先日開催され、多くの『龍が如く』シリーズについての発表で世間を賑わせた「RGG SUMMIT FALL 2023」。今回の記事は、現地に赴いていた筆者による「RGG SUMMIT FALL 2023」のイベントレポートとなっています。
会場は恵比寿ガーデンホール。豪華かつシックなイメージのステージに、期待も膨らみます。また、多くの取材陣が訪れており、かなり物々しい雰囲気でした。
まず最初に、『龍が如く7外伝 名を消した男』の主題歌を担当した野田洋次郎氏のメッセージビデオが流れます。個人的にかなり意外な人選だったので驚きました。主題歌は野田洋次郎氏とラッパーであるJ.I.D氏の「片時」という楽曲に決定したとのことで、オープニングムービーも合わせて紹介されました。
普段はバンド「RADWIMPS」のフロントマンとして知られ、近年では新海誠作品の劇中曲などでおなじみの野田さんですが、ソロ名義である「illion」では打ち込み中心のサウンドメイクですし、ラッパーとのコラボレーションも経験済みなため違和感はまったくありません。楽曲はダークかつ静かなトーンであり、『名を消した男』の重厚そうな雰囲気を伝えています。
続いて『龍が如く8』の発売日が「龍が如くスタジオ」の現代表でもあり、近作のプロデューサーをつとめている横山昌義氏の口から発表されました。1月発売というスケジュールに「近すぎる！？」と驚いた方も多かったのではないでしょうか。筆者も会場で小さく声を出して驚いてしまいました。もちろん近いことは嬉しいことではあるのですが11月9日発売の『龍が如く7外伝 名を消した男』から三ヶ月弱しか空いていない……！
10分超えの大ボリュームである「ストーリートレイラー」もこのタイミングで公開。情報量が多すぎて会場でちょっと混乱してしまいました。桐生一馬の「癌である」という衝撃の告白や、意外なキャストの釣瓶打ち、気になること満載のすばらしいトレイラーとなっているので、まだ見てない方は是非ご覧になってみてください。このあと公開されたゲームトレイラーと合わせて、もしかしたら近年一番興奮したトレイラーかもしれないです。
会場では『龍が如く8』の主要キャストが登壇するトークセッションが催されました。『龍が如く7』からの主役キャラクターである春日一番の声優を務める中谷一博さん、シリーズの顔でもある桐生一馬役の黒田崇矢さん、『龍が如く7』で春日一番の親友となった難波悠役の安田顕さん、今作からの新キャラであるエリック・トミザワ役に抜擢された大人気バンド「King Gnu」のヴォーカルでもある井口理さん、『龍が如く7』から引き続き、足立宏一を演じる大塚明夫さんと向田紗栄子役の上坂すみれさん、オーディションで選ばれシリーズの大ファンでもあるという伊波杏樹さんというかなり豪華なメンバーです。
トレイラーを見て、「圧倒されて、何を言っていいかわからないぐらい面白い予感しか無い」と語るのは中谷さん。『龍が如く8』の出来に自信をのぞかせていました。
桐生一馬役の黒田さんは実際に病気の経験が多くあり、それが演技に反映されているとのこと。特に病気でつらいときは「大きく呼吸が吸えない」らしく、それを意識しながら桐生の演技を作り上げていったそうです。プロデューサーの横山さんと黒田さんは身内にがん闘病経験者がいるという共通点がある、というエピソードも語られました。
中でも横山さんの語られた「闘病は不幸なことだけではない。それによって今まで疎遠だった人が尋ねてきてくれたり、助けてくれたりもする。つらい思い出がある中で、いい思い出もたくさんできる。今回桐生は病にはなったけど、それは『桐生の終わり』を意味するわけではない」という話には個人的にも納得するところがあり、印象に残りました。
続いて安田顕さん。登壇者の中では唯一「水曜どうでしょう」や撮影でハワイに行った経験があるとのことです。安田さんは共演者やファンに「ナンバ」として声を掛けられることが多いらしく「渥美清さんは寅さんと呼ばれるし、（田中邦衛は）黒板五郎と言われる。自分はいままで実写でがんばってきたが、そういった経験はなかった。しかし、ゲームの世界で演技することでそういう経験ができて嬉しいです」と語りました。
続いて今回のびっくりキャスティングである井口理さん。作中では悪徳タクシードライバーですが、現実では安全運転であることを強調していました。撮影中には喫煙所でセガの中途社員に間違えられるなどのエピソードもあり、そのユーモラスな人柄が伺えます。
相槌をうつ安田さんの口から「セガは今どき珍しく喫煙所が充実している」という豆情報も語られました。やはり『龍が如く』シリーズを制作するなどの社風上そうなっているのでしょうか……？ 横山さんはイメージしている「小汚い若い人」を探す中でKing GnuのPVと出会い、井口さんに白羽の矢が経ったとのこと。
足立役の大塚さんは自分でも『龍が如く7』をプレイしたとのこと。ふだんは「ダメな人間」の役を演じることが少ないといい、足立のダメなところも含めた立体的なキャラクターが気に入っているということでした。長く足立を演じていきたい気持ちがあるらしく「足立には長生きしてもらいたいな」と語っていました。
向田紗栄子役の上坂すみれさんもシリーズのファンだそう。主人公である一番と紗栄子の関係がどう変化するのかに注目し、手に汗握りながら台本を読んでいたそうです。「プレイされる方はムービーが始まる前に用事やお手洗いを済ませて挑んでいただきたい」とのこと。プレイする予定のある方は頭の片隅においておくと良さそうです。
最後はオーディションを勝ち抜いたという伊波杏樹さん。とにかく熱量が高く、他のキャストや横山さんもタジタジの熱さで本作の魅力を語ります。すでにゲームをちょっとだけ触っているとのことで、バトルシステムの改善点（デリバリーヘルプを呼び出す操作が簡略化されたことなど）を紹介してらっしゃいました。
トークセッションはかなり盛り上がり、みなさん話す時間が足りない様子。今作で登場する「ハワイ」のマップが伊勢佐木異人町の三倍の大きさであるなど、びっくりの情報も明かされました。横山さんいわく、「まず間違いなくシリーズ最大ボリューム」だと言います。シリーズのファンとしては期待が膨らむばかりです。
また、制作期間がコロナウイルスの流行と重なってしまったため、ハワイの取材がリモートで行われたなど興味深いエピソードも満載でした。
イベントの全編はYouTubeアーカイブからも視聴が可能です。ここでは書ききれなかったエピソードや、すさまじく面白そうな『龍が如く8』のトレイラーなど盛りだくさんの内容なので、興味のある方はご覧になってみてください。筆者も来年発売の『龍が如く8』への期待が膨らんで、待ちきれない思いになってしまいましたよ。
