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Game*Sparkレビュー:『Anthem』

PS4/Xbox One/PCを対象に2月22日より発売された『Anthem』のレビューをお届けします。

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『Anthem』は語るのが非常に難しいゲームです。プレイしている間も、常に試されているような気持ちになります。それは、本作が手放しで褒め称えたい楽しい部分と、とてもフラストレーションの溜まる部分が同居したゲームだからです。

すでに多くのユーザーから指摘されていることかとは思いますが、このゲームには非常に多くの問題点があります。そして、その問題点の中でもとりわけ目立つのはバグやエラーなどのゲームプレイ以外の要素なのです。したがって『Anthem』のレビューをするにあたって、そういうゲームプレイ以外の不満要素を考慮しないわけにはいきません。

しかし、結論からいえば、私は『Anthem』というゲームが好きです。予約特典である「VIP体験版」にようやくログインし、初プレイしたときの手触りはかなり新鮮で、すぐに魅了されました。残念ながら筆者の環境では「VIP体験版」をまともにプレイすることは叶わず、ログインエラーや無限ロードが頻発してしまい、遊べたのはたったひとつのミッションだけでした。しかし発売時には、もしかしたらとても自分好みのゲームが提供されるのではなかろうか、という期待がありました。

『Anthem』にはバグ、エラー等の問題点が山盛りです。人並み以上に辛抱強いプレイヤーであってもイラつかされるようなタイミングだって、もしかしたらあるかもしれません。そのことを根拠に本作を「優れたものでない」と見なすプレイヤーも多いでしょう。

しかし、だからといって『Anthem』というゲームを見逃すのはあまりに惜しいと私は考えます。メカがビュンビン飛び回っては大爆発を巻き起こすような愉快なゲームは、年に何本も遊べないからです。なので、まず最初は大きく言って3つある本作の秀でているポイントを見ていきましょう。不満要素については最後にまとめることとします。また、今回のレビューは発売から約7~14日間にプレイした記録をベースにしているので、今後のアップデート次第では内容に差異が生まれる場合があります。


ジャベリンスーツがめちゃくちゃカッコイイ



本作で、プレイヤーは「フリーランサー」として「ジャベリン」と呼ばれるエクソスーツ(外骨格スーツ)をまとって戦闘に身を投じることになります。細部の意匠に至るまで細かくデザインされ、質感までフェティッシュに設定できるジャベリンが、おそらく本作の最大の魅力でしょう。逆に「なんかスーツとか機械とかよくわからんけどハクスラRPGみたいなゲームやりたい」とか「ちょっとジャベリンのデザインは好きじゃないけど遊んでみたい」と考えるプレイヤーに本作はフィットしていない、と言い切ってしまっていいように思います。


こちらは私がカラーリングしたジャベリンです。この記事でも軽く紹介されているのですが、素材感やカラーリングなど細かくこだわって設定しています。といっても、設定すべき項目は多すぎず、カラーリングが面倒くさくならないギリギリのバランスになっています。レビューという言い訳をもとに自分のこだわったジャベリンのスクリーンショットをたくさん使えるのは嬉しいことです。


自分のジャベリンを飛ばしている時間は、我々フリーランサーにとって至福の時間と言えます。FPS/TPSに慣れたプレイヤーにとって操作にあまり習熟を必要としないというのは本作の美点でもあり、また欠点でもありますが、少なくとも「インスタントに自らのジャベリンのかっこよさを感じたい」という欲求にはハマっているでしょう。ミッションのリザルト画面で他のプレイヤーのものと共に自分のジャベリンが並んでいるとき「やっぱうちの子がいちばん可愛い……」と毎回惚れ惚れしています。そして、こういった趣味を持つプレイヤーは恐らくフリーランサー向きです。


動かしているだけで楽しいジャベリンですが、戦闘になればかっこよさは更に倍加します。というのも、本作は戦闘がめちゃくちゃ派手だからです。始終どこかで爆発がおこり、炎上し、ビカビカ光り続けるので画面は非常にうるさくなりがちですが(特に筆者は属性攻撃に長けた「ストーム」というジャベリンを使用してるのでそうなります)そのぶん戦闘は爽快。適切な難易度選択でさえあればかなり気持ちが良いです。

細部まで美しい世界観と膨大な設定たち



ディテールまでこだわられたSF/ファンタジー的設定も『Anthem』の魅力のうちのひとつです。その全容は、とてもではないですが一朝一夕では把握しきれません。また、風景などはどこを切り取っても美麗そのもので、2019年のAAAタイトルとしての貫禄を充分に感じさせてくれます。レビューのために撮りためたスクリーンショットを眺めていると、ああ本当に美しい世界だなと再確認できました。風景の中で突如現れる人工物も歴史を感じさせてくれて、非言語的な表現でもって世界観を拡張しています。


「ライブラリ」の項目では、本作の設定が膨大な文章量で多面的に語られます。すべてを読み切るというのはなかなか骨が折れるでしょうが、なんとなく把握しておくと本作の楽しさはより増します。本作の世界ではラジオドラマが主流な娯楽であり、いくつかの種類があって、その内容について登場人物が議論するくだりがあったりするのですが、そういう世界観の広まりを感じさせてくれるディテールが、私は特に好きでした。


主要な拠点である「フォート・タルシス」も、調度品などの細部にまで工夫が為されていて本当に素晴らしい出来だと思います。町の人にもそれぞれにバックストーリーやキャラクターがあって会話パートも面白く、スタッフのこだわりが感じられます。モンスターやボス、敵勢力などのデザインも概ねかっこよく、戦っているときにはある程度の緊張感が得られます。


世界観は全体として「どこかで見たことのあるもののいいとこ取り」とも言えそうなのですが、それも細部まで作り込んであるので気になりません。深掘りが好きなオタク的素養のあるプレイヤーでしたらディティールを読み込むのも楽しいでしょうし、逆に一切ライブラリを読まずにプレイしたとしても支障は出ないので、押し付けがましいものではありません。

大味だがフツーに楽しいゲームプレイ



さて、大まかにビジュアル面のことを紹介してきましたが、肝心の触り心地はどうでしょう。より強いドロップを求めてミッションを周回するハック&スラッシュ&ルート式のゲームプレイは、シンプルですがそれだけで充分に楽しいものです。序盤、どんどんと自分のジャベリンが強くなっていくのはそれだけで嬉しいですし、後半と装備相性などを考えるようになる段階では別の楽しさもあります。これはまあ『Anthem』に限らず同様のゲーム全てに言えることでしょうが。


本作の最高レアであるマスターワーク/レジェンダリーは、ドロップ時の演出が派手なので最初に見つけたときはなかなかテンションが上りました。自分の理想の装備品を集めるのはやはり根源的な楽しみがあり、のめり込む人はのめり込むでしょう。『Anthem』はハクスラ(この言葉の用法について議論があるということは承知していますが、やはり馴染みがあるので使っています)として必要充分の楽しさがあるといえます。


先ほども少し触れましたが、本作の戦闘はド派手です。そのド派手さが極に達するのが「アルティメットスキル」使用時で、すさまじい画面効果が発生するだけでなく威力も高いのでかなりのカタルシスを得られます。また、最も重要とされる「コンボ」システムも狙って発動できるようになると楽しいですし、オンラインでプレイする場合は役割分担して狙うことで共闘感が高まります。高難易度でプレイする場合、コンボを意識することは必須とも思えますので、ご存知でない方は調べてみましょう。


ゲームプレイに関して最後になりますが、筆者の環境はPC版なのですが、本作はパッドでも非常に快適に操作できるゲームであることは触れておきたいです。というよりむしろ、自分としてはパッドのほうが快適なのでは?と思うぐらいにジャベリンの操作性が上昇したように感じました。もちろん部位を狙ったり遠距離戦闘を多く行う場合はマウス操作に分があるでしょうが、PCゲームをパッドで遊びたい方も安心してプレイできます。

「ジャベリン」、「世界観」、「ゲームプレイ」。この三点が、『Anthem』の良いところだと私は考えます。ところで、シンプルな話をしますが、人がゲームを褒めようとするのは「良いところが悪いところを上回っている」場合であると私は考えます。私は『Anthem』が好きですが、このゲームにおいて「良いところが悪いところを上回っている」かどうかは、正直なところ、「上回っている」と即答できない自分もいます。

バグやエラーなど数多くの不満点



最初にも書いたように、このゲームには数多くの明らかな問題点があります。そしてその多くが、あまりに頻発するように感じられるバグやエラーたちです。筆者は先行プレイで2019年2月15日からプレイしていましたが、そこから22日のDay1パッチが配布されるまでは、度重なる接続エラーに悩まされていました。

また、あまりにロードが長大なため、インストール先をSSDに変更したりと試行錯誤もしました。ロードの長さについてはパッチなどで多少改善されましたが、まだまだ「かなり長い」と言わざるを得ないのが正直なところです(PC版の場合、よほど気の長い人でなければSSDはほぼ必須であるように感じられます)。また数多くのログインエラーにも悩まされました。


そして筆者の環境では、リリースから間もない頃にかなり多くの表示バグが起こりました。グラフィックス設定が原因かもしれない……と考えられたため、ゲーム序盤では画質をものすごく下げてプレイしていました。いくつかのパッチが当たった今ではあまり発生しなくなったので戻しましたが、グラフィックが大きな魅力である本作の序盤を、ほぼ最低品質で遊ばねばならなかったのは悔しいです。


そしてなにより本作の最大の問題点は進行不可バグ/消失バグです。『Anthem』リリースからすぐの頃の話ですが、「途中参加」を選ぶと高確率で進行不可状態になったミッションと合流していました。途中参加によるマッチングが機能しない場合が多く、全員で死ぬか退出するしか解決策がありません。またミッションのリザルトでフリーズし、せっかくドロップしたマスターワークが消失することもあり、これにはかなりやる気を削がれました。正直なところ、これらのバグを理由に本作に怒っているプレイヤーたちの気持ちは大いに理解できます。


バグ以外の問題点もかなり多いです。街での移動が遅く、せっかく作り込まれた「フォート・タルシス」での街パートが、中盤以降どうしようもなく面倒くさいものに感じられてしまう点はかなり残念でした。また、ミッション中に遭遇する謎解きは、「答えに気付いた人が自分しかいない場合、他プレイヤーにクリアを妨害されるときがある」または「自分が答えを分かっていない場合でも、他プレイヤーのおかげで考えずにクリアできてしまう場合がある」ので、野良でのマルチプレイをすることが多くなる本作のデザインと絶妙に噛み合っていないと感じました。フリープレイ内で起こる突発イベントも多くの場合はソロでやることになりますし、はっきりうまくいってない部分でしょう。


大型ボスや敵の種類もあまり多くはないですし、マップのほとんどが渓谷や道などの細長い場所である点も気にかかりました。開けた場所もあるにはあるのですが、多くが闘技場型というか、ある程度区切られた空間です。見た感じひらけた場所であっても、高度制限によって結局は谷で戦うことになります。全体としてバリエーションに欠け、エンドコンテンツに達したプレイヤーからはコンテンツ不足の声も多いです。こういった細かな問題点は枚挙にいとまがなく、本作がとてもぎこちないゲームに感じられる瞬間もあります。

総評



『Anthem』はいいところと悪いところの差がかなり激しいゲームです。プレイ初期は楽しくても徐々にストレスがたまる構造になっていますし、エンドコンテンツに辿り着く前に諦めてしまうプレイヤーも多いでしょう。しかし、現状の『Anthem』の問題点はそのほとんどがアップデートによって解消可能なものに思えます。現に2月28日のアップデート後には多くの人が不満に感じていたマスターワークの排出率が目に見えて上がったように感じます。たまたま私の運がよかっただけかもしれませんが……。

本作には独自の魅力も数多くあるので、適切なアップデートが為され、バグが改善されれば、恐らく「化ける」ゲームでしょう。私は、現状のアップデートのペースが持続され、本作がよりよいゲームになっていくことを強く願っています。現在の『Anthem』はかなり未成熟なゲームです。これからの展開次第で後の評価も変わっていくことでしょう。

総合評価: ★★☆

良い点
・ジャベリンによる新鮮なゲームプレイと楽しいカスタマイズ要素
・作り込まれた世界観、美しい演出
・アップデートに期待できる


悪い点
・ゲームプレイ中に遭遇する不具合。特に進行不可バグ、消失バグ
・全体としてバリエーション不足
・ところどころ快適とは程遠い、ぎこちないゲームプレイ
・アップデートなしでは未完成に感じられる



「Game*Sparkレビュー」では、読者の皆さまのゲームの感想も募集しています。下記リンクにて質問にお答えください。回答期間は2019年3月12日から2019年3月19日まで。また、集計終了後には「Game*Spark読者レビュー」として記事を公開し、回答やコメントを取り上げる場合があります。

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