気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Acrobatic Chirimenjako開発、PC/スイッチ向けに5月28日にリリースされた世界最後の電話アドベンチャー『シュレディンガーズ・コール』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、世界が終わる21ナノ秒前、世界最後の話し相手となった少女「メアリ」が電話を通じて人々の心残りに向き合うノベルアドベンチャー。集英社ゲームズが主宰するゲームクリエイターズCAMPにて実施されたゲームコンテストで大賞を受賞した作品です。
『シュレディンガーズ・コール』は、2,480円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Achabox『シュレディンガーズ・コール』でディレクション・アート・デザイン・映像を担当していますAchaboxです。元々映像制作とイラストの仕事をしていましたが、BitSummitでインディーゲームに出会い、自分でもゲームを作りたい!と思ったのがきっかけでゲーム開発者になりました。
『ICO』が好きです。ラストのあの瞬間手を伸ばした時に、ゲームを忘れて没入した感覚が忘れられません。大好きなゲームはたくさんありますが、ゲームでなくてはならなかったと感じた瞬間でした。『龍が如く』や『Ghost of Tsushima』も好きです。本作で特に影響を受けた作品は、『サイレントヒル』や『OMORI』だと感じています。
入交星士『シュレディンガーズ・コール』でメインシナリオ・スクリプトプログラム・演出・映像・作曲を担当しています。元々演劇の演出や音楽制作、ブランディングマネージャーなどを行っていました。また海外で映画の勉強などもしていた経験があります。
(一番好きなゲームは)『The Last of Us』 1&2(本当は2だけど、1からプレイしないと意味がないのでセットで)、音楽的にはPC-9801時代の日本ファルコム作品全般です。ゲームメカニクスとしては『Her Story』ですね。
ameエンジニアリングとサブシナリオを担当しているameです!よろしくお願いします!元気なエンジニアを目指してます!実はこのゲームを作る前は、コールセンターで10年以上、毎日電話を取っていました!
オールタイムの一番は難しいので、最近の一番で…『Minds Beneath Us』です!台湾のメーカーのゲームで、日本ではあまり知られていませんが、ローカライズもしっかりしていて、とても面白かったです。舞台は近未来で、謎のある導入、ひりひりする展開から、思わずグッとこぶしを握ってしまうエモーショナルなシーンまで、大変楽しめました。時限式の選択肢の使い方も非常に巧みで、ユーザーの心を惑わせたり、焦らせたり…ビターな展開で、大人向けな物語です。元気なエンジニア、などと言いながら暗めの話で恐縮ですが…とても良いゲームです!
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Achabox『シュレディンガーズ・コール』は映像・音楽・テキストが融合した没入型のノベルアドベンチャーゲームです。世界観は、世界最後の話し相手となり、死にきれない魂のお話を聞いてあげるという不思議なゲームになっています。
コロナ禍の時に、自分が辛かった時、通話でお話を聞いてもらって自分自身が助けられて、このゲームを作りたいと思いました。それぞれのメンバーが各パートを制作する際に、担当パートを1人で制御できるような独自エンジンを、ameさんが開発してくれたので、非常に属人性の高いゲームになっていると思います。横断的に全員が同じファイルを触り、すぐ試せるような仕組みが、本作の独特な手触りを生み出していると思っています。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
入交星士往年のADV(テキスト入力式からコマンド式、ノベル形式など)から、昨今の名作インディーゲームまで全般にプレイし研究しました。ただ、「電話」をするだけで物語が10時間続く先行作品がゲームにも映画にもなく、影響を受けたくても受けられない状況がとても苦しかったです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
入交星士リリース直前に、世界のいろんなゲームフェスに出しまくって、ブラジルのgamescom latamにノミネートされて行けたこと。現地でジャーナリストにたくさん会って、さらに他のジャーナリストを紹介してもらって、おかげで欧米圏のレビュー記事がたくさん増えたことはとてもよかったです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Achabox我々が想像している以上に、沢山の方が「びしゃびしゃに泣いた」とおっしゃられていることが印象的でした。自分たちで作っているのに、プレイしている自分たちでもテストプレイを遊びながら泣いてしまうことがあるんですが、みなさんの心に少しでも届けられたのかなと思うと、非常にありがたいなと日々思っています。時々心配になるくらい泣いていらっしゃる方がいて、どうかゆっくり自分のペースで遊んでくださいね!という気持ちです。
また海外の方からも定期的に熱いメッセージが届いていて胸が熱くなります。自分が近い体験をしたから自分のためのゲームだと思ったことや、出会えて本当によかったなどと、日々こちらまで涙ぐんでしまうメッセージがたくさん届いており、この作品を作ることができてよかったと心から思いました。
日本からは、グッズの要望なども届いていてすごく嬉しいですね。実現できたらいいな!
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
ame現在、ユーザーさんの没入感を損なわないよう、校正を中心に修正を行っています。同時に、細かな演出上のブラッシュアップなども行っていますね。これは、なるだけ早い段階で実施したいと思っています。この記事がリリースされるころには、もう出ているかもしれません。
それから先は、多くの方に手にとっていただきやすくなるようなアップデートができればと考えています。ぜひお待ちいただければと思います!
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
集英社ゲームズ配信につきましては、こちらのガイドラインをご確認ください。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
Achabox『シュレディンガーズ・コール』はシンプルなゲームプレイのゲームではあるのですが、自分でプレイしていただくのと、実況を見るのとでは没入の質が全く違うゲームになっています。ボタンを入力する際のプレイヤーさんの心が没入できるように、テキスト・音楽・映像の出し方や、表現にこだわって制作したゲームなので、ぜひ一度みなさんの手でも遊んでいただけるとチーム一同とても嬉しく思います!
プレイヤーの皆さんの、心に残る一本になれたら幸いです。ここまで、読んでいただいて、ありがとうございました!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








