ニンテンドウ64で発売された名作アクションアドベンチャーゲーム『ゼルダの伝説 時のオカリナ』。2026年現在でも、Metacriticスコアは史上最高の99点を記録しており、ゲーム史上最高傑作の呼び声も高い作品です。
そんな『時のオカリナ』のリメイクとみられる作品が「Nintendo Direct 2026.6.9」で発表されました。ティーザー映像では、作中で印象的な種族「コキリ族」に関する言及と、主人公であるリンクの寝姿が映されています。
それだけの短い映像ではあるのですが、『ゼルダ』ファン的にはこの映像にはいくつか気になる点が見られます。今回は、短い映像から現時点で分かること、予想できるアレコレを考察していきましょう。なお、本記事には原作『時のオカリナ』のストーリーのネタバレがあるためあらかじめご留意ください。
リンクの手の甲にトライフォースが輝いているのはなぜ

今回の映像は、寝ているリンクの手の甲に光る「トライフォース」の紋章をアップで映して終わる構成です。よく見ると、3つの三角形のうち左上、リンクの身体の方向からみて右下の三角形だけが強い光を放つように描写されていることが分かると思います。
トライフォースとは、代々ハイラル王国が守り続けてきた神々の遺産です。触れたものの願いを叶えるという強大な力を持っており、その特性から常に争いの火種となってきました。

原作『時のオカリナ』では、そのトライフォースを所持している時、その持ち主の手の甲にトライフォースが輝く描写があります。ラスボス戦で「ガノンドロフ」が、自身の持つ「力のトライフォース」を手の甲に輝かせ「貴様らには過ぎたオモチャだ…」と凄むシーンは印象的です。
しかし、原作のストーリーと同様ならば、ゲーム冒頭、悪夢にうなされているリンクはこの段階ではトライフォースを所持してないはず。映像は原作と同様に家でうなされている様子に見えますが、それと同時に輝くトライフォースも描かれています。

原作のストーリーでは、中盤、ガノンドロフがトライフォースの入手を試みた際に、3つのうちの2つが分裂し、資格ある持ち主のところへ飛んでいくという出来事が起こります。
その際に、資格を持っていた「ゼルダ姫」のところへ「知恵のトライフォース」が、リンクのところへ「勇気のトライフォース」が飛んでいき、二人はそれを所持することになるのです。上述した“右下の三角形”とはこの「勇気のトライフォース」を表しています。
その出来事が起きたのと同時に、リンクはマスターソードの力によって7年間封印され、目が覚めた時には青年へと成長してしまいます。
つまるところ、原作でリンクがトライフォースを得るのは大人になって以降。子供リンクの状態でトライフォースを所持している状態は、ラスボスであるガノンドロフを倒して以降、ゼルダ姫の力によってリンクが過去に戻された後しかありえないのです。

原作のエンディングは、リンクが手の甲にトライフォースを宿した状態で、ゼルダと初めて出会った中庭に帰ってくるところで幕を閉じます。ここは原作でも印象的なシーンで、公式の設定資料集「ハイラル・ヒストリア」でもこの時のリンクがトライフォースを所持していることは重要な出来事として明記されています。
原作で描かれなかった物語が描かれる?
では、今回のティーザー映像でリンク手の甲に輝くトライフォースは何なのか。考えられる可能性は2つあります。
一つは「手の甲のトライフォースはあくまで“資格”を表しているだけ」という可能性。原作『時のオカリナ』ではそのような描写はありませんが、『時のオカリナ』以外の『ゼルダ』では、資格ある者の手の甲にトライフォースの文様が宿るという描写が描かれることがあります。

例えば『リンクの冒険』では、リンクが16歳になった際に時に手の甲に紋章が現れ、それが新たな冒険に出るきっかけとなりました(しかし、これは過去のハイラル王国の王子が王国全体にかけた魔法によるものです)。
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』では、ゼルダ姫が17歳になった後、ガーディアンの手からリンクを守ろうとしたさいに「封印の力」が覚醒。そのさいにゼルダの手の甲にトライフォースが輝きます。

『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』でも、リンクがまだトライフォースを手に入れていなくても、その資格を手に入れた時点でトライフォースが輝くという描写が見られました。
そのため、原作『時のオカリナ』にはないにせよ、それらのちの作品で描かれた描写を踏襲し、時のオカリナのリンクもトライフォースを得る資格がある“選ばれしもの”であることを強調する演出として映像に盛り込んだのかもしれません。
しかし、これまでトライフォースを所持できる資格は、上述のとおり基本的に16歳や17歳といったある程度成熟した年齢になって、相応しい力が認められてから現れるものでした。『時のオカリナ』の子供時代のリンクは明確にそれよりも幼く、まだ資格があると判断できるような年齢ではないようにも思えます。
それに、まだガノンドロフがトライフォースに触れていないのに、まるでトライフォースがはなから持ち主のアタリをつけるように資格を現してしまうなら、未所持のガノンドロフの手の甲にも同様に力のトライフォースが現れる可能性がありえるということになります。

もう一つは、「映像は実はエンディング後」の可能性。『時のオカリナ』のエンディングでゼルダ姫によってリンクが過去に戻される際、リンクは「勇気のトライフォース」のみを所持した状態で過去に戻ります。そのため、エンディングでリンクは右下のトライフォースだけが輝いているのです。上述のとおり、トレーラーでうなされているリンクもまた、右下のトライフォースが強く輝くように描写されています。
そうなると、実はこの映像のリンクはゲーム冒頭ではなくエンディング後のリンクという可能性もなくはありません。しかし、ティーザー映像でエンディング後のリンクを映す理由はどこにあるのでしょうか。

考えられるとするならば、本作は単に原作『時のオカリナ』のストーリーをなぞるだけではない新たな物語が展開される可能性です。
そもそも、ニンテンドウ64の原作『時のオカリナ』に忠実に、グラフィックだけ一新したようなリメイクは、現代のノンリニアな『ゼルダ』を経験したユーザーにはマッチしないかもしれません。ゲームの遊びの面から見直すような大胆なリメイクになっているのだとしたら、それに合わせてストーリーも変化する可能性は十分にありえます。
いずれにせよ、今回の映像はあえてリンクの手の甲のトライフォースを強調するような構成になっており、なにか意図があることを感じさせます。上述の通り単純にリンクが選ばれし者であることを表す表現であるだけの可能性もありますが、その場合にはいくつかの疑問が残ります。
「コキリ族」と「妖精を持たぬ少年」の存在を伝承するタペストリー
時のオカリナのリンクは、7年後である「大人時代」にてガノンドロフを討伐した後、ゼルダの力によって7年前の「子供時代」へと帰されることになります。帰還した子供時代ではまだガノンドロフはハイラルへと侵攻を行っておらず、リンクはゼルダと共にガノンドロフの野望を未然に防ぐことになります。その子供時代の後の世界が『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』の世界です。

『トワイライトプリンセス』に登場する、リンクに剣の奥義を教えてくれる骸骨は、実は『時のオカリナ』のリンクの亡霊であることが公式に明かされています。骸骨の戦士は「勇者としての生を受けながら後世に名を残せなかった」ことを悔いるようなセリフや、『トワイライトプリンセス』のリンクに対して「我が子よ」と呼び血の繋がりを示唆するセリフを、原作で発言しているのです。
つまるところ、リンクの存在は子供時代の後世には語られなかったということであり、そうなると映像のタペストリーは大人時代に描かれたものということになるのかもしれません。

あらためて、ティーザー映像のタペストリーには、コキリの森を守る「デクの樹」と、そこに住む「コキリ族」が描かれています。デクの樹の右下にはハイラル城と思われる建物と、謎のドーム状の建造物が描かれています。デクの樹の下には何かトゲトゲとしたものが描かれていますが、それが何なのかはまだわかりません。タペストリーの上部にはコキリ族の営みを描く意匠があり、デクの樹の左上には「妖精を持たぬ少年」リンクの眠る姿が見られます。

映像でも説明している通り、コキリ族の住む森はハイラル王国の辺境にあり、人に知られずひっそりと存在しています。彼らは森から出ることはできないとされていましたが、大人時代にてデクの樹の子供が誕生し、リンクが森の賢者を復活させて以降、彼らは森の外へと出ることになりました。
『時のオカリナ』のエンディング、平和が戻ったハイラルを祝う宴のようなシーンでは、他の種族たちと共にいるコキリ族の姿を見ることができます。『ゼルダの伝説 風のタクト』に登場する賢者「マコレ」の子孫である「フォド」もまた外へ出たコキリ族の一人です。

コキリ族の存在が外に知られ、タペストリーとなっているということは、このタペストリーはリンクがハイラルを救った大人時代の世界で描かれたもの、と考えることができるかもしれません。
しかし、問題はタペストリーに描かれたリンクの存在です。『風のタクト』の世界の冒頭で聞ける伝承にて、リンクは「何処からともなく現れた若者」として伝えられています。このタペストリーが仮に大人時代の、エンディング後に描かれたものだとするならば、少なくともハイラルに平和が訪れた直後には、リンクの存在は出生から語り継がれていたということになるのかもしれません。

しかし、そもそもこのタペストリーは誰が作り、どこに飾られているものなのでしょうか?エンディング後の世界にしか存在し得ないように思えるこのタペストリーですが、はたしてゲーム内で見ることはできるのでしょうか。
ここまで「コキリ族」の存在が表舞台にフィーチャーされるのは珍しいことであり、もしかしたら彼らの出生や文化に対する新たな設定や物語がニンテンドースイッチ2版では描かれるといったこともあるのかもしれません。
制作会社はどこ?
最後に、このリメイク版『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を作っているのはどこなのかということについて考えてみます。
現在、『ゼルダの伝説』本編を手掛けている会社は主に任天堂の自社とグレッゾの2社があります。また、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』ではモノリスソフトが開発協力で大きく関わっています。外伝ではありますが、コーエーテクモゲームスのオメガフォース、もといAAAスタジオも『ゼルダ無双』シリーズを長く手掛け続けてきました。

まず、本編シリーズを長く手掛けてきた任天堂社内のゼルダチームですが、任天堂社内でも最大級のタイトルを手掛けるチームであり、近年のゲームの開発コスト向上も相まって、その開発スパンは6年や7年と長大になってきています。最新作『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』がまだ3年前であることを考えると、今作っているであろう次回作の他に『時のオカリナ』のフルリメイクを手掛けられるほどの余力はないように思えます。
では、3DSで『ゼルダの伝説 時のオカリナ3D』を手掛け、ニンテンドースイッチで『ゼルダの伝説 夢をみる島』リメイク、そして完全新作である『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』までも手掛けた第二の『ゼルダ』の担い手、グレッゾであればどうでしょうか。

結論から言えば、『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』はまだ2年前のゲームであり、開発スパン的には早すぎるように思えます。また、これまでグレッゾは今回の映像のようなフォトリアル・ハイエンドにみえるタイトルを手掛けてきておらず、こういったタイトルの開発ノウハウがあるのかどうかについても未知数です。
ではモノリスソフトはどうでしょう。モノリスソフトは今回のニンテンドーダイレクトで『ゼノブレイド』シリーズの最新作や、過去の『ゼノブレイド』作品のニンテンドースイッチ 2 Editionとそれに付随する追加コンテンツを発表したほか、去年に『ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション』を出したばかりです。やはり『時のオカリナ』のフルリメイクを手掛けられるほどのリソースが余っているようには思えません。

そうなると、コーエーテクモゲームスがついに本編シリーズの開発に参加する可能性はあるでしょうか。これまで『ゼルダ無双』シリーズを3作にわたって手掛けてきたスタジオであり、ハイエンドなアートに対応できるノウハウも十分に思えます。しかし、設立されたばかりのAAAスタジオが去年『ゼルダ無双 封印戦記』を出したばかりであり、やはり開発スパンの面では短すぎるかもしれません。
これまで『ゼルダ』チームに携わってきたスタジオとは別のスタジオが手掛けている可能性ももちろんあります。たとえば、同じくフォトリアルな路線でのリメイクである『スターフォックス』(2026)については、『マリオカート ライブ ホームサーキット』以外に任天堂タイトルの開発実績のないVelan Studioが開発を担当していることが明らかになりました。
過去には『メトロイドII RETURN OF SAMUS』のリメイクである『メトロイド サムスリターンズ』を『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』の開発実績があるMercurySteamが担当し、その後シリーズ最新作である『メトロイド ドレッド』を手掛けるなどの大抜擢が起きたこともあります。
このように、近年任天堂と海外スタジオとの連携は強まっているため『時のオカリナ』についても、こういったアートを手掛けるのが得意な海外スタジオに外注をしている可能性はあるかもしれません。『ゼルダ』人気の本場は欧米ですから、喜んで手掛けるスタジオは多いはず。
いずれにせよ、『時のオカリナ』は筆者にとってオールタイムベストのタイトル。愛を持って現代に蘇った本気の作品を見たいと切に願っています。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は、ニンテンドースイッチ2向けに2026年発売予定です。














