■「ずっとこの世界観で遊び続けたい」その魅力はどこに
――まだ発表されたばかりのタイトルで、19日に公式サイトがオープンされたばかりですが反響というのはもう届いていますか
下川氏:グリムの部分に関してネガティブな意見はなかった印象です。「赤ずきん(魔物)がカッコイイ」というのが一番耳に入ってきますね。
――現在とこれからPS Vitaの普及率が前作発売したころと変わってくると思うのですが、そういった状況変化に合わせて本作の難易度が変化していたりするんでしょうか。たとえば新規向けに簡単になるとか、PS Vitaらしくコアなゲーム性を突き詰めていくという部分です。
下川氏:共闘ゲームというのはゲーマーのためのゲームだとは基本的なところで思っています。そこをはずしてはいけないというのが根っこにありつつ、新しい人が入りやすいようにというのは実は前作から非常に意識しました。そこがストーリーの部分で、プレイを続けるモチベーションにもなってきていると思います。
稲船氏:単純に簡単にしようというのは、できないですしやりたくないですよね。PS Vitaの普及が増えたからといって簡単なゲームが求められるかといったら、もうそれは違うと思うんですよ。
――それはユーザーにとっても?
稲船氏:うん。今の時代では簡単なゲームがしたければスマートフォンのゲームで遊ぶ選択肢があると思います。操作の部分ではPS Vitaにおいてもあまりにも難しすぎないとかユーザーフレンドリーに考えないといけないところはありますけど、「ボタン一つだけで」という話にはなってこないですね。せめぎあいの部分ではありますが、誰でもできるみたいな簡単にはしないで進化させていきたいなと。
――先ほど4人で行ったデモプレイでは女性がプレイされていましたよね。それを見てゴリゴリしているビジュアルが先行するタイトルながら、「私にもできるかも」という女性が手に取るキッカケが生まれる感じがました。
下川氏:僕の所感なんですけども、思ったより女の人がプレイしてくれているなと思いました。魔物に育てられたパーシヴァルという小さなキャラクターがいるんですけど、その子には女性ファンがけっこういるんですよ。うーん、ビジュアルですかね。
稲船氏:それは、話がいいからだと思うよ!僕も下川が書いたシナリオのなかでパーシヴァルの「魔物の子供」という話が一番好きなんで。母親の話で女性が感情移入しやすい、俺が女性的なのかなもしれないけど(笑)?下川の才能なんですけど、すごいストーリーに引き込む部分がこのタイトルにはあって。だから前作発売の時にも「一番注目して欲しいのはストーリー」って言ったんです。
下川氏:やっぱり、それは意図的に言っていたんですね(意外な表情をしながら)。
稲船氏:ストーリーが『SOUL SACRIFICE』という世界観に惹き込んでくれれば「その世界観のなかでずっと遊びたいな」という感情が芽生えるので、多少難しいなと感じても「やめてしまおう」という選択肢は選ばないわけです。もちろん「仲間」という部分も重要だよね。自分はもうやめたいと思っていても、ほかの3人が頑張ってくれているわけですから、あまりこういったゲームをプレイしない人でも楽しめる要素はあると思っています。
■コンセプターという仕事は僕達にとっても説明しずらいんです
――本作のストーリー部分に大きく関わってくると思いますが、「グリム童話」をモチーフに選んだ理由というのは。
下川氏:稲船から前作のときに「王道だけどサプライズがいる」と言われていまして、モチーフは絶対にみんなが知っている有名どころにして、それをデザイナーがアレンジしてサプライズを生み出すという手法をとりました。その方程式に当てはめると童話がいいのではないかなと。
稲船氏:ゲーム自体が「リブロムを読む」というシステムですからね。童話というのは『SOUL SACRIFICE』の世界観にもしっかり一致しているんで、「今回グリムでいきたい」って言ってきたときにはすごく面白いと思いました。普段は、世界観やコンセプトからズレている相当キツく言ってしまうんですけどね。
――前作では稲船さんは「ファンタジーをテーマにしたマルチプレイのアクションゲームを作る」と言われていました。先ほどのお話でも稲船さんから「バッチリだね!文句ナシ」と言えるものがあがってきたとうかがいましたが、それは前作からコンセプトが伝わりきっていたからですよね。それは前作の時どうやって伝えていったんでしょうか。
下川氏:稲船さんがどうコンセプトを伝えたかっていうのは、すごくいい質問ですね。こういったメディアでは「王道」とかわかりやすい表現を使いますけど、制作現場にいるクリエイター同士は感性の行き来も混ざって、僕達にしかできない、言語化できないようなやりとりになっているんです。そこを、もう少し言語化できてくると稲船さんが唯一持つコンセプターという仕事がクッキリ伝わるのかなとも思っています。
稲船氏:まずは、王道ファンタジーでマルチプレイのアクションゲームを作るという話を最初にして「どういう感覚でみんなはそれを捉えるか」を見ていました。「中世ヨーロッパ風の王道ファンタジーの世界観」というのはグローバル展開を考えた時には絶対外してはいけないポイントです。しかし、オーソドックスなものではいけない。そこを踏まえた上でこのゲームにどんな特徴を作れるかがチャレンジ的な部分でした。「魔法しか出てこない」「生贄、救済、犠牲という重いテーマ」というコンセプトを重ねていくと、知っているモノでも新たな解釈として表現できて、今回の「赤ずきん」というお話でも、僕の知っている赤ずきんではないけど、赤ずきんとしか解釈できないということになっていった。そこが前作の『SOUL SACRIFICE』では出来て、今回の『SOUL SACRIFICE DELTA』では「ほら、『SOUL SACRIFICE』だったらこうでしょ」とユーザーも開発陣も消化できるオリジナリティが生まれているなと感じています。誰の仕事も、考えなくてはいけないことも奪わないのがコンセプターという仕事です。そこに想定以上の答えがたくさん出てくると、それはいいコンセプターとディレクターの関係だと言えますね。一人で作ってしまうと限界はありますから。
――最後に発売を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。
下川氏:うたっている「新創」の言葉には2つの意味を込めています。一つはグリム童話や第三勢力などのサプライズの部分。もうひとつは前作で力が及ばなかったところのフォローアップとリニューアルで、その2つが今回の東京ゲームショウのビルドではその2つが体験できるものになったおちう自負があるので、そのへんを是非遊んでいただければと思います。
稲船氏:「DELTA」という言葉には三勢力という意味があるんですけど、ソニー・コンピュータエンタテインメント、comcept、マーベラスAQLの3社でやっている「DELTA」という意味も入っています。それぞれの思惑も違うし、しっかりやらなくてはいけない。前作では、しっかりとなるところまで大変だったんですけど、今回はガッチリ手を組んで理解し合っているなかでスタートをきれたので、本当にいい作品が出来る環境が整って開発も進んでいます。自信を持ってユーザーさんに届けられるものが出来ると思っていますので、期待して欲しいなと思います。
――ありがとうございました
PS Vita/PS Vita TV『SOUL SACRIFICE DELTA』は2014年春発売予定で、価格は未定となっています。
(C)Sony Computer Entertainment Inc.
【東京ゲームショウ2013】「自信を持って届けられる」、『SOUL SACRIFICE DELTA』comcept稲船敬二氏と下川輝宏氏インタビュー
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