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現実の格闘技大会「RIZIN」で突如組み込まれたe-Sports(後編)ー『鉄拳』原田氏はどう関わったのか?

現実の格闘技イベント「RIZIN.13」に突如としてマッチメイクされたe-Sports部門の『鉄拳7』日韓チーム対決。バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏に今回の試みについてインタビューを行いました。

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現実の格闘技大会「RIZIN」で突如組み込まれたe-Sports(後編)ー『鉄拳』原田氏はどう関わったのか?
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現実の格闘技イベント「RIZIN.13」に突如としてマッチメイクされたe-Sports部門の『鉄拳7』日韓チーム対決。前編では会場の空気感と試合内容のレポートを行いました。

今回の後編では、バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏をお迎えし、いささか唐突とも思えるこの試みがいかにして実現したのか?また『鉄拳プロジェクト』チーフプロデューサーとして現在進行形の格闘技はどのように映ったのか?などの気になる話を訊いてきました。

■意外と会場の反応がよかった


――今回の試みで観客の反応はいかがでしたか。

原田氏:今回、台風(※)が来ていて早く帰らなくてはいけなかったお客さんが多かったんですが、そこを残って見ていただいたお客さんだったので。

(※ 「RIZIN.13」が行われた9月30日では台風の影響により、最寄り駅のJRが20時に運行を停止することが発表されたことを受け、メインイベントである「那須川天心vs堀口恭司」の試合順が20時前に変更。『鉄拳7』日韓戦はメインイベント後の第10試合目に行われた。)

観てて面白いと思ったのは、逆転が起きたりとか、ピンチになったところからしっかりやり返したりすると、「おおー」という歓声が起こり、やっぱりそこは格闘技を見ている感じと同じなんだって、すごくいい反応をしてもらえたなと思います。

逆にお客さん向けに、もう少しインフォメーションを与えることや、(ゲーム画面の)カメラアングルを観る側にもう少し違って見えるような機能もゲームに必要だなと思って観ていました。

――意外と受け入れられている印象でしたか。

原田氏:みんなゲームプレイがわからなくても、格闘技の試合を見るように見てくれてたんだなと。

■昨年からのe-Sportsの波が今回の試みに繋がった


――あらためて、今回の「RIZIN」にてe-Sportsとして『鉄拳7』の日韓戦が組まれた経緯や、この試みの意図を伺えますか。

原田氏:近年はe-Sportsって言葉自体がバズワードとして広がっているじゃないですか。もともと、e-Sportsという言葉が出る前から格闘ゲームの大会自体は20年ぐらい前だと日本を中心にゲームセンターで行われていたんですね。

それが時代が変わって欧米中心になってきて、やはりいまアメリカが一番盛り上がってます。ラスベガスのマンダレイ・ベイはまさに実際の格闘技イベントも行われている場所ですが、ここで毎年格闘ゲームの大きな大会も開催されるようになっていて、毎月各国各州ですごい数の大会が行われています。

正直、ちょっと日本は置いて行かれて追いつけないような状態になっていると思うんです。ただ、日本は大会の賞金や、その他の法整備の問題もありますから、そこを意識しながらe-Sportsというよりはエンターテインメントとしてこういう(「RIZIN.13」のような)大会を楽しめる形というのはずっと模索していたんです。

「小さくても地道にやっていこうよ」というぐらいのつもりでいたんですけど、ひとつは ちょうど昨年あたりから日本でもe-Sportsが注目されたことで、僕らが意識している以上に外の会社さんから声をかけられることがすごく増えたんです。「バンダイナムコエンターテインメントさんはすごく良いコンテンツを持っていますよね。一緒に何かやりませんか?」とスポンサードしたいというお話がたくさん舞い込んできました。

これはむしろ、我々の動きのほうが遅すぎるのではないか?」ということで、今年4月から初めて「e-Sports課」という専門の部署を社内に発足しました。私の立場も『鉄拳』シリーズをプロデュースする以外にもワールドワイドなマーケティング戦略もやっており、その一環としてe-Sports課があります。

e-Sports課は少数のチームで、お話を持ってきてくれる会社さんとの交渉を行ったり、話ができるようにする窓口となっています。そこに急にいろんなところからオファーが来るようになり、その中にRIZINさんから「なにか面白いことはできないか」というお話があったことがきっかけです。

――e-Sportsが注目されている状況から、RIZIN側から今回のお話が来た形なんですね。

原田氏:実は今回の「RIZIN.13」以前の大会でも、エキシビションマッチみたいな形で一回やってるんですね。

――えっ、そうだったんですか!?

原田氏:(『鉄拳7』とRIZINのコラボの)お試しでまず、大会が始まる前に会場で『鉄拳』の体験会をやろうとしたんです。来場者がプロ選手に『鉄拳』を教えてもらえるような場を作ろうとしました。なんならエキシビションマッチもやってみたらどうかと。だからメインのスクリーンに映らないし、あくまで会場の余興としてそういうコーナーがありますよ、というところから始まったんです。

――最初は試合に含まれる形ではなく、会場のいちコーナーとしてのコラボだったんですね。

原田氏:一回そういう形でのコラボを経て、現場間で「じゃあ次はどうしようか」という話をしているときに、榊原さん(※)が「やるんだったら本気で、次は本気でやりたい」とおっしゃって。格闘ゲーム自体のポテンシャルを感じてくださったんです。

(※榊原信行氏 RIZINの実行委員長。過去、株式会社ドリームステージエンターテインメント代表としてPRIDEの運営を行っていた。)

やはり「観る」という意味では一緒じゃないですか。構図が非常に似ている。何の構図かというと、格闘技は誰しもやっているわけではないですよね。MMA(総合格闘技の名称、Mixed Martial Artsの略称)や、キックボクシングの選手って世界でも日本でもごく一握りの人間だけじゃないですか。だけど彼らの試合を観る人はすごく多い。それはなぜかというと、だれが観ても、自分が格闘技をできなくても、試合を観ていて熱くなれるし、どちらが勝っているのか一目瞭然だからです。

その構図と格闘ゲームは似ていて、格闘ゲーム自体もゲームを購入してエンジョイしている人の数はそれなりにいますが、やはり世界のレベルで競っているプレイヤーはごく一握りなんですね。だけど観る人の数は圧倒的に多くて、見てどちらが勝っているか、強いかがわかりやすいというのがあります。そういう意味で格闘技と格闘ゲームの構図は似ています。

榊原さんはそこにポテンシャルを感じているとおっしゃっていました。加えて言うと、こういう実際の興行になるとやはりRIZINさんに一日の長がありますし、榊原さんはテレビ業界出身の方なので、選手の人間関係にフォーカスし、試合を見せる演出面にかなり重視しています。

榊原さんは格闘ゲームもゲームそのものだけじゃなくて、たとえば今回で言えば日本vs韓国というライバル同士の国の対決とか、因縁の対決であるとかそういうところにフォーカスしていくともっといい見せ方ができるんじゃないか、ということをおっしゃっていました。

そこをまだまだ伸ばす余地があるし、やっぱりゲーム業界だけじゃできないことっていうのを我々がやれる自信があるんだとも話していました。RIZINさんはそういうところをかなり見てくれていたんだと僕らは解釈しました。

――今回の『鉄拳7』がRIZINに参戦する発表はTGS2018で行われましたが、そこではフジテレビで放映しているe-Sports専門番組「いいすぽ!」のプロデューサーの門澤清太氏も参加されていました。その関係も今回の試みに繋がったのでしょうか。

原田氏:そうです。やっぱりフジテレビさんもe-Sportsに力を入れていきたいということで、地上波でみんなが見れるようにしていきたいんだということを語っていました。

――「いいすぽ!」はCS放送のフジテレビONEで放映されていましたが、今回の「RIZIN.13」の『鉄拳7』の取り組みは地上波で放映されたそうですね。(※2)

(※2  9月30日の「RIZIN.13」当日の試合のインターネット配信とは別枠で、『鉄拳7』日韓戦は2018年10月4日(木)深夜「いいすぽ!」にて地上波放映された)

原田氏:僕もTGS2018の直前に聞きまして、「マジか!?」と驚きました(笑)。フジテレビさんは、きっとスポンサーさんなど周りの速度が意外に早かった事からe-Sportsの波を感じてくれたと思うんですよね。そうしたe-Sportsの盛り上がりを実感しながら、RIZINさんの興行と、我々の『鉄拳7』のポテンシャルを見てくださって、かなり後押ししてくれたのだと思います。

■「鉄拳修羅の国」韓国の『鉄拳』シーンはいかにして出来上がったのか



――今回の「RIZIN.13」では韓国チームが「鉄拳修羅の国」と称される通りの勝利を挙げました。韓国で『鉄拳』シーンがどうやって発展し、様々な大会で結果を出すようになった背景には何があるのでしょうか。

原田氏:『鉄拳』シリーズは24年やっていますので、僕はかなりいろんなデータを統計的に取っているんですけど、完全な答えと言うのは未だに出てはいないんです。というのは『鉄拳』シリーズはデータ上で見ると、今日の(RIZINの煽りビデオ内での説明では)4,400万本売れたと出ていますが、実は4,700万本売れているんです。『鉄拳7』が現在300万本を超えて売れているので。

実はセールスの半数を占めるのはドイツ、フランス、イタリア、スペインを中心に、ヨーロッパで根強い人気を誇っている作品なんです。

――シンプルに考えればヨーロッパの国々が修羅の国になってもおかしくないんですよね。

原田氏:でもヨーロッパはワールドツアーなどでは一番結果が出てないんです。実は。

――競技的に突き詰めるというより、カジュアルな遊び方をするユーザーが多いということでしょうか。

原田氏:そうなんだと思います。その次にセールスがあるのはアメリカです。アメリカはもともとはとても強い国だったのですが、ゲームセンターが一気に無くなってしまって、アーケード文化が早くに衰退したんですよ。その途端に『鉄拳』に限らず一時的にアメリカの格闘ゲームシーンって弱くなってしまったんです。

アーケードがなければ、家庭用ゲーム機で格闘ゲームをやらなくてはならない。でも、一昔前は家庭用でオンライン対戦も整備されていない時期がありましたよね。今でこそオンライン対戦はできますが、かつてはゲームセンターもなければ、オンライン対戦もできない時期があって、試合経験が積めず結果的に弱くなったんです。

日本は昔からいろんな格闘ゲームがけっこう強いんですが、韓国では『鉄拳』のブームというのが1999年の『鉄拳タッグトーナメント』からなんです。『鉄拳』の1、2、3の時はそこそこだったんですが、『鉄拳タッグトーナメント』がすごくヒットして国民的ゲームと呼ばれるレベルに人気が高まったんです。


――それは韓国でプロモーションも仕掛けた面などもあったのですか?

原田氏:いや、実は当時は積極的に我々からはやってなかったんですよ。

――はっきりとした原因がわからず、自然発生的にヒットしたということなんでしょうか。

原田氏:間違いなくこれが要因だ!というのはわからないんです。韓国のアーケードに置いてみたところ、学生からサラリーマンまで遊んでいたんです。当時よく言われたのが、『StarCraft』と人気を比べられたことです。「遊ぶのは『StarCraft』か『鉄拳タッグトーナメント』か」って言葉があったくらい、社会人の嗜みというレベルまで流行り、「どっちのゲームをやってる?」という会話が普通に成立するくらい人気がありました。その時に競技レベルが異常に上がったんです。

――韓国のアーケードの文化がどういったものなのかあまり知らなくて、『StarCraft』がお話で挙がったようにPCでのオンラインゲームが強い印象があるので意外です。

原田氏:PCゲームはもちろん人気が高かったのですが、当時はよくよく調べてみるとアーケードも人気を二分するほど浸透していて、『鉄拳タッグトーナメント』はどこのゲームセンターに行っても置いてあるという状態でした。

当時韓国のレベルは上がっていたんですが、まだ日本には及ばなかったんです。ところが『鉄拳4』、『鉄拳5』と続いていくうちに、『鉄拳6』の時に韓国で格闘ゲームのテレビ番組「TEKKEN CRASH」が始まったんですよね。

テレビで『鉄拳』が放送され始めたあたりから、急激に『鉄拳』プレイヤーを応援する人が現れました。『鉄拳6』って9年くらい前ですから、たぶんかなり早くから『鉄拳』プレイヤーのプロ化が始まっていたんです。

――プロスポーツのように『鉄拳』プレイヤーを選手として見て、観客が応援するという構造ができあがっていったんですね。

原田氏:僕らの分析なんですけど、韓国のプレイヤーはゲームとして楽しむという以外に、観客の前で期待に応えて勝たなければならないということを、僕らより何年も前にもう何回も何回もやりはじめていたんです。

日本人って面白いことに、試合内容を見るとわかるんですけど、ただ勝つだけじゃダメって意識があって、ちょっと魅せて勝つなどみんなに称賛される勝ち方をしたいって思いが強くて、勝負と言うより勝ち方や負け方ということにすごくこだわっているように感じます。

――それこそ「RIZIN」みたいな実際の大舞台の格闘技イベントでの試合の価値観にも通じる話ですね。ただ勝つだけでは選手を評価しないみたいな。

原田氏:そうですね。韓国はどちらかというと最強である証をどう残すかというのは勝ち負けでしか決まらないというところにすごくシビアな闘いをやっています。練習方法も違うんですね。本当に強い人同士が集まって、マッチアップしていって、本当の格闘技のように同じ技を反復するとか、苦手な連携を行うとか、一日ガードの練習をしているとか。ジムでトレーニングしているようなものじゃないですか。

日本人だと実戦のなかで強くなっていく。ゲームセンターという場であったり、大会という場でどんどん強くなる。一方で韓国の選手は地道な練習の中で、ハイレベルな選手が集まって、しっかり合宿までやって強くなる。エンターテインメントとして広く楽しんでいる日本と、競技的なスタンスを早く始めた韓国との差がちょっと出てきたのがこの数年なのかな、と感じています。

――確かに日韓でそうした差はあるかもしれないですね。

原田氏:みんなが使わないキャラをあえて使って笑いを取りに行ったりとか、そういうのを日本人はやるんで。だから面白いことに、仮に日韓で100人vs100人のプレイヤーで一ヶ月闘ったとしたら現時点では韓国のほうが強いと思うんですけど、1発勝負で闘ったとすると、日本人が普段見たことのないキャラクターを使うので、韓国人がびっくりして面食らって負けるっていうのが昔からよくあったんです。それすらも対策しなきゃということで彼らも学んでいたりするんです。

――魅せ方を意識する闘い方が予想を外した活躍をするのは、MMAだと所英男選手(※3)みたいなイメージがありますね。

(※3 所英男 自分から打撃も寝技も積極的に仕掛けるファイトスタイル。過去に圧倒的不利な相手から大盤狂わせの勝利を上げたことで注目を集める。やるかやられるかの内容になることが多く、面白い試合を数多く生み出す人気選手。)

原田氏:ほんとそうですよ!勝負は水物じゃないですか。

■格闘技イベントから学べること



――日本の格闘技をみてもそういう面がありますからね。今回の『鉄拳7』日韓戦はそうしたエンターテインメント的な見せ方で興味深く見れたんですけど、これまでe-Sportsで「煽りビデオ」やテーマ曲を流しての入場みたいな演出ってあったのでしょうか。

原田氏:PRIDEのころから続く煽りビデオのナレーションは立木文彦さんが行っているじゃないですか。あの感じでやっているところが過去にあるんです。

MASTERCUPていうプレイヤーコミュニティが10年前から仕掛けているチーム制の大会があって、選手だけで1,000人以上集まる大会なんです。そこで実は、何年も前から立木さんのナレーションで各チームの煽りビデオは作られていたんです。わりとPRIDEをリスペクトして作っていて、それが何年も続いていました。

こういう演出は結構響くらしいぞ」というのは僕らもわかっていたんですけど、なかなかゲーム業界って見てるほうも、提供する側もゲームの中で物事を考えてしまうので、選手の背景を僕らが言わなくても、一番コミュニティがわかっているでしょってスタンスでやっていたんです。

ただこういう一般の場に来たときに、はたと気づくのはやっぱりみんながわかっているわけないので、どれだけ煽れるのかと。それはよく考えたら、格闘技の世界もそうじゃないですか。

――たしかに観客みんなが選手の細かい技術的なものを熟知しているわけではないですからね。

原田氏:その選手の背景も知らないこともあるわけじゃないですか。ぶっちゃけ、その選手自体を知らなかった、ってこともあるでしょうし。それに対して煽りビデオがあるということは当然すごくいいことで、我々も今回はRIZINさんがその演出に力を入れてるなと話していて、あれを見てやっぱり上手いなと思いました。正直見習わなきゃいけないなと。今後僕らはRIZINさんから学んでやっていくことも多いと思います。

――現在、野球やサッカーなどのチームもe-Sports部門を持つような形になっています。今後も格闘技イベントと『鉄拳7』との関わりを続ける予定はありますか。

原田氏:希望としては、いろんなトライをしたいというのがまずあります。必ずしも、格闘技の試合がメインで並ぶ中のいち試合として『鉄拳7』を入れてもらうというのが、みんなにとって正解かどうかはまだ僕もわからないです。

今回はRIZINさんたちもフィードバックを得るためにあえてチャレンジしてくれたんだと思います。すごく遠い将来、理想の世界でいうと、たとえば将棋の世界では、普段みんな見ていなかったけれど藤井聡太さんというスーパースターがひとり現れただけであれだけ盛り上がったわけじゃないですか。

ああいうことが格闘ゲームの世界でもどんどん起きてくると、みんなの見方も変わってくるので、僕はいろんな選手を育てて、いろんな場面で、いろんなやり方で試していきたいというのが強いですね。

――現段階では種を蒔いているという段階でしょうか。

原田氏:そうですね。その時代背景のなかで、スター性のある選手が「これだ!」と思うタイミングで来ると十分あると思うんです。そしたら、またこういう場所で試合ができるんじゃないかなと。

――最後に、『鉄拳7』のプロデューサーとしてメインの「那須川天心vs堀口恭司」ってどんな風に映っていましたか?

原田氏:ちょっと、あのふたりのレベルは異常でしたね……リングサイドの真際で見ていたんですけど、ふたりのパンチとキックが想像以上に速くて……正直、あれはゲームよりも速いですよ。ゲームを作るときは、プレイヤーが見やすいようにわざと遅くしたりするんですよ。あんなの速すぎて見えないので、ある意味演出映えしないからゲームでは採用できません。びっくりしましたね!

最初、堀口選手の一発目の打撃も「おお!」と思いましたけど、やり返した那須川選手のキックが速すぎて見えなくて……蹴り足を戻すところが見えた時に打撃音が聴こえたりってレベルでしたね。「なんだこれ…ちょっとゲームにはできんな…」と。

ゲームのほうが速いって印象があるとおもうんですけど、この試合を見て「ゲーム以上にファンタジーな世界ってあるな…」と思いました。逆にゲームのキックのスピードのほうがよほど現実の格闘技っぽいんじゃないかって思うくらい速かったんで。「バグってんな……このふたり…」って感じました。

――(爆笑)那須川選手と堀口選手はビデオゲームを超えていたんですね!本日はありがとうございました。
《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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