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ギリシャ神話を辿って『アサシン クリード オデッセイ』DLC「アトランティスの運命」EP2を解説!有名な英雄の他、EP3の重要人物も

内容はEP1「エリュシオンの大地」からの続きになっており、今回もギリシャ神話を軸にした世界観、ストーリー展開となっています。

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ギリシャ神話を辿って『アサシン クリード オデッセイ』DLC「アトランティスの運命」EP2を解説!有名な英雄の他、EP3の重要人物も
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2019年6月5日、『アサシン クリード オデッセイ(以下オデッセイ)』では、有料ダウンロードコンテンツ第2弾「アトランティスの運命」のEP2「ハデスの責め苦」の配信がスタートしました。


内容はEP1「エリュシオンの大地」からの続きになっており、今回もギリシャ神話を軸にした世界観、ストーリー展開となっています。今回は冥府が舞台ということもあって全体的に雰囲気が暗くなっていますが、ギリシャ神話の中で華々しい活躍をした英雄たちの他、冥府に関連する神や魔獣が登場します。本稿では神話と『オデッセイ』での設定、EP3で舞台となるであろうアトランティスについても少し解説します。

!注意!
本記事にはネタバレに繋がる記述が含まれています。




ハデスの番犬・ケルベロス登場!意外な弱点も?



冥府で最初に登場するのは、ハデスの愛犬でもあるケルベロス。三つの頭を持つ怪物で、ゲームや漫画など、『オデッセイ』に限らず様々な作品に登場しています。

ギリシャ神話だとケルベロスは冥府の番犬であり、『オデッセイ』の方でも同じ立ち位置となっていることが主人であるハデスの口から語られ、ケルベロスを倒したアレクシオス/カサンドラはその代役を探しに行くことに。


『オデッセイ』の中では普通に戦って倒すことになるケルベロスですが、ギリシャ神話では非常に獰猛な獣として知られており、許可なく冥府を出入りしようとする者にとっては大きな障害となっていました。しかしケルベロスには意外な弱点が2つあったりします。1つ目は音楽。ギリシャ神話に登場する吟遊詩人・オルフェウスが、死んだ恋人を蘇らせるために冥府へ向かった時、音楽を聞かせてケルベロスを眠らせたことがあります。オルフェウスはハデスとその妻・ペルセポネの前でも歌を聞かせており、二人を涙させて恋人を取り戻しました。ただその後は……ギリシャ神話らしい展開が待っています。

もう1つの弱点は、甘いもの。神話の中で描写されることはほとんどありませんが、ケルベロスをやり過ごそうとした人々の中には、甘いお菓子を与えた人物もいます。番犬が餌付けされるなんてあってはならない気もしますが、それもケルベロスの魅力(?)かもしれません。

冥府の主らしい冷徹な神、ハデス。神話の方では少しギャップも?



さて、ケルベロスの次に主人公を迎えてくれるのは、冥府の主であるハデスです。冥府の主らしく厳格な雰囲気の持ち主で、上述した通り主人公に難題を吹っかけてきます。愛犬が倒されたこともあり、EP2全編を通して愛想よく接してくれることはありません。多くの創作物で語られているような、悪人よりの人物として『オデッセイ』でも描写されています。


神話の方でも、ハデスはペルセポネからあまり笑ったりしない、お堅い人物だと言われています。一方で冥府の主として職務をまっとうしようとする一面もあり、とある医者が死者を蘇生してしまう程の技術を手に入れた時は、世界の秩序を乱すものだとして、兄弟であり神々の王であるゼウスに医者を罰するよう頼んでいます。オルフェウスの時も、初めは彼の恋人を返す、つまり蘇生させることには反対していました。もちろん、結局はオルフェウスの歌に感動してしまうのですが。


『オデッセイ』の中では弟の存在について触れられており、EP2で実際にその弟が少しだけ登場します。その弟とはポセイドン。ギリシャ神話では、ゼウスに次ぐ実力者で、DLCの題名にもなっている「アトランティス」は、彼の子孫が治めている街です。本格的な活躍は、おそらくEP3「アトランティスの裁き」になるでしょう。


兄弟仲の方はいい……のかどうか分からない部分があります。淡々と話しているような雰囲気があり、一言では言い切れない感じです。主人公をダシに使って楽しそうに賭けをしていたところから、険悪な関係というわけではなさそうですが。少なくともペルセポネがハデスに対して向けている感情ほど、嫌悪感は出ていないように思えます。


神話の方はどうかというと、これもなかなか難しい部分があったりします。そもそもハデス自体、ギリシャ神話の中では登場する回数がかなり少ない神。兄弟であるゼウスやポセイドンとの絡みも少なく、仲が悪い可能性も十分にあります。

理由としては、ハデスが最も活躍したであろう「ティタノマキア」の戦後にあります。ティタノマキアはティタンという、ゼウスやハデスの父・クロノスをリーダーとしている神々のことで、ハデス達とは対立していました。この戦いはハデスたち兄弟の勝利で終わるのですが、その際に世界の支配権を兄弟で分けることになります。この時はクジでどの領域を支配するか決めることになり、ハデスは冥界を引き当てました。しかしそのお陰で、ハデスは冥界、冥府での職務に縛られることになってしまいます。これが理由でゼウスたちのことを恨んでいるとしても、無理はないでしょう。


しかしギリシャ神話の中で、ハデスが反乱を企てようとしたことは一度もありません。「イリアス」によれば他の主要な神々はゼウスに対して一度反乱を企てたことがあるのですが、そこにハデスの名前は上がっていませんでした。それどころか「イリアス」では、地上で大暴れする弟たちへ、妻と一緒に怖がっているシーンがあったりします。

こんなエピソードを聞くとなんだか情けない神のような気もしてきますが、「ティタノマキア」では先陣をきって敵地に潜入、ティタン神族の武器を奪って弱体化させる、という狡猾で勇敢な面も持っています。堅物で真面目、憎み切れない一面があるのが、ギリシャ神話におけるハデスといった感じですね。神であるのにも関わらず人間味があるのは、ギリシャ神話の大きな特徴でもあります。

職務に忠実な冥府の渡し守



次に紹介するのは、冥府の渡し守をしているカロン。彼はハデスの下で死者を冥府に運ぶ役割を持っており、『オデッセイ』でも死者たちを運んでいる姿を目にすることが出来ます。

仕事の関係もあって、『オデッセイ』でカロンはハデスよりも協力的な姿勢で接してくれます。彼から受けることができるクエストの中では、死者たちが硬貨を盗まれて困っている、という場面も。


この硬貨に関するお話は、ギリシャ神話というより古代ギリシャの習慣が元になっており、当時は死者の口に硬貨を挟むことがありました。これはカロンに冥府の川を渡して貰うための賃金で、当然ながらこれがないと冥府へ入ることが出来ません。古代ギリシャでは来世の存在が信じられており、冥府に入れなければ当然来世に向かうことは出来ず、死者にとって硬貨を失うことは大きな問題だったことになります。

EP2では有名な英雄が四人登場。まずはメデューサ殺しのペルセウス



EP2では主に、ハデスの命令でケルベロスの代わりに冥府の門を守護する4人の英雄を探してくるようになります。いずれも神話の中ではかなり有名な人物で、EP1の舞台・エリュシオンにいる方が相応しいような英雄たちです。


最初に紹介するのはペルセウス。本編でも名前がたびたび出てきており、あのメデューサを神話の中で倒した英雄になります。戦闘ではメデューサと戦う際、神々から受けた支援を連想させるような動きも。その中には一定時間透明になる行動があり、これはハデスがペルセウスに貸し出した帽子、あるいは兜の効果によるものです。


つまり死後も借りっぱなしというわけで……『オデッセイ』に登場するハデスはこのことに一切言及していませんが、本心ではどう思っているのでしょうか。

イリアスの主要人物。名誉を愛するアキレウス



二人目に紹介するのはアキレウス。アキレス腱の由来にもなった人物で、ギリシャ神話でおそらく最も有名なエピソード、イリアスの主人公的な英雄になります。

神話の方と同じように、『オデッセイ』のアキレウスは名誉のために戦う人物なのが、戦闘中の台詞からも読み取れます。俊足のアキレウス、と神話の中で呼ばれていたこともあり、素早く移動するシーンもしばしば。使っている武器は槍で、ここも神話のアキレウスと同じです。もっとも、イリアスの中では弓を使うシーンもあったりと、武術全体に才能があったようではあります。


この戦いでは名誉を得られない、と主人公を気遣うような言葉を投げかけてくるアキレウスは、一見すると面倒見のいい人物に見えるかもしれません。しかしイリアスの彼は、どちらかといえば自己中心的で、仲間の危機よりも自分の名誉を優先することもある、ちょっと面倒な人物となっています。戦争の最中、名誉を汚された時は出陣を拒否し、謝罪があった後も断固としてその姿勢を変えることはありませんでした。その結果、幼馴染の親友を亡くしてしまいます。

そこでようやく名誉を汚した張本人と和解し、戦線へ復帰。イリアスは終わりに向けて一気に加速していくことになります。ちなみに主人公的な扱いを受けることがあるアキレウスですが、序盤はほとんど登場しなかったりします。

欲深い総大将アガメムノン。アキレウスとトラブルも



三人目はアガメムノン。アキレウスと同じく、イリアスでは主要人物の一人として、全編に渡って登場します。EP1で監視者の一人として登場したイピネゲイアの父親でもあり、弟には当時のスパルタ王がいる大物になります。


しかしこのアガメムノン、探すように言われた四人の門番候補者の中では、かなり辛辣な説明がされています。それもその筈で、イリアスでは総大将として軍を率いていますが、非常に欲深く、立場はそこまで違わない筈のアキレウスから戦利品を奪っています。アキレウスはこれに激怒しアガメムノンや仲間たちのために戦うことを放棄。アガメムノンに非があることを彼の周りにいる将軍たちも口にしますが、彼は謝ろうとせず、軍は窮地に陥っていくことに。武将として活躍するシーンはありますし、弟のスパルタ王が負傷した時は激怒するいい兄でもあるのですが、悪い印象の方が目立っている人物ですね。

ギリシャ神話最大の英雄、ヘラクレス



最後に紹介するのは、ギリシャ神話最大の英雄とも言われるヘラクレス。ゼウスの息子で、十二の難行を制覇したエピソードが有名です。その難行の中ではヒュドラ、キマイラといったギリシャ神話を代表する怪物はもちろん、単身冥府へ向かい、無事生きて戻った数少ない人物でもあります。


『オデッセイ』のヘラクレスは、戦いそのものを楽しんでいるかのような節があり、どこかアキレウスに近い印象を受けます。戦い方もとにかく正面から押してくる正攻法で、ある意味では英雄らしい戦い方と言えるでしょう。


ヘラクレスは難行の他にも、神々の戦いに唯一人間でありながら参戦した経歴を持っています。ギガントマキア、というギガース(巨人族)との戦争で、巨人族は人間でなければ倒せない厄介な怪物でした。そこでゼウスはヘラクレスを呼び、彼は次々に巨人族を倒していきます。その経歴を証明するように、ヘラクレスと戦う場所では串刺しになっている巨人の姿を確認することもできます。


ちなみにヘラクレスのいる場所はタルタロスという土地で、こちらは生前に重い罪を犯した人物たちが放り込まれる場所になっています。EP2では、ここから罪人たちが溢れ出てしまうことをハデスが問題視したことが、物語の中心にもなっています。

ここに入っているのは、門番候補の一人であるアガメムノンの祖先で神々を騙したタンタロス、ゼウスの浮気を密告したシシュポス。そしてゼウスを中心としたオリュンポス神族と対立したティタン神族、ギガースといった神、怪物も入れられています。タルタロスの囚人が解き放たれることは、『オデッセイ』の世界でも神話の世界でも非常に危険だったわけです。

EP3に向けて…そもそもアトランティスって?



四人の門番候補をすべて倒せば、冥府での冒険はひとまず終わり。次はEP3、「アトランティスの運命」の最後のエピソードが始まります。PVを見る限り、舞台はおそらくアトランティス。ポセイドンを軸にしたストーリー展開となるでしょう。

しかし実はアトランティス、神話の出身ではありません。ソクラテスの弟子の一人である古代ギリシャの哲学者・プラトンの著作に出てくる巨大都市となっています。


アトランティスは当初、ポセイドンの子孫を中心に統治され順調に発展していきましたが、そこに人間の血が混ざり始め、都市は荒廃していきます。その有様を見かねたゼウスたちはアトランティスを海の底へ沈めることを決断。アトランティスは海中へと姿を消すことになります。

EP3のタイトルが「アトランティスの裁き」ですので、人々の荒廃とゼウスたちによる都市の消滅が絡んでくる可能性は高いでしょう。ポセイドン本人が登場しそうな点も見逃せません。

他にも気になる点といえばエリュシオン。EP2ではエリュシオンについてほとんど触れられておらず、アドニス達がどうなったのかすら分かりません。EP3に登場してきそうな気はしますが……7月の配信を待ちましょう。

参考文献:「イリアス」(著:ホメロス、訳注:松平千秋、出版:岩波文庫)「神統記」(著:ヘシオドス、訳注:廣川 洋一、出版:岩波文庫)、「ギリシャ神話」(著:アポロドーロス、訳注:高津春繁、出版:岩波文庫)、「アエネイス」(著:ヴェルギリウス、訳注:小野塚友吉、出版:グーテンベルク21)、「ギリシャ神話を知っていますか」(著:阿刀田高、出版:新潮文庫)、「天国と地獄がよくわかる本」(著:クリテイティブ・スイート、監修:一条真也、出版:PHP文庫)
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