『大戦略』。ゲームの性質を端的に表した名前が存在感を放つ本シリーズは、生まれてから41年を数える、現代兵器をテーマにした国産のターン制ウォー・シミュレーションゲームです。この度、システムソフト・ベータより新たなタイトル『大戦略SSB2』がついに登場します。
しかし、この『大戦略』、名前自体は聞いたことがあるかもしれませんが、実際プレイした人間の話はなかなか聞いたことがないのでは。
コアゲーマー中のコアゲーマーが好き好むジャンルであるだけに、みんな「大戦略いいよね」「いい…」とばかりに共通認識が完璧にできているのかもしれませんが、若いゲーマーにとっては、とにかく「全然どんなゲームか知らない」のです。
『大戦略SSB2』公式サイトそこで今記事では最新作『大戦略SSB2』に20代の若手ライターである筆者が大挑戦。最新作の様子とともに、一体『大戦略』とは何なのかをお伝えします。
どこを楽しめば良いのか?手探りで見えてきた魅力

『大戦略SSB2』は、戦闘機や戦車など300種類以上の現代兵器を用いて、敵勢力に打ち勝つことが目的のターン制ウォー・シミュレーションゲームです。ヘックスで表現されたワールドで徐々に勢力を拡大し、陸海空を制圧していきます。手軽に遊べる小さなマップから、総力戦となる大規模マップまで、じっくり楽しめる作品となっています。1985年から作られ続ける本作ですが、現代兵器モチーフのターン制ウォー・シミュレーションゲームは、現代の日本では本シリーズ以外に存在せず、世界的に見てもきわめて有数の存在とのこと。天然記念物的と言いますか、孤高の職人と言いますか……希少性を感じますね……!
どうやって遊べばいいの?と書こうとしたけど…あれっ?思ってたより入りやすい
シミュレーションゲーム自体はなんらかの形で触れている方も多いと思いますが、本作の立ち位置は少し特殊です。1本のストーリーを追うキャンペーンが明確に用意されているわけでもなく、物語的な演出などはほぼありません。本作が提示するのは、「与えられた条件のなかで、いかに戦略を練るか」という極めてゲーム的な問いです。

特に大きな特徴として挙げられるのが、現代兵器をモチーフにしている点でしょう。ヘックス(六角形)で区切られたマスをベースに、軍資金や工業力といったリソースを管理しながら、敵勢力の首都制圧を目指してユニットを進めていきます。
歩兵、戦車、ヘリコプター、艦船、戦闘機など、現実世界でも馴染みのある兵器が数多く登場し、それらを組み合わせて戦線を構築していく――いわば、現代兵器を使った“戦争ごっこ”を、アクションではなく思考のゲームとして楽しめるのが本作の醍醐味です。
また、「生産タイプ」を指定することで、同じマップであってもまったく異なる展開になる点も見逃せません。
使用できる兵器の傾向が変われば、自然と戦い方も変化します。航空戦力を軸に進めるのか、地上部隊中心でじっくり前進するのか。
『大戦略』は、マップを一度クリアして終わりではなく、条件を変えて何度も遊ぶことで、新たな発見や楽しみが生まれるゲームでもあります。

筆者は見た目の硬派さから「いや難しそうだなぁ~」「わかりにくいんじゃないの?」と少し穿った見方で身構えていました。しかし実際に触れてみると、チュートリアルは想像以上に丁寧で、この世界に踏み込んだ人をやさしく引き込んでくれます。
最初は情報量の多さに戸惑うUIも、少し触っていくうちに自然と感覚が掴めてきます。
ターン制で、マス目ベースのシミュレーションゲームを遊んだ経験がある方であれば、極端に困る場面は少ないはずです。とはいえ、ゲームそのものは意外とシンプルです。最初からすべてを覚えずとも、プレイのなかで「これはだめだったか」「この作戦はうまくいったぞ!」といった実感が味わえるのが、『大戦略SSB2』の魅力だと感じました。
これが『大戦略』のイロハニホヘト
では、まずは基本的なゲームの流れから見ていきましょう。『大戦略』では、1ターンの中で行うことは、主に「生産」「移動」「戦闘」「補給」の4つに分かれています。

まず「生産」は、その名の通り、新しいユニットを作る行動です。
本拠地である首都のほか、陸軍基地や空軍基地など、ユニットの種類に対応した施設で生産を行なえます。歩兵や戦車、戦闘機といったユニットだけでなく、偵察用の車輌や歩兵を載せて動かす車輌も存在します。
生産に必要なのは軍資金ですが、もうひとつ「工業力」という言葉も出てきます。これらは「工場の占領」によって拡張していかなければなりません。

移動によって動かせる「歩兵」は、主に戦うよりも「占領すること」が目的となります。各都市を占領すれば、首都ひとつごとに毎ターン500の軍資金を得ることができ、工場を占領すれば、1つごとに工業力が5ずつアップします。
工業力は首都から離れた生産施設で生産を行うために必要な数値。つまり、工場を占領すればするほど遠く離れた施設でも生産が可能となり、目まぐるしく変わるホットな前線に、新しく生産したユニットがより素早く駆けつけることができるのです。つまり、工場占領はめちゃくちゃ大事。
マスの地形によってうごける範囲は変化してきて、通りやすい「道路」から進みにくい「森林」など、それぞれ性質が異なります。
戦車や戦闘機たちは占領はできませんが、「戦闘」用のコマとして使用します。
戦闘は、ユニット同士が近づいたからといって、必ず起こるわけではありません。攻撃を行うためには、進軍させて視界内に敵がいることが必要になり、敵が見えていない状態では、こちらから攻撃することはできません。

また、すべてのユニットが、どんな相手にも攻撃できるわけではありません。
そのユニットが装備する兵器ごとに攻撃できる対象が決まっており、たとえば対空兵器は地上の敵を攻撃できませんし、戦闘機も装備によっては地上攻撃ができない場合があります。「敵が見えているのに攻撃できない」ときは、武装の相性を確認しなければなりません。
戦闘の結果には、地形防御も影響します。森林や都市など、防御力の高い地形にいるユニットは被害を受けにくく、同じ戦力でも粘り強く戦えます。逆に、平地や道路上では被害が大きくなりやすいため、戦う場所の選択も重要です。

なお、敵も次々に生産してくるので、全滅させることにはこだわらなくてもOK。相手の戦力を削ったり、進軍を止めたりするだけでも十分な成果になりえますし、逆に全滅を求めて深追いしすぎると、痛い目を見るかも……。無理に戦わず、有利な条件が整ったときに戦う――それが、本作の基本的な戦い方です。
最後に「補給」と「補充」です。ユニットは、戦い続けると燃料や弾薬、そして編成数が少しずつ減っていきます。これらが不足すると、移動できなくなったり、攻撃できなくなったりと、本来の力を発揮できなくなってしまいます。
そのため、対応する拠点を活用して、こまめに補給や補充を行う必要があります。そしてそれを行うには、歩兵でしっかり都市や拠点を制圧していかなければならないのです。
転んでもめげない―これがウォー・シミュレーションの洗礼か…試行錯誤の楽しみ
基本的なルールをひと通り理解し、「なんとなく分かった気がする」状態で実際にマップへ出てみた筆者。
操作自体はシンプルで、ユニットを動かすことにもすぐ慣れ、「意外といけるのでは?」「なんだ、思ったより楽勝じゃん」という手応えすら感じていました。

……が、その油断はすぐに打ち砕かれます。
調子に乗ってガンガン前線を進めていたところ、気がつけば敵の戦車部隊に囲まれ、あっという間にこちらの部隊が削られていく事態に。近距離からも遠方からもとにかく撃たれまくり、ユニットはほぼ壊滅。「あ、これ詰んだな」と悟るには十分すぎる惨状でした。

最初は「やっぱり難しすぎるゲームなんじゃないか!?」と慄いたものの、よくよく自分のプレイを思い返してみると、原因はいくつも思い当たります。
索敵を十分に行なわずに前進していたこと、守りにくい平地で止まってしまったこと、地形をしっかり理解していなかったこと、生産を怠っていたこと。つまり、“やってはいけないこと”を一通りやってしまっていたのです。

そこで、次のプレイではいくつか改善策を試してみました。まずは無理に前へ出ず、道路と地形を意識して慎重に進軍。敵の動きを確認してから部隊を動かすようにし、削られたユニットは早めに下げて補給を行ないます。
そして、戦うだけでなく、占領もしっかり行っていきます。工場や都市、基地をしっかり占領していった結果、軍資金に余裕ができるようになり、航空ユニットも使用可能に。これがめちゃくちゃ強かった。


地形の進みづらさの影響を大きく受けず、対空手段を持たないユニット相手には一方的にダメージを与えることができるので、地上の進軍と合わせて使うことで、制圧力が高まったのです。

一方的にやられていたはずの敵に対し、「ここなら耐えられる」「ここは下がるべき」「このユニットで削ろう」と判断できる場面が増え、最終的には、あのとき詰んだ場所を越えて前線を押し上げることができました。敵もしっかり抵抗してきはしますが、地道に着実に進めていくことでしっかり押し上げていけるので、”着実に進んでいる感”が得られました。うまく敵を退け、歩兵を運んできて、「テレレテレレレー♪」というSEを聞いたとき、脳が超気持ちいい。

もちろん、劇的に上手くなったわけではなく、まだまだ海洋ユニットは使いこなせていないので、本作をマスターしたとはとてもいえません。
それでも、「なぜ失敗したのか」「次は何を変えるか」を考え、それを実際に試してみるという試行錯誤の過程そのものを味わうことができ、ウォー・シミュレーションならではの楽しさなのだと、少しずつ実感できるようになりました。
基本的なつくりがシンプルであるがゆえに、こうした反省会もしやすいのが本作のポイント。プレイしていない時間の脳内でも「こうすればいいのかな」「次はああいう感じで攻めるか」といろいろと浮かんできて、起動して試してみたくなります。
『大戦略』は、最初からスマートに勝たせてくれるゲームではなく、派手な演出や報酬もありません。でも、転んで、詰んで、「ああ、そういうことか」と理解していくというその積み重ねというプリミティブなゲームの楽しさがダイレクトに“報酬”として感じられる、そんなゲームでした。
考え抜いた最強の『大戦略』を実現するには
最後に、基本的な遊び方から一歩踏み込んだ要素として、「生産タイプ指定」についても紹介します。
生産タイプ指定とは、勢力がどのような兵器を持つかを設定する仕組みです。航空戦力を重視した構成や、地上兵器を中心とした構成など、生産タイプによって、使用できるユニットの傾向や戦略の方向性は大きく変化します。
最初はデフォルト設定のままでも十分に楽しめますが、扱う生産タイプを意識することで、「このマップでは何を主軸に戦うべきか」をより明確に考えられるようになります。
ユニットごとに特性や得意分野が異なるため、生産タイプを変えることで、有効な攻め方やハマる戦略も変化します。制約を理解したうえで編成を工夫することが、自分なりの“最強の大戦略”を組み立てる楽しさにつながるでしょう。
また、生産タイプはエディットもできます。目を皿のようにしてカタログの能力値を見比べ、自分だけの最強軍を設定してみるのも楽しいものです。
『大戦略』の今後の大戦略―メールインタビュー
ここまで若手による『大戦略SSB2』のプレイの様子をお届けしてきました。『大戦略SSB2』の遊び方がわかり、長年遊ばれてきた『大戦略』というものがどういうものかもわかりました。
ここからは、そんな『大戦略』を作り続けるシステムソフト・ベータの黒木孝行氏にお話を聞いてみました。
――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームも教えてください。
黒木:ディレクターの黒木です! 一番好きなゲームは、コナミさんの『RING of RED』です!
――本作の開発はどのように始まったのですか?
黒木:『大戦略SSB』の続編をそろそろ手がけたい、という思いから開発が始まりました。
弊社は常に「『大戦略』に挑戦したい」という熱意が根付いており、まず続編制作の方針が固まりました。そこから、どんな『大戦略』ならより楽しいゲーム体験になるのか、企画を練り上げていきました。
――本作の特徴を教えてください。
黒木:本作は、陸海空の現代兵器を指揮できるターン制のSLGです。
現代兵器を扱ったターン制SLGは、今となっては国内唯一、世界でも有数だと思います。
――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
黒木:オーソドックスなターン制SLGをじっくり楽しみたい方に、ぜひプレイしていただきたいです。
一手ずつ状況を読み、配置や運用、攻防の判断を積み重ねて勝利を目指す――その「考える面白さ」をしっかり味わえる作品になっています。シリーズが初めての方でも遊びやすく、腰を据えて戦略を練りたい方に特におすすめです。
――登場兵器は現実のものをモチーフにしているかと思いますが、ゲーム内の性能はどのように決めているのですか?
黒木:『大戦略』の過去シリーズのデータを参照しつつ、基本的には兵器同士の相対比較で性能を設定しています。
今作では、国ごとの特色や兵器タイプごとの特徴を特に重視しました。例えば日本は爆撃機や巡航ミサイルがない代わりに、全体的に高水準で扱いやすい兵器が揃っており、中でも索敵7の「25式偵察警戒車」が強力です。北朝鮮は「金君玉英雄艦」や「600mm超大型放射砲」をどう活かすかが、敵軍との性能差を埋める鍵になります。
このように、選んだ国によって「どう戦うか」を考えられるように設計しました。もちろん、好きな兵器を組み合わせて自分だけのオリジナル生産国を作ることもできます!
――『大戦略』の初心者がやりがちなミスはありますか。この記事を見てくれる読者に向けて、「ここだけは気をつけろよ!」というアドバイスをお願いします。
■大戦略初心者へのアドバイス
●補給が大切。弾切れ・燃料切れに注意!
燃料が0になると、部隊は動けなくなります。
航空機の場合は、墜落して消滅してしまいます。
せっかく購入した高価な兵器を失うことになるので注意しましょう。
また、残弾数が0になると攻撃できなくなります。
残弾数を気にせずに戦闘を繰り返すと、いざという時に弾切れで困ることになります。
弾薬は基地や首都、都市で補給できるので、少なくなったら直ぐに補給しましょう。
●兵器生産は計画的に!
ついつい強い兵器を揃えたくなりますが、性能の高い兵器は高価です。
高価な兵器ばかり生産していると、直ぐに軍資金が尽きてしまいます。
高性能の兵器でなくても、運用方法によっては十分に有効です。
例えば、補給車のような非戦闘車両の撃破に戦車は不要。戦車よりも安価な軽戦車で十分です。
兵器生産はバランスを考えて行いましょう。
●基本ルールをおさえよう
基本的な操作の仕方を覚えたら、以下の基本ルールをおさえてプレイしましょう。
【基本ルール】
・高空>低空>地上=海上>海中の高度の異なる兵器は重なることが可能
・自分に対して攻撃可能な武装を所持している敵ユニットの横をすり抜けて移動することはできない
・索敵範囲外の敵ユニットにぶつかると一方的に攻撃を受ける
●兵器の特色をおさえよう
兵器ごとの特色をおさえて、効果的に運用しましょう。
【特色】
・戦闘機は空対空、攻撃機は対地、爆撃機は対地の高火力
・攻撃ヘリは地上兵器に強い
・対空車両、対空ミサイル車両で敵の航空機やヘリに対抗する
・輸送ヘリは平らな地形(平地、砂漠、道路、全ての拠点)で歩兵の乗り降りが可能
・航空機はターンをまたぐときに最低限の燃料を残していないと墜落することがある
――本作の動画配信やそれに伴う収益化について注意すべき点があれば教えてください。
黒木:お客様(個人・法人・団体を問いません)は、弊社が開発・製造・販売・配信しているゲームソフトの映像、画像等を利用した、お客様自身が制作した動画等(プレイ動画)を、SNS、動画共有サイト等へ投稿いただけます。
ただし、お客様がプレイ動画を投稿される際には、ガイドラインを遵守いただく必要があります。
ガイドラインに関する詳細は、下記のリンクよりご確認ください。
https://ss-beta.co.jp/post_guideline/
――最後に、読者に向けたアピールメッセージをお願いします。
黒木:本作は、1989年発売の『大戦略Ⅲ グレートコマンダー』がターン制だったら、どんなゲームになっただろう? という発想から開発しました。
その想いに合わせて、メインテーマには『大戦略Ⅲ グレートコマンダー』のパワーアップ版である『大戦略III '90』のメインテーマをリメイクして使用しています。
私たちはこれからも、夢中になれるSLGとして『大戦略』を作り続けていきたいと考えています。発売して終わりではなく、長期的な追加要素やアップデートによる遊びやすさの向上も予定していますので、ぜひ手に取ってみてください!
今作『大戦略SSB2』ではSteam版も無事発売となり、再び多くのゲーマーの前に姿を現す『大戦略』となります。
その硬派なゲームタイトルや一見難しく複雑そうな見た目により、プレイしたことがないゲーマーは「なんか難しそう」と敬遠してしまうかもしれません。実際、筆者もそのひとりでした。
しかし、本作が持つ面白さは、動かしてみて、失敗して、考えなおして、また挑戦する。トライ・アンド・エラーというゲームのプリミティブな面白さをシンプルに楽しめる作品だったのです。覚えるのは簡単、遊び尽くすのは難しい……というデザインは、ゲームの理想形のひとつですよね。
『大戦略SSB2』は、PC(Steam/Windows 11)/PS5/ニンテンドースイッチ/ニンテンドースイッチ2向けに2月26日に発売予定。プレイしていないときも考えてしまう、中毒性のある戦略体験を、まだ味わったことのないあなたも体験してみませんか?
『大戦略SSB2』公式サイト










