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ザ・べヒモス社長ジョン・バエズ氏インタビュー 「常に新しいアイデアがある」

BitSummitの会期中、ザ・べヒモス社長のジョン・バエズ氏にインタビューを行い、さらに詳しい話を聞くことができたので、その模様をお送りします。

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個性あふれるゲームプレイとビジュアルを備えたヒット作『Castle Crashers』のクリエイターThe Behemoth(ザ・ベヒモス)。先日京都で催されたインディーゲームイベントBitSummitに出展した同社は、他に類を見ない独特の運営方針を基調講演で明らかにしました。BitSummitの会期中、同社社長のジョン・バエズ氏にインタビューを行い、さらに詳しい話を聞くことができたので、その模様をお送りします。


――それでは最初に、スタジオについて伺います。The Behemothは2003年に設立されたということですが、設立時は何名の方がいらっしゃったのでしょうか?

ジョン・バエズ氏(以下バエズ): 私を含めて5人でした。

――なるほど。現在は何名のスタッフがいますか?

バエズ: 今は20名のスタッフがいます。

――The Behemothというスタジオ名やスタジオロゴのニワトリの由来を教えてください。

バエズ: ロゴの方が最初に決まりました。当時、スタジオの名前がなかなか決まらなくて、ある日、共同設立者の一人であるダン・パラディンがホワイトボードに巨大な鶏の絵を描いて、「これをロゴにしよう」という話になったのです。その絵から「何か巨大な生き物」をイメージする“The Behemoth”というスタジオ名を思いつきました。

――BitSummitのキーノートで、別のインディースタジオを支援したという話をされていましたが、詳しい経緯を知りたいです。

バエズ: 他のインディーデベロッパーを資金面で援助する取り組みを以前から続けています。当初は定型化された支援モデルにしたがって実施していましたが、仕組みや方針がしっくりこなかったので、
インディーデベロッパーにとって最適と思える我々独自のモデルを考えたのです。それは、彼らからロイヤリティを徴収するのではなく、単純にゲームが完成したあと、援助した資金といくらかのインシュアランスを返してもらうという仕組みです。

――The Behemothは、ゲーム開発だけでなく、製品PR、マーケティング、グッズ制作まで全て自社で行っているそうですが、そうした前例の少ない運営方針をする中で、何か問題点や難しさはありますか?

バエズ: 問題はたくさんあります(笑)。たとえばグッズの場合、我々の方針として大量生産して流通させるようなことはしていませんが、1000個作っても5000個作っても工数自体はあまり変わらないため、大変な労力になります。

――分かりました。それでは次に、The Behemothの最新作『BattleBlock Theater』について伺います。本作は昨年XBLAでリリースされ、先日新たにSteam版が発表されました。改めてゲームのコンセプトを教えてください。

バエズ: 『BattleBlock Theater』の原案となったのは、The Behemothの処女作『Alien Hominid』に収録されているPDA Gameというミニゲームです。PDA Gameは移動とジャンプしかできないシンプルなシステムながらファンに好評だったので、そこからアイデアを広げて一つのゲームにしようと考えたのです。

――『BattleBlock Theater』が『The Behemoth Game #3』というプロジェクト名で発表されたのは2009年、そこからゲームが完成するまで5年近いの歳月が流れています。開発期間がこれほど長かったのはなぜなのでしょうか?

バエズ: ゲームコンセプトはシンプルだったものの、それをひとつの完全なゲームに仕上げるまでに大変な努力が必要でした。基はPDA Gameでも、開発を進めるうちに『BattleBlock Theater』は「遊んで楽しい」という点をのぞいて、全く違う作品になっていきました。

――『BattleBlock Theater』の特徴的なところはどこですか?

バエズ: まずストーリーモードの存在です。キャラクターにはジャンプ以外にも武器を使ったり色々なアクションが用意されています。PDA Gameでも複数プレイは可能でしたが、『BattleBlock Theater』はマルチプレイで遊んでもらうのにぴったりなゲームになっています。さらにゲーム内に完全なステージエディタを搭載していて、自分でデザインしたり、他のプレイヤーが作ったステージで遊ぶことができます。


――『BattleBlock Theater』のSteam版について。XBLA版から何が変わっていますか?

バエズ: Steam版では、2つの武器を選んで、切り替えが可能になりました。ゲーム中の“ネコ(Cat Guard)”が人気だったので、アニメーションを新たに追加して実際のゲーム中に登場させました。Steam Workshopに対応することで、ユーザーがオリジナルのステージを作ったり、ゲーム外でインベントリのアイテムを交換できます。もちろんキーボードとマウスでの操作にも対応しています。

――Steam版のリリース時期は?

バエズ: ベータ版のリリースはもうすぐです。もう受付を始めているので、長くはかからないでしょう。参加したい人はすぐに登録しておくべきです。

――バエズさんは基調講演の質疑応答で、「プラットフォームに対してニュートラルな姿勢」を強調しました。今話題の中心である次世代機(PS4/Xbox One)についてどのような考えをお持ちですか?

バエズ: とても興味深いですね。特に今世代のプラットフォームは、PS4とXbox OneだけでなくSteamも同列にあると思います。大手のパブリッシャーであれば、ハードが何台売れているかを見て判断するでしょうが、インディーデベロッパーにとってハードの違いは重要ではありません。ダウンロード配信であったり、ユーザーがアクセスしやすい環境ならそれで良いのです。

――ところで、BitSummitにブース出展された感想は? 来場者からの反響、他のブースで気になったタイトルはありますか?

バエズ: 率直に、BitSummitは素晴らしいショーです。実は、東京でThe Behemoth主催のインディーゲームイベントの開催を検討していました。その中で、昨年BitSummitがはじめて催されて、我々のやりたかったことに近いと思いました。しかし、去年のBitSummitには一般デーがなく、ユーザーが足を運べませんでした。そこで運営のジェームズ・ミルキー氏らと話して、絶対に一般デーが必要だと訴えたのです。数年前にくらべて、日本のインディーゲームデベロッパーがたくさんいることに興奮しています。

今のところ私がいちばん気に入ったのはRIKI氏の展示です。LEDを使った独自のゲーム機で、見た目はシンプルですが、自分だけのコンピューターを作るというアイデアは私も大好きなので。他にも、Funktronic Labsの『NOVA-111』や、ジョセフ・ホワイト氏の『Voxatron』も良かったですね。

――最後の質問です。未発表の『The Behemoth Game #4』について。ヒントをいただきたいのですが、『Alien Hominid』、『Castle Crashers』、『BattleBlock Theater』と続いて、次回作も新規IPになるのでしょうか? あるいは続編の可能性は?

バエズ: 続編のことはあまり考えていません。新規タイトルだけです。我々は常に新しいアイデアがあるので、続編ではやりたいことができなくなりますし、新作ならマーチャンダイジングの可能性も広がります。もし、歳をとってやることがなくなったら、続編もいいかもしれませんが(笑)。『The Behemoth Game #4』は、デザイナーのダン・パラディンが、ゲームのアートだけでなくゲームプレイも含めすべて担当していて、いま大忙しで取り組んでいますよ。

――分かりました。本日はありがとうございました!

《谷理央》
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