ハードコアゲーマーのためのゲームメディアGame*Sparkでは、日々、様々なゲーム情報をご紹介しています。しかし、少し目線をずらしてみると、世の中にはゲーム以外にもご紹介したい作品が多数存在します。
そこで本連載では、Game*Sparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。今回ご紹介するのは、Amazon Originalとして配信中のアニメ「インビンシブル ~無敵のヒーロー~(INVINCIBLE)」です。
お父さんは最強のヒーロー!……でも……。
本作は、「ウォーキング・デッド」で知られるロバート・カークマン原作のコミックをアニメ化した作品です。主人公のマーク・グレイソンは、DCコミックスのスーパーマンを彷彿とさせる地球で最も偉大なヒーローの1人「オムニマン」を父に持つ17歳の青年。力を持たない人間として生活していたある日、マークは父から継いだ能力が突如覚醒します。
「オムニマン」が所属するヒーローチーム「ガーディアンズ・オブ・グローブ」には、バットマンっぽいダーク・ウィングや、フラッシュっぽいレッド・ラッシュなど、既視感のあるヒーローが数多く所属しており、全員が強力な能力を持っている最強のヒーローたちです。
学校での友情や恋愛もありつつ、マークはインビンシブル(無敵の意)と名乗り、父からの指導を受けてヒーローとしての活動を開始。1話目では、マークは等身大のヒーローとして描かれ、ちょっとしたコメディシーンも挟まれる、まさにティーン向けのアニメが展開します。
ここまで聞くと、毒気のない無味無臭アニメという感じがしますが、1話の終盤から物語は文字通りの急展開を見せます。実際に視聴していただきたいので詳しくは割愛しますが「インビンシブル ~無敵のヒーロー~」は、1話終盤を境に容赦のないグロテスク描写に加え、先の見えないストーリーを描く大人向けアニメへと変貌を遂げるのです。
圧倒的なグロ描写―不条理な“現実“を描く
本作は、数々のヒーロー映画になかった現実を盛り込んだアニメであり、ティーンゆえに発せられるマークの幼稚な言動に、登場人物たちの心理描写、そして圧倒的なグロテスクな現実をこれでもかと描く凄まじい作品です。
例えば、倒壊しそうなビルに逃げ遅れた人がいて、その下の道には逃げ遅れた人がいる。明るいヒーローを描く作品なら全員助かるか、もしくは最低でも1人は救うことができる。そして落ちてきたビルの下敷きになる人がいないような描写にします。でも、本作はそういった作品ではありません、誰も救えないのです。
「知り合いが連れ去られた!助けてくれ!」明るいヒーローを描く作品なら、ギリギリで全員助かります。でも、本作はそういった作品ではありません、その知り合いは救えないのです。
マーベルやDCなどのアメコミを映像化した作品は今でこそ数多く制作され、近年はより現実に即した描写も増えてきましたが、より現実を不条理に描くのがこのアニメと言えます(当然ながらどちらが優れているというわけではありません)。
こういった後味の悪さも現実として描きながら、物語の核に迫っていく「インビンシブル ~無敵のヒーロー~」は、目の離せない作品として視聴者を魅了してくれるでしょう。
それと、ジェンダーやポリティカルコレクトネスに配慮した描写は違和感もなく、制作陣のアピールも感じない、いまだかつてないほど自然なもので少し驚きました。
その作品の性質上、同じくAmazon Originalの「ザ・ボーイズ」を問題なく視聴できる方であれば引き込まれるのでは?と感じています。もちろん、洋ゲーなどに親しみのある方にもおすすめです。
個人的には「ザ・ボーイズ」に匹敵するか、それ以上に気に入った作品なので、気になる方は視聴してみてはいかがでしょうか。
シーズン2、3の制作もすでに決定している「インビンシブル ~無敵のヒーロー~」は、Amazon Primeビデオにて配信中です。