
カバーは、同社が提供するメタバース『ホロアース』で起きた「不適切なNPCの実装」について、改めて経緯や今後の対応をアナウンスしました。
◆「特定の人物を意図した事実はない」としつつ、改めて事態の経緯を説明
本件は、10月23日のアップデートで追加されたNPC「コウゾーさん」が、池袋暴走事故(2019年)を起こした飯塚幸三元受刑者に酷似しているとSNS上で拡散。名前や容姿、「機械の変なところをいじって気づけばこんなところに……」というセリフなど、偶然というには難しい要素の数々が波紋を呼び、炎上につながったというものです。
事態を把握した公式は11月26日のアップデートで同NPCを削除し、「当該キャラクターは、アバター表現の多様性を目的として、既存のファッションアイテムを用いて制作したものであり、制作過程において特定の人物を意図した事実はございません」と謝罪しました。
しかし、「偶然の一致と言うには難しいとも言える状況であることは認識しており、実際にそのような声も多くいただいている」として12月5日、改めて本件の詳細を報告しています。
カバーはまず「制作においては、キャラクター設定とアバター設定のチームが異なっており、それぞれが制作に当たっていたため、意図して制作されたという事実はございません。一方で、企画時点においては「農場経営者」の原案となっておりましたが、実装当時、システム上に「作業着」等の専用アセットが未実装であったため、実装済みの「現代的なアイテム」で代用した結果、設定と乖離した外見となったことが原因の1つであると認識しております」と説明。
続けて「当社として再度これらの情報や時系列、関係者の調査を実施しましたが、上記経緯を踏まえ、意図的に制作したものではないとの結論に至っております」と語っています。
一方で「しかしながら、その後の実装に当たるプロセスにおいては、事前のチェック課程で、実在の人物を想起させる可能性に気づくことなく、そのまま公開に至ってしまったことについて、当社としての責任を痛感しております。この点について、チェックの中心が自社サービスや関連するサービス・著作権との類似チェック等を中心としていたため、社会的な情報との突合や精査が十分でなく、事業部での管理機能が十分でなかったと考えております」としました。
◆今後の対応として「チェック機能の強化」を表明
上記の説明通り、カバーは本件を「チェック機能の不全が招いた事態である」と認識。今後の対応として、チェック機能の強化とともに、制作・監修フローを見直し、人の目によるチェックとツールによる情報精査の両面での対策を、業務フローに取り入れる形で実施するといいます。
また、リリース直前のチェックではなく、「企画・起案段階」でのチェック体制を厳格化することで、開発リソースを割く前にリスクを潰す「シフトレフト」の考え方を取り入れ、品質を担保する形にフローを改善していくとも表明。
この他、実装においても根幹に関わらないNPCについては、一切の名称を付与しないこととし、そもそもリスクとなりうる実装を回避するような仕様やルールの導入も順次進めていくといいます。
カバーは最後に「これらのフローの整備が完了いたしましたので、本お知らせをもって当社の対応としてご報告申し上げる次第でございます」と報告。
また「今回の件を受けて、皆様が安心して楽しめる空間を提供することが、最も重要な使命であると再認識しております。上記の対策を徹底し、安全で魅力的なコンテンツをお届けできるよう、運営一同、誠心誠意努めてまいる所存でございます」とコメントしています。










