2025年5月15日、バンダイナムコスタジオは同社のYouTubeチャンネルにて「キャラクターと背景の制作・表現方法」と題した、『鉄拳8』『テイルズ オブ アライズ』のキャラクターモデリング・背景制作開発スタッフがそれぞれ解説する動画を公開しました。
キャラクターモデリングや背景に必要な技術はタイトルによっても違う。それぞれの制作に重要な部分とは
本動画では、『鉄拳8』からリードキャラクターアーティスト・西村豪氏と背景制作・岡崎克志氏、『テイルズ オブ アライズ』よりキャラクターリード・小林美由紀氏と背景制作・梶原優子氏が登壇。それぞれのタイトルにおける、キャラクターモデリングと背景制作の手法について語られました。

まずは、キャラクターのモデリングから両タイトルを比較する形で説明が行われます。
比較的フォトリアルな表情のモデリングを目指しつつ、表情の抑揚を誇張した『鉄拳8』に対し、アニメ風ファンタジー世界を特徴とする『テイルズ オブ アライズ』では良い意味でリアルらしくない、イラストのように見える描画手法のアプローチをとっています。

実際のキャラクターはラフモデリング→精密なハイモデリング→ゲームに落とし込むローモデリングという手順でモデリングが行われますが、『テイルズ オブ アライズ』ではラフモデルの段階である程度の関節配置も決めているとの話です。一方、『鉄拳8』はキャラクターシルエット等も意識した大きな形取りを行っていることが語られました。
『テイルズ オブ アライズ』の女性キャラクターのケープやスカートなどについては、揺れると可愛いと思う部分についてはいい感じに揺れるように。そして、重力でケープが垂れてしまうとキャラクターのシルエットが崩れるため適度に調整を行っていることや、グラフィックデザイナーと相談して服装の素材の細かいディテールまで決めているとのことです。
そして『鉄拳8』のキャラクターは、「格闘家としての強さ」が見てわかるようなモデリングを目指して制作されたそう。時には筋肉の筋や血管が浮き出たテクスチャーを使用して力強さを誇張することもあるほか、キャラクターの設定身長よりもモデリングのサイズは全体的に大きくして強さを表現しているということです。

また背景の制作作業については、ある程度ステージやマップの仕様策定といった企画が進んでから発注されることが多いとか。『テイルズ オブ アライズ』でも『鉄拳8』でも、細部の差こそあれど大まかな流れは同じということです。

まずは仕様書に従って簡易なホワイトボックスを作り、全体的な構成やスタート時の視点、詳細なディテールが欲しい場所などを洗い出していきます。

『テイルズ オブ アライズ』のようなRPGではスタート地点から目標地点まで迷わずに辿りつけるようにするため、スタート地点の視点には特に注意を払うほか、全体的な背景制作がレベルデザインとも関係してくるといいます。
そして『鉄拳8』のような格闘ゲームでは、試合開始時の視点はプレイヤーが何度も見ることになるため、この見栄えについてはどのステージも作り込んでいると語られました。
そのほかステージ上のさまざまなオブジェクトを破壊することもできますが、本当にリアルタイムの物理演算を行って動いているオブジェクトは、実際のゲームの動作を最優先にする都合上ごく少数だそうです。多くのオブジェクトは破壊判定の度にランダムに破壊演出が加えられ、ステージ破壊のような大掛かりなギミックの場合は、事前に作成した破壊演出をそのまま再生するという形が取られているということが動画内で語られています。
両ゲームとも、キャラクター造形や背景制作にさまざまなこだわりが詰められていることがわかる今回の動画。ゲーム制作の道を目指している方、あるいはゲームのグラフィック使用に興味のある方は、本動画を視聴してみてはいかがでしょうか。
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