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音楽、名刺と殺人と―「アメリカン・サイコ」【コントローラーを置く時間】

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音楽、名刺と殺人と―「アメリカン・サイコ」【コントローラーを置く時間】
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ハードコアゲーマーのためのゲームメディアGame*Sparkでは、日々、様々なゲーム情報をご紹介しています。しかし、少し目線をずらしてみると、世の中にはゲーム以外にもご紹介したい作品が多数存在します。そこで本連載では、GameSparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。

東京ゲームショウや海外出張が重なり、数週間も間が空いてしまいましたが、今回ご紹介するのは、メアリー・ハロン監督による2000年の映画「アメリカン・サイコ(American Psycho)」です。主演はクリスチャン・ベール。

多くの人が羨む生活。でも実は……


本作の主人公は、ウォール街にある父の投資会社に副社長として勤務するパトリック・ベイトマン。彼は、高級住宅地に住み、筋骨隆々の肉体を持ち、様々なブランド品に身を包む、文字通りのエリートとして登場します。顔がむくんだ朝には、冷蔵庫に置いておいたアイスマスクで目を冷やしながら筋肉トレーニング。シャワーのあとは、高級そうな化粧品を惜しげもなく使う……。

職場に行けば、ヒューイ・ルイスなどの音楽を嗜んだり(音楽のうんちくシーンがすごい)、クロスワードをするだけ。なにか具体的な仕事をしている様子もありません(山本美月さんにどことなく似ている秘書もいます)。婚約者もいますし、この時点では、ベイトマンは完璧に見えます。

ただし、ベイトマンは、夜な夜な抑えきれない「殺人衝動」に駆られてしまう問題を抱えており、物語は、彼の連続殺人を軸に進行していきます。いわゆるサイコパスによる連続殺人映画、というと、結構グロイのでは?と思う人もいますが、直接的な描写はほとんど出てこないのでご安心ください(ちょっとだけあります)。

その作品の性質上、本作はサスペンスや、ミステリーなどのアドベンチャーゲームが好きな方にオススメです。

ベイトマンを取り巻く、画一的な人々


本作に登場するベイトマンの同僚たちは、ルックスの良い女がどうだの、エリート層でも予約が取れない高級レストラン「ドーシア」だの、そんな違いわかんないよ、と思ってしまう名刺だの……ルックス、外面に関する話題ばかり。かと思えば、男性たちは、着る服のブランドや髪型、(上記のような)話題も似通っていて、非常に没個性/画一的です。

では、ベイトマンは?殺人鬼の時は、確かに個性があると言っていいと思います(普通の人はしませんから)が、普段は個性がある、と言っていいのでしょうか。本作を視聴する際は、現代でもみられる「外見至上主義」に近い概念を念頭に置きながら、巧みなコメディセンスと、連続殺人、そしてベイトマンの抱える苦悩に注目して観てほしいと思います。

あーだこーだと本質まで言ってしまうと、楽しみ方を制限してしまいますし、ネタバレにも近くなるのでここまで。あとはご自身の目で確かめてみてください。詳しくは言及しませんが、特に「名刺バトル」と「斧での惨殺」「真っ裸チェーンソー」シーンは必見。エンディングの取り方は人によって異なるかもしれませんね。

単なるスプラッターなサイコパス映画として観ても良し、風刺映画として観るも良し、な良作です。


「アメリカン・サイコ」は記事執筆時点でhuluにて配信中(Amazon Primeは9月末で見放題終了)。そのほかのサイトでは有料にて視聴できます。
《秋夏》
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