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「ものづくりこそ、僕の使命」小島監督はどんな想いでゲームを開発してきたのか?水口哲也氏らと語る仕事論

2019年の話題作『DEATH STRANDING』がリリースされて早3か月。小島監督が古巣のコナミから独立し、まったく新しい環境からものづくりをしていく姿勢について、同じゲームクリエイターである水口哲也氏とともに語りつくします。

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「ものづくりこそ、僕の使命」小島監督はどんな想いでゲームを開発してきたのか?水口哲也氏らと語る仕事論
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ディレクターかつ、プロデューサーとして満足にものを作ること



さらに話題は、小島監督がいかにディレクターとして開発に取り組んだかを掘り下げます。小島監督は、多くのスタッフと制作することについて「(ディレクターに)確固たるものがないと物は作れない」とはっきり言います。

『DEATH STRANDING』の開発では、 “配達”や “繋がり”といった大胆なコンセプトもあってか「どういうゲームを体感したいか考えながら実験し、どういう話になるか(を考えていた)」と小島監督は振り返ります。「最初のほうは、スタッフも何のことかわかっていなかった」そうです。

「周りがネガティブなことを言うとブレます」小島監督の方向性もあり、周囲との意見の違いもうかがえ、「自分が間違っていることもあるので、意見は聞きますが、決めるのは自分です」と小島監督はディレクターとしての立場を説明し、その上で「クリエイターは人と作っていても孤独なんです」と語りました。

実際に、『DEATH STRANDING』を制作中に小島監督とスタッフの意見が割れたものの、最終的に通した仕様があったそうです。それが他のプレイヤーの梯子や橋などに「いいね!」を付けられるという本作の根幹ともいえるゲームデザインでした。小島監督は「最後まで(導入するかをスタッフと)揉めていましたが、最後には(自分の意思を)曲げず、スタッフに納得してもらいました。そこを変えたらこのゲームそのものが変わってしまいますから」と振り返りました。

それだけに留まらず、小島監督は「ものを作る人は、プロデューサーもやらないとダメです」と指摘。「満足いくもの作るために、お金の勘定も自分でやらなければいけません。ここで「お金は私にまかせておけば大丈夫」と寄ってくる人間は怪しいです」と理由を説明します。『DEATH STRANDING』は大胆なコンセプトのプロジェクトでしたが、小島監督自身は「石橋をすごく叩いてやっています」ともスタンスを語り、その慎重さも垣間見えました。

水口氏も「人任せにしたときのダメージの大きさがあります」と小島監督の意見に同意。「上手くいかないと、だいたいみんな自分のせいにします。組織や社会が悪いとか。でもそれは何も生み出さないから、やはり自分でお金とか管理しなければならない」と語りました。

若林氏はその話を受け、「出版だと、(本の企画を)面白いといってくれる人が(本の制作を)プロデュースして、(その本が)売れなくてもその人のせいにできるんですけど、(小島監督の話を聞くに)結構大変だなと……」としみじみと語っていました。

小島監督はかつてプロデューサーは兼ねず、ディレクターのみに専念していた時代を振り返り、「開発しているタイトルのバジェット(予算)がわからなくて、発売日の決定からなにまで権限がないため、後手後手に周っていたんです」と苦労を語りました。それから「今はジジイなんで経験があるから狡猾」と自らを評するほど経験を積み、「(プロジェクトが)このまま行ったら成功か、ダメかがわかる」ようになったそうです。

膨大な数の映画や本から、 “当たり”に出会うために



小島監督はTwitterやその他の著書にて、普段から数多くの映画や書籍に触れていることが伺えます。今回のトークセッションでも「(昔から)フランスの翻訳ものを読んでいました」と語り、映画と読書の経験から「自分が作りたい世界はアメリカが舞台になるのも、自分の体験から無理なく作りたいものがそうなるんです」といい、映画観賞や読書について「ゲーム作りの根源はそこにあります」とすら語りました。「そこに没入して、体験したことを自分の世界に持ってきます。そういう体験を映画や小説でしてきました。9割はよくない作品が多いんですけど……」

一方で、「本屋に行くと何万冊もありますが、面白いものは一冊か二冊」と小島監督は語るなか、一体どのようにして優れた作品に出会っているのでしょうか? そこで小島監督は「いいものに出会う運命を作るために、センスを磨くこと」だと指摘しました。

「(本や映画だけではなく)いい人と出会うのもそうで、運と言うよりもその人のセンスなんです」と小島監督は述べ、「(いいものを探すのに)インターネットは便利ですが、それに従って生きていくのは損」とも語ります。

若林氏は本屋やCDショップが潰れていっている状況に触れます。小島監督はそんななかでも、たとえばCDショップに寄ったとしたら、必ず試聴コーナーに立ち寄り、新しいアーティストとの出会いを試すそうです。

未来を予見したシナリオはどう書いたのか?



小島監督のビデオゲームでは近未来のテクノロジーを描くのみならず、予言するようなストーリーも描いています。たとえば『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』中の無線が今日のSNSの状況を指摘しているような内容が有名でしょう。

いったいどのようにして、予言のようなストーリーを書くことができたのでしょうか? まず小島監督は「だいたい人は、明日のことはわかるじゃないですか」と回答。「(その感覚と)地続きなことに、仮想を入れているんです」ということで、そうしたストーリーとなったそうです。

ただ小島監督は、予言する形になったことをあまり芳しく思っていないようでした。「突飛なことはいっている意識はなくて、クリエイターとして逆に現実化するのは面白くない」そうです。その理由も独特でした。「実現するということは、発想が普通だったんじゃん。おれ……みたいな



およそ1時間のなかで、小島監督の仕事論や、ものづくりをしていくためのスタンスのほか、水口氏とクリエイターの資質の違いなど、興味深い内容が語られました。特に印象深いのは、やはり「ものづくりをするのに、お金も自分で管理しなければならない」という点です。特に小島監督が独立したこともあり、より重く聞こえる発言でしょう。

また映画や本でいいものに出会うために、よいセンスを持つのが必要というのは、ゲーマーが良いゲームに出会うためにも大事なことなのかもしれません。それこそ「いいセンスだ(『メタルギアソリッド3 スネークイーター』のオセロットのセリフより)」と評されるように、ゲーマーも日々センスを磨いていくべきだと思わされました。

今回のトークセッションもtriarogより公式に公開中。1:09:55から小島氏のセッションを視聴できます。
《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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