インディーゲームのプロモーションといえば、イベント出展やパブリッシャーとの連携が定石とされがちです。しかし、そうした“文脈”から一定の距離を取りながら作品を届け続けている開発者もいます。
個人サークルCrush-vAdinのBhaskara氏もその1人。最新作『ギャルトムラ』は、前作のヒットを踏まえつつも、あえて異なる設計思想で作られました。本記事では、セルフパブリッシングという選択、その現実的な手触りについて話を聞きます。
――自己紹介をお願いいたします。
Bhaskara:Bhaskaraと申します。1人/個人サークルCrush-vAdin(クラッシュヴァーディン)でゲームを作っています。
――『ギャルトムラ』についてあらためて教えてください。
Bhaskara:本作は拙作としてはかなりヒットした『カルトに厳しいギャル(以下、カルギャル)』をさらにブラッシュアップさせたゲームになります。『カルギャル』のスイッチ版移植に去年一昨年と取り組んでまして、その間にモックを作って捨てを繰り返し、最終的に「ここは精神的な続編を作る勇気も必要だな」ということで作りました。なんとギャルが村で暴れます。うれしい。

――現在のところ、評判や売上はいかがでしょうか。この結果に満足していますか。
Bhaskara:評判としてはかなりよく、Steamレビューも100%の非常に好評です。発売数は1,200本くらいですね。作品の出来にはかなり満足しています。売り上げについても当初の予想値ぐらいには落ち着いているので、まぁこんなものかなとは思っています。ただ前作、前々作ほどフックを効かせたゲームにしていないので、いわゆるバズからの売れ、というのが無く、一回ぐらいはポンと売れるタイミングがあるといいなというところです。
――国外からも注目されているのでしょうか。
Bhaskara:国別売上では日本が綺麗に50%ですね(今確認しました)。アメリカが25%、あとは他の国というところです。JFPSという枠組みがなんかふわっと最近出来上がりましたが、海外のFPSファンからも比較的注目されてはいるようです。
――前作『カルトに厳しいギャル』は、現在までで1万5,000本以上売れているそうですね。売れ方として、ゆるやかに数を伸ばしていったのか、なにかきっかけがあって伸びていったのか、どちらでしょうか。
Bhaskara:カルギャルは初日で600本売れて、その後も毎日ちゃんと売れてセールでも売れてという感じで、ずっと売れていますね。タイトル名と中指を立てるギミック、あとはタイトル画面の圧の強さでフックがあり、そこそこバズった投稿もあったので、それも関係しているかもしれません。インパクトある作りでそこそこおもしろさを提供できるので、バズって知ってプレイした層をそこまで失望させていないのが大きいとも感じます。
――いわゆるインディー開発者が目指すプロモーション戦略として、ゲームイベントへの出展がありますが、本作はイベント出展などはされていません。なぜ、こうした選択をしたのですか。
Bhaskara:「いわゆるインディー開発者」のプロモーション戦略だからですね。イベント自体はすきで時折行くのですが、やっぱりこう、インディー!って感じがして自分のアピール場所としてはピンとこないのが正直なところです。あと普通に大変ですよね。
――そもそも、国内FPS開発者は、あまりイベントに出る人は多くないように感じます。それはなぜだと思いますか。
Bhaskara:例えばですが、unity1weekとかそういうところに出自がある人、パブリッシャー契約している人。であれば出るのかなと思います。『最終回収SQUAD』は作者さん本人はいませんが何回か出てますよね。あと、『CardEater』もよく出ていたと思います。わくわくゲームズ扱いのものは今後出てくるんじゃないですかね?
業者さん関係にしても私はある程度自分で探しちゃうのでイベント会場で見つけることもないし……売れているゲームという点でみれば『Citadel』にしても『HOLE』にしてもイベントは多分出ていませんよね。私もそうですが、“インディーゲーム”的な文脈とそこまで接触していない気がします。すきだから勝手に作って勝手に出しましたみたいな。それで普通に皆さん好きで遊んでくれてるので、出展の大変さを乗り越えてまで出すモチベーションを作り出すのは大変そうな。あと『近畿霊務局』の作者さんはだいたいイベント会場遠いって言ってました。
――スイッチ版『カルトに厳しいギャル』を除き、パブリッシャーもつけずにリリースしています。セルフパブリッシングを選び続ける理由はなぜですか。そもそも、これまでパブリッシャーを探そうとしたことはありますか。
Bhaskara:まず最初に言っておかないといけないのは『ギャルトムラ』は『カルギャル』の縁でわくわくゲームズさんに翻訳者さんを紹介してもらってそこだけ支払ってもらってます。『ギャルトムラ』をスイッチで出すならって感じで、どうするかは今後の流れ次第というかんじ。とはいえ本作は文字数も特別多くはないので、実際にかかってる費用の内訳は声優さん、タイトルイラスト、EDアレンジ、タイトルのアニメーションがメインです。翻訳者さんに関しては自分でよしあしを判断するのが難しいので紹介してもらいました。

ちゃんと見てないですが『ギャルトムラ』は費用的には40万いってないぐらいでは。この後出るブツで更に費用かさみましたが、長い目で見れば赤字ではないでしょう。趣味なので実質黒字です。話が逸れました。セルフパブリッシングでやっているのは広報自体そこそこ好きなのと、何か広報するにしても強くディレクションしたいからですね。ニコニコに出してる進捗動画、最近はあんまりですが、なんだかんだで200本は出してるはずです。好きなんですよね。
スイッチ版のパブリッシングお願いしたのは普通に1人で出すの大変なのが一番大きいです。本当にゲーム出したての頃は「パブリッシャー?っていうのがつくとすべての悩みから救われ、苦悩の炎もろうそくの火を吹いたように消え、生み出すゲーム全てが超バズらしい!」となんとなく探したこともありますが、まぁつきませんよね。あと、4月ぐらいに『ギャルトムラ』に関係しつつ、十数人ぐらいプロの方雇って作っているものが出ます。そういうものや、あとギャルトムラではEDテーマの編曲をタカユキカトーさん(色々な十字架のkikato様)に頼みましたが、メール出してお願いして打ち合わせてお金を払うとわりと皆さんやってくれるので、「やりたいことに対して資金提供・渉外担当が特別要らない」というのがあります。
ゲームの売上で作って、別に反応なくても関係者は自分が選んだ人で、その人の作品が見たいからオールオッケーって精神でもあります。あとパブリッシャーさんに広報なげて、そういうのまで全部投げて頼める事例って私レベルだとないですし、契約に広報費用混ぜて売り上げから相殺するのも面倒だし、いざディレクション頼んでシャバくなったらギクシャクしそうだし・・・・で、強く自分でディレクションする方がいいかなと思ってます。

――完全に独立した動きだからこそ出来たこと、逆に完全に独立しているからこそ苦労したところ、あるいは助けられたところがあれば教えてください。
Bhaskara:セルフパブリッシングで良かったところは売上度外視でモノを作れるという点ですね。苦労したところは実はそこまで。。。。。普通にゲーム作って出すという点で、パブリッシャーさんは必須ではないですからね。広報ガン積みしても別にコケるゲームはコケますし、なんで『ギャルトムラ』と『カルトに厳しいギャル』の売上が違うのか、についても普通に説明はつく訳で、、、、そこを呑み込めるのであれば特に辛いこともないかなと。
――次回からも同じ売り方をとっていきますか。
Bhaskara:そうですね、同じように売って、スイッチ版が出したくなったらお願いして・・・という感じかなと。
――最後に、なにか発売中作品に関するアピールがあればお願いします。
Bhaskara:ギャルトムラ、なんとカルトに厳しいギャルよりも出来がいいです。買いましょう。500円です。

『ギャルトムラ』は、PC(Steam)向けに500円で配信中です。







