2026年9月4日に発売を控える『鬼武者 Way of the Sword』。本作のメディア向け先行体験会にて、ディレクターの二瓶賢氏とプロデューサーの門脇章人氏へのインタビューが実施されました。

本作でのアクションや、再現された京都について、また武蔵と巌流の対比などをお聞きしました。
先行プレイ記事はコチラ!――試遊をさせていただいて、安井金比羅(やすいこんぴら)さんのボスが、ずいぶんと凄い縁の切り方をしていますよね。足が痛いと悩んでいる人に「じゃあ足が無くなったらもう痛くないですよ」という方法で解決したり……。
ただ、安井金比羅さんは実在してますよね?そこで、恐ろしい願いの叶え方をさせてしまっても大丈夫なんでしょうか。

二瓶賢(以下、二瓶):もちろん許可を取って確認しながら作っています。ゲームで使っていいか、どんな内容かもお伝えしています。
門脇章人(以下、門脇):実際、そういった違う方法で縁切りや縁結びの成就をさせるという伝承があります。例えば、「嫌いな上司と縁を切りたい」と願い事をしたら上司が事故で亡くなってしまったとか……。そういったところを『鬼武者』の味付けをして世界観に落とし込んでみました。
――そういった方の縁切り神社としても有名なんですね。
門脇:今みたいなエピソードがたくさんあるので、あれをいきなり思いついたわけではありません(笑)。もちろん縁切りだけじゃなくて縁結びでもあるので、悪いことだけの場所ではないです。
――安井金比羅さんの方はどのような対応をされたんでしょうか。ノリノリだったか、それとも渋々だったか……。
門脇:渋られることはなかったですね。ゲームにもすごく精通している神主さんだったので、ゲームならいいんじゃないかと見ていただきました。
――本作は京都が舞台になっていますが、マップを作る上で距離感はある程度現実のものを再現しつつデフォルメしたものになっているかと思います。架空の箱庭を作るのと、ある程度再現したものではどちらが大変なのでしょうか。

二瓶:架空のマップを作るほうが楽だった部分はあります。とはいえ、現実にあるマップを使うからこその迫力や没入感、自分が知っている場所を体験できる感覚はリアルに存在するものならではなので、やってよかったなと思います。
苦労した点としては、最初は京都の町を実寸で作っていたんですが、歩くのがしんどかったのでギュッと半分に縮めました。ただ、そうすると建物も半分に小さくなり、迫力が無くなってしまったんです。移動距離は縮めてあるんですが、建物は実寸のイメージに寄せられるようカスタマイズして作ったところが苦労した点でありながら、良いものもできたなと。
建仁寺にある「双龍図」という有名な2体の龍が描かれている天井があるんですが、あれは江戸時代初期には無かったんですね。ただゲームの中では見られるようにしています。もし江戸時代の再現ということであれば無い方がいいんですが、僕らのこだわりとしては“ゲームで得た体験と実際に行った時に同じ物がある感動”をして欲しかったんです。

――改めて体験版をプレイして、佐々木巌流に毒のある色気を感じました。彼のコンセプトについてと、主人公である武蔵との対比をどのように表現したかという点について教えてください。

二瓶:武蔵と巌流は、キーワードとしても青と赤という差別化をしたかったところがありますね。武蔵はいわゆる時代劇の主人公にしたかった。宮本武蔵というキャラクターの野蛮さというイメージが三船敏郎さんの演じるキャラクターとも親和性があったので、そういう“野蛮さ”や“山猿感”というのをキーワードとして作りました。
巌流に関しては逆に天才肌で、そんなに練習しなくても剣がすごく上手いんです。なので余裕をかましてるんですよね。そして“妖艶さ”や“色気”も本当に大事にしています。モーションアクターさんをオーディションしている時、一人すごく妖艶な男性の役者さんがいて、「この人だ!」と。巌流の色気ある動きはキャラクターに従ったものなんです。
開発内でも女性の人気が高いキャラクターなので、発売してからもっと好きな人が増えてくれるんじゃないかなと期待しています。野蛮な武蔵と色気のある巌流という対比は意識して作っていました。
――巌流の声優さんは岡本信彦さんが担当していますが、声のイメージは最初からついていたのでしょうか?
二瓶:声優さんの選び方に関しては、ストーリーを作った中で「狂気」「サイコパス」的なキャラクターを作りたかったので、そのような役を演じるのが得意な方がいないかなというところから選ばせていただきました。その狂気というのもまた、妖艶な狂気なんですよね。
――岡本信彦さんの声が乗ることで、毒と艶のある色気が乗ったと思います。狂気を表現される声優さんは他にもいますが、岡本さんをオファーしたのは彼のどのようなところに期待されたんでしょうか?
二瓶:岡本さんの狂気的な声もそうなんですが、収録する時にアニメっぽい感じか実写の映画的な方でいくかで微調整しましたね。アニメに行き過ぎず、映画的に魅せながら狂気を演じてほしいという中で出た声かなと。
門脇:武蔵と巌流は指名なんですが、岡本信彦さんに演じていただいて良かったです。
二瓶:岡本さんが良いなと思ったのは、ノーマルな喋り方も得意で、ただ狂っているだけではないコントラストを作りたかったからなんですよね。巌流自体も最初はただの人間なんですが、籠手を授かってどんどん狂気に落ちていく描き方をしたかった時に、その幅を表現できる人がよかった。そこを考えた時に、岡本信彦さんがいいなと。
――武蔵と巌流のアクションデザインの対比はどのように考えられたんでしょうか。
二瓶:武蔵はプレイヤー自身が使うキャラクターなので、奇をてらった動きは基本のスタイルから外そうという方向で行きました。達人らしさを意識しながら、刀を振り終わった後に野蛮さが出るようなバランスを考えてました。
逆に巌流はプレイアブルキャラクターではないため、ちょっと工夫を入れました。動きを作るにはまず性格から考えなければいけないので、巌流は相手を騙して嘲笑うところからフェイント的な動きを入れようと意識しましたね。右に行くかと思ったら左からくるというような、巌流らしさをバトルデザインに反映しました。
――巌流が物語にどのような影響を及ぼすのか、というのはまだ言えませんかね……。
門脇:武蔵の籠手の中に女性がいるのに、巌流の籠手の中にいないんですか?って聞かれたことあったっけ。
二瓶:ないですね。
門脇:じゃあ、これがヒントです(笑)。PVでも巌流が籠手に話しかけているシーンはあるんですけどね。
――2人の因縁を盛り上げるためにディレクション的に考えたところをお伺いさせてください。
二瓶:僕の趣味が入っているんですが、ヤンキー映画の「クローズ」がすごく好きで。主人公たちのワルっぽさが格好良い、という所で巌流や武蔵にもヤンキーや不良っぽさがあります。チンピラヤンキーとか、インテリヤクザとか……。まだ公開していないボスにも、そういった要素が入ってたりしますね。
――カットシーンを見て、武蔵の表情がとても良いと思いました。強いだけでなく人間臭く、やんちゃな泥臭さに親近感があるなと。表情を作るうえで心がけた所や、実在の方をフェイスモデルにする上で他のキャラクターとの表情の差で気をつけた所を教えてください。

二瓶:主要なキャラクターは全員表情の良さにこだわって作っています。武蔵は性格が野蛮で無頼漢な人間っぽさを作りたかった。作っている段階でいろんな過程があったんですが、眉間のシワの動き方や鼻の膨らみを特に磨き上げていましたね。芝居自体は最初からあまり変わっていませんが、どんどん技術を詰めていって、表情をより良くし魅力的な武蔵になったかと思います。
――キャラクター同士のやり取りが魅力的に感じました。武蔵と巌流や、武蔵と籠手に宿る女性など、それぞれの関係が見られていいなと。やり取りを書く上で気をつけたことや、楽しかったことはありますか?
二瓶:掛け合いを大事にしたい、というのは最初の方から決まっていました。武蔵が「籠手女」と言ったら「その呼び方は不快です」と返されたりとか。真面目な冒険活劇にはしたくなかったんですね。これまでの『鬼武者』って、高等な幻魔以外の普通の幻魔は喋らなかったんですよ。今回はキャラクター性や時代劇感を出しながら、喋りや掛け合いをキャッチーに感じてもらいたいと作っていました。

ただ、僕の我儘でそれをやったら多言語化で翻訳の物量が増えてしまって……大変な思いをさせてしまったんですが(笑)。声があるおかげで面白い幻魔達ができたかな、と思います。
門脇:「曲者!」とか言ってきたりね。お前らの方だろって(笑)。強敵とのバトルでも会話が繰り広げられるので、プレイヤーとしてもテンションを上げながらプレイできますね。

――カプコンのゲームはどれもモーションが凝っていますが、特に「やられモーション」へのこだわりを感じます。本作でも、例えばボスの「大唾拉」の掴み攻撃を避けられないと壁に思いっきり叩きつけられたり、浮いている幻魔の「首灯」に頭からパクっと食べられてしまったりとバラエティ豊かですよね。このようなアイデアは、どう出しているんでしょうか。
二瓶:やっぱり、カプコンで育っているから自然と出てきたんじゃないかなと思います(笑)。リアクションって気持ち良さを作るとても大事な役割なので、ダメージを受けた時のパターンは最初から充実させたいと考えていました。右から攻撃を受けた時と左から受けた時、斬り上げの時……といったバリエーションを武蔵と敵どちらも作って、切った時のリアクションが気持ちよくなるよう計算して作っています。
――パターンが凝っていると、わざと攻撃をくらってみたくなる楽しみがありますね。

二瓶:なので、やられ方にも時々面白いものを入れています。「棘丸」という回転しながら攻撃してくる敵がいるんですが、それを受け流すと壁に刺さってジタバタして動けなくなるんですよね。それを武蔵が倒すと真っ二つに切れると。こうしたら面白くなるかもというのは、アイデアをみんなで出し合いながら作っていました。
――体験版を公開されてから日にちが経ったかと思うんですが、その際にユーザーの評判とデータを取られていますよね。そういった中でチームの方たちが想定されていた数字と、実際に遊んでくださった方の数字の差や地域性はありましたか?
門脇:地域性ですと、「一閃」は日本が成功率が高かった印象ですね。あとは最後までクリアしているのも若干日本が高かったはず。難易度も剣戟が多かったかな。
難易度に関しては簡単とも言ってないし高難易度とも言っていないんですが、歯ごたえを感じられるいい塩梅にできたんじゃないかなという感触を持っています。
――まだ体験版しか出ていない状態ではありますが、一番見て欲しい敵キャラクターと苦労したアクションはどういったものなのでしょうか。
二瓶:一番好きな敵は僕とプロデューサーでけっこう違うんじゃないかな。
門脇:僕が好きなのはまだ言われへんから(笑)。今回の『鬼武者』も強敵が魅力的で、繰り返し戦って挑戦したくなるところに一番の魅力を感じています。
二瓶:今言える範囲の中で言ったら、巌流が一番時間をかけて作った強敵ではありますね。複数回戦うことを想定しているので、まだ知らない変化を遂げるのを楽しみにしててください。

――『鬼武者』というシリーズを20年ぶりに出すにあたって、システムや手触りなど「これで新しい『鬼武者』がいける!」と思った瞬間についてお聞かせください。
門脇:「受け流し」が入った時ですかね。一閃はもちろんのこと、魂吸収もある前提なんですが、受け流しは独自性があってすごく良いものだと思ったんですね。僕自身はどちらかというとカジュアルゲーマーなんですが、受け流しをした時「これめちゃくちゃ気持ちいいな、みんなに味わってもらいたいな」と感じた記憶があります。
――それは開発がどの程度進んだ時だったんでしょうか。
門脇:試作が上がった時だったので、3年前くらいですかね……。6年半も開発していると、記憶が曖昧になってしまっているんですが、中盤です。最初はアクションの模索で2年位かけてるんですよね、その中で受け流しを体験した時にこれはキャッチーで美味しいなと。「崩し一閃」も僕みたいなカジュアルゲーマーでも攻撃していれば出せる気持ち良さがありますし、この2つが特にいけると思ったポイントですかね。

――清水寺や金比羅などの京都の宗教的な文化は世界にまだ知られていない文化だと思うんですが、海外のプレイヤーにどこまで通じるかをお考えですか。また、武蔵のフェイスモデルを三船敏郎さんにしたことへの海外の反応はどうでしたか。
門脇:武蔵の反応は良かったと思います。20年ぶりの新作ということで、新規のIPに近い状態での勝負になっていたので、それを底上げしてくれる存在として知っている人が主人公というのは大きいなと。
京都の伝承という部分では、海外の方に認知されていなくても良いと割り切っています。ゲームで京都を体験して、もし将来京都に行くことがあったら「ここ『鬼武者』で見た所だ」「ゲームで体験した所と一緒だ」「ここはゲームと違うんだな」と追体験できるきっかけになってくれればいいと思っています。京都をステージにしたいと提案したのは二瓶なんですが、僕はスポットとして有名な京都がゲームのステージになるのはそれだけで行けるなと思ったので即決してやろうと言いました。もちろん、伝承などの理由も含めてですが。

三船敏郎さんを起用した時の反応は、日本よりも海外の方が大きかったですね。海外では元々黒澤監督など日本の古き時代劇映画が有名で、それを三船敏郎さんが演じておられてファンの方も多い。三船敏郎さんを起用した理由はそこではなく、カプコンが新規で作る野性味溢れる宮本武蔵にパンチが欲しかったからなのでそこには期待していませんでした。ただ聞いていた通り、海外でもやっぱり人気あるんだなと感じましたね。
――三船さんを起用するにあたって、権利を持っている方々から注文やこれだけはやめてほしいという点はあったんでしょうか。
門脇:フェイシャルを作るうえで何度も監修していただいたんですが、そこでかなり気に入っていただきました。ドラマ部分も脚本も全て細かく見せてください、といった事は無かったですが、映像は全てお見せしていました。例えば全身覚醒と言って全身が鬼に変わったりしますよとか、こんな剣戟になりますよとか、そういった説明をしています。脚本は全てお見せしてはいませんが、絵的なところは全部監修を受けているといった感じですね。
――本作を楽しみにしているプレイヤーに三船敏郎さんが出演してる映画で「これを見ておくと面白いよ」といった作品を挙げるとしたらなんでしょうか?
二瓶:特定の作品から影響を受けているところは一切ないんですが、三船さんの映画をもし見ている方がプレイしたら「これ、三船さんっぽいな」と思うような喜びは特に物語の序盤にあります。それこそゲームを開始して1時間の中に出てくるので、ぜひ楽しみにしてもらえたらなと。
何か1本オススメするとなると、僕は「椿三十郎」が一番好きですね。三船さんが戦う剣のやり取りは「いいな」と感じてもらえると思います。
門脇:僕は剣戟ではありませんが、「羅生門」が今回の宮本武蔵のワイルドなキャラクター性という部分に近しいものがあるんじゃないかなと感じています。お話としてもとても面白いので、ぜひ『鬼武者 Way of the Sword』をプレイした後に見ていただきたいです。
『鬼武者 Way of the Sword』は、PS5/XBOX Series X|S/ニンテンドースイッチ2/Windows(Steam、Epic Games Store、Microsoft Store)向けに9月4日に発売予定です。
¥7,702
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













