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今明かされる開発秘話・・・『METAL GEAR RISING』開発陣インタビュー

『METAL GEAR』シリーズ初の外部開発タイトルとなるPS3用ソフト『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』が、2月21日に発売されました。完成までに紆余曲折あった本作について、小島プロダクションの是角有二氏、玉利越氏、プラチナゲームズの稲葉敦志氏、齋藤健治氏にインタ

家庭用ゲーム PS3
『METAL GEAR RISING』開発者インタビュー

『METAL GEAR』シリーズ初の外部開発タイトルとなるPS3用ソフト『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』が、2月21日に発売されました。完成までに紆余曲折あった本作について、コナミデジタルエンタテインメント 小島プロダクションの是角有二氏(プロデューサー)、玉利越氏(シナリオライター)、プラチナゲームズの稲葉敦志氏(プロデューサー)、齋藤健治氏(ディレクター)にインタビューを敢行しました。

先月開催された「METAL GEAR RISING REVENGEANCE BOOT CAMP」で行われたインタビューでは、ゲームの内容についてはもちろん、開発の経緯、そしてプラチナゲームズのアクションゲームへのこだわり、さらにはこれからのことまで、たっぷりと聞くことができました。

まず【その1】では、開発が小島プロダクションからプラチナゲームズに移行する課程など、紆余曲折あった開発の経緯について伺いました。


【新しいゲームを1本作る感じだった・・・プラチナゲームズ開発までの経緯】

―――本日はよろしくお願いします。まず、紆余曲折あった本作の開発経緯についてうかがいます。当初は小島プロダクション内で開発していましたが、最終的にプラチナゲームズへと開発が引き継がれました。そのあたりの引き継ぎはスムーズに行えたのでしょうか。

是角: スムーズにといいますか、プラチナゲームズさんにお願いするにあたりゲームデザインについては、「全てお任せします」という形で、僕たちの作ってきたものをお渡ししました。渡した材料について、どう料理するかはプラチナゲームズさんに一任しましたが、世界観やカットシーンの監修、シナリオの制作についてはこちら(=小島プロダクション)が引き続き担当しましたから、引き継ぎというところでの問題はあまり無かったですね。

―――では、その後はプラチナゲームズさんが自由に開発された?

是角: そうですね。もうホントに好き勝手上がってきて・・・(一同笑)。

稲葉: (渡された)材料を驚くほどに使っていなくてね(笑)。

齋藤: キャラクターなどに関する材料も、ほとんど使っていなくて、ほぼウチの独自でまかなっています。

―――お話を聞いていると大幅な変更があったようですが、何割程度が変更になったのでしょうか。

齋藤: ほぼ1から全部ですね。

稲葉: うん。新しいゲームを一本作る感じですね。ただ、キャラクターとかを含め、全部を捨てたいとかいう気持ちではなかったんですよ。捨てるということではなく、こちらが(ゲームを)組み上げるにあたり、結果としてそうなってしまったと。

―――なるほど。では稲葉さん自身は最初に話をもらった時点で、1から作ろうと考えていたのでしょうか。

稲葉: いや、「結果的に1から作ることになるかもしれないけど、できればそうならないといいな」という淡い期待を抱いていました(笑)。まぁ、でもしょうがないなと。

齋藤: やはり、ウチで開発しやすい環境といいますか、どうやれば1番パフォーマンスが出るかというのを内部でも検討して、その結論として「1から作る」ということを決めました。

稲葉: その辺の判断は現場に任せたので、「お前らが決めたんだから、そこはちゃんとやりなさいよ」と(一同笑)。

玉利: でも、メカなんかはかなりそのまま残っていますよね。

齋藤: キャラクターデザインやメカデザインが既にあったものについては、ほぼ流用させて頂いています。さすがに、1から作るのはもったいなかった部分もあるので。

―――そうしたデザインはそのままで、他のデザインを1から作っていったと。

齋藤: そうですね。新たに作り直したのは「ボスキャラ」と「雷電(本作主人公)を取り囲むキャラクター」のデザインですね。後は、シナリオに関する部分を総取っ替えしています。

玉利: システム的な部分では、「自由切断」という部分と、「斬奪」というところは生かして頂いています。それは、プラチナさんの判断で、こちらからは「絶対にそれを使ってくれ」という話はしていません。

齋藤: やっぱり、最初に『METAL GEAR SOLID RISING』のPVが発表された時に、「自由切断」というところが、見ていた側としては、とても印象に残っていて、「このゲームどうなるんだろう?」という期待を抱きました。そこを残さないと話にならんかなぁという事もあったので、どう料理していくかを考えて、苦労してゲームにしていきました(笑)。

稲葉: 「うわースゲェ!これ、スゲェ!」ってなりながら、「これゲームとしてまとめるの大変そう・・・」って一ユーザーとして見てたのが、急にバトンがポンって投げられてきて・・・(一同笑)。そりゃ、大変だよなぁって思いましたね。

―――見ている側からすると楽しみだというのと、実際に自分たちで作るというのは別の問題なんですね。

稲葉: やるやらない以前に、そういうのってクリエイターとして分かるんですよね。でも、あそこ(自由切断と斬奪)を切っちゃうと、ユーザーのワクワク感ごと切っちゃうのと同じなので、それはできなかったですね。

―――それを分かりながらも、引き受ける決め手となったことは何だったんでしょうか。

稲葉: 決め手は、「小島プロダクションから真剣にお話を頂いた」ことです。それ以上でもそれ以下でもないですよ。最初にお話を頂いて・・・。あ、これ正式にですよ?冗談じゃなくて(一同笑)。

是角: 案外冗談ぽく言うからね(笑)。

稲葉: こっちも気になっているんで、パーティーとかで会うと「『RISING』どうなんですか?開発順調なんですか?」って聞いてたんですよ。それに対して(小島監督は)「うん・・・。まぁね」というような、割とふわっとしたリアクションしかなかったんです。なので、正式にお話を頂いた時点で、条件とかそういったモノは全て度外視して、「作りたい」という答えは決まっていました。

―――クリエイターとして純粋に作ってみたかったんですね。

稲葉: それもそうですし、こんなチャンスでもなければ『メタルギア』という名前が冠にあるゲームに、僕たちが関わるチャンスなんて無いはずですからね。逆に、この提案を断る理由が僕には思いつきません。確かにリスクを考えれば断る理由はいっぱいありますよ。「完成するのか?」とか・・・(一同笑)。あとは「ファンからの反応が怖い」とか、そういうのを考えれば山ほど出てきます。

齋藤: 最初は、かなりリスクが高いと思いましたけどね(笑)。『メタルギア』の世界観というと、価値がもの凄いじゃないですか?しかも「25年」というすごく重い歴史を背負うからには、相当な覚悟が必要なのかなと。

稲葉: むしろ、悩んでいたら断っていたんじゃないのかな。悩めば悩むほどリスクの方が大きく感じますから、やりたいと思うんだったらやった方が良いんですよ。だから、今回の判断は正しかったんだと思います。

―――今回、開発をプラチナゲームズに依頼すると決めたのは小島監督ご自身ですか。

是角: はい。小島です。もともと小島は、このままだと開発は成就しないだろうと考えていました。ただ、ゲームとしては、キャラクターも魅力的だし、「自由切断」というゲーム的なところも面白いので、ポテンシャルはあると。なので、このゲームをそのまま捨ててしまうのは惜しいと思っていました。その時点では、ストーリーとか、背景とかキャラクターは出来ていて、「ゲームデザイン」がまとまっていなかったんですね。そこで、日本のデベロッパーで世界的に評価の高いアクションゲームを数多く生み出しているプラチナゲームズさんが最適なパートナーだということになりました。

―――依頼も小島監督が直々にされたのでしょうか。

稲葉: そうですね。とある業界の催し事の後に、別室で僕と社長の三並(プラチナゲームズ代表取締役 三並達也氏)で小島監督と直接お話をさせて頂きました。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


2月21日に発売となったPS3用ソフト『METAL GEAR RISING』の開発陣インタビュー【その2】では、シナリオ・システムについて開発陣のこだわりを細かくお伝えしていきます。プラチナゲームズのこだわりは「60フレーム」に有り!?

【その1】でもお伝えしたように、プラチナゲームズが開発を担当するようになり、シナリオもほぼ1から作り直すことになった本作。今までにない、ゲームシステムに合わせる工夫や、プラチナゲームズのアクションゲームに対する並々ならぬこだわりも明らかになりました。


【ゲーム性とシナリオがシンクロしないというのは1番あってはならない】

―――では、ここからシナリオ面についてお聞きします。元々作られたシナリオはどの程度変更になったのでしょうか。

玉利: もう、全部ですね(一同笑)。

―――元々あったものは全て無くなったんですか。

玉利: そうですね。時代設定から違いますから。最初はゲーム性にあわない部分を修正していく形だったんですが、(プラチナゲームズからの修正要望が)わりと話の根幹に関わる部分で、そこを中途半端にいじくってしまうと、絶対に物語として破綻してしまうのが目に見えていました。とはいえ、ゲーム性とシナリオがシンクロしないというのは1番あってはならないことですから、齋藤さんとガッツリ話し合いをしました。その結果、ゲームとして明確にやりたいことがあるなら「それを生かすようなストーリーにしましょう」ということで、全て書き直すことになりました。もちろん、スケジュール的にも厳しかったし、書き上げたものを捨ててしまうのはもったいなかったですけどね。

齋藤: やっぱり、元のストーリーは、「前へ前へ」というゲームシステムとそぐわないものだったんですよね。なので、僕の方から「どうしてもこのストーリーじゃ難しい」ということで色々とお願いをしていました。そこで、時代設定もキャラクターも違うモノにという提案を受けて、「そちらでお願いします」となりました。

―――システムも従来作品からは大きく異なったものになっている印象を受けました。シリーズファンに対してはどのような配慮をされたのでしょうか。

齋藤: 徘徊している敵や、敵のリアクションにも色々と細かな設定があるので、そこは絶対に外さないようにしようというのが1番でしたね。『メタルギア』の世界観にどうアクション性を持たせていくかというのも大事にしつつ、でもその『メタルギア』をどう壊してアクションにしていくか、というところが肝でした。従来シリーズでは派手な動きは少なかったんですが、新たに作るアクションでは雷電が本当に飛んだり跳ねたりして、色んなところに行って、色んな物を壊せますから、そこをどうやって気持ちよさにつなげるかをかなり考えて作りました。

―――従来のファンからも支持してもらえる自信は。

齋藤: わりとゲームが違うので、なかなか単純比較は難しいところですね(笑)。ただ、難易度としては「EASY」でも「NORMAL」でも、そこまで高くは設定していないので、簡単に気軽に遊んで頂けると思います。世界観に関しては監修してもらっていますから、そこは絶対に外れることはありません。

玉利: 「ステルスゲーム以外絶対にやらん!」と決めている人には厳しいかもしれないですが、そういう枠を取っ払って、「面白いゲームをやりたい!」と思う人には、絶対に受け入れてもらえるゲームになっています。

是角: 確かに、本作は小島ではなく新しいスタッフが中心となって制作しているため、小島のテイストとはちょっと違います。ただ、元々小島プロダクションで開発する際も、「新しい主人公」、「新しいゲーム性」で「新しいメタルギア」を作ろうというところからスタートさせていますし、従来のファンの方が何を求めていらっしゃるのかは、それぞれ違うと思います。ただ1つ言えるのは、これまでシリーズを遊んでくれていた人に、必ず「これはこれで新しい『メタルギア』だね」と思って頂ける作品だということです。それくらいのテイストを残しつつも、新しいゲームが完成したかなと思います。

―――今までの世界観を受け継ぎつつも、新たなゲームを作り上げたということですね。

是角: 『メタルギア』が進化した、というよりも「こんな形のメタルギアがあるんだ!」という証明になっていると思います。

―――システムが大きな変化をしましたが、シナリオとしてはどのような点に気を使ったのでしょう。

玉利: アクションを生かすために、カットシーンは短めにして、どんどん進んでいけるような内容にしました。長い間悩んだり、会話がやたらと長くなったりしないという部分もそうですし、特にボス戦なんかでは「コイツを倒したい」と感じて頂けるように、アクション的な激しさだけでなく、気持ち的な激しさ、「信念と信念のぶつかり合い」みたいなものを表現できるように、というのは齋藤さんからもお話があって、そこは特に気をつけて表現しています。

齋藤: 特に『メタルギア』はキャラクターの個性が強く、僕としてもそれを残したい部分がありました。キャラクターを作るにあたって「何を思ってこのキャラはこうしているのか」という部分がないと、そのキャラの行動に矛盾が生まれてくるので、そこの話し合いはかなりさせてもらいましたね。

玉利: 行動原理がみんなはっきりしていますよね。

齋藤: はい。

―――配信中の体験版の反響はどうでしたか。

齋藤: とても楽しんで頂けているというご意見はよく聞きます。ただ、一部からは難しいという意見がでていまして・・・。なので、製品版ではそのあたりの調整をいれています。

―――それ以外に、体験版と製品版との違いは。

齋藤: 大きな違いは、触り心地の最終的な詰めを行っているので、より壮快に楽しんで頂ける仕上がりになっている点ですね。


【プラチナゲームズのアクションゲームへのこだわりは「60フレーム」に有り】

―――それでは、システム面についても詳しくお聞きしたいと思います。本作には特徴的な「シノギ」というシステムが導入されていますが、プレイヤーに体感して欲しい点やこだわったポイントを教えて下さい。

齋藤: これは僕がゲームを作る時に気をつけている部分でもあるんですが、プレイヤーには「ずっと攻撃をしてほしい」と思っています。本作でもそれは同じで、例えば「ニンジャラン」であっても前に進むためのシステムですし、「シノギ」に関してもより積極的なシステムとして取り入れています。プレイヤーには後ろに下がるという動作をしてほしくはないので、敵の方へ向かって攻撃し続け、受け身にならないという、より積極的なプレイへと導くために「シノギ」の操作は攻撃ボタンとスティックに割り当てています。だから僕の中では「シノギ」は単なる防御のシステムではないんです。

玉利: 「シノギ」というシステムのおかげで、実際にプレイしていても逃げ回ることは少ないんですよね。常に敵に向かうようになっているなと思いました。

齋藤: 今までの『メタルギア』シリーズでは「相手からより離れる」ということが重要だったと思うんですが、今回は刀を持っているので、近づかないとゲームにならないんですよね。プレイヤーを敵に対して近づけさせるためにも、このシステムを導入しました。あとは、従来シリーズとの差別化という意味も込めています。

―――プレイヤーからは「シノギ」を利用した、防御の側面を重視したゲームだという声もあります。

齋藤: 「シノギ」はキーになるアクションであるのは間違いありません。ただ、その他にも、購入スキルで敵の攻撃を避けながら戦ったり、サブウェポンを使用したり、刀だけの戦闘とは違う楽しみ方ができるようにプレイに幅を持たせています。

―――では、「シノギ」で防ぐだけでなく、プレイの幅が広がるようなシステムも用意されているんですね。

稲葉: 用意されているけど、「シノギ」は大切。そこは変わりません(笑)。

齋藤: やはり、キーになるアクションですからね。

稲葉: 齋藤が言っているように「前に出るためのアクション」なので、上手くなればなるほど、そこから派生する攻撃のバリエーションが増えていきます。なので、そこを駆使できるかできないかで、アクションの楽しみ方もだいぶ違ってくるのではないかなと思います。やらなくても楽しいですが、やると全然別種の面白さがあります。ぜひ、そこには立ち向かって欲しいですね(笑)。

玉利: 「防御のための防御」ではないんですよね。引いていく感じではなく、「前に進む」というプレイスタイルに自然となっていきます。

齋藤: 結局、ガードボタンを用意してしまうと「待ち」のスタイルになってしまうんですよね。それを避けたくて、攻撃をしながらより積極的にプレイすればチャンスが生まれるようにしています。その中で、敵がピヨると「チャンスアタック」というQTEも発動しますので、それを狙って前進してほしいですね。

玉利: そういえば、「かち上げ」のコマンドともかぶりますよね。あれは意図的なものなんですか?

齋藤: そうですね・・・。確かに連打していると誤爆はあるんですが、上手くなれば狙って発動できますし、仮に誤爆したとしても、敵が空中に浮いて新たなアクションへと派生できるのでそんなに問題ではないのかなと。

―――「壮快感」というのは常々強調されていますが、モーションやエフェクト、サウンドなどでのこだわりは。

齋藤: やはり、「斬撃感」を生み出すことに1番こだわりました。開発当初から「自由切断」が1番気持ち良くなくてはいけないというのがあったので、まずは振動とカメラの揺れで手応え感をしっかり出すように試行錯誤しました。あとはサウンドについても、どのタイミングで、どの方向から出すかといった点までこだわっています。エフェクトも切断面からちゃんと出ないと気持ち悪いので、そこはしっかりと指示しています。

―――「自由切断」のシステムは元々小島プロダクションで作られたものを利用されたんですか。

齋藤: 「メタルギア ソリッド ライジング」の時には、「体験版」と言える位には完成していて、動かせるようにはなっていました。その中で、『MGR』の操作とは全然違うものですが、「斬撃モード」と同じようなシステムはありました。ただ『MGR』ではスピード感が全然違うモノになっていると思います。

玉利: ウチで作っていた時は、「斬撃モード」とそれ以外の部分がばらばらで、噛み合っていない部分がありましたね。

是角: やはり、アクションゲームにおいては、プラチナゲームズさんはウチとは比べものにならないくらいのノウハウがあって、私なりにエフェクトやサウンドの出すタイミングを研究させてもらっています。そうすると「これは理屈じゃない!」というタイミングでエフェクトやサウンドが発生するんですね(笑)。これまでプラチナゲームズさんが培ってきた経験で、ゲームの流れの中で、プレイヤーが「気持ちいい」と感じられる技術がもの凄く詰まっていて、「これはウチじゃあ、絶対に作れなかっただろうなぁ」というところで、色々と勉強もさせてもらっています。

稲葉: エンジン作るのは結構大変でしたけどね。僕も齋藤も「秒間60フレーム」を捨てるつもりはなく、こだわり続けようと思っていました。「秒間60フレーム」を死守したなかで、「自由切断」を実現して、アレもコレもやるというのは、ハードのスペックをはるかに超えていってしまうので、ここが1番大変でした。

齋藤: 「自由切断」をするにあたっては、破片を色々な形で残していかなくてはならなくて、その破片をさらに斬れるようにしなくてはいけませんでした。プログラム的には相当な負荷がかかるので、プログラマーからはいつも冷たい視線を浴びていましたね(笑)。

稲葉: 「30フレームにしましょう!」みたいなね(笑)。でも「ダメ!60フレーム!」って(笑)。

齋藤: 元々僕もプログラマーだったので、その辺の気持ちはよく分かるんですが、ずっと「NO!」と首を横に振っていましたね(笑)。

稲葉: 60フレームを30フレームにすると、あまりに犠牲にするものが大きすぎるんですよ。数字では半分ですが、捨てるものは3倍以上になるという感覚ですね。なので突っ張り続けないと。

玉利: でも、相性はもの凄く悪いはずなんですよね。「自由切断」と60フレームって。

齋藤: そうですね(笑)。

是角: 1回斬るだけで、表示するポリゴン数が2倍、4倍、8倍って増えていきますから(笑)。

齋藤: データ量もハンパないことになりますし。

是角: よくあれだけのものを60フレームで仕上げましたよね。ウチは当初から30フレームでやろうとしていたんです。60フレームは無理だろうと。

稲葉: もう理屈じゃないんですよ。僕と齋藤が「60フレーム」って言い続けたからで(笑)。少しでも僕たちが疑問を持ったら、そっちに流れていったと思いますよ。

―――そこだけは譲れないと。

稲葉: そうですね。

齋藤: やっぱり、ヌルッと動く、触って気持ちが良いアクションゲームは60フレームじゃないと作れないんですね。そこは、極限的に大事なものとして譲りませんでした。

―――実際にどこまで斬れるかトラックで試してみたんですが、延々と斬り続けられるのでびっくりしました。

齋藤: 薄く薄くいけますし、その斬ったものをさらに斬れますからね(笑)。

玉利: みじん切りみたいにね(笑)。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


『METAL GEAR RISING』開発陣インタビューの最後は、シリーズ恒例の小ネタ要素や、無線システムの内容を伺いながら、続編や今後のコラボについても話を聞くことができました。

これまでは開発の経緯、シナリオ・システムについてインタビューを行いましたが、【その3】では、小ネタや無線システム、といったシリーズ恒例の要素はもちろん、今後についても熱く語っていただきました。


【「小ネタ」は本作にも満載、無線システムも過去作を上回るボリュームに】

―――『メタルギア』シリーズでは「小ネタ」も1つの楽しみでしたが、本作ではどうなのでしょうか

齋藤: わりと差し込んでありますね。グラビアはもちろん、「段ボールに隠れた兵士」、「2つ重なった人型仔月光」なんかも登場します。従来作品でも「小ネタ」は大事な要素で外せないと思っていましたし、『メタルギア』が好きなスタッフも大勢いるので、「コレがないとダメでしょう」という感じで入れていきました。

―――無線での会話も大変凝っている印象ですが、チェックポイントごとに内容が変わるんですか。

齋藤: はい。そこは玉利さんにいっぱい書いてもらいました。

玉利: そうですね。スクリプトも僕がほとんどやっているような状況です。今までのシリーズでの「無線」の良さは、プレイヤーが状況に応じて能動的にコメントを引き出せるというところだと思いますし、ぜひ受け継ぎたい部分でもありました。ただ、コレを実現するには分量が必要ですから、頑張って書きました。多分『METAL GEAR SOLID 4』よりも多いですよ。さすがに『METAL GEAR SOLID 3』よりは少ないですが(笑)。

是角: 「無線システム」はアクションゲームのテンポを崩さないという意味でも、効果的なシステムだと思いますね。早くクリアしたいユーザーはドンドン進めてもらって、2周目などでじっくり聞きながら遊んでもらえればと思います。裏設定を知れたり、キャラとキャラとの掛け合いでより思い入れが強くなったり、より深くゲームが楽しめると思います。

玉利: でも、戦闘中って思わず無線かけるの忘れますよね(一同笑)。このキャラどうやって倒すのかと思っても無線する余裕がないんですよ。

齋藤: そこは意地でも倒してもらえれば・・・(笑)。

玉利: 今まではわりとテンポが遅かったので、やはりそこは違いますね。2周目にでもじっくり楽しんでもらえれば嬉しいです。もし続編とかあるなら、もう少し改善点もあるのかなと。

―――具体的には考えていらっしゃるのでしょうか。

玉利: 戦闘中にどう聞かせるかというところですよね。まだ、具体的に考えているわけではないんですが・・・。まずは本作でしっかり楽しんでもらいたいですね。攻略に行き詰まった時などに聞いてもらえれば、きっと助けになると思います。無理して聞くものではないので、聞きたい時に無線をかけてみてください。

齋藤: 基本的には世界観の補足、キャラクターの掘り下げというところがメインではありますからね。雷電と周りのキャラの関係性も見えてくるので、雷電自身の魅力もより増すのではないかと思います。僕は細かくかけてもらいたいですね。

玉利: 物語が『METAL GEAR SOLID 4』の後ということで、雷電はもう30代後半で『METAL GEAR SOLID』に登場したソリッド・スネークと同年代になっています。大人になった渋い雷電が、若者達に説教めいたことを言ったりもするのですが、逆に反撃されてしまうようなコミカルな描写もあるので、そういったところも注目してほしいです。

是角: 昔の雷電を知っているユーザーさんが雷電の成長を味わえる会話も無線では多いですね。今まで後輩と呼べる存在が少なかった雷電が、「コイツ後輩持って、先輩面しやがって・・・」みたいな一面を見せますし、でも「やっぱり雷電だ」と思わせてくれたりもしますよ(笑)。

―――多くのファンがいる一方、これまでシリーズ作品に触れたことのないユーザーにアピールしたいポイントはどこでしょう。

是角: 『メタルギア』シリーズは歴史が長いので、「今まで遊んだことがないから」とか、若い人達には「ストーリーが複雑そう」でとっつきにくいという側面があったと思います。今回は新しいスタッフで作っていてゲーム性も変わっていますから、そうした若い人達にも遊んでもらいたいと思います。

玉利: ストーリーとしても、『METAL GEAR SOLID 4』でソリッド・スネークの物語は一旦完結していますし、雷電は『METAL GEAR SOLID 2』で主人公でしたけど、ソリッド・スネークサーガの中の雷電として描かれていました。今回は、新しい主人公としての雷電として描かれていますし、ストーリーも一段落したところからの新たな物語ですので、これまでのお話が分からなくても問題ないように、意識して作りました。

齋藤: アクションゲームとしては「自由切断」という新たなアクションが入っているので、そこを楽しんでもらいたいですね。これまでのアクションゲームでは、「あらかじめ用意されたモノ」でしたが、ユーザーが任意で選んだところを斬れて、さらにそれがちゃんとバラバラになるというのがこのシステムの最大の特徴です。そして、これがなぜか面白いんですね(笑)。

玉利: 本当に「斬っている」という手応えも良いですよね。

齋藤: その手応えが、プレイヤー自身がゲームに干渉しているという感覚を生んで、新たな体験に繋がると思います。


【1回で終わらせるのはもったいない・・・続編、コラボ、気になる今後の展開】

―――さきほど「続編」というお話もチラッとありましたが、今後も両社で協力してタイトルを作っていく可能性はあるのでしょうか。

是角: 『MGR』では、お互いの良いところが組み合わさって、単純な足し算ではない結果が出せたと思います。きっと「小島プロダクション×プラチナゲームズ」という組み合わせでなければ生まれない作品だったと思うんです。こうしてできた作品がユーザーさんに受け入れられて、続編という形になればそれは嬉しいですね。

稲葉: 思い出はキレイなままにしておきましょう(一同爆笑)。まぁでも、ようやくお互いの空気感も分かってきたところで、『MGR』がどうなるかはともかく、コラボレーションを1回で終わらせるのはもったいないですよ。チャンスがあればぜひ、というのは僕らの方でも思っています。

―――では『MGR』に限らず、新しい形でも両社がコラボする可能性があると。

稲葉: 何か面白いことがあれば・・・。でも、もちろん『MGR』がユーザーに高く評価されて、いっぱい売れて、「もう一回やろうか」となるのが、1番ハッピーな形ですけどね。次はもっとぶつかり合いも増えることは増えるでしょうし(一同爆笑)。

是角: またぶつかり合いからですね。

稲葉: 逆に余計なぶつかり合いはなくなるでしょうし、もっとレベルの高いものになるんだろうという気はしています。

是角: ぶつかるからこそのコラボなんですよね。ぶつかって、お互いの強みが出せることに意味があると思います。

―――今回もぶつかることは多かったのでしょうか。

玉利: やっぱりストーリーが・・・(一同笑)。

齋藤: 1番最初が最もぶつかり合いが多かったですね。どういう作品にしていきたいかというのをアピールしなきゃいけないですし、ぶつけたものをしっかり返して頂かないといけませんしね。そこがしっかりできたのが1番大きいと思います。

―――では、激しくやり合うというよりは、お互いの意見をしっかり交換するというイメージですかね。

齋藤: いや、ガッツリやり合ってました(一同爆笑)。

稲葉: 険悪にはなってないですけどね!

―――それでは、最後に読者にメッセージをお願いします。

玉利: 今までと違うアクションゲームとしての新しさもありつつ、『メタルギア』シリーズの良さを蹈襲した良い作品になっています。自分がゲームの中に入って体験するような形で色々考えさせられたりする部分もありますので、ぜひ楽しんで下さい。

是角: 個性が強い2つのプロダクションのぶつかり合いで生まれた作品ですが、その結果としてアクションゲーム好きからシリーズの世界観が好きな方、そして新しいユーザーと、幅広い層に楽しんで頂ける作品になったと思います。プレイし終わった時には「すげぇ面白かった」と思える作品ですので、映像などで興味を持った方には、ぜひプレイして欲しいと思います。

稲葉: 『メタルギア』というビッグフランチャイズに関われたことも喜びの1つではありますが、ゲーム部分を僕たちが開発して、雷電を実際に操作することで魅力を増すことが出来たこと、アクションゲームとして今まで自分たちが作ってきた作品を超える部分を生み出せたということで、前に進むことができたと思います。自分たちとしても、会社としてもターニングポイントとなる作品になりました。良い作品が完成したので、期待して発売日をお待ち下さい。

齋藤: 「自由切断」というシステムがあることで、とても触り心地のいい、面白いアクションゲームになっています。その中に『メタルギア』の世界観があり、魅力的なキャラクター達が登場しますので、ぜひ買って楽しんで下さい。

―――ありがとうございました。


『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』は好評発売中。価格はパッケージ版が6,980円(税込)、ダウンロード版が6,480円(税込)、「PREMIUM PACKAGE」が9,980円(税込)、オリジナルPS3本体同梱「斬奪 PACKAGE」が31,960円(税込)です。

小島プロダクション 是角有二氏(プロデューサー)

小島プロダクション 玉利越氏(シナリオライター)

プラチナゲームズ 稲葉敦志氏(プロデューサー)

プラチナゲームズ 齋藤健治氏(ディレクター)

『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』パッケージ

『METAL GEAR RISING REVENGEANCE 斬奪 PACKAGE』

『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』ロゴ

(C)Konami Digital Entertainment Developed by PlatinumGames Inc.

(ソース: METAL GEAR RISING REVENGEANCE)

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