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ギリシャ神話を辿って『アサシン クリード オデッセイ』DLC「アトランティスの運命」を解説!EP2の展開はどうなる?

本稿では、『アサシン クリード オデッセイ』DLC「アトランティスの運命」EP1「エリュシオンの大地」で取り上げられた神々や人物について、神話と『オデッセイ』の設定を比較しながら解説していきます。

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4月22日より、『アサシン クリード オデッセイ(以下オデッセイ)』有料ダウンロードコンテンツ第2弾「アトランティスの運命」の配信がスタートしました。


ギリシャ神話を軸にして進むこのDLCの最初のエピソード「エリュシオンの大地」は、ギリシャ神話にも登場する死後の楽園・エリュシオンが舞台。ゲーム本編で名前が出てきた一部の神々も登場しています。本稿では、そんな「エリュシオンの大地」で取り上げられた神々や人物について、神話と『オデッセイ』の設定を比較しながら解説していきます。

!注意!
本記事にはネタバレに繋がる記述が含まれています。




冬の誕生神話。妻のペルセポネにハデスはメロメロ?



エリュシオンに到着したアレクシオス/カッサンドラを迎えるのは、冥界の王・ハデスの妻であるペルセポネ。ストーリーを進めていくうちに、彼女はハデスに攫われてこの土地へやってきたことが分かります。

これはペルセポネの代表的なエピソードで、ギリシャ神話における冬の誕生とも関わりがあったりします。その発端は、ハデスがペルセポネに一目惚れしてしまったことでした。どうにかして彼女の気を引けないものかと、ハデスは神々の王・ゼウスに相談します。ゼウスはペルセポネの父でありハデスの弟でもあるので、許可を取る上でも重要な相手と言えるでしょう。

しかしゼウスは、ペルセポネが母のデメテルから大切にされていることを知っていました。が、兄弟の悩みとあらばどうにかしなければなるまい……というわけで、強引に連れ去ることを提案します。当のゼウスも、神話では無理やり女性と関係を持つシーンが多く、彼らしい提案というわけです。


恋は人を盲目にするもの。まあこの場合は「神」になるわけですが、とにかくハデスはゼウスの提案に乗ってペルセポネを誘拐してしまいます。さすが兄弟。

ペルセポネは抵抗も出来ず冥界へ連れてこられてしまいます。困惑するペルセポネ。しかしハデスはそもそも彼女に惚れているので、乱暴なことはせず、彼女のことは優しく扱っていました。神話上では、意外と悪くない関係だったように思えます。

さて一方、行方不明になった愛娘を探してデメテルはあちこち歩き回ります。そこでハデスが娘を攫ったこと、ゼウスがそれを許可していたことを知りました。どうにかして娘を取り戻したいデメテルですが、ゼウスが許可あるとなるとそう簡単にはいきません。そこでデメテルが選んだ方法は、職務放棄でした。


デメテルは豊饒の女神。食物の生育も彼女の担当。仕事をしなくなったのでは、人間の世界は凶作で苦しくことになります。つまり、冬の季節が訪れるわけです。

ゼウスもさすがにこれはまずいと考え、ハデスの元に使いを送りました。弟の頼み、人間界の危機となると冥界の主も無視はできません。仕方なくペルセポネを母親の元へ送り返そうとするのですが……ここで策を仕込みました。ペルセポネに冥界の食べ物を与えたのです。

何の疑いもなく食べてしまうペルセポネ。その後、母親の元に戻りますがそう長くはいられませんでした。冥界の食べ物を口にした者は、食べた量に応じて冥界に留まらなければならない掟があったからです。

こうしてペルセポネは一年の四分の一、つまり冬の間だけ冥界で暮らすことになりました。その後はハデスの妻として彼の仕事を補助し、冥界の女王として振る舞うことも。人間の詩人・オルフェウスが妻を蘇らせるために冥界へやってきた時には、彼の願いを叶えるようハデスに頼んだこともあるようです。もちろんその際、ハデスは妻の頼みを断ることが出来ませんでした。冥界の王も惚れた女にはとことん弱いようです。

一方のデメテルは娘がいないあいだ仕事をしないので、地上は作物が育たず……これがギリシャ神話における冬の誕生になるわけです。

『オデッセイ』の中では、ハデス夫妻の関係は決して良くありません。母デメテルとは神話通りの関係のようですが、世間一般で感じられている「恐ろしい神」というイメージが、最初のエピソードから感じられます。次のエピソードでは出てくるようですし、実際のところどうなのかはそこで分かることでしょう。


ちなみにEP1の最初に出てくるペルセポネの愛犬・ロスですが、エリュシオンにやってきた主人公に対しては好意的に接してくれます。ですが、客人に対して好意的に接する犬となると……その先に想像できるのは“アレ”でしょう。古代ギリシャで書かれたギリシャ神話の原典「神統記」では、その正体が書かれています。ギリシャ神話入門としてもちょうど良いので、興味があれば読んでみてください。

ゼウスの参謀、ヘルメス



エリュシオンで主人公を迎えてくれる神はもう一人います。伝令と旅人、商人の守護神・ヘルメスです。本編の方でも、その銅像は各地で見ることができます。

エリュシオンの住人として馴染んでいるように見えるヘルメスは、ギリシャ神話の方でも冥界関連のエピソードに登場します。例えば先述した詩人・オルフェウスの冥界下り。オルフェウスは死んだ妻を生き返らせるため、冥界の奥にいるハデスとペルセポネの元へ向かおうとします。この時ヘルメスはオルフェウスを導いたとされ、彼が妻と再会することに協力しました。

ヘルメスは冥界との連絡役としての一面もあり、いくつか有名なエピソードでも登場しています。そのひとつは、先ほども触れたペルセポネの誘拐。この時、ハデスにペルセポネを返すよう直接言ったのはヘルメスでした。ペルセポネを迎えに行ったのもヘルメスで、神々のいる天界から冥界へと、汗を流して働いてくれたわけです。

もうひとつはメデューサのエピソード。メデューサと言えば、見る者を石に変えてしまう怪物として有名です。今回のDLC「アトランティスの運命」をプレイしている方には馴染みのある名前でしょう。

神話では、メデューサの討伐はある人間に託されます。しかし相手は見る者を石に変える怪物。見つからずに接近できるのかどうかも分かりません。そこで神々は、ヘルメスをハデスの元へ送り、ハデスが持つ兜を貸してもらうよう命じました。ハデスの兜には、被ると姿が見えなくなる特殊能力があったからです。さらに別の女神からは、視線を防ぐために鏡の盾を与えられました。こうしてハデス、ヘルメスの助力によってメデューサは倒されたわけです。

『オデッセイ』でヘルメスは、主人公の持つ杖の力をさらに引き出す、助言者のようなポジションでもあります。神話の方でもゼウスの相棒、参謀役として活動することが多いので、『アサクリ』でもうってつけの神と言えますね。


しかしそんなヘルメス、ストーリーを進めていくと発明品を盗まれるシーンがいくつか見られます。彼は神話中では盗む場面の方が多い泥棒の神様なんですが、『オデッセイ』だと逆の立場になっています。この辺りは、ゲームでなければ見られないギャップですね。まあ「この」の部分がヘルメスの泥棒としての自信を指している可能性もありますが。

ペルセポネとアプロディーテを悩ませる美少年、アドニス



エリュシオンで繰り広げられるEP1の中心人物には、神ではなく人間の姿もあります。最初に向かった街で出会うことになる、アドニスがそのひとりです。

アドニスはギリシャ神話でも人間として登場しており、美の女神・アプロディーテが惚れ込むほど美しい少年だとされています。『オデッセイ』の方でもアプロディ-テとの関係がクローズアップされており、彼女の元に行くことが、EP1におけるアドニスの目的になります。

アドニスはれっきとした生者で、冥界の一角にあるエリュシオンにいるのはおかしな話。その理由についてはギリシャ神話の方にあり、アドニスの出生と関わりがあります。

アドニスは元々人間の子供として生まれ、アプロディーテが赤子の彼を見るなり恋をしてしまいます。しかしアプロディーテはゼウスの息子と恋人関係にあったこともあり、アドニスを一端ペルセポネに預けることにしました。これが、アドニスの冥界にいる理由です。

神話の中だとその後、アドニスを巡ってアプロディーテとペルセポネが対立。ペルセポネも『オデッセイ』と同様、アドニスに惚れ込んでしまっていたわけです。

この争いを仲裁したのはゼウスでした。彼はアドニスに、一年の三分の一をアプロディーテの元で、同じ期間ペルセポネの元で生活するように命じます。最後の三分の一については、自分の好きなように生活するよう、アドニス自身への考慮もされていました。


さすがギリシャ神話、これで一件落着……の筈がなく、アプロディーテは期限を過ぎた後も、アドニスをペルセポネの元に送りませんでした。その結果どうなったのか……アドニスはEP2にも登場する可能性が高いので、ここまでにしておきましょう。

ゼウスも敵わない大物!? 多数の異名を持つヘカテ



最後に紹介する大物はヘカテ。『オデッセイ』ではペルセポネの友人として登場する神です。『オデッセイ』の設定通り、ヘカテは神話でも冥界に関係がある人物。神話では冥界のトップ3にも入る人物で、絶大な権力を持っています。

ヘシオドスの「神統記」に書かれた絶賛ぶりからもそれが分かります。ギリシャ神話を構成する天界、地上、冥界を自由に干渉できる権限を持ち、人間には大きなご利益を与えてくれる女神として慕われています。神々の王ゼウスでも簡単に手を出すことは出来ませんでした。

また、複数の異名も持っており、死の女神、霊の先導者、女魔術師の保護者、と呼ばれています。


『アサクリ』の中でも、彼女はエリュシオンに住まう人間たちを支援するような動きを見せていました。人間から見ればすこぶる好意的に接してくれる女神なので、ベストな役回りなワケです。魔術的な側面も持っており、古代ギリシャの魔術師たちはこぞってヘカテを信仰したそうな。もちろん『アサクリ』では純粋に人間の味方というわけではないようで……そこはEP1を最後まで進めると分かります。

※ちなみに彼女、魔術師の保護者と言われていますが、神話では武闘派としての一面も。それはゼウスが神々の王になった後、ギガントマキアーという巨人族との戦争が起こった時のこと。ヘカテは巨人族の1人と戦い、何と松明で殴り倒してしまうのです。しかも1人で。1対1で巨人族を倒した例はかなり少なく、彼女の意外な一面を確認することが出来ます。

EP2は冥府が舞台? あの魔王は出てくるのか?



「アトランティスの運命」のEP1は、先が気になるところでの終了となります。ただPVを見るに、次の舞台は冥府でしょう。

※冥界は「エリュシオン」「冥府」「タルタロス」の3つの区域で構成されています。冥府は死者をエリュシオンに送るか、タルタロスに送るか、冥府の元にとどめるか選ぶ場所。裁判所のような感じですね。

ハデスらしき人物も確認されており、ギリシャ神話における死後の世界がどんなものか、さらに踏み込んで行けそうです。EP1から推測するに、EP2もある程度は神話に沿った世界観、ストーリーが展開されることでしょう。

元ネタである神話の方から注目したい部分としては、まずは「アドニス」が挙げられます。詳細は省きますが、アドニスはEP2にも登場し、主人公と共に冥府へ向かう可能性が高いです。それをペルセポネが黙って見ているのは、神話から見ると不自然なこと。彼女が何らかの対策を講じてくる可能性は高いでしょう。その過程でアプロディーテはもちろん、彼女の恋人である軍神・アレスが登場する可能性もありそうです。


そして、タルタロスの存在も気になるところ。タルタロスは冥界の一角にある、私たちの感覚で言えば「地獄」に該当する場所です。そこには特に重い罪を犯した人間や神、怪物が放り込まれ、ギリシャ神話ではゼウスたちと覇権を巡って争ったティターン神族が封じられている場所でもあります。行くことになればEP1と同じように、本編で死亡した人物と再会するかもしれません。

また、タルタロスには最強の怪物、テュポーンが封じられている場所でもあります。テュポーンはゼウスと世界の支配権を巡って争ったティターン神族の最終兵器のような存在で、ケルベロスやヒュドラといった、ギリシャ神話で有名な怪物たちの父でもあります。まさに魔王と呼ぶべき存在で、一度はゼウスに勝利したことも。手を広げれば大地を覆うほどの巨体を持っていたとされ、肩からは百の蛇が生え、その目からは火が迸っていたとか。

神話の生物と戦う機会は本編でもなかなか無かったので、EP2でもそこには期待したいところですね。

参考文献:「神統記」(著:ヘシオドス、訳注:廣川 洋一、出版:岩波文庫)、「ギリシャ神話」(著:アポロドーロス、訳注:高津春繁、出版:岩波文庫)、「ギリシャ神話」(著:山室静、出版社:現代教養文庫)、「ギリシャ神話を知っていますか」(著:阿刀田高、出版:新潮文庫)、「12星座・あなたの運命」(著:鏡リュウジ、出版社:日本放送出版協会)、「魔法辞典」(監修:山北篤、出版社:新紀元社)
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