『スパロボOG』プラモデル HG「ヒュッケバインMk-II」レビュー!少々難があるものの時代相応の進歩を遂げた新キット【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『スパロボOG』プラモデル HG「ヒュッケバインMk-II」レビュー!少々難があるものの時代相応の進歩を遂げた新キット【特集】

関節自体はタイトなものの、時代の進歩か原作再現ポージングは容易。

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『スパロボOG』プラモデル HG「ヒュッケバインMk-II」レビュー!少々難があるものの時代相応の進歩を遂げた新キット【特集】
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今回のゲーム系プラモデルレビューは、2023年3月にバンダイより発売された、『スーパーロボット大戦OG』のHGノンスケール「ヒュッケバインMk-II」です。このキットは『スーパーロボット大戦OG』をベースにキット化されたもので、第1弾の「サイバスター」を皮切りに、「アルトアイゼン」や「ゲシュペンスト」が発売され、今回の「ヒュッケバインMk-II」で第4弾となります。

カトキハジメ氏デザインの「ヒュッケバイン」は1995年発売のウィンキーソフト開発の『第4次スーパーロボット大戦』で初登場したオリジナル機体。ガンダムのような見た目を持っている一方で、ブラックホールエンジンを搭載し一撃必殺的な「ブラックホール・キャノン」など派手な武器が盛り込まれています。細部のデザインとカラーリングを新たにした「ヒュッケバインMk-II」は2000年発売の『スーパーロボット大戦α』が初登場です。

原因は詳しく語られていませんが、『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』(以下、『スパロボOGs』)と『スーパーロボット大戦OG外伝』以降の2007年から、2016年の『スーパーロボット大戦V』までの約10年間に、ヒュッケバインそのものが新作において登場を果たせなかった期間がありました。それ以降の作品では系列の機体が度々登場しています。なお「ヒュッケバインMk-II」は、2022年4月に『スーパーロボット大戦DD』において「3号機」が登場しています。

また本機のプラモデルに関しても、コトブキヤから2006年に1/144「ヒュッケバインMk-II」が発売されていたものの、先の登場を果たせなかった影響かこちらも再販の機会はありませんでした。本キットは、バンダイから再キット化された待望の「ヒュッケバインMk-II」であり、再販されず入手しづらかったコトブキヤ版のギャップを埋めてくれるプラモデルです。今回のキットは、コロナ禍以降のバンダイのガンプラが入手困難だった例に漏れず、「ヒュッケバインMk-II」でさえも予約開始即締め切りでしたが、4月と5月の連続再販のおかげでなんとか入手できたため、レビューの機会を得ることができました。

高額HGキットならではの色分け豊富な「ヒュッケバインMk-II」

HG「ヒュッケバインMk-II」のランナーは全7枚で、機体を様々なポーズで固定できる「アクションベース5」が同梱しているためプラス2枚ランナーの合計9枚。さらにチャクラム・シューター用のリード線とシールが同梱されています。

また説明書は、通常の組立プロセスと機体解説(付属武器、アクションポーズ)を掲載。組立順は、頭部→胴体→左右腕→左右脚→腰部→アクションベース→背部→各種武器です。ゲームにおけるスクリーンショットや全身の設定画が掲載されていないのは残念ですが、説明書の組立プロセスの説明が特に洗練されており、どこで何を作っているのかを含めて読みやすく出来ています(プラモにおける解説書の読みやすさは無視されがち)。

カバーアートのデザインは大張正己氏

色分けは近年のガンプラのようにほぼ完璧。特に頭部は13パーツで構成され、シールを合わせても完成図と同じように組み上がります。

対象年齢が高めなキットであるためか、アンテナ部分は鋭く造型されている

HG「ヒュッケバインMk-II」は近年の一部ガンプラと同様にポリキャップレスで構成されるため、パーツの合いと可動は少しばかりタイトさを感じさせます。細かなパーツに目を向けると、HGクラスだと高額なキットであるためか、脚外装パーツの一部がくり抜かれており、合わせ目が目立ってしまうものの組み立てるだけで色分けが成り立ちます。

よく見ると外装パーツと内部パーツを活かしてパーツが分けられている

次にフォトン・ライフルとGインパクト・キャノン、そしてチャクラム・シューターを組立てます。他のガンプラのビームライフルと同じくほぼモナカ割り(和菓子のもなかのように造型中央でパーツを左右に分割することを指す)で合わせ目が目立ちますが、白部分もそれぞれ別パーツに分けられています。

最後に頭部と胴体、四肢、背負い物をそれぞれ組み合わせて本体が完成。全てを組み合わせて完成したヒュッケバインMk-IIの外観を見てみましょう。

素組みでも見映えが最高なHG「ヒュッケバインMk-II」

素組みで完成したヒュッケバインMk-IIを見てみましょう。足先から頭部までの高さは約14cmほどで、2020年に発売されたエントリーグレードのRX-78-2ガンダムと並べてみると頭一つ分大きいのを感じます。また背部のウイング・スラスター・ユニットも合わせると全高約16cmとなり存在感が強く放たれています。

手は武器類を保持できる拳と平手が左右それぞれ付属。『スパロボα』では、所々でポーズを決める時に手の開閉をしていたため、これらのアクションも再現できるところが嬉しいところです。

『スパロボα』では「ライトソード」名義だった

SD体型とリアル体型ではポージング時の印象が異なりますが、大体同じ動きをさせられますし、大型のGインパクト・キャノンも立ち状態そのままに飾ることも出来ます。

本キットのポージングの幅を広げてくれるのは付属のアクションベース5の存在でしょう。リアル体型での原作再現ポーズはなんとなく縮こまった印象を与えてしまうGインパクト・キャノンですが、台座に取り付けて足先も伸ばせば身体のラインが放射状に広がるため、開放感と力強さを同時に与えることが出来ます。

ヒュッケバインMk-IIの塗装―見落としがちな初代とMk-IIの違い

さてここからはヒュッケバインMk-IIを塗装しましょう。塗装の前にオリジナルのヒュッケバインとヒュッケバインMk-II、そして登場作品でのデザインの違いについて触れておきます。『第4次スーパーロボット大戦』で初登場したヒュッケバインは、顔の嘴やコックピット部が赤なのも含めてガンダム的要素が強く現れていました(カラーエディットでトリコロールも選べる)。

『第4次スーパーロボット大戦s』のカラオケモードで登場するヒュッケバイン。同機とMk-IIは武装と共に細部のデザインが異なることを見落としがち。
カラーは異なるが『スパロボOGs』に登場する初代ヒュッケバイン的存在のヒュッケバイン009

また、開発がウィンキーからバンプレストへ移行した『スパロボα』においては、ヒュッケバインMk-IIが登場します。同機は嘴を含む顔周辺にフレームが設けられ、肩や下半身のデザインも微妙に変化。そして、武装もワイヤーで制御するチャクラム・シューターを持ち合わせるなど、シルエットを大きく変えずにガンダム的要素から離れようとしていました(ただカラーがネイビーブルーと紺色になるのはガンダムMk-II的)。

『スパロボα』でのヒュッケバインMk-II

『スパロボα』のヒュッケバインMk-IIはVアンテナ中央部分が白色。これは、GBA版『スパロボOG』でも同じでしたが、続編の『スパロボOG2』とパワーアップ移植的な『スパロボOGs』では設定画と同じカラーに変化していました。今回は『スパロボOGs』版を元にヒュッケバインMk-IIを塗装します。

『スパロボOGs』のヒュッケバインMk-II

塗装を行うために一度すべてを分解しますが、パーツがタイトなので捻じ切らないように気を付けながら外します。ここでは、合わせ目消しを考慮しながら進めるため、合わせ目が出ない単一のパーツから塗装を進めます。また、ヒュッケバインMk-IIはほぼ色分けされているために、細かなマスキングの必要性がないことも嬉しいです。

黄色パーツの塗装は、黄色は隠蔽力が低く下地の色に影響されやすい塗料のため、Mr.フィニッシングサーフェイサー 1500 グレー(以下、灰サフ)を下地にそのままC329 イエローFS13538を塗装(下地がグレーでもかなり暗くなる)。赤パーツも同様に、灰サフでパーツの透け防止を行いピンクサフで発色が良くなるよう塗装し、最後にUG04 MSレッドを塗りました。またデュアルアイ部はパーツが小さいため筆塗りです。BN01 ベースホワイトを下地に発色を考慮してN26デイトナグリーンを、緑部周辺をH12つや消しブラックで塗っています

白色パーツは、同じく灰サフをベースにサーフェイサー 1500 ブラック(以下、黒サフ)で四隅のシャドー吹き(シェーディング)を施し、ガンダムカラーUG01 MSホワイトで塗装します。

主に関節を構成する灰色パーツは、UG15 MSファントムグレーかNP001 メカサフ へヴィのどちらかで塗装するのか迷いました。MSファントムグレーの暗い色も魅力的ですが、進捗を考えて工程が少なくて済む、メカサフヘヴィを選びました。

ここまで塗装したら、合わせ目が目立つ外装に絡んだ灰色の関節部のパーツと黄色パーツと白パーツを組立てます。そして紺色とネイビーブルーのパーツに表れる合わせ目とパーティングラインを、接着剤タミヤセメント角ビンとグレージングパテIIで埋めて、各パーツ同士の表面が平坦になるようにスポンジヤスリの120番手で大体削り、800番手で傷が目立たないよう仕上げます。

赤ラインが合わせ目とパーティングラインが出ているところ

先に紺色パーツを塗装します。ヒュッケバインMk-IIのカラーリングがガンダムMk-IIのティターンズ色に近いので、紺色のパーツはUG17ティターンズブルー2を、ネイビーブルーパーツはUG16ティターンズブルー1を選択。塗装済み部分にマスキングを施し、灰サフ→黒サフでシャドー吹き→ティターンズブルーIIで、灰サフ→ニュートラルグレーIIIでシャドー吹き→ティターンズブルーIでそれぞれ塗装します。

またフォトン・ライフルとGインパクト・キャノンは、ライフル系の武装として黒サフ→ガイアカラー 032アルティメットブラック→C28黒鉄色で塗装しました(ベタ塗りだと味気ないため、クロームシルバーによるドライブラシを活用したエッジの強調表現を行いたかったが技術が足りず今回は見送った)。

全ての色を塗りおえたら慎重に再組立して完成です。

塗装したヒュッケバインMk-IIを見る―原作再現ポーズのカッコ良さ

塗装したヒュッケバインMk-IIを見てみましょう。合わせ目消しと全塗装を行ったことでヒュッケバインMk-IIの持つ魅力が引き立てられています。

HG ヒュッケバインMk-IIは、肘や膝は二重関節でそれぞれ90度以上回転する、昨今のガンプラ並の可動範囲を持っているために、原作再現ポーズを取らせることも容易です。

特に本キットの可動域が活かされるのは、四肢を大きく動かす『スパロボOGs』のビームソードのポーズを再現できることでしょう。

本来はSD体型のガニ股ポーズだが見映えを意識して足を曲げた

またチャクラムシューター発射ポーズも、平手パーツが付属するために『スパロボα』と『スパロボOGs』でより近い形でそれぞれのポーズも取らせられます。

『スパロボα』でのチャクラムシューター発射ポーズ。

『スパロボOGs』でのチャクラムシューターは、空中を移動しながら発射するのですが、アクションベース5があることで難なくそのポーズを取らせることが出来ます。

リード線があるためにそれらしいポーズを取らせられるが、線そのものが短いためポージングが少し制限される。

また膝の保持力もそこそこあるために、中腰状態でGインパクト・キャノンも支えられるのは嬉しいです。

Gインパクト・キャノンのデザインは『スパロボOGs』のゲーム内のものとオープニングのものとで細部が異なっている

入手しやすく造型も良いヒュッケバインMk-II―タイトな関節など細部で厳しさも

HG「ヒュッケバインMk-II」は、リアル体型のイメージそのままを立体化していますし、可動範囲が昨今のガンプラ並のため原作ポーズも再現可能。ポリキャップレスで強い保持力も確保されていることに加え、パーツの細かな色分けによって塗装しなくてもほぼ劇中そのままの姿を表現できるのは嬉しいです。

一方で、素組みを行った時も言及しましたが、近年のガンプラを考慮に入れると合わせ目やパーティングラインは多めです。どことなく一昔前のガンプラを思わせます。またパーツ分割も素組み時の見映えを考慮にいれていることは評価できますが、塗装時の取り回しまで考えが行き届いていないように思えるのが残念。またポリキャップレスで全てを塗装できるのは嬉しいものの、その代わりに一部パーツの取り付けや可動がタイトなため、破損しないように慎重に動かしてポージングをしなければならないのも厳しさを覚えます。

タイトな可動部や目立つ合わせ目など厳しさはありますが、時代相応の進歩を感じる関節の広い可動域や、長らく再立体化が待たれていた「ヒュッケバインMk-II」を発売したことなど、4,950円(税込み)という価格に見合うだけのリッチさを感じさせるプラモデルです。

総評:★★★
良い点
・原作再現ポージングができる広い可動域

・Gインパクト・キャノンやフォトン・ライフルなど主要な武器が揃えられている

・ほぼ完璧なパーツの色分け

・高い保持力

悪い点

・関節を動かすときに破損の危険があるほどタイトな一部パーツ

・近年におけるバンダイのプラモデルにしては目立つ合わせ目

《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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