2026年8月26日(水)~30日(日)にかけて、ドイツ・ケルンで世界最大のゲームイベント「gamescom」が開催されました。
会場では、Dubious Designが開発を手掛ける『サブストラクチャー(Substructure)』のハンズオフデモと、インタビューの機会をいただきました。
Dubious Designは、『Factorio』の人気MOD「UltraCube」を手掛けたことで知られる、2024年設立のイギリスの独立系スタジオ。中心人物であるマイケル氏とスチュアート氏は、エディンバラで共に育った25年来の友人同士で、「いつか一緒に何かを作りたい」という思いを実現させた形が本作だといいます。
すでにSteamのウィッシュリスト登録数は10万件を突破しており、注目度の高さがうかがえます。本稿では、そんな『サブストラクチャー』のデモレポートと、開発陣への質疑応答の様子をお届けします。
『Factorio』の人気MOD「UltraCube」開発陣が送る自動化シミュレーション
『サブストラクチャー』は太陽系に接近する謎の浮遊惑星が舞台。プレイヤーは調査遠征隊の一員として地表に自動化工場を築きながら、地中深くに層状に広がる空洞を掘り進み、この星に眠る謎を追っていきます。
軸になるのは「農業と工業のバランス」、そして「地下深くへの掘削」です。豊かな大地を生かした農業も生産チェーンの一部として機能する一方、掘り進むほど層ごとに異なるバイオームや資源、脅威が待ち受けており、上下の行き来をどう設計するかが攻略のカギになりそうです。
マルチプレイは開発当初から前提として設計されており、ソロ・大人数どちらでもシームレスに遊べる作り。もちろんMODにも対応しています。
資源も設備も、ゼロから積み上げていく
デモは、ほとんど何も持っていない状態で浮遊惑星に降り立つところから始まります。プレイヤーキャラクターは現時点では仮の二足歩行ロボットですが、最終的には人間の姿になるとのこと。
地表は意図的に青々と生命力にあふれたビジュアルにデザインされており、探索が進むにつれてより複雑で興味深い空間が明らかになっていくサバイバルゲーム的な構成にインスパイアされているそうです。

ゲーム内のアイテムはすべてプレイヤー自身が作り出す必要があります。序盤でまず登場する素材がチタン鉱脈とケイ酸塩鉱石。ケイ酸塩は機械や建造物、農地などを作るための基本的な建材で、まずはここから採掘を始めていきます。
一方で「ムーンクリスタル(Moon Crystal)」という資源は夜間にしか採掘できないという制約があり、日中に採ろうとすると「あ、今はできないんだ」と気づきます。これは、プレイヤーが最初につまずくポイントとして意図的に設計されているとのことでした。

地表にはもう一つ重要な要素として「植物」が存在します。本作は農業システムをかなり本格的に取り入れており、植物を採集して種と作物を手に入れ、それをどう活用するかを考えていくことになります。
種は「ファームプロット(Farm Plot)」に植えることで作物へと育ち、そこには「カタリスト(Catalyst)」と呼ばれる、階層ごとに異なる環境効果(バフやデバフ)も絡んできます。
作物にはいくつもの用途がありますが、まず紹介されたのが「燃料」としての価値。燃焼発電機に投入することで工場に電力を供給できます。また、作物からできる「石ブロック」のレシピには「可変レシピ入力」という仕組みもあり、ケイ酸塩鉱石からでも、あるいは地下で見つかる「ボーンシャード(Bone Shard)」からでも作れるなど、同じ製品を複数の資源ルートで生産できる柔軟性が用意されているとのことでした。
序盤は手作業での栽培・収穫からのスタートですが、これは自動化ゲームとしての本題ではありません。プレイヤーは「テクノロジーツリー(Technology Tree)」を通じてロックを解除していき、その最初の選択肢の一つが「ファームサイロ(Farm Silo)」です。

これはファームプロットの自動管理を可能にする設備で、種を与えれば自動で植え付け、作物が育てば自動で収穫してくれます。ただし、作物から種に戻す変換には約85%の確率でしか成功しないという「経済的ロス」が発生するため、種の供給を維持しながら別の用途にも作物を回す、というバランス調整がプレイヤーに求められるパズルになっているそうです。
この種への変換を担うのが「ベルトコンバーター(Belt Converter)」という、本作独自の新機構。単に入力と出力のスロットを持つだけの機械ではなく、ベルトコンベアそのものに直接干渉し、その上を流れるアイテムを別のアイテムへと変換してしまう仕組みです。
自動車工場でロボットアームが車体にドアや窓を次々と取り付けていくような光景に近いといい、開発陣もこのメカニクスの応用可能性に強い自信を見せていました。

地下への扉を開く「リフトプラットフォーム」
デモの大きな見どころのひとつが、「複数の階層」という概念のお披露目です。地表で集めたモーターユニットやチタンプレート、石ブロックなどを使って「エクスカベータードリル(Excavator Drill)」を設置すると、地上と地下を行き来する「リフトプラットフォーム(Lift Platform)」を建設できます。
設置時には余分なチタン鉱石という副産物が発生し、これが詰まらないよう処理する必要があるという、地味ながら考慮すべき制約も紹介されました。
地下は非常に暗いため、地下降下の前にケイ酸塩鉱石とガラスからランプを作成し、明かりを確保するという準備も必要です。地下に降りると、まず「湿潤バイオーム(Humid Biome)」が登場します。ここには湿気というカタリストが存在し、プレイヤーに恩恵と困難の両方をもたらすとのこと。ここで採取できるのが、キノコから着想を得た発光植物「グローキャップ(Glow Cap)」です。
さらに興味深いのが、ファームプロットごとリフトプラットフォームに乗せて建設し、そのまま昇降させることで複数階層のカタリスト効果を同時に得られるという設計です。グローキャップは湿気のカタリストに加え、もう一段階下にある「毒性(Toxicity)」のカタリストからも修飾効果を受けられるため、プラットフォームを定期的に上下させて両方の恩恵を最大化する、という高度な立ち回りも可能になっているそうです。

なおグローキャップは、流体システム・ガスシステムを経て窒素へと加工され、さらにガラスと組み合わせることでシリコンウェハーになり、より高度な電子部品の生産へとつながっていきます。
地下には「ベヒーモスパッチ(Behemoth Patch)」と呼ばれる、かつてこの星に生息していた何らかの生物の古代の死骸・骨の塊も存在します。このリソースパッチからは「ボーンシャード」と「エンシェントマロウ(Ancient Marrow)」という2種類の異なる素材が同時に採取でき、同じベルトの上を流れる2つの資源をどう仕分けて処理するかという課題も生まれます。
ボーンシャードは石ブロックの代替レシピとして使える一方、エンシェントマロウは「バイオタール炉(Biotar Furnace)」でドロドロとした重い「バイオタール(Biotar)」に変換され、これを地表のケイ酸塩の岩と組み合わせて溶鉱炉で精製すると「セラミック(Ceramic)」ができあがります。このセラミックが、より深い階層への探索を可能にする強化素材になるとのことでした。
また、こうした建設作業を助けるのが「コンストラクションアーム(Construction Arm)」というプレイヤー装備アイテム。インベントリのアイテムを取り出し、あらかじめ用意したブループリント(設計図)に基づいて自動で世界に配置してくれる、ユーティリティベルト型の道具です。
この建設アーム自体、デモ前半で作った「ロジックユニット(Logic Unit)」と、地下探索で見つかる古代の遺物メカニズムから得られる素材で作られるとのことで、探索の成果が新たな利便性に還元される設計思想がうかがえました。

デモの終盤では、実際にイギリスにいる開発チームのメンバーがプレイ中のマルチプレイセッションに、担当者がその場で飛び入りする形で技術デモが披露されました。
ワールドデータの読み込みには、プレイ時間が長いほど大きくなるという特性も紹介され、実際に画面には長時間プレイの跡が伺える、大規模な工場と巨大な農場が映し出されました。
様々なサイズのリフトが並び、現在は稼働していないものも含めて「これくらいの規模まで拡張できる」という実例として示されており、まだまだ奥へと工場が続いている様子がうかがえる、スケール感のあるデモとなっていました。

「制約」からはじまるレベルデザイン、『Factorio』との差別化
──なぜ単一の階層ではなく、地上と地下の両方を作ろうと思ったのですか?
マイケル:私たちのゲーム、そしてスタジオ全体に共通するデザイン哲学の一つが「制約」というアイデアに帰結します。プレイヤーに機会を与えると同時に、問題に対する効率的な解決策を考えさせるような課題を投げかけること。
そして、常に大規模なスケールで物事を解決できてしまう能力を、あえて制限するような制約を提示することです。規模を大きくすることが、すべての問題の解決策になるべきではない、という考えですね。
特にゲームの初期段階ではリフトプラットフォームの大きさが制限されており、プレイヤーは上下に移動させる必要のある資源の数を確保するために、生産チェーンをどう最適化するかを考えなければなりません。
スチュアート:パズルを生み出すためですね。それに正直なところ、リフト自体がとてもクールに見えますし、体験として楽しいというのもあります。
もう一つ面白いと思っているのが、プレイヤーのプレイ時間を通じて新たな要素を少しずつ明らかにしていく機会を作れることです。すべてが一度に見渡せる単一の世界にするのではなく、地表の下に隠されたものを発見し、解き明かし、最終的に利用していく。それらはゲームの最初の時点では必ずしも明かされていません。
階層をアンロックしていく過程で、そうした情報を少しずつプレイヤーに与えていくことができるんです。進行感とミステリーの感覚ですね。

──本作は『Factorio』のModが背景にあるとのことですが、そこから『Substructure』に引き継がれた要素は何ですか?
スチュアート:「UltraCube」というModは『Factorio』の概念を根底から覆すものでした。メインコンセプトは、世界に1つしか存在できない単一のキューブアイテムを導入すること。アイテムを生産するための様々なプロセスに、そのキューブが必要になるというルールです。
これにより、プレイヤーが工場を好きなだけ巨大化させることができなくなり、その単一のキューブを適切なタイミングで適切な場所に運ぶという、スケジューリングやロジスティクスのパズルへとゲームの性質が変化するんです。
そのModは非常に成功し、「最もユニークでクリエイティブなFactorio Modだ」と評価されました。ただ同時に、非常にハードコアなものでもありました。すでに『Factorio』を完全にマスターし、関連するすべてのシステムの機微を理解している人でないと、まともにプレイできなかったんです。
そこで私たちは、『Substructure』においてそのスケジューリングやパズル要素、「規模を大きくすることが必ずしも解決策ではない」というコンセプトを取り入れつつ、それをより遊びやすいものにしたいと考えました。このジャンルのゲームが好きな人なら誰でも楽しめるように。

──このゲームは『Factorio』とどう違うのですか?
マイケル:いくつか答えがあると思います。一番大きな違いは、スケジューリングと物流の制約にあり、規模の拡大がすべての答えにならないようにしている点です。
プレイヤーがプレイする中で、プラットフォームの効率性に気を配らなければならないと気づき、新しい発見をするたびに「どうすれば別の方法でうまくやれるか」と常に自問自答しながら、じっくりと時間をかけてプレイしてくれることを願っています。
次に、プラットフォームがリアルタイムで相互作用する仕組みの中に、惑星の階層ごとの進行が非常に密接に織り込まれている点です。プレイヤーはゲームを進めながら物事を発見し、この惑星の起源について理解し、学んでいくことになります。
そしてさらに派生して、ベルトコンバーターや農業のループなど、私たちが自信を持っている様々なシステムがあり、プレイヤーに楽しんでもらい、最終的には良い意味で頭を悩ませてほしいと思っています。
『Substructure』の発売日は、現時点では未発表。PC(Steam)に対応しています。











