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転売対策の課題は「買い占め」―スイッチ2やガンプラ出品規制に踏み切った「ヤフオク!」「Yahoo!フリマ」リユース事業責任者インタビュー

2月6日より開始された「ガンプラ」出品規制。コロナ禍以降、過熱し続ける「転売」への、リユース事業者の対策についてお話を伺いました。

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LINEヤフーは1月23日、運営する「ヤフオク!」と「Yahoo!フリマ」で、バンダイのプラモデル「ガンプラ」の出品規制を発表しました。

今回の規制では、2月6日以降に発売されるガンプラのうち、「HG/RG/MG/PG」シリーズを対象に未開封・未使用商品が約3ヶ月間の出品が禁止されます。



LINEヤフーはこれまでも、昨年のニンテンドースイッチ2(以下、スイッチ2)発売時にも出品規制を実施。コロナ禍時にはマスク・消毒液の出品が禁止される例はありましたが、エンタメ領域では大きく踏み込んだ対策となります。

編集部では今回、LINEヤフーの執行役員で、コマースドメイン リユースSBUリード・林啓太氏にインタビューを実施。ガンプラや「スイッチ2」の出品規制を行った経緯と、今後についてお話を伺いました。

◆スイッチ2の出品規制は“独自”の判断、一番の課題は「買い占め」

――2020年頃から、フリマアプリの普及やグッズ・トレカ人気を背景に転売問題が広がっています。御社はこの状況をどう捉えていますか。

林啓太氏(以下、林):まず二次流通という市場は、誰かの手に渡ったものを出品してもらって売買するという形なので、広義的に言えば全て「転売」という捉え方もできます。従来であれば中古で売られたモノの値段というのは価格競争の自由もあるため、欲しい人が値を付けるというモデルだと思っています。

しかし、ここ数年でフリマアプリが裾野を広げ、かつコロナ禍により「家で何かを売ろう」という流れが強まりました。その中で、誰でも気軽に売れるようになったということが今まさに言われている「高額転売」として社会問題化した背景にあるかなと認識しています。

需要と供給のバランスとして需要が供給を上回った際は、当初の値段よりも高い値段で欲しいという人が出てくるのが市場の原理とは思いますが、一番の課題は「買い占め」です。

――「買い占め」については、SNS上でも対策への声が上がることもありますね。

林:インターネットを通じて発売情報が事前に分かるようになり、本来は1人1個の商品を大量に買い占めることで在庫を確保してしまう。すると、それを欲しがる需要の方が大きいので、高値で販売すれば差益で利益が取れてしまいます。

気軽に販売できるようになった二次流通の世界と、その「買い占める」という行為が相まって「本当に欲しい人が買いに行った時にはもうすでに買い占められていた」ということで、問題になっていると捉えています。

――御社は『ヤフオク!』25周年など長くサービスを運営されていますが、やはりここ数年の過熱ぶりは顕著でしょうか。

林:実は、全体のボリューム感で言うと、その転売の商品が我々の取扱高の割合をすごく占めるようになった、というような変化はあまりありません。

いわゆる今「転売」という風に捉えられているのは、新品の商品を買ってそのまま新品未使用で売るというカテゴリーかと思います。

本来の「中古品を不要になった時に売って、それを誰かが買う」というリユースのあり方がど真ん中にあるのは、弊社のサービスでは変わっていません。昨今のSDGsといった環境の中で「捨てる」よりも「誰かに使ってもらう」というサイクルはより強くなっているので、そういった意味でも中古品の売買はどんどん活性化していると思っています。

――転売が増えても、御社が提供するサービスのメイン利用者になるわけでは無いのですね。

林:ただそういった状況であっても、社会的に「リユース事業者が何もしないから買い占めと転売が起こってしまう」という声が強調されるのは、今の時代としてあるかなと思います。

「買い占めによる転売で儲かる売買」というのは我々も望んでない取引ではあるため、二次流通事業者としてどう対策を取るべきか、できる限りやれることをやろうと考えています。

――今回の発表に先立って、昨年5月27日にスイッチ2の出品規制を発表されていました。実際に効果はありましたか。

林:当時、スイッチ2は完全に出品禁止という形を取ったので、売り場では出てこないようになりました。基本的に全て防いだという形になるので、実際にどれだけ出品が減ったかという計算はしていないのですが、事前に発表していたことで売り場に出品しようとしてくるアクション自体は、これまでと比較してもやっぱり少なかったですね。



事前に「ダメですよ」と発表したことで、少なくとも我々のプラットフォームではスイッチ2の転売をしてはいけないということは、お客様にも届いていたのではないかと感じています。

また、過去にマスクや消毒液を禁止した事例はありましたが、法令に準拠したもの以外で自主的に出品禁止の判断をしたのは今回が初めてです。

――かなり踏み込んだ判断ですね。

林:今回の場合はスイッチ2というハードが発売されることで、明らかに世の中的な盛り上がりがあり、需要が供給よりも上回るということは容易に想像できていました。そして任天堂さんも、過去に遊んでいる経験、時間がある方を対象に抽選を行うといった、きっちりとした対策を取られていました。

一次販売元がそこまで規制している中で、これでも二次流通で転売されてしまうということになると、やはりそれは本当に欲しい人に手が届かなくなる、手に入らなくなるという市場の混乱を我々も助長してしまうのではないかと。

その商品自体の環境を、より欲しい人が手に入れられるような環境にしていく、という取り組みにしたいなという思いがあってスイッチ2の出品禁止に踏み切ろうと判断しました。

――具体的には、どのような対策や取り組みを実施したのでしょうか?

林:もともと「手元にない商品(予約段階の商品など)」はルール上で禁止しており、そちらは違反行為として定義しています。

また、我々の中でも製品情報という形でそれぞれを指定できるようにしているので、出品時にその商品がスイッチ2かどうかをちゃんと識別できるようにした上で、それをパトロールして削除するなど制限をかけているという形ですね。商品画像の識別では、特徴の抽出にAIも使っています。

ただ、商品情報だけでは見分けがつかなかったり回避されたりということもあるので、そこに加えて出品者の行動のログをうまく重ねてパトロールをしたりですとか、ユーザーからの違反報告も受けたりなど、データを蓄積しながら「この場合はこうだね」と判断しています。パトロールやモニタリングをどんどん機械化していくところに、AIも活用している状況です。

世の中に流通するすべての商品がいつ発売されて、いつそれが高騰するものなのかを把握するのは非常に難しい部分です。できる限りそれをデータベース化して、そのものを特定できるようにしたいと思っています。

――ユーザーからは、「どれぐらい効果があるんだろう」といった懸念もあります。それについてはいかがですか?

林:やはり一番多く声をいただいているのは、我々だけがその対策をとっても「二次流通のマーケット全体で禁止しているわけじゃない」となると、その抑止効果がどの程度になるか、という部分かなと思います。

ここは正直なところ、法律で二次流通が禁止されているわけではなく、また「価格を指定してはいけない」という法律があるわけでもありません。

基本的には物を売るということ自体に、販売者の自由や競争の自由があっていいというのが前提になっているので、そこに一律のルールを設けて一気に規制するというのは法律面などでリスクがあるかとも思います。

我々としては、その中でどうアプローチやトライすると効果が出るかというのを、今手探りでやっている形です。明確にこれをやれば全て解決するというような状況にまだ至れていないというのが正直なところです。

――自由に売買ができるリユース市場の中で、効果的な対策を手探りで進めていると。

林:リユースは本来「不要なものを売る」というマーケットであり、それが誰かの手に渡ることで、リサイクルやリユースが進むということを望んでいます。そのため、今回の発表を通じて、安心して取引して頂くなど、売り場自体を安全だと思ってもらいたいと考えています。

実際にスイッチ2出品規制の際、ただただ高値で転売されているというだけではなく、そこに付随して不正を試みたりする例もありました。スイッチ2の空箱で「箱だけ売っています」とか、スイッチをスイッチ 2に見せかけて売るだとか、そういうことを副次的に防いでいることを考えると、我々としてはすごく意味のあることだと思います。

加えて、私達は年末などにクーポン配布やポイントキャンペーンなどを行っているのですが、例えばゲーム機に使えるクーポンを配った際に、多くの方は高値のついているスイッチ2にクーポンを使うかと思います。

そうなると、本来やりたいキャンペーンとは全然違う効果になり、そこに我々がコストをかけてしまうことになるので、事業としても良い状況ではありません。

実際に規制を行うからこそ、ゲーム機を買い替えた方に「古いスイッチを売ってください」というコミュニケーションができ、スイッチを欲しい人には安く買えるクーポンを配るなどのマーケティングも出来ます。そのような健全な市場に近づきたいという思いもあり、こういった取り組みを積極的にやっているという背景もあります。

◆健全なリユース市場を目指して

――それでは、今回ガンプラの出品規制に踏み切った理由についてお聞かせください。

林:今回プラモデルを対象とした理由は、発売直後に価格が高騰しやすい商材の1つと判断したためです。

リユース商材の中でも買い占めによって高騰してしまうのは、全てのジャンルで平等にあるわけではありません。特定のジャンルに偏りやすく、ゲーム機の本体というのもその一つです。

――今回のガンプラ規制では「発売から3ヶ月」「特定の4種類(HG/RG/ MG/PG)」という条件が設定されました。これはどのように決められたのでしょうか。

林:やはり、全ての商材を特定して、それに対応するというのは難しい状況です。その中で、我々が持っている今までの取引データから、どういうルールでやるのが一番効果的だろうかというところを検証した上で、今回のルールにつながっています。

――この3ヶ月というところが効果的だと。

林:そうですね。ただ、やはり新しい取り組みなので、実際対策を行ってみてから、色々と知見が得られるのではないかなと思っています。3ヶ月の出品規制はルールとしてずっと決まりというわけでもなく、そこから変えていくということもあり得ます。まずは手探りで検証していくつもりです。

またガンプラの再販品についても、再販されてなお買いづらい状況がどれほどのバランスで起こるかということを考えていきたいと思っています。

スイッチ2の例でお話すると、いつかどこかのタイミングで供給が追いつく可能性もあります。初代スイッチのように、買い占めで市場が混乱する環境じゃないという判断が出来た際は、解除することもあるかもしれません。

ガンプラに関しても同様に、再販を繰り返して供給が追いつけば規制する必要が無くなるということもあるかと思うので、今後の流れで判断していきたいと思っています。

――このタイミングでガンプラの出品規制の発表に踏み切った理由などはありますか?

林:明確に「このタイミングで」というのは無いのですが、「Yahoo!フリマ」が実施しているエンタメ領域でのキャンペーン第2弾と合わせて発表させて頂きました。

林:マーケティング活動をしていく中で、本来我々が取引として活発になってほしい領域を、しっかり活発にさせるためにやっていくということでは、そういった取り組みと対策をセットでやっていきたいとうのが今回の背景です。

――転売の商材として扱われているのは、トレーディングカードや人気グッズなど多数あります。今後の出品規制についてお聞かせください。

林:はい。まず「何でも規制すればいい」となってしまうと、リユース事業自体が立ち行かなくなってしまいます。そのため、我々としても基準を決めてやっていかないといけません。そういう意味では、先程申し上げたように「一次流通側が対策をやっているかどうか」や「その市場に混乱を与えると予想できるか」というところが非常に重要です。

唐突に出て唐突に盛り上がったものを事前に予測して考えるというのはとても難しいので、本当は一次販売側との情報連携のようなものを密にやっていかなければならないとは思っています。

ただ、トレーディングカードのようなパックの中にレアリティの高いカードが封入されているようなものは、これまでお話しした「買い占めによる高値」というより「そのカード自体の価値が高い」ということになるため、規制が難しい部分です。

例えばファミコンのソフトを中古で販売すると、当時の定価以上にすごくプレミアムな値段がついて売買されることもありますが、それは市場の価値としては全然問題ない取引だなと思っていますので。

また、ゲームセンターで取れるぬいぐるみなども。希望小売価格が無いので売られている価格が適正かどうか判断をするのは難しくあります。そういったところも含めて、ルールを見極めながら、対策を始めている形です。

林:それと、プラモデル特有のものとして、組み立てて綺麗に塗装し、完成されたものをオークションで出品されることが昔からあります。

これは付加価値がついて高値になるもので、「創作物」としての価値がついているのはすごく正しい売買というか、リユースの使い方として良い使われ方です。プラモデルは、その人の技術によって出来上がるというクリエイティブな領域だなと捉えていますので。

そういったところでも、取引を安心安全に行ってもらえる、健全なリユース市場づくりに重きを置いて対策に取り組んでいます。


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