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『ウマ娘プリティーダービー』世界に飛び出せうまぴょい伝説!英訳歌詞の工夫に注目【ゲームで英語漬け#162】

ハルウララに全米が泣いた!

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『ウマ娘プリティーダービー』世界に飛び出せうまぴょい伝説!英訳歌詞の工夫に注目【ゲームで英語漬け#162】
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6月26日にグローバルリリースを迎えた『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、ウマ娘)は、ゲーム本編延期の紆余曲折ありつつも、発表から約9年の歳月を経て世界に飛び出す『Umamusume』に成長を遂げました。「うまぴょい伝説」は2016年の『ウマ娘』プロジェクト発表時に製作された記念すべき楽曲第一号。『メタルギア ソリッド』シリーズなどコジマプロダクションの作品に携わったDr.Hondaこと本田晃弘氏。酒の勢いから生み出されたというエピソードも相まって、本作のはちゃめちゃを象徴する一曲です。

『ウマ娘』は今週開催中のロサンゼルス「Anime Expo」及びパリ「Japan Expo」に出展しており、それ併せて英語歌唱版が公開されました。観客のコール部分は日本語そのままになっていて、全世界共通でトレーナーの声援を揃えられるに違いありません。今回は英語版の再訳をリズム合わせを付けて挑戦してみます。

Sing Along/Umapyoi Legend

  • Stride:大股、脚色(馬)

  • Lean:引き締まっている(身体)

  • Crave:渇望する、無性に食べたくなる

  • Tough it out:我慢する、耐え抜く

  • Kick the gear:速度を上げる、追い込みをかける

  • Heart race:胸が高鳴る

Sunny day! What a day!
Can't wait for the race!
1, 2, 3, four, five!
Tension high, It's time to go
Stride was strong but didn't get first
Gotta get better
Leaner! Faster!
Craving Dreaming
Rivals everywhere, don't stop!
Don't you cry Wipe those eyes
Tough it out!


スカッと快晴 競争日和
レースの時間が待ちきれない!
1,2,345
緊張MAX いざ出走!
脚色好調 でも敗走
強くなんなきゃ
絞って! 駆けて!
夢見て! 目指して!
ライバル一杯 止まんじゃない
泣くんじゃない 涙を拭いて
根性見せろ!

Victory smiling upon me today
She brows a kiss as I'm making my win
Go and follow the rainbow where it goes
Wind in our hair as we kick into gear
The light in our eyes shining ever so clear

勝利の女神は今日私に微笑む
私の勝利に投げキッスする
虹が続く先へ付いていこう
追い込み駆ければ風が髪を靡かせ
眼に宿る光は澄み輝くんだ

新録はないものの「うまぴょい伝説」以外にも英訳歌詞がついていて、どれもメロディに合わせてアレンジしてあるのが窺えます。言語を変えて歌うときに壁になるのが、発音の特性と単語の長さによる音数をどうするかです。「うまぴょい伝説」の場合、Aメロ部のは16分から8分に減らされていて、335、337のやや控えめのリズムを取っています。英語の場合、音符一つに当る母音の前後に子音が多く付随しているので、メロディーを詰めると舌が回らなくなってしまいます。いわゆる電波ソングの早口で押し通すスタイルは、基本的に母音と子音が一対一の日本語だからこそ出来る芸当なのです。

大まかには日本語とほぼ同様の内容ですが、英語版で変わっているのが、「Stride was strong but didn't get first」で、明らかな「負けて悔しい」の描写が入っているところです。サビ終わりの「Today we hear your cheers」以下は、直線に入って聞こえてくるファンの声援を表わすようで、アイドル的ラブソングの雰囲気がある日本語版よりも、レースに望む高揚感に重点を置いている印象ですね。なお、赤チンは「うまぴょい伝説」発表後から生産取りやめが重なり、精製過程で水銀を使用することから2020年を以て製造販売が完全に終了しました。

一般的に、同じメロディに付けられる日本語詞と英語詞では情報量に約2倍の差があると言われており、ミュージカルなどで内容が全く違うようなことが起きるのはどうしても避けられません。一音に一単語を当てられる英語に対し、英日の時は必ず意味を削る作業が発生し、それでも合わなければ音を増やして対応します。「レ・ミゼラブル」の日本語版製作の際には、作曲者から一切の変更禁止が命じられたために、訳詞にとても苦労したという話もあるほどです。

逆に日英では詞を倍に膨らませる必要があります。英訳で余った音の部分は新たに分を足し、日本語の発音に合わせて調整するのも英日に比べれば余裕がありますね。「こんなーレースーはー はーじめてー」の箇所は日本語で10音を使っていますが、英語だと「Emotions all brand new」の6音で済みます。残り4音に「はじめて」の口に合う「jump through that gate」をあてました。「Make Debut」は全体的に発音合わせがうまくできていて、英語詩で歌っても行末の伸ばしはほぼリンクしています。

公式英訳が付いたことで海外での歌ってみたカバーが流行するかどうか、それは今後の盛り上がり次第ですが、勝利を目指すスポ根の炎が世界に広がるのを楽しみにしましょう。トレーナー同士が出会ったら、合い言葉は勿論「Umapyoi! Umapyoi!」

おまけ


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ライター:Skollfang,編集:宮崎 紘輔

ライター/好奇心と探究心 Skollfang

ゲームの世界をもっと好きになる「おいしい一粒」をお届けします。

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編集/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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