大正ロマン、昭和レトロと来て、平成はなんとするべきか？というちょっとした議論が進行中の昨今。PS2もいよいよレトロゲームの枠に入りかけていますが、スーパーファミコンからセガサターン、プレイステーションまでの、2D円熟期～3D初期のテイストを受け継いだインディゲームが増えてきました。ハードの制約がなくなり、HD-2Dなどドット絵の表現の可能性も広がってきて、ゲーム進歩の新しい道筋が生まれています。
本記事では、2023年10月22日(水)より開催されているSteamオータムセール対象タイトルの中からオススメ作品をご紹介。そんなドット絵職人の技が光る、直近1年にリリースされた「JRPG 90’sリバイバル」なゲームを紹介します。
1. ゲストコンポーザーも注目なSFC世代風RPG『Sea of Stars』（10%オフ 3,600円）
『クロノトリガー』に影響を受けた、本年のTGAインディーズ部門およびRPG部門ノミネート作品です。シンボルエンカウントや協力技など『トリガー』らしさを受け継ぎつつ、MP増減の管理、敵攻撃の阻止などの現代的な戦略性もプラスしました。
今作にはゲストコンポーザーとして光田康典氏が参加。当時の音源を再現し、スーファミ世代の雰囲気を今の基準でスムーズに遊べます。それ以上にダイナミックなドット絵の動きには誰もが驚くでしょう。「時の霧」や「傷痕」、「世界を喰らう者」などのキーワードに引っかかる人には特にお勧めです。
2. モンスターを集めて“カセットテープ”で再生！『Cassette Beasts』（25%オフ 1,724円）
『ポケモン』に影響を受けたモンスター捕獲＆育成RPG。モンスターはカセットテープの記録という形で入手し、再生するとキャラクター自身が変身するユニークな世界です。場所も時代もバラバラな人たちが流れ着く謎の島で、手に入れたモンスターの力を借りて元の世界への帰還を目指します。注目すべきはモンスターが戦闘中に合体する「フュージョン」で、そのパターンはなんと約20,000弱に及ぶとか。カセットを戦いに使うだけあって、常にボーカル入りの曲がかかるので音楽好きにもたまりません。
上記2本のローカライズは架け橋ゲームズが担当していて、元になった作品の文脈も盛り込んだ高品質な翻訳が見事です。
3. マール王国の人形姫 三部作（デラックス版 30%オフ 5,909円）
ドット絵の豊かな動きが評判になった日本一ソフトウェアの出世作。コミカルテイストやクォータービュー戦闘は後の『魔界戦記ディスガイア』に繋がり、ゲストキャラでよく出ているマージョリーの原点もこの作品で見られます。遊びやすいオート戦闘も付いているので、古いゲームの戦闘はちょっと、という人でも楽々進められるでしょう。
本作の特徴はキャラクターが良く動くミュージカルシーンです。この場面のために用意された凝ったドット絵はまさに職人芸。移植に当たって音源もクリアなものを使用していて、今でも十分見応えがあります。8月に『マール王国の人形姫3』まで揃い、アートブック分が実質無料になるお得な三部作デラックス版バンドルもできました。
4. 定番タクティクスRPGのリメイク『タクティクスオウガ リボーン』（デジタルプレミアムエディション 50%オフ 4,390円）
「僕にその手を汚せというのか」でお馴染みの、人間同士の憎悪が交錯するタクティクスRPGの傑作です。民族間の対立をゲームシステムで表現し、序盤から主人公に非道な行為へ加担させる衝撃的な展開は今でも他に類を見ないものです。クォータービューのターン制システムはその後の多くの作品に影響を与えました。
本作は『運命の輪』に続く2回目のリメイクで、セガサターン版以来のボイス収録が行われました。愛憎渦巻く物語であるだけに、声による感情表現は想像以上に迫ってくるものがあります。
Steamの大型セールイベント「Steamオータムセール」は、11月22日から11月29日午前3時（日本時間）まで開催。PS2以降は3Dが主流になり、ドット絵の需要は激減していましたが、インディーシーンで新たに活躍の場ができ、触れたことがない世代にもユニークなスタイルとして受け入れられました。“2周目”のドット絵はどこまで進化するのか、これからも要注目です。
