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Game*Sparkレビュー:『サムライスピリッツ』

新生『サムライスピリッツ』始動。侍道を征くシリーズ最新作のレビューをお送りします。

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2019年6月27日にPlayStation 4/Xbox One対応の格闘ゲーム、待望のシリーズ最新作『サムライスピリッツ』が発売されました。筆者はPlayStation 4版で20時間以上プレイしています! EVO 2019のメイン種目に選ばれ、2回の体験版配信を経て発売された今作のレビューをお送ります。

シリーズ復活。期待通りの「サムライスピリッツ」



体験版配信時には、長すぎる標準遅延(入力の反映を遅らせる仕組み)が懸念材料として挙げられていましたが、製品版では改善されていたのでまずは一安心。何度も言われていることですが、一回の読み合い、強斬り一発で体力の4割を吹き飛ばすダメージ感は本当に爽快です。まさに指先ひとつでの逆転。リアルタイムなジャンケンという格闘ゲームの基本的な枠組みの中で、体力というチップのやりとりが大きくなるとこんなに興奮するんだ、と再確認できました。

相手の隙に対して長い技のフルコースを叩き込む「コンボゲー」とは異なり、テレビの前で「食らえぇー!」と叫ぶ「一瞬」で体力を消し飛ばす一体感があります。シリーズ未経験者には是非味わっていただきたいです。全キャラに備わった「一閃」と「秘奥義」は特にオススメ。

これらのようなカメラ演出付きの必殺技は、昨今の格闘ゲームでは「コンボの締めで最低保証ダメージを入れる役割」という印象がありました。一方、『サムライスピリッツ』の秘奥義は体力の6割から7割を奪うという大逆転技。読み切って叩き込めた時の達成感は半端ではありません。ダメージが大きく制限時間も短いので試合のテンポはよく、この快感が何度も訪れるので中毒性があります。体力最後の1ドットまで油断できない緊張感から開放されての勝利は格別です。

ジャンプ、ダッシュ、崩しを軸にした読み合いはシンプルで、一度理解すれば多くのキャラクターに触れられることもポイントです。短いプレイ時間で自分に馴染むキャラを探したり、辛酸を舐めさせられた対戦相手の対策を練ったりすることの心理的ハードルが低く「格闘ゲームの面白い部分」に集中しやすい仕組みになっていると感じました。相手が自信満々に振り回している技を研究すると「実は強斬りが確定している」なんて分かったりして、対戦が日々洗練されていきます。

シングルプレイ要素は過去の格闘ゲーム並み



シングルプレイ要素は全9ステージのCPU戦で、一般的なアーケードゲーム並み。育成や分岐など凝った要素はありませんが、立体絵巻風の開始時デモとクリア後デモ、敵キャラ登場演出やライバルとの会話演出が盛り込まれており、格闘ゲーム経験者としては満足です。逆に言うと格闘ゲーム未経験の方には、他ジャンルのアクション系ゲームなどと比較して物足りなく感じるかもしれません。

また、CPUは難易度が上がるにつれ「超反応」と呼ばれるレベルの正確な反撃を行ってきます。よく言えば対戦における「ジャンケンの正答」のひとつを教えてくれるということなので、理不尽ながらもプレイヤーの先生役になり得るのですが、当然ながら人間らしさは皆無。何度も遊びたいとは感じられませんでした。

他には総当たり戦やサバイバルモード(無限死合)が用意されていますが「超反応」に対するパターン構築ゲームとなるため、プレイ意欲が湧きません。特に残念だったのは「ゴースト機能」。プレイヤーのクセを学習したCPUと戦える機能なのですが、400ラウンド以上の対戦記録がある私の柳生十兵衛のゴーストに、私のプレイの面影があるとは思えませんでした。

通常のCPUよりもただただ弱く、私が必死にジャンプして空対空攻撃を振っていた立ち回りも反映されているとは思えません。ランクマッチポイント上位のゴーストをダウンロードすることができたのですが、こちらもただ弱いだけのCPUでした。

シンプルさの功罪



ゲームのコア部分は非常に楽しめたのですが、気になる点は少なくありません。まずはチュートリアル。シリーズや格闘ゲーム未経験者に向けて、もう少し踏み込んだ内容にして欲しかったところです

例えば、武器飛ばし攻撃を受けて素手になってしまった場合の対抗策として「真剣白刃取り」というシステムをチュートリアルで教えてもらえるのですが、実際に武器を取り返す手段として選べるのは「奥の手」です。これしか教えられていないプレイヤーは、素手状態になった時に(対戦では頻繁に発生する)絶望的な状況と感じ、「このゲームは大味過ぎる」と評価するかもしれません。

そのため、素手攻撃の判定の強さやダッシュ崩し(投げ)の速さを活かしてダウンを取ろう!など、ヒントのバリエーションがあったほうが良いのではないでしょうか。技性能をどう解釈してどう運用するかを自分で考える楽しみは格闘ゲームの魅力ですが、特に頻出する状況についてはヒントを与え、初心者プレイヤーが脱落する可能性を少しでも減らすことも重要と思います。

押し付けがましいチュートリアルでなかったとしても、文量が多くなれば煩雑に見えてしまう恐れもありますが、こういったヒントをテキストで示すことは他格闘ゲームシリーズの『BLAZBLUE』や『ソウルキャリバー』シリーズでは受容されています。

エフェクトと判定の乖離



私個人が一番気になった点は「エフェクトと判定の違い」です。通常技の斬撃エフェクトは相手に届いているように見えるのに、実際には攻撃判定は届いていないという技が散見されました。中距離以遠でのジリジリした差し合い、間合いの取り合いがとても楽しいだけに、こういった違和感があると対戦が理不尽に感じます。

2D格闘ゲームではよくあることなのですが、現世代のビジュアルで堂々とやられると一種のバグのように感じてしまいます。攻撃判定が見た目より大きい分には「戦術として使っている感」があるのですが、小さいと単にややこしく感じます。今後の調整に期待したいところです。

良くも悪くも、懐かしい



格闘ゲームとして、「サムライスピリッツらしさ」を過去作から上手くチョイスし、ファンの期待に応えた点は評価できます。しかし、現代まで進歩してきた格闘ゲームというジャンル全体から見ると「遊びやすさ」「親切さ」「説得力(理不尽でないこと)」が不足していることは、否定できません。

ネット対戦の遊びやすさについては、相手プレイヤーとマッチングして対戦するという最低限の機能は問題なく稼働していますが「他のゲームで出来ること」がかなり不足しています

ロビーやランクポイントを気にせずすぐに対戦できる「クイックマッチ」は、本作にはありません。似た機能がランクマッチにあるのですが、「待ち受け側」になるか「探す側」になるかを選択しなければいけないのは、あまりに古臭い仕様だと感じました。待ち受け側のプレイヤーが常に1P側になることは、真剣勝負のランクマッチにおいて不適当だと思います。

次にカジュアルマッチの部屋について。ロビーに入ると大きなグリッドが一箇所用意されており、上下に並んだグリッドに自分のアイコンを配置すると対戦できます。そしてその下部に平行に並んでいるグリッドでは、観戦することが可能。このシステムにも大きな問題があります。ルール設定がなく一戦終わるごとにロードを挟んでロビーへ強制送還され、なぜか10秒拘束されるためテンポが悪いです。さらに「順番待ちという概念が存在しないこと」と「対戦が終わるごとにグリッドがクリアされる」という仕様が追い打ちをかけています。

順番待ちという概念がないため、椅子取りゲーム的にアイコン配置を行うことになるのです。ゲームセンターで例えると「順番待ちの列形成を禁止した状態で、対戦が終わった瞬間に10秒間拘束され、拘束が解けた瞬間に観戦席と対戦席の椅子取りゲームが開始される」と言えるような状態です。あまりに不便なので、私は連戦が可能なランクマッチでプレイしています。

これらの仕様について、開発元はコミュニティマネージャーを通じて意見を募集しています。姿勢そのものは評価に値しますが、基本機能があまりにも不足していると言わざるを得ません。

キャラ差と「死に技」に感じる「粗さ」



過去の『サムライスピリッツ』シリーズほどではないのですが、本作には実戦では使用する理由がない「死に技」が多くあります。役割が全く明確な技ばかりなのは『サムライスピリッツ』らしくないと言えるのかもしれませんが、現代のゲームとしてあまりに多く感じました。

ヒットさせても反撃が確定したり通常技に比べてダメージで見劣りしてしまう攻撃、硬直が長く移動距離が短いワープなど……これらの「死に技」が見た目通りの役割を遂行していないのです。通常技より派手なのにダメージがない、ワープなのに相手にチャンスを与えているというのは見た目と違う結果を得ていると言えます。

健気なプレイヤーは対戦で差をつけるため「死に技」がなんとか使えないかトレーニングモードで試行錯誤し、やがてその時間が無駄だったと知ることになるのです……。限定的な状況でこのような「死に技」を咄嗟に出し、状況を打開できれば対戦は盛り上がるはず。今後、なんとか使える技に調整していただきたいところです。


また「死に技」の発展型として「怒り爆発で一閃が確定する技」があります。柳生十兵衛の二ツ角羅刀が最たる例で、せっかくヒットさせても緊急回避として怒り爆発で回避された後大ダメージの一閃を叩き込まれてしまいます。

本来なら怒り爆発の際に仕切り直しとなる「よろけ」が発生するはずなのですが、よろけを発生させる判定が上方にないため、一方的に技の隙を攻撃されてしまうのです。このせいで、せっかく読み合いに勝っても地味な追撃をすることを強いられる局面があり、せっかくの爽快感をスポイルしています。大会を盛り下げる要因でもあるため、早急に修正して欲しいポイントです。

それでも格闘ゲーム『サムライスピリッツ』は面白い



それでもなおこの『サムライスピリッツ』は面白いのです。格闘ゲームの面白さのコアは対戦であり、その対戦体験はユニークです。細かい粗を補ってあまりあるユニークさなのです。対戦が楽しければ良いという人にはおすすめできます。

トレーニングモードに籠もるよりも場数がものを言う真剣味は、かなり独自性があり、一度対戦しだすと止まりません。一戦あたりの時間は短いのですが、やればやるほどその時間の密度を濃く感じることでき、プレイし終わる頃にはどっと疲れがくることでしょう。



総合評価: ★★☆

良い点

・格闘ゲームにありがちな練習時間はほとんどいらない
・一回の読み勝ちで大きく体力を削る爽快感
・一回の読み負けで大きく体力を削られる緊張感
・性能、ビジュアル共に個性的なキャラクターたちの操作をすぐに習熟できる
・高いリプレイ性

悪い点

・対戦そのものに問題はないが、時代錯誤な仕様のネット対戦
・死に技の多さによる一部弱キャラの閉塞感
・期待外れだったゴースト機能


※UPDATE(2019/7/12 12:3):本文内の誤字を修正しました。コメント欄でのご指摘、ありがとうございました。
《KAMEX》

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