今から約30年前の1994年5月27日。この日にとあるスーパーファミコンのゲームが発売されました。その名は、『首都高バトル'94 ドリフトキング 土屋圭市&坂東正明』。
『首都高バトル』シリーズの始祖として生まれた本作は、あくまで架空の高速道路をただ速く走るレースゲームとして誕生しました。
それから5年後、ドリームキャストで発売したのが『首都高バトル』です。イメージソングにZIGGYを採用するという話題性もありましたが、蓋を開けてみればそれ以上に本作は“異質”。現実の首都高を完全再現し、レースは首都高内のどこからでも開始可能で、「SPバトル」と呼ばれる相手の精神力、つまりは心をへし折る戦いをレースゲームとして初めて実装しました。
決して速く走るだけでは相手に勝つことができない。ライバルの苦手な区間で勝負する戦略性、そして現実の高速を時速300km/hで走り抜ける快感。その尖りに尖ったレースゲームは、世の中のコアなレースゲーム好きに受け入れられ、新たな人気レースゲームシリーズの一角を担うことになりました。
その人気の勢いは留まることなく、PS2、オンライン対応したWindows、PSP、Xbox 360と数々のゲームハードで新作が作られていきます。しかし、2006年の『首都高バトルX』を最後に、家庭用ゲームハードでの「勝つためのルールしか守らない」レースは、世の中から姿を消してしまいました。
それでも、名も無い走り屋たちは20年間ずっと待っていたのです。再び、首都高で巡り合うその日をずっと。コンシューマーでの展開がない間、たくさんのモバイル機器でシリーズがリリースされ、すぐにサービスが終わってしまっても、ずっと、ずっとです。
そうして待つこと約18年の時を経て、遂に新作『首都高バトル』が2024年に発表されました。翌年の2025年にはSteamにて正式リリースされると共に、実に約20年ぶりの家庭用ゲームハード、PS5にて『首都高バトル』が発売すると発表されました。

そうして2026年の今、私の手元にはPS5版の『首都高バトル』があります。ならば、再び走り出しましょう。最速の称号を目指して――。
昔と変わらない操作感、昔と変わった光景


筆者は『首都高バトル』をSteamとPS5の両方でプレイしており、画質に関してはPS5版もSteam版の最高品質のものと遜色ありません。その代わり、ハイエンドのゲーミングPCよりコース(首都高)に出る時のロード時間は少し長めです。
ただ操作感はリアルとゲーム挙動の中間あたりで、低速であればするすると曲がってくれます。また序盤は速度域もそこまで速くないので、1時間も走らせればPS5コントローラーでもスムーズに車をコントロールできるでしょう。
ですが、そのようなことは些細なお話です。20年の時を経て、再び家庭用ゲーム機で『首都高バトル』シリーズを遊ぶことができる。それ以上の喜びはありません。真夜中の首都高をただ走るだけでも絵になります。


そして20年という時は、景色を大きく変えていきました。特にわかりやすいのが、東京スカイツリーの存在でしょう。20年前には存在していなかったスカイツリーが、PS5『首都高バトル』では遠くではありますがしっかりと確認できます。東京タワーは、20年前よりずっと綺麗な表現です。
一方で、去年より工事が始まっている汐留JCTも、本作ではまだ普通の状態で確認できるので、ただ首都高を走るだけで感慨深くなるものです。
また『首都高バトル』といえば、ストーリーも重要な要素。数々の濃いキャラクターが登場し、主人公であるプレイヤーを中心に「首都高最速」の名を奪い合う戦いを繰り広げていきます。シリーズを遊んでいる人にとっては、ストーリーもとても感慨深いものがあるのではないでしょうか。

まず、前作『首都高バトルX』から本作『首都高バトル』では、ゲーム内時間で4年ほど経過しています。今までの家庭用ゲームシリーズは、ゲームの発売に合わせてゲーム世界も同じ時間だけ進んでいましたが、さすがに20年も経過すると、ストーリーに不都合が起きてしまうが故の選択なのでしょう。
実際プレイするとわかりますが、今までのラスボスは本作では師匠枠となっており、弟子である存在が新たに通り名を襲名しているという設定です。


さらに全く新しいキャラクターも現れ、まさに「新生『首都高バトル』の物語はここから始まり続いていくのだろう」と実感させてくれるものになっています。
新ライバルである「久遠のポラリス」とか、シルエットだけなのにめっちゃ可愛く見えます!

そして、もうひとつ絶対に言いたいことがあります。それはホンダ車の復活です。
ホンダ車は『首都高バトル0』が最後の収録だったため、実に約25年ぶりにホンダ車が『首都高バトル』シリーズに、家庭用ゲーム機で走らせることができるようになったわけです。「INTEGRA TYPE R」で首都高を爆走することだってできてしまいます。

一方で、今までにはなかったものや今だからこそ、なんてものもあります。それはVTuberとのコラボだったり、撮影モードの実装だったりです。
決して同じことを繰り返すだけではなく、新しい文化やチャレンジを積極的に受け入れ出力していく姿勢には、今回限りの復活ではなく、これからも『首都高シリーズ』を続けていこうとする意思を筆者は肌で感じています。
シリーズの向こう側へ――

今回、25年ぶりの家庭用ゲーム機での発売ということで実際にPS5版『首都高バトル』に触れて遊びましたが、改めてこの『首都高シリーズ』でしか感じられない気分を味わうことができました。
好きな時にドライビングして、好きな時にライバルと戦い、好きな車をチューンして、最高速がどれくらい出るか試して――。
レースゲーム初心者でもやることがわかりやすく、かと言ってバトル以外にも遊び方がたくさんあるのが本作の最大の魅力であり、それがPS5というハイパフォーマンスな家庭用ゲーム機でいつでも遊べるようになったことは、筆者が待ち望んでいた向こう側のゴール地点だった気がします。
ですが、そうなるともっと高望みしたくなるのが人の欲というもの。これからも『首都高バトル』シリーズの新作が出てほしいと思いますし、とりあえずオンライン対戦ができるようになったらもっと嬉しいなと筆者は考えるわけです。最速を目指す道に終わりはないのですから。
¥6,484
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













