目指したのは“原作と同じ感覚”―『バイオハザード RE:2』開発者インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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目指したのは“原作と同じ感覚”―『バイオハザード RE:2』開発者インタビュー

『バイオハザード RE:2』ゲームディレクターの門井 一憲氏、チームディレクターを務める安保 康弘氏、そしてプロモーションプロデューサーの神田 剛氏が語る魅力と制作秘話!

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写真左から:神田 剛氏、門井 一憲氏、安保 康弘氏

2018年11月19日、カプコン本社で行われた『バイオハザード RE:2』(以下『バイオ RE:2』)メディア体験会にて、開発者インタビューを行いましたのでその内容をお届けします。『バイオ RE:2』でゲームディレクターの門井 一憲氏、チームディレクターを務める安保 康弘氏、そしてプロモーションプロデューサーの神田 剛氏に、本作の魅力をはじめ制作秘話などをお伺いしました。



――オリジナルの『バイオハザード2』の発売が1998年。今回なぜ『バイオハザード2』をリメイクしたのでしょうか。


神田氏:『バイオ2』はファンの中でも人気が高い作品でして、我々も今まで何度かリメイクは考えていました。今作『バイオ RE:2』では、ユーザーの皆様にリッチなゲーム体験を提供するため、リアリティのある物を作りたいなと。なぜこのタイミングだったのかは、「機は熟した」というところでしょうか。自社エンジンの「RE ENGINE」を使って『バイオ7』を開発して、ユーザーの皆様に満足のいく物をお見せできる技術や体制も整い、納得のいく状況になった部分が大きいです。

ファンの皆様の声に対してのリアクションもずっと引っ張っていましたし、我々としてもちゃんと答えを出していきたいなと考えていたので。ここでチャレンジしていきたいなと。

――開発スタッフの中でも、『バイオ7』の反響もよかったし、いっちょ作るか!みたいな反応だったのでしょうか。


門井氏:そうですね、やっぱり今だからこそ表現できる事がたくさんあるので。少し前に発売していたら、また違った『バイオ2』のリメイクになっていたかもしれません。今回、このタイミングだからこそ、自信を持って「シリーズ最新作」と言える、一番良い物が出来たと思います。

安保氏:我々二人(安保氏と門井氏)は過去に『バイオハザード リベレーションズ2』を作っていて、この作品は少し年をとったクレアが出てくるんですよ。2っていうナンバリングも被ってるから、『バイオ2』の話もしながら作っていたのがあって。その時に「若いクレア見たいよねぇ」「見たいねぇ…」っていう話もしてました(笑)。で、今回『バイオ RE:2』の話が出た時、我々自身とても喜びましたね。

(編集部注:『リベレーションズ2』の開発が終わったタイミングに近い時期で『バイオ RE:2』の企画がスタートしたとの事)

――プロジェクトとしていつかやりたいよね、という形があったんですね。では実際に、開発に取り組んで大事にした事や苦労した事があれば伺いたいです。


門井氏:20年前と今を比べると画面の表現も違うし、昔と全く同じようなものを作ってしまうとちょっと厳しいものになってしまうので、原作を大事にしつつ現代風に落とし込むのが一番苦労した部分ですね。ファンそれぞれに『バイオ2』の好きな部分があると思うので、そういったゲーム内で印象に残っている部分は残しつつ、今見るとおかしいよねっていう部分を修正していく匙加減が大変でした。キャラクターや舞台だけが同じだけっていうゲームではなく、原作を遊んだ「感覚」が同じものを『バイオ RE:2』では目指していたので。


安保氏:最初に「どこを変えるか」「ここは変えちゃダメ」みたいな話をスタッフ集めてしましたね。ここを変えたら『バイオ2』じゃなくなるよね、逆にここは今やるなら変えなきゃダメじゃない?とか。まず最初に「ストーリーは絶対に変えちゃダメだろう」という話になりました。それぞれの結末を描いたストーリーを改変するのはまずい。ただその上で「原作で描かれなかった部分は掘り下げてやるべきだ」という事で、今回いろいろストーリーにそって手を加えています。

ゲーム性に関しては、原作にあるアドベンチャーが主体の部分は変えていません。バイオハザードの近作はアクション性が上がっていたり、今回ビハインドカメラ(三人称視点)になっている事もあってアクション寄りにいく方向性もありえたんですが、「原作はアドベンチャーゲームだからアクションゲームにしちゃダメだ」という点はかなりこだわりました。


門井氏:ゾンビもそうですよね。

安保氏:「ゾンビは怖いんだよ!」って。怖い存在にしたくて、ただ倒すだけの敵にはしたくなかったですね。

――では逆に、バイオシリーズは初めてだったり『バイオ7』をプレイしてファンになったよ!という新規層の方に向けて届けたいメッセージがあれば伺いたいです。


門井氏:『バイオ7』をプレイした後になんの知識もなく入っていけるよう、7と同じUIで揃えるなどはしています。バイオという名前だけは知っているという若い方もいるので、そういった方達にも手に取ってもらえるよう、キャラクターも見た目から入れるよう大事にしました。グラフィックも作り込んでいるので、普通に「新発売のゲーム」として新規ファンにも手に取ってもらえるかなと。

安保氏:ビハインドカメラにした理由の1つも、新規の人が受け入れやすい形にしようと思ったからですね。最初はいくつかテストもしてみたんですが、『バイオ2』のエッセンスを入れれば、当時のカメラアングルじゃなくてもちゃんと『バイオ2』になる事がわかったので。

神田氏:ゾンビサバイバルホラーとしてお勧めしたいので、直球でゾンビホラーやりたい人って方に「これだ!」と伝えていきたいですね。オリジナル版を体験された方には昔の思い出も含め、新しい方にはゾンビホラーとして押していきたいです。

――ユーザーの方に向けて「ここを見てほしい!」という部分があれば教えてください。


門井氏:やっぱりゾンビですね。とにかくゾンビを怖くしよう!と頑張ったので。

安保氏:僕はドラマですね。主人公のレオンとクレアって歴代作品の中でもすごく人気のあるキャラなんですが、その理由って原作の『バイオ2』が持ってるドラマ性だったりするので。当時の主人公感を描きつつ、今回は掘り下げてアレンジもしているので、その部分を是非見てほしいです。

神田氏:リッカーの立体的な動きを見てほしいですね。表現の範囲も広がって、リアリティの部分だったり世界観もこだわって作っているので。敵の動きもぜひ楽しんでほしいです。

―― E3やgamescom、TGSなどで『バイオ RE:2』を試遊したユーザーからの反響はいかがでしたか?


神田氏:触ってもらった手ごたえとして「こういうのを待ってた!」といったポジティブな反応をいただけた事はすごく嬉しかったですね。ユーザーだけじゃなくプレスの方の反響もよくて、E3ではBest of Showにも選ばれました。(Game Critics Awards Best of E3 2018 / E3で最も注目されるタイトルに贈られる賞)日本のサードパーティが受賞するのは初という事もあって、しっかり仕上げ、完成さなくてはいけないという糧になりましたね。

門井氏:この方向でよかったんだ、と自信がつきましたね。

――「RE ENGINE」について、『バイオ7』から改良された部分はありますか?


門井氏:常にバージョンアップしている状態ですね。今回『バイオ RE:2』ではサウンド部分にリアルタイムバイノーラルという立体音響の新たな技術を採用しているので、5.1chでなくとも(指定のヘッドフォンじゃなくても)ちゃんと前後左右、立体的に音が聞こえます。そういった音像表現の部分も、エンジン含めてアップグレードしています。

安保氏:タイラントなんかも、隣の部屋にいる時でも存在感を感じるように、あえて遮蔽をちょっと超えて音が聞こえるようになっていたりしますね。あとはリッカーが立体的に動くルートのナビゲーションだったり、手足を壁にそわす処理とか、技術的な部分もバージョンアップして対応しています。

門井氏:リッカーが横の壁にくっつくとちょっと重心が下がるんですよ。そういう細かい部分も作っています。物理エンジンでいえば、ゾンビが一度ラグドールで死んだ後もちゃんと復活できるように、ラグドールからの復活などもできるようにしました。

――今後『バイオ RE:2』にVRやFPSモードを追加するといった構想はあるのでしょうか。


神田氏:うーん、両方ないですね!(笑)

安保氏:実は色々テストもしたんですが、やっぱり他は必要ないなという判断になりました。今回はビハインドビューで最高のゲームプレイとなるようにしているので。

――ではこの流れで、マーセナリーズやDLCといった追加要素の有無も伺いたいです。


神田氏:追加コスチュームやオリジナル版の音源が入っている「Extra DLC pack」は用意させていただいてます。また、『バイオ2』のエクストラゲームとして収録されていた「The 豆腐 Survivor」と「The 4th Survivor」に関してはしっかり用意してます。その他については…未定ですね(笑)。

――編集部に聞いてこい!と言われたのでお伺いしたいのですが、タイプライター式キーボードはなぜ高価格になったのでしょうか。


神田氏:限定版を作るにあたって、ファンの方が喜んで下さる物で珍しいアイテムを考えたら、ゲームの中でも登場するタイプライターならマッチングできるんじゃないかなとなりまして。値段に関しては「このメーカーさんのこのキーボードとコラボしたい!」ありきの結果ですね。その分しっかりしたクオリティの物がお届けできると思います。

門井氏:おかげ様で我々の期待以上の製品になりました。本物のタイプライター式キーボードなので!

――開発者として、新作を作る時とリメイク作品を作る時で気持ちに違いが生まれたりするのか伺いたいです。


門井氏:お手本があるので作りやすい部分もあるのですが、逆に原作の縛りがあるからできない事もあったりしますね。もちろん、お手本以上の作品にしないといけないですし、

安保氏:プレッシャーもありますね。原作が人気だったというので「あれを超えなきゃ!」という部分ではハードルが高くて。

神田氏:今回は「シリーズ最新作」のつもりで制作しているので、新規の人にもゾンビホラーとして体験してもらいたいですね。ホラーの方向性は少し違いますが、VR含めて『バイオ7』が怖すぎたと言う方には『バイオRE:2』がちょうどいいかも。『バイオ RE:2』はそこよりもう1段遊びやすいと思います。

――では最後に、ユーザーに向けて一言ずつメッセージをお願いします。


門井氏:原作のゲームが存在する作品ではありますが、我々は「シリーズ最新作」を全力で作っています。昔のバイオを知っている方にも知らない方にも、両方に楽しんでいただける作品になっているので、どうぞ『バイオRE:2』をよろしくお願いいたします。

安保氏:変えるところと変えないところを吟味して、ファンの方に喜んでもらえるように意識してリファインしました。、一度プレイされたファンの方がもう一度新鮮に遊べるよう頑張りましたので、原作ファンの方はぜひ遊んでみてほしいです。期待していて下さい!

神田氏:ただ怖いだけではなく、レオンやクレアといった人気キャラクターが生み出すヒューマンドラマや世界観も深く作り込まれているので、ファンの方にもシリーズを遊んだことがない方にも楽しんでいただける作品になっています。懐かしくも全く新しい『バイオ RE:2』の発売までもう少しお待ち頂ければと思います。

――ありがとうございました。


『バイオハザード RE:2』はPS4/Xbox One/PCを対象に、2019年1月25日発売予定です。
《えれ子》
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