ようこそ恐怖の世界へ…日本を代表するホラー漫画家のアニメ原作ADV『伊藤潤二「マニアック」・果てしない呪縛』プレイレポ。「富江」は日本語フルボイス | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ようこそ恐怖の世界へ…日本を代表するホラー漫画家のアニメ原作ADV『伊藤潤二「マニアック」・果てしない呪縛』プレイレポ。「富江」は日本語フルボイス

自分自身の存在が一番怖い。

連載・特集 プレイレポート
ようこそ恐怖の世界へ…日本を代表するホラー漫画家のアニメ原作ADV『伊藤潤二「マニアック」・果てしない呪縛』プレイレポ。「富江」は日本語フルボイス
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ホラー漫画の大家、伊藤潤二氏。『DEATH STRANDING』でのカメオ出演や、『恐怖の世界』はじめリスペクトを公言する作品が多数あり、ゲームの世界でも名前を目にする機会が多い今日この頃。そんな伊藤氏の作品を題材としたアニメ「マニアック」を原作とした一人称視点のホラーゲーム、『伊藤潤二「マニアック」・果てしない呪縛』のプレイレポートをお届けします。

開発・販売は台湾のSOFTSTAR ENTERTAINMENT。同社は近年、『女鬼橋 開魂路』、『呪詛』と台湾ホラー映画のゲームを手掛けてきましたが、伊藤氏は台湾でも根強い人気を誇る人物。著者のような伊藤潤二ファンにとっても、氏を知らない方にとっても楽しめる一作に仕上がっています。

集結する伊藤潤二ユニバース

伊藤潤二氏といえば、やはり短編ホラー。原作「マニアック」は傑作短編を抜き出してアニメ化したシリーズでしたが、本作は様々な短編から要素をつなぎ合わせて巧みに一本のオリジナルストーリーに仕立てています。

主人公が目覚めると、そこは謎の洋館。記憶を失っており、部屋にはトミなる人物からのメッセージが光る携帯電話と、怪奇現象を調査すべく洋館を探検するという趣旨の企画書。断片的な手がかりを集めつつ、脱出を目指し進む運びとなります。

目にクマがかった眼鏡の男性という造形が、いかにも伊藤潤二的ですが、部屋を出ると、かわいくない猫が罠にかかっています。

これは…「双一の愛玩動物」に出てきた猫…?嫌な予感とともに猫を追っていくと……

屋根裏の長い髪」!「屋根裏の長い髪」だ!そして、はじめて人影を見つけたと思いきや……

首のない彫刻」!この彫刻が本作で襲ってくる敵です。主人公に戦闘能力はないため、基本的には逃げて物陰やクローゼットに隠れてやりすごすのですが、ここで先ほどの罠です。仕掛けるのに時間を要するため準備が必要ですが、罠を踏ませることで撃退できます。

ですが、罠は咄嗟には使えませんし、消費アイテムかつ潤沢に手に入るわけではありません。そこで本作の重要システム、環境キルです。

洋館内には壺、鎧、シャンデリアなどが置いてあり、どれも一度きりですが命中させれば敵を撃退できます。これがホラーとしてよくできた仕組みで、洋館を徘徊している敵の数は多くないものの、こうした環境アイテムが置かれてあるだけで、敵と戦う可能性を常に感じさせられます。

そうこうしていると謎の女性に助けられ、二人で協力することに。その名も富江。伊藤潤二氏のデビュー作であり代表作、「富江」シリーズから満を持しての登場です。

美醜を表裏一体とする世界観の再構築

氏の作風を一言で表すならば、美醜合わせ持つ恐怖です。美しいものに潜む怪異、醜いものに宿る魅力、そのアンビバレンスな恐怖を描き出す巧みな画力こそ、氏を氏たらしめる最大の要素でしょう。その象徴たる富江は文字通り魔性の女性ですが、本作のモデリングは富江の美しさを非常によく捉えており、そのポージングや挙動にいたるまで完璧です。

加えて、声優は原作「マニアック」の実質的な前作である「コレクション」から富江役を担当している末柄里恵氏が担当しており、この上ない配役です。海外製のインディー規模の作品ながら、全編日本語フルボイス対応しているのはありがたいことです。

また、漫画のコマ割りを意識したカットシーンも本作の特徴です。漫画のコマ割りは一コマの中に時間を圧縮する技術ですが、コマ内でアニメーションを用いて時間経過を示しつつ、画面全体は分割線によりコマを割ってカメラのズームを表現しており、ゲームならではの演出となっています。

そして、清水凜と名乗る警官に出会い、三人で洋館からの脱出法を探ることに。本作に登場する原作タイトルは列挙した限りではありませんが、主人公と並んで凜は本作オリジナルキャラクターです。伊藤潤二氏のストーリーテリングといえば、コメディとホラーが同居する奇妙な展開に、SF的な壮大さ、そしてシュールですらある予期せぬエンディングです。

本作は様々な短編を繋ぎ合わせながら、独自の物語、独自の登場人物により、容易に先を予想させません。比較的シリアスかつミステリー寄りではありますが、我が身で恐怖を味わうホラーゲームとしては妥当な味付けと言えるでしょう。

身近に、あるいは己の体そのものに起こる怪奇現象により、自分自身が何者かという恐怖を描くのもまた、氏の作品に通底する主題です。記憶喪失の主人公が謎の洋館を探索して真相に近づくという舞台設定、サイコホラーというゲームジャンルの選択にも開発の深い理解を感じます。

総じて本作は、伊藤潤二ワールドをゲームとして再構成した一作として仕上がっています。氏を知るファンならば、様々な作品からの引用と雰囲気の再現を楽しめるでしょう。そして、知らない方にとっても、伊藤潤二入門として推奨できる一作となっています。原作アニメ「マニアック」を見てからプレイするもよし、プレイしてから見るもよしです。

伊藤潤二「マニアック」・果てしない呪縛』は、PC(Steam)向けに2025年11月12日より配信中です。


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ライター:nicolith,編集:みお



ライター/ nicolith

野生でゲームの翻訳をやっています。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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