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本編をプレイしなければわからない “約束された怪作 ”『龍が如く7』【プレイレポ】

なんとRPGとなった最新作『龍が如く7』は、シリーズファンの多くから賛否が分かれる声が上がりました。ですが、実際にはどうなんでしょうか?いよいよ発売を控えた今、どのようになったかを確かめてきました。

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本編をプレイしなければわからない “約束された怪作 ”『龍が如く7』【プレイレポ】
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主人公を変えただけでなく、なんでRPGにしたのか? ありえない……」これは『龍が如く7 光と闇の行方』(以下、『龍が如く7』)が情報を解禁するにつれ、シリーズファンの多くが思った事でしょう。

体験版が公開され、それが確信に変わった方も少なくないでしょう。新主人公・春日一番が地面に刺さった釘バットを聖剣エクスカリバーのように引き抜き、「俺は勇者だ」と言いだしたのを見て、「完全にバカゲーへと振り切ってしまった」とがっくりしたかもしれません。

ですが、本編を頭から遊んでいってみると、前情報や体験版で感じた先入観はガラガラと崩れていきます。実際にはバカゲーともシリアスとも形容しきれないほどに振り幅が大きく、いわば約束された怪作です。いやはや、良い意味で、すごい作品です

これは本編をやらないとまったくわからなかったことです。今回はそれがどういうことかをまとめてみました。

前情報のイメージからすれば、異様に渋い導入



体験版のイメージのままならば、『龍が如く7』は冒頭からホームレスや鍼師みたいな敵が溢れる世界なのかなあ……と思うのですが、冒頭からはじめたところ、そうした不安となる要素はまるでありません。

物語はまず2000年に遡ります。東城会・荒川組の組長である荒川真澄と、主人公の春日一番の関係にフィーチャーします。ふたりとも厳しい環境の中で生きており、親を失っていることも共通しています。苦い人生を生きる二人が、疑似的な父子関係を紡いでいることがシナリオの根幹に据えられているんですね。


冒頭のムービーからいくつか伏線が張られており、中井貴一氏が演じる荒川真澄の存在感や声の演技なども含め、びっくりするくらい渋い展開が続いていきます。荒川組の若頭を務める沢城丈を演じる堤真一氏も怖い演技を見せています。

今回の俳優出演に演技派を揃えた結果、ムービーはカメラワークがタイトに仕上がっているのもあり、過去シリーズと変わらぬ重厚さになっています。過去の『龍が如く』シリーズと比較しても、中井氏や堤氏が演じるシーンは臨場感があり、類を見ないものと言えるでしょう。

実の息子と同じように接してきたはずの春日に、ムショ行きを頼んだ荒川の真意とは?登場人物たちの性格や行動原理をすんなりと受け入れることができるシナリオで、 このあとサイリウムを振るアイドルオタクが敵として立ちふさがる世界になるとは到底思えない重さなんですよ。

神室町も健在!ゆっくりとプレイヤーにRPGを馴染ませる構成



なにより今回の主人公・春日一番は桐生一馬のようにひとりきりで動く伝説の極道じゃない良さがあるんですよね。下っ端なので泥臭く金の取り立てをしたり、ところどころカッコ悪いところを見せたり、無敵じゃないんです。

桐生一馬が伝説の極道というキャラクターであるがゆえに、人間らしさを出す部分では逆に天然さが見えたのに対し、春日のキャラクターは人間らしい、いい加減さや等身大の感じが伝わって良いですね。というより、こういう感じの人を歌舞伎町とかでしばしば見かけているため、実際近寄りがたい感じもなくはありません。桐生一馬はいないけれど、この頃の春日一番みたいな人はいますからね。良くも悪くも等身大です。


そんな春日なのですが、「この人はヤバいひとなんだな」というのが、後々明らかになる片鱗が若いころから出てきている、と感じさせるのが、今回のRPGバトルなんですね。

第1章のバトルではこれまでの『龍が如く』シリーズの殴り合いがそのままコマンドバトルになったかのようです。この時点ではガチャプレイで殴るアクションが「攻撃」コマンド連打に変わったような印象です。

相手を一方的に殴らずに敵の技もわざわざ受けることに対し、舎弟の安村光雄(通称:ミツ)がつっこむ。

この時点でも、まだシリーズ経験プレイヤーの中には「なんでRPGにしてしまったんだ……」と思っているでしょう。そんな心を読んでか、春日の舎弟のミツがRPGバトル特有の交互で殴り合うお約束に対して「相手の攻撃をわざわざ受けるなんてドMですよね」なんてつっこんでくれたりします。

春日はここで「ドラクエの影響で~」と言いだすのですが、弟分ですらあきれてしまうくらいにRPGゲームに影響を受けすぎている様子が上の画像にあるミツの表情をみても伝わりますよね。

今回はいつもの神室町からスタートする構成ですが、舞台を横浜の伊勢佐木異人町に移すまでの間に、シリーズのプレイヤーをストーリーに合わせて、徐々にRPGに馴染ませていこうという意図が感じられます。

街中でRPGゲームのような出来事が起き、春日の妄想が加速する

春日の妄想が加速していった背景や流れがしっかりと順を追って描かれていくので、このぶっとんだ設定にも次第に違和感を感じなくなっていきます。本編を頭からプレイして、体験版の4章にたどり着いたときは、体験版のみのプレイとまったく印象が変わってきます。ここまでに春日の心を壊すような出来事がいっぱいあるんです。本編の流れを踏まえると、上のバットを引き抜いたシーンには哀愁があるんですよね

伊勢佐木異人町で出会う、魅力的な仲間たち



春日は全てを失って伊勢佐木異人町に流れ着くわけですが、そこで仲間に出会います。それが安田顕氏が演じる、潔癖症のホームレスのナンバや、元刑事で無職となった足立宏一です。

……仲間全員が職を失っている設定というのは、これが現実だったら本当にまずい状況ですよね。これが、中高年で社会から切り離されてしまった人たちの現実を伝えているとしたら、社会的な時事性もあって非常に考えさせられるものがあります。

とはいえ春日とナンバ、足立の掛け合いの面白さは本作ならではのもの。ゲーム中では「パーティーチャット」というシステムもあり、街を歩いている途中でみんなと会話したり、食事にいったりしながらコミュニケーションしていきます。

このあたりはひとりで行動することが多かったこれまでのシリーズと違い、パーティーのムードや会話の良さはすごくありますね。春日もナンバも40代を超えてホームレスというひどい状況なんですけど、孤独に陥らずにユニークな友人がいることが何より健康によい、と感じさせるのです

仲間たちとの立ち位置や街の状況を生かしたバトル



仲間が集まってから、本格的に『龍が如く7』ならではのバトルが展開されます。コマンドは「攻撃」や、特殊能力を使う「極技」、「アイテム」とシンプルなのですが、敵や仲間も常に動いているため、戦闘での場所取りもポイントになっています。

たとえば近くに武器になるものがあれば拾って攻撃したり、サッカーボールのように蹴りつけて相手に当てたりします。また、近くに仲間がいれば追撃してくれたりもします。そこで主に活用するのは範囲攻撃のある極技です。敵が密集しているところを狙って打ちこむことで、スムーズに戦闘を終わらせていけます。

また敵を怒らせ、自分に引き寄せる極技もあり、その隙に別の仲間が強力な極技を叩き込む戦略も可能。伊勢佐木異人町では高レベルの敵が現れるエリアもあるのですが、力の差があっても戦略しだいで十分に倒せるようにできています。単純かと思いきや、意外にもやりこめるゲームデザインではないでしょうか。

ナンバリングタイトル初の、暴対法と浄化作戦の描写



『龍が如く』シリーズが今作でRPGを採用し、世界観のあり方自体を大きく変えた影響はどうやらシナリオにも表れているようです。そう、現実にも行われた、暴対法を推し進め、暴力団などが一掃された “浄化作戦 ”が実行されたことです

これは現実世界では2003年、当時の東京都知事を務めた石原慎太郎氏が始めたといいます。初代『龍が如く』がリリースされた2005年ごろにも活発に行われ、以降も実行されていましたが、シリーズのシナリオ内ではあまりフィーチャーされていませんでした。スピンオフの『クロヒョウ』シリーズで浄化作戦は一部描写されていましたが、ナンバリングタイトルでは初となります。

現実の世界でも浄化作戦の結果、暴力団が一掃されたことで街の姿が一転したということは、過去を知る方のインタビューなどを読む限りでも容易に想像できます。

『龍が如く』シリーズ本編でもついに浄化作戦が描かれ、暴力団が追いやられ、街の性質が一転する様子が描かれています。本編のシナリオにも大きく関わっており、シリーズファンとしてはRPG化も加えて、まさに時代が一変した感覚を受けるでしょう。

シリアスにも、バカゲーにも、強烈に振り回す今までにない体験



筆者は「これは春日がドラクエの妄想をしているバカゲーだ……」と先入観を持ち続けていましたが、本編の様々な要素がその思い込みをがくがくと揺さぶってきます。

過去のシリーズ作と変わらぬ重厚なシナリオ、予想していたよりも奥深さと面白さがあるバトル、妙に魅力的な仲間たちなどなど、事前の印象が突き崩されていくゲームなのは確か。とにかく実際に本編をやってみないことには、先入観が揺さぶられるこの感覚がわからない、確かな怪作なのです
《葛西 祝》

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