昌が主導しているんです。

――シリーズの「らしさ」を維持するために工夫していることは何でしょうか?

飯塚: 今回のディレクターは山田ですが、シリーズプロデューサーとしてはある程度できた段階で必ず通しプレイをしています。その中で「気になるリスト」というものを作って、プレイして気になった点を写真や動画と共にリスト化して共有しています。ただし、直すか直さないかはチームで検討して決めてもらっています。あくまで「直してほしいリスト」ではないというのがミソです。

――今回は陰謀論やオカルトが結構全面的に押し出されているのが印象的でした。

飯塚:やっぱりうちのスタッフがそういうの好きなのでしょうね(笑)。打越さんも岡田も山田も、みんな好きです。ユーザーも含めてね(笑)。

――新キャラの明美や月夜野日菜は魅力的なキャラクターでした。

飯塚:いつも通りキャラデザはコザキユースケさんにかなりお任せしているのですが、彼との仕事は本当に面白いですよ。ミーティングで雑談しながらキャラクター設定が生まれていくんですが、やはりセンスがすごくいい。『ニルヴァーナ イニシアチブ』の頭が四角形な米治も、コザキさんの案なんですよ(笑)。

――今後のシリーズ展開についてどのようにお考えですか。

飯塚: 爆発的にファンが増えるというより、根強いファンに支えられるタイトルになってほしい。「サザエさん」のように「当たり前にある」存在を目指しています。なので、なるべくキャラクターを殺さないようにしています(笑)。ADV好きな人が喜んでくれて、新しいものも過去作も常に愛されるシリーズを目指します。

――ありがとうございました!

『伊達鍵は眠らない - From AI:ソムニウムファイル』は、ニンテンドースイッチ2/ニンテンドースイッチ/PC(Steam)向けに発売中です。


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ライター:みお

ライター/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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