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「Evo Japan」運営委員長のハメコ。氏に訊く―「参加者全員が楽しめる大会に」

世界からトッププレイヤーが米国ラスベガスに集結してチャンピオンを争う、格闘ゲームの祭典「Evolution Championship Series(Evo)」。2002年から毎年開催されている大会で、『ストリートファイター』シリーズをはじめとする競技で数々のドラマが生まれています。

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金子紀幸氏

世界からトッププレイヤーが米国ラスベガスに集結してチャンピオンを争う、格闘ゲームの祭典「Evolution Championship Series(Evo)」。2002年から毎年開催されている大会で、『ストリートファイター』シリーズをはじめとする競技で数々のドラマが生まれています。

昨年の「Evo 2016」では、同大会が日本進出を果たす「Evo Japan」の開催が発表。日本の格闘ゲームファンからも大きな注目を集めました。2017年5月には新オープントーナメント大会「賽[sai]」が開催、7月にはメイン競技タイトルが決定するなど、着々と本大会開催に向けた準備が進められています。

編集部は「Evo 2017」会期中に、「Evo Japan」運営委員長の金子紀幸氏にミニインタビューを実施。開催を実現するための挑戦や見どころを聞きました。

===== ===== =====

――まずは簡単に自己紹介をお願いします。

金子氏: 「Evo Japan」運営委員長の金子紀幸です。もともとはハメコ。というハンドルネームでプレイヤーとゲームライター、コメンテーターとして活動していまして、各種格闘ゲームコミュニティとの繋がりが深いということもあり、今回「Evo Japan」を任されることになりました。

――2017年5月に「賽[sai]」というプレトーナメントが開催されましたが、運営の視点からするといかがでしたか。

金子氏: 運営の視点として一番気になっていたのは、やはり会場が狭かったことです。狭いおかげで日本でも「Evo」に近い雰囲気は出せたのですが、やはり迷惑をおかけすることが多かったです。

「賽[sai]」会場の様子

――プレイヤーからの反応はありましたか?

金子氏: 楽しかったと言ってくれている人がすごく多くて、やってよかったと感じました。

――競技タイトルの選び方は本家「Evo」とどう違いますか。

金子氏: 大会のコンセプトは一緒だと思いますが、日本のコミュニティーや参加してくれる人がたくさんいて、その人たちが喜んでくれるものを選ぶのが重要だと思います。その意味で、日本なら『Injustice』などはあまりプレイヤーがいませんし、逆に日本でプレイヤーが多いゲームなら、アメリカで人気がなくても、楽しんでもらえるはずです。

※「Evo Japan」のメイン競技タイトルは2017年7月に発表。

――ここラスベガスでは、「Evo」ならではの雰囲気が強く感じられます。アメリカとは違う、「Evo Japan」ならではの雰囲気というのは目指しているのでしょうか?

金子氏: そこは難しいところですが、こんなに広い会場は日本にほとんどないので、そもそもその狭い中でどうやるかが、ある意味で「Evo Japan」らしさの一つではあると思います。タイトルに関しても同じで、「Evo」がどういうイベントなのかを考えた時に、参加している全員が楽しめたり、色々な形で参加できたり、という部分ですね。日本でのゲーム大会は、徐々に上手い人だけのものになってしまい、参加者が減っている現状はあります。そこはやっぱり改善したいと思っています。そのために、様々な参加方法とか、会場に来ただけで楽しいと言ってもらえる形を考えるのが、ある意味で日本向けのアレンジになるのかなと思っています。


――参加するプレイヤーが減っているとのことですが、その点は心配している人が多いと思います。どのように新しいファンを作っていくのでしょうか?

金子氏: 試合を「観る」人が日本にも増えています。世界と変わりませんが、プレイはあまりせず、大会の配信などを観て楽しむ人たちです。そういった人たちにも、会場に来てもらうのが、まず第一歩だと思います。ゲームのファンが増えるかどうかは、結局のところそのゲームを面白いと思う人が多いかどうかで決まるので、それはオーガナイザーの役割ではないような気がします。

――「Evo」のような大きなイベントなら行きたいファンも多いのでは。

金子氏: そうなってくれれば嬉しいですが、日本では地道な活動、例えば動画や写真で大会の雰囲気を伝えるといった施策が足りていないので、そういった基本的なところをしっかりやっていきたいですね。

――会場のスペースだけでなく、日本においては賞金に関してもチャレンジがありますが、それに対してはどういったにアプローチを行いますか?

金子氏: 現在の日本では、主に景品表示法が大きなハードルになっていて、売り物のゲームを使って賞金を出すのが難しくなっています。法律の問題だけでなく、そのような背景によって、大会をやりたがらないメーカーさんもいらっしゃいます。そのため、日本で海外と同じように賞金を出す大会をできるかというと、やはりそうではない状況になってしまっています。実際のところ、賞金がもらえるゲームはまだまだ限られていますし、そういうタイトルを、賞金を出して盛り上げる術もあるとは思います。しかし賞金だけでなく、「この大会で勝ってよかった」と感じられる、プレイヤーの誇りになるような演出をするといったように、、物やお金以外のところでもアプローチする必要があります。少なくとも今の日本では、そういったやり方が重要なのではと考えています。

――話が変わりますが、今年の「Evo 2017」を振り返って感じることは。

金子氏: 仕事で日本語の実況解説をやっているので、あまり会場は見られませんでしたが、これまでよりさらに広くなって、バラエティに富んだイベントになったと思っています。アート系や同人誌のコーナーは今まで以上に大きくなっているし、カスタマイズ系のショップも以前より規模が大きくなって、より多くの人が楽しめるイベントに進化しているのはすごいなと思いましたね。

――同人誌は「Evo Japan」でも売れるでしょうか。

金子氏: 日本とアメリカではそういう空気感が違うので、やりたい気持ちはありますが、法律やメーカー側の事情を考えると、今すぐ答えを出すことはできないですね。気持ちとしては、いろんな楽しみ方ができるのは一番いいと思いますし、できれば形にしていきたいです。それに、日本で創作されている、絵を描いている方々は格闘ゲームに影響を受けている方も多く、そのうえ海外からの人気が高いことも多いので、シナジーはあると思っています。


――「Evo 2017」で注目したゲームや選手はいますか。

金子氏: 『ストリートファイターV』で特に人気のある米国出身のPunk選手は注目しています。『鉄拳7』は韓国と日本の強いプレイヤーがこの大会でぶつかり合っているので気になっています。

――最後に、「Evo Japan」に期待しているファンにメッセージを。

金子氏: お読みいただきありがとうございました。2018年の1月26日から1月28日までの三日間に渡って「Evo Japan」を開催しますので、ぜひ足を運んでいただければと思っています。会場は、予選が池袋のサンシャインシティで、最終日の決勝が秋葉原UDXです。どうぞよろしくお願いします。

――ありがとうございました。



UPDATE(2017/8/7 17:30): 賞金に関する質問と回答部分を一部修正しました。
《Cameron Gilbert》
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