先日、トレイラーが公開され、強烈な世界観が国内外で注目を集めたMundfishの新作タイトル『Atomic Heart』。パラレルワールドのソ連を舞台にしたディストピアな設定や、恐ろしさすら感じるロボット/クリーチャーたちなど、さまざまな魅力に溢れたタイトルです。
今回、Game*Sparkでは、ベールに包まれた本作の開発元であるモスクワのデベロッパー、Mundfishにメールで突撃インタビューを敢行。全ユーザーが気になるであろう(音声含む)日本語対応は一体どうなるのでしょうか……。
――まずは自己紹介をお願いします。
Oleg Gorodishenin氏(以下Gorodishenin氏):MundfishのゼネラルプロデューサーのOlegです。ゲーム業界では5年以上活動しています。ゲーム用のコンテンツ制作やグラフィックス制作スタジオでの経験もあります。Mundfishが立ち上がった2015年後半、創業者のRobertが、『Atomic Heart』を開発するためのメンバーとして私に参加するよう提案してきたのです。当時のチームメンバーは実質4人で構成されていました。
独特な設定とゲームプロットだけでなく、Mundfishとその創業者の考え方にも好意を感じたので、チームへの参加を決心しました。私たちはスタジオでの開発プロセスに特別なアプローチをしていて、MundfishのDNAには重要なものを入れています。その大部分は「創造における自由」と「意思決定のスピード」です。私たちの開発アプローチと社風は多くの才能を惹きつけています。本物のビデオゲームファンしか雇っていません。私はそれが成功の鍵だと確信しています。
バックエンド担当の開発者でさえも熱心なゲーマーですし、参加必須の夜間ゲームセッションを開いたりもしています。これにはいつものミーティングやブレインストーミングよりもはるかに効果があることが分かりました。すでに仕事で脳のキャパシティをすべて使っていても、破壊的なアイデアを生み出す最高のタイミングなのです。
数週間以内に私たちのWebサイトで開発ブログを立ち上げ、チームとゲームについて詳しく説明していく予定です。
――本作はいつどのようにして開発が始まったのですか?
Gorodishenin氏:現在、『Atomic Heart』の開発は1年以上経過していますが、アートディレクターのArtemが今作の世界観のコンセプトを思いついたのは7年前のことです。
当初はPCやコンソールのほかにVRサポートを計画していましたが、その後アイデアを捨て去り、スタンドアローンのVRプロジェクト『Soviet Lunapark』を開発することにしました。この作品は『Atomic Heart』と同じユニバースを持っていますが、物語やゲームプレイは別物です。
――今作は「オープンワールドFPS」なのでしょうか?
Gorodishenin氏:今作はいくつかの地域に分かれていて、放棄された建物や“ダンジョン(基地、地下施設など)”を持つオープンエリアによって表される、多層的なフィールドを備えています。結果的に、『Atomic Heart』はオープンワールドと詳細に描かれたリニアなロケーション(ダンジョン)を併せ持つことになりました。プレイヤーはその時代の精神が吹き込まれた様々なバイオームとたくさんのソビエトの建造物に訪れることになります。きっとスリリングな冒険になりますよ!
――ゲーム内容について、簡潔に教えてください。物語や舞台設定、クリーチャー、メカニクスなど。
Gorodishenin氏:今作の物語は、当時の時代よりはるかに技術が進んでいるパラレルワールドのソ連を舞台にしています。「プラント3826」で起きた重大な技術革新によって、さまざまな目的のための自動制御装置が大量に導入されました。ロボットたちは、工業、畑、鉱業、戦争、そしてもちろん家庭や日常生活のどこでも利用されるようになりました。科学者たちは前代未聞のモノを実験しています。バイオエンジニアリングもとても一般的になっていて、人々はロボティックな機構とバイオテクノロジーの力を借りて身体を改造したりします。そしてこの爆発的な科学的進歩によって、遅かれ早かれ、何か間違った方向に行ってしまうのです。
――今作は他のゲームや映画、その他の作品に影響を受けていますか?魅力的なクリーチャーや建物のデザインは、どういったところから着想を得ているのでしょう。
Gorodishenin氏:『Atomic Heart』の舞台設定は、実際の時代の現実世界から大きく変化させています。私達は鼻持ちならぬ軍事国家的な陣営含め、実際のソ連からインスピレーションを受けています。歴史的な前提で言うと、もしインターネットやホログラム、ロボットといったものが1930年代のロシアで発明されたらどうなるか、という点。現代で言うiPhoneほど一般的で、それらがどう繋がっていくのか。このアイデアは、洗練されたユーザーにとっても非常に興味深く感じられるだろうと思っていますし、その設定と表現方法は今作が持つ特別な魅力に貢献しています。
私達は、まず第一に、自分たちが好きになれるゲームを開発しています。もちろん『バイオショック』『Fallout』といった時代を越えた名作からもインスピレーションを得ています。ソビエトSF小説家のストルガツキー兄弟、スタニスワフ・レムや、「オルタード・カーボン」「ブラック・ミラー」といった現代のテレビ番組にも。実際のところ、インスピレーションはどこからでも受けています。新たな情報は新たな画期的アイデアに繋がりますから。
――PC/PS4/Xbox Oneでの日本語版リリース計画はありますか?Steamのストアページでは、日本語音声もサポートするということでしたが。
Gorodishenin氏:私たちは日本のゲームのファンですし、小島秀夫氏など日本のゲームデザイナーからインスピレーションを受けています。日本はとても重要なゲーム市場ですので、すべてのプラットフォームでの日本語ローカライズに全力で取り組みます。吹き替え音声については、今のところ100%保証することはできないのですが、うまくいくように願ってます!
いずれにせよ、音声のローカライズはただ「(サポート言語項目の日本語に)チェックマークがついている」というだけのものにはしません。もしリリース時にチェックマークがついていたら、それは私たちが自らに設定したクオリティーの基準に到達できたということです。
――発売日はいつ頃になるのでしょうか?
Gorodishenin氏:確実にとは言えませんが、次の四半期(※7~9月)の間には(発売日が)明らかになるでしょう。
――最後に、『Atomic Heart』を待ち望む日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
Gorodishenin氏:まず、『Atomic Heart』に対してこのようなポジティブな反応をいただけたことに感謝したいです。私たちにとっては非常に大切で、ゲームをできる限りクールに仕上げるモチベーションになります。
もし『Atomic Heart』のユニバースに興味を持ったら、私たちのVR作品『Soviet Lunapark』に挑戦してみてください。面白くて、ダイナミックで、時には恐ろしいVRアーケードシューターです。プロット的にもゲームプレイ的にも『Atomic Heart』とは繋がりを持ちませんが、『Lunapark』のイベントは『Atomic Heart』と同じユニバースで起きたこと。「プラント3826」のいくつかのゾーンを内部から見て、プラントの従業員や兵士、看護師といった人々が、攻撃を受けて大混乱になる様を目撃できます。
『Lunapark』は今月にもリリース予定です。『Atomic Heart』を暖かく歓迎してくれたユーザーの皆さまを見て、こちらの作品の開発にあたり、『Lunapark』に協力プレイ用のダンジョンの一部を追加することにしました。『Lunapark』のすべてのダウンロードコンテンツは、無料で配信する予定です。
もしVRデバイスを持っていなかったら、先ほど触れたように、公式サイトで近日公開予定の開発ブログもあります。サブスクライブと新情報のチェックもお願いします。また、もしコミュニティのどなたかが開発ブログの翻訳をできたら、とてつもなくクールでしょうね!
ゲーマー大注目の『Atomic Heart』はPS4/Xbox One/PCを対象に開発中です。
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