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ファンタジー喫茶ADV『コーヒートーク』―最良の一杯が紡ぐ多種族世界のストーリー【爆速プレイレポ】

発売48時間以内のプレイでお届けする爆速プレイレポ。今回はエルフ・サキュバス・吸血鬼などさまざまな種族が入り交じる世界にある喫茶店を舞台にしたアドベンチャー『コーヒートーク』です。

連載・特集 プレイレポート
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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。

今回は2020年1月30日にコーラスワールドワイドよりPC/PlayStation4/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けにリリースされた『コーヒートーク』について生の内容をお届けしたいと思います。



コーヒートーク』とは


本作は、かつてエルフや人狼などの間で異種間戦争が行われたパラレルな世界に存在する、2020年のシアトルが舞台。プレイヤーは夜にだけ開店している変わり種の喫茶店「コーヒートーク」のマスターとなり、エルフや人間、オークなどさまざまな種族の客に対して「最良の一杯」を提供し、会話を楽しむアドベンチャーゲームです。


ゲームのシステムとしては『VA-11 Hall-A』に近いシステムですが、大きく違うのが提供されるのがお酒ではなくコーヒーや紅茶などであること。気分を盛り上げるのではなく、落ち着いた雰囲気を作り上げることで物語が展開していきます。会話のシーンに選択肢などの要素は一切なく、エンディングは二種類です。

プレイヤーは店のマスターとして存在しますが、あくまで主役になるのは、さまざまな思いでその日訪れる客。このスタイルで進んでいく本作は、どことなく漫画「深夜食堂」などを思わせられます。

コーヒートーク』の実内容に迫る!


ゲームを開始すると簡単なチュートリアルとして、常連客である新聞社のライター「フレイヤ」のお気に入りである「トリプルショットエスプレエッソ」を提供することを求められます。注文が入ると、画面は製作パートに移り、棚の材料を組み合わせて客のニーズに答えた一杯をブレンドして提供する必要があります。



コーヒーを淹れるシーンは細かくアニメのように表現。音も心地よい。

主人公の持っているスマホにはいくつかのレシピが記載されており、その中にあるエスプレッソをチェックすると、「コーヒー」「コーヒー」「コーヒー」の組み合わせであることがわかります。早速材料を組み合わせ、完成した一杯をフレイヤにサーブ。彼女はお気に入りの一杯に表情をほころばせ、笑顔で今日新聞社で起こった話を続けます。



そうしてる間に来店を知らせる鈴が鳴り、新しいお客さんが入ってきました。彼氏と待ち合わせでこの店に入ってきたというこの女性は、角が生えたピンク肌の少しアダルトな雰囲気です。眠れなくなるドリンクはNGということで、「ココア」「ココア」「ミルク」を合わせたミルクココアを提供、どうやら満足していただけた様子。その後、女性客とフレイヤを交えた会話や、遅れてきた彼氏との痴話喧嘩などを経て「コーヒートーク」一日目の夜は更けていきました。

『コーヒートーク』の一日の流れはこれで終了になります。日々訪れる客にドリンクを提供しながら、どんどん構築されていく多様な人間関係を楽しむのがメインになります。

物語の主役はプレイヤーではなく客のもの!


本作には大筋となるようなストーリーというものが存在しないのも大きな特徴。唯一ライターのフレイヤが「コーヒートーク」をモデルにした小説を書きたいと言うことが、日々の店の総括につながるくらいです。この小説を書き上げられるかどうかは、フレイヤ自身の物語であり、決して作品全体のテーマではありません。


フレイヤ以外にもそれぞれのキャラクターはそれぞれの生き方と物語を持っていますが、それは彼らがやるべきことであり、プレイヤーは関与することはできません。主人公のすることはただひとつ、美味しいドリンクを提供し、彼らの背中をほんの少しだけ押してあげることだけです。


望む一杯を飲んだお客さんの反応は明るく嬉しい

ゲーム内にはほとんど事件は起こりません。大きなトラブルもほとんどありません。しかし、だからこそ「コーヒートーク」はいつでも立ち寄れる居場所として存在しているのです。

相手の気分に合わせた「最良の一杯」を探し出せ!


ドリンクを作るシーンでは、コーヒーやココアなどのベースを決め、生姜、シナモン、ハチミツなどの食材と3つ組み合わせることで制作されます。同じ材料でもベース・メイン・サブの組み合わせの順番で正解が異なることもあるため、正しいレシピを探すのは少し難しいかも知れません。

初日の制作風景。
2日目以降は棚に材料が増えていきます。

正しい組み合わせで飲み物を作り出すことで「カフェラテ」や「マサラチャイ」などの名前のあるドリンクを制作できますが、失敗すると「ココアはちみつしょうが」などの失敗作になり、提供しても良い評価を得られません。初期のレシピに記載されている種類は少ないため、大半は自分で見つけ出すことになります。

客のオーダーは具体的なドリンク名から、「甘くてほっこりするドリンク」など曖昧な注文までさまざま。ちなみに間違えたドリンクを提供しても飲んだときのリアクションが異なる以外に、その日のストーリー進行自体には影響しません。ただ、正しい飲み物を提供すると、スマホのアプリ「tomodachi!!」に書かれているキャラクターの情報が更新されていくため、なるべくニーズに答えたドリンクを提供するのも重要です。

ラテ系のオーダーにはラテアートを書くことも可能。
チャレンジして挫折したことだけ伝えておきます。


多種族文化が織りなす魅力的な世界!異種族恋愛はつらいよ!?


多種族が入り乱れて文化を形成しているこの世界には、やはり種族間の問題は多数起こっているようです。例えば初日に訪れたカップルであるエルフの「ベイリース」とサキュバスの「ルア」は、種族間の考え方や価値観の違いで悩んでおり、お互いの家族が認めてくれていないことがきっかけでケンカになってしまいます。


他にも、海に住む海棲族の女性「アクア」はインディーゲーム制作のことで悩んでいたり、生き血を飲まないヴィーガンの吸血鬼「ハイド」がいたり、あらゆる文化体系の違いに苦労しながら女性との交配を任務とする異星人「ニール」の悩みなど、個性豊かなキャラクターがそれぞれの悩みを持っています。


また、新しい日が始まることでチェックできる新聞を見る限り、色々と種族間で問題は起こっているようですが、それは客との世間話で少し話題になる程度で、ゲーム内に絡んでくることはほとんどありません。


カウンター越しだからこそ見えるキャラ同士の「間」に注目!


本作の大きい魅力として、各キャラクターの細かい動作が非常に人間臭いことが印象的に感じられます。カウンターの客同士の会話でも、ちょっとした目配せをしていたり、返答に絶妙な間があったりと、すべてを会話で見せるわけでなく、ちょっとした仕草で描かれた演出が非常に優秀です。

ネコミミ族の少女の話を楽しそうに聞くフレイヤ。
目線の使い方で誰が話を聞いてるのかすぐわかるのが秀逸です。

親友や恋人、もしくはたまたま隣の席になった同士が、マスターや客との会話で笑い、考え、新たな人間関係が拓かれていき、後日店で偶然出会った二人が自然と横に座って会話を始めるのを見ていると、この店を開いていてよかったな、などと思えてしまうのも不思議です。

初対面ながら共通の話を見つけた二人
次回は仲良く座ってます。

カウンターに複数の客が座っているとき、ゲームの視点は基本的にメインで喋っているキャラに向かっているのですが、スティックを操作してちょっと横の見切れている客の方をチェックすると、スマホをいじっていたりメインキャラのトークに合わせて視線を向けたりしているのを発見できます。通常見えない部分にもこだわったキャラの作りになっているのが、プレイヤーに魅力的な雰囲気を与えてくれます。

作中で誰かのスマホが鳴るとコントローラーが振動。
細かい所の臨場感も伝わってきます。

演出の優秀さは一日の終りにも感じられます。ただ閉店時間を迎えるだけでなく、例えばフレイヤが書いた原稿を読み、マスターの感想が長話になるシーンで引きになったりするなど「余韻」を活かした一日の終りを迎える演出は、良質な短編小説を読み終えたような心地よさを感じられます。



ここまで紹介してきた『コーヒートーク』は、さまざまな特徴を持つキャラクターたちの交流と、会話の演出が巧みに行われる非常に魅力的なアドベンチャーゲームとして描かれています。ただ、ゲームに派手な演出や物語を求めるユーザーには合わない部分があるかも知れません。本作がインスパイアを受けている『VA-11 Hall-A』と比べても、かなりおとなしい雰囲気の作品です。

さまざまなキャラが交流し、物語が積み重なっていく

それでも各キャラクターがそれぞれの悩みを持ち、さまざまな交流を積み重ねながら一歩ずつ進んでいくさまは非常に魅力的。その一歩を踏み出せるきっかけになるかも知れない一杯を、プレイヤーが提供できることがとても嬉しくなる作品です。こういう店があるならぜひ行ってみたいな、そう思わせる雰囲気がこのゲームには確実に存在しています。

本作はインドネシアのデベロッパー「Toge Productions」によって開発されたもの。インドネシアは多民族国家として知られており、作品にもその文化体系が生かされているようです。多民族国家だからこそ起こりうる、文化の多面性や一部偏見、種族ごとの問題などを、ファンタジー設定として置き換えることで、メッセージ色を強くしすぎずに自然と表現できています。

メーカーが「コーヒーをいれながら、心と心をかよわせるノベルゲーム」とジャンルに付けている『コーヒートーク』は、まさしくコーヒーを飲みながらゆったりプレイしたくなるような作品。良質な映画や小説を見たような、非常に美しい作品でした。


タイトル:コーヒートーク
対応機種:
PC(Steam, Microsoft Store)/PlayStation 4/Xbox One/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:ニンテンドースイッチ
発売日:2020年1月30日
記事執筆時の著者プレイ時間:5時間
価格:1,600円

《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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