殺人事件を解き明かせ!中国古典原作のミステリーADV『Tales of the Mirror(古鏡記)』【中華ゲーム見聞録】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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殺人事件を解き明かせ!中国古典原作のミステリーADV『Tales of the Mirror(古鏡記)』【中華ゲーム見聞録】

「中華ゲーム見聞録」第87回目は、「古鏡記」という中国古典作品を題材にした謎解きミステリーアドベンチャーゲーム『Tales of the Mirror(古鏡記)』をお届けします。

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殺人事件を解き明かせ!中国古典原作のミステリーADV『Tales of the Mirror(古鏡記)』【中華ゲーム見聞録】
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中華ゲーム見聞録」第87回目は、「古鏡記」という中国古典作品を題材にした謎解きアドベンチャーゲーム『Tales of the Mirror(古鏡記)』をお届けします。

本作はCotton Game(胖布丁工作室)によって、2021年8月12日にSteamで配信されました。本作の基となる「古鏡記」ですが、これは唐代初期に王度が著した志怪小説の一種です。「志怪」というのは「怪異を志(しる)す」という意味で、世にある奇怪な出来事を記した記録。あくまで「事実の記録」なので(書いた本人にとっては)、特に伏線やオチなどが存在するわけでもなく、「えっ、それで終わり?」みたいな投げっぱなしな話も多く見られます。

志怪小説は中国の南北朝時代に多く登場しましたが、唐代中期以降からは創作の加わった「伝奇小説」へと進化していきます。「古鏡記」はちょうど志怪小説と伝奇小説の間の時期の作品と言えます。

「古鏡記」内容ですが、著者の王度が、師である侯生からもらった古鏡にまつわる怪異を書き記したものです。例えば、長安から家へ帰る途中、知人の家の侍女が古鏡を怖がっているので、照らしてみたところ老狸の本性を現わして死んでしまったというような話です。事件が発生した年月日もきちんと書かれているので、志怪作品と言えるでしょう。ただ作品後半からは、弟の王勣が古鏡を携えて天下漫遊するという物語的な内容になっていきます。

本作の内容ですが、舞台は唐代ではなく、それよりも後の時代である明代になっています。推理小説のようなストーリーで、プレイヤーは殺人事件を解決に導かなければなりません。難度高めのアドベンチャーゲームとのことですが、いったいどんなゲームなのか、さっそくプレイしていきましょう。

真犯人を探せ!

ゲームを起動させると、まさかのフルアニメーションで主題歌が流れます。アドベンチャーゲームと聞いていたので、一枚絵的な紙芝居が展開されるかと思っていたのですが、良い意味で予想を裏切ってきましたね。このアニメ、本作の世界観を示すような不気味さもあって、なかなかセンスがあります。ゲーム以前に、芸術点はかなり高めですね。

アニメが終わると、何の文字も無いメニュー画面が表示されます。左の女性の楽器をクリックすると「音量設定」。その右の男の本をクリックで「ゲームスタート」。画面中央の女性の本が「ギャラリー」。その右の男の鳥籠が「言語切り替え」になっており、日本語に切り替え可能。この手のテキストの多い作品で、日本語があるのは嬉しいですね。

ゲームスタート……と思ったら、この画面から進みません。文字や女性、木など、画面のあちこちをクリックしても何も起らず。いきなり詰んだかと思った矢先、画面右側をクリックした後、左側へドラッグするとページがめくれることを発見。

めくった先のページでは、挿絵の右に文章があるという形式で物語が展開されます。これは「連環画」という、中国の漫画の形式ですね。「小人書」とも呼ばれていました。考えてみれば、先程の画面は連環画の表紙っぽいデザインですね。

連環画は、近年ではあまり見なくなりましたが、筆者が小学生の頃には書店や駅構内などでよく売られていました。値段も安く、筆者は「西遊記」や「封神演義」の連環画をよく読んでいましたね。いまでも家にあります。紙の質が悪いので、結構ボロボロになっていますが。

物語ですが、とある兄弟が古鏡を手に入れ、舟で旅をしていた時のことです。白衣の女性が河岸にいるのを見つけました。幽霊かと思い、相手の正体を見破ることのできる「古鏡」で照らしてみたところ、喪服を着た、ただの人でした。「自殺をしようとしているのではないか」と思い、急いで説得に向かいます。

女性に話を聞くと、杭州で殺人事件が起こり、その死体は首を斬られていたとのこと。その犯人として、女性の夫である沈家の若旦那・沈秀が容疑者になりました。沈秀は姿をくらまし、沈秀の父は心労のあまりに亡くなってしまったそうです。

女性は夫の冤罪を晴らすため、真犯人を見つけた者に莫大な懸賞金を出すことにしました。「死体の頭部を見つけた者に、銀数百両を出す」としたところ、数日もしない内に漁師が水中から頭部を見つけました。しかし水ぶくれになっており、誰だかわからず、証拠になりませんでした。

女性は、古鏡を持っている兄弟に、「その不思議な宝具で真犯人を探して欲しい」と頼みます。弟の白冉は女性を気の毒に思い、事件解決のため、杭州の沈家へ行くことになりました。

沈家の屋敷へ!

ここからが本当のゲームスタート。プレイヤーは弟の白冉となって、事件を解決に導かなくてはなりません。移動画面のようですが、現在は「沈府」(沈家の屋敷)しか選べないようですね。とりあえず行ってみましょう。ちなみに兄の方は先に蘇州へ行き、弟を待っているそうです。

まず出迎えてくれたのは、沈家の番頭。ずっとため息をついていますね。人物をクリックすることで、話をしたり、こちらの持っている情報や道具を提示したりできます。また重要な会話があるときは、筆で赤字に塗り潰して記録し、他の人物への質問として使えます。

プレイヤーキャラの白冉をクリックするとメニューが表れ、これまでに出会った人物や、記録した発言、持ち物などを見ることができます。人物には好感度があり、人物事典の名前の下に花びらの数で示されます。好感度が高いと、これまで話さなかったことを教えてくれるかもしません。

ちなみに人物事典によれば、白冉の古鏡は侯生という人物からもらったとのこと。原作と同じ名前ですが、唐代からずっと生きていたのなら、仙人なのかもしれませんね。

奥へ進んでいくと、沈家の養女・任三娘がいました。彼女が言うには、沈秀は行方不明ではなく、すでに死んでいるとのこと。殺されて頭部の無くなった死体こそが、沈秀その人ということでしょうか。しかしそれを証明することができず、沈秀が犯人扱いになっているようです。

会話中に赤色の選択肢が登場することがあります。これは一度しか選べないようなので、慎重に選んだ方がいいでしょう。本作品は「多岐に渡るメインストーリーと複数のサブストーリー」が売りになっており、プレイヤーの行動でストーリーが変化していくそうです。

任三娘との会話によって、役所へ行けるようになりました。ちなみに画面上の白い鳥をクリックすると、メニューを開くことができます。本作では時間の概念もあり、画面左下で現在の日付がわかります。

メニューの「黄歴」を選ぶと、カレンダーが表示されます。現在は八月十六日ですね。日付をクリックすれば、その日に何が起こったかの記録が見られます。また、自分で重要だと思う事項を直接書き込むことも可能。結構ガッツリ謎解きをしないといけない感じですね。

沈秀の無罪を訴えよう!

役所へ出向き、杭州府の知事である胡に会いました。沈秀の事件の再審を願い出ましたが、「私の判決が間違っていると言うのか」と叱られ、取り付く島もありません。食い下がってみたものの、役所を追い出されてしまいました。

人物についてですが、プレイ中での説明はあまり無いため、人物事典に頼ることになります。先程の胡府知事は、自分の実力だけでいまの地位に上り詰めた人物です。役所では胡府知事よりも、彼の側にいる宋検死官の方が優秀だとか。役所が解決した事件のほとんどは、宋検死官の推理によるものだとのことです。

役所に入れなくなったので、いったん沈家の屋敷に戻りました。プレイヤーの持つ古鏡を使うことで、背景のオブジェクトを調べられます。気になるテキストが出てきた時には、筆を使って記録しておけます。

屋敷から外に出ると、どこにも行けなくなってしまいました。「詰んだか」と思いましたが、画面を右にドラッグすることで、マップをスクロールさせられることに気付きました。宿屋があったので行ってみようと思いましたが、一晩泊まるのに100文かかるとのこと。このゲームでは所持金の概念もありますので、無駄遣いは禁物です。しかし他に行ける所もないので、とりあえず宿屋へ。

宿屋は、プレイヤーにとっての拠点になっていますね。机の上に並んでいるオブジェクトをクリックすると、メニューの各項目に直接アクセスできます。窓にいるのは、伝書バトのグーグー。手紙を運んでくれるそうです。

机の中央にある筆をクリックすると、情報の整理が行えます。会話で得られた情報(筆で記録したもの)を2つ組み合わせて、新情報や推理を引き出すことが可能。逆に言えば、的確な情報を探し出して筆で記録し、それを組み合わせるという作業が必要なため、いわゆる「総当たりで試してみる」ということがほぼ不可能になっているとも言えます。きちんと推理しないといけないようですね。

ベッドに行くと、就寝することができます。一日が終わってしまうため、まだやっていないことがあれば済ませておきましょう。時間経過がストーリーにも影響してくるようです。

翌日、もう一度役所に乗り込みました。昨日は胡府知事に対して「道理」を説いたのですが、人物事典の情報から「出世を邪魔する者には容赦をしない性格」ということがわかったので、今回は「利害」を解いてみます。

「私が勝手に調査しますので、もし真犯人が見つかれば府知事の手柄。失敗しても、誰にもわかりません」と言ったところ、一カ月の調査期間が与えられました。また、「調査をしていることを誰にも言ってはならない」と条件を付けられました。

胡府知事のそばにいる補佐官の南舟に話を聞きます。「胡府知事は頑固で権力に固執する性格だが、良い官吏だ」とのこと。ちゃんとした証拠を突き付けられれば、判決を覆せるかもしれません。「何かあれば頼ってくれ」と、なかなかの好人物です。

次に、役所の影のブレインである宋検死官にも話を聞きましょう。南舟と違い、こちらはあまり協力的ではありませんね。死体の状況を聞き、気になる言葉を筆でマークしておきます。

宋検死官が言うには、死体は殺される前に争った跡があるとのこと。そして犯人は殺した後に首を切断し、持ち去ったとのことです。いろいろ質問すると、「そんな頭で事件が解けるのか?」と小バカにされました。

役所から調査許可が下りたことで、マップ上で入ることのできる場所が一気に増えました。「春風楼」は、殺人事件のあった酒場ですね。まずはここから調査を始めるのが良さそうです。果たして白冉は真犯人を見つけることができるのか、続きはぜひとも自身の手でプレイしてみてください。

独特な世界観の推理ADV

本作は中国古典の「古鏡記」を原案にしながらも、舞台やシチュエーションなどはオリジナルのものになっています。美術や世界観の演出は優れており、これでアニメを作っても面白いのではないかと思います。

ゲーム自体は本格的な推理アドベンチャーゲームで、プレイヤー自身で推理を構築する必要があります。会話の中から重要な部分を筆で記録し、宿で組み合わせて推理を展開していかなければなりません。春風楼に入ってからは、情報量が一気に増えていきますので、内容の整理が重要になってきます。

アドベンチャーゲームとして見れば難度は高めですが、「自力で謎を解き明かしたい」という推理小説好きなプレイヤーにはうってつけかもしれません。日本語もサポートされていますので、推理小説や中国古典が好きな方はぜひ本作を試してみてください。

製品情報

『Tales of the Mirror(古鏡記)』
開発・販売:Cotton Game
対象OS:Windows、MacOS
通常価格:820円
サポート言語:日本語、中国語(簡体字、繁体字)、英語
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/1649830/Tales_of_the_Mirror/

※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter「マイナーゲーム.com」Twitter
《渡辺仙州》

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