
雲を抜けた先に広がる空、飛翔するミサイル群、そして無線越しに伝わる戦場の緊張感と鳴り続けるアラート。2シリーズ最新作かつ30周年記念タイトルの『エースコンバット8』(以下、『AC8』)の正式発売が明日に迫っています。
本作品ではUnreal Engine 5と独自技術「Cloudly」を採用。立体的な雲の描写など、グラフィック面でも力の入った作品となっていますが、気になるのは推奨スペックの高さではないでしょうか。

どれだけ綺麗なグラフィックであっても、敵機を追いかけている最中に画面が引っかかってしまっては集中できません。画質をどこまで上げられるのか、そして滑らかさを優先するなら何を調整するべきなのか。今回はいつものRTX 5090を搭載したPCを用いて、グラフィック設定による画質とパフォーマンスの変化を検証していきます。

ビデオカードのドライバは執筆段階での最新バージョンである617.14(Game Readyドライバ)を使用して検証を行っています。

Steam掲載の推奨スペックは「GeForce RTX 3070/Radeon RX 6800」、メモリは32GBとなっていますが、これは1920×1080/アップスケール使用/「MEDIUM」設定で60fpsという目安となっています。公式サイトでの4K/60fpsでの推奨スペック表ではRTX4080以上とこれまたヘビー。
ベンチマークに使うPCスペックは下記の通り。
CPU:AMD Ryzen 9 9950X
メモリ:Micron DDR5-5600 128GB (32GB*4枚) ※1
マザーボード:ASUS TUF Gaming B850-PLUS WIFI
ディスプレイ:ROG Strix XG32UQ(4K UHD (3840 x 2160)@160Hz)※2
GPU:NVIDIA GeForce RTX 5090 32GB
※1 DDR5の仕様により周波数が若干下がっています。
※2 オーバークロックを使用せず144Hzに固定し、かつG-Syncを使用しています。

今回はリプレイ再生を使用しミッション「Over the Rainband」を4K~フルHDを同じ条件で計測しまとめています。本作品はフレーム生成が現状未対応となっているためDLSS別フレームレートと、プリセットでの切り替えでそれぞれグラフ化しました(時間の関係上2KとフルHDのみDLAA/ULTRA/HIGHのみ計測しています)。
なお、本記事の検証結果は筆者の環境における実測値です。PC構成やドライバ、ゲーム内の状況などによって結果は異なる可能性があるため、設定調整の参考の一助としてご覧ください。
やや片手落ちを感じるDLSS設定

最初に、プリセットの変更でどれくらい差が出るのかを見ていきましょう。本作品のプリセット設定は4段階でULTRA/HIGH/MEDIUM/Lowとなっています。初期設定ではDLSSではなくアンリアルエンジンベースのアップスケールであるTSRになっているため、DLSSに変えたうえでプリセット設定を変更しています。

フレームレートにこだわらなければRTX 5090で60fpsを超え、安定したフレームレートを叩き出しています。昨今では100fpsを超えた高出力ディスプレイも一般化しましたが、本来は安定動作することが重要です。今回の計測に用いたミッションは雨が常に降っており、かつ雲海のドラマティックな動きやキャノピーの結露表現など細かいパーティクルや負荷が多いことから本ミッションを採用しています。

4Kではプリセットを下げる効果がはっきりと表れ、ULTRAの平均87.0fpsから、LOWでは130.5fpsまで向上しました。一方、HIGHでは平均fpsこそ改善したものの、今回の計測における最低値には大きな変化が見られませんでした。MEDIUM以下では最低値も改善しており、より安定した動作を狙う場合には、このあたりまで設定を下げるのも選択肢となりそうです。
一方、2K以下では平均fpsの伸びが鈍くなります。2KのHIGHとHDのHIGHの差は約1.7%にとどまり、4KのLOWも含めて平均130fps前後に集中する結果となりました。設定を軽くする効果はあるものの、一定以上は解像度やプリセットを下げてもフレームレートが伸びにくくなる傾向が見られます。

一方で、NVIDIA Reflexやフレーム生成には対応しておらず若干片手落ちを感じてしまいます。フォーラムなどではフレーム生成の方法も示されてはいましたが、EasyAntiCheat採用タイトルのため、リスクを取ることはできず、今回の実測では見送っています。

また、ベンチマーク中はGPU使用率が非常に高く、ほぼ上限に近い状態が長く続いていました。4K/ウルトラ/バランス設定ではVRAM使用量がおよそ16GBとなり、GPU使用率95%以上を記録していた時間は全体の約81%。RTX 5090でもGPUをしっかり使い切る場面が多く、4K環境ではGPU負荷の高いタイトルであることがうかがえます。
グラフィックはどこまで変わる?

数字を確認したところで、今度は実際の画面を見比べてみましょう。
機体を中心に見比べると、プリセットによる違いはそれほど大きくありません。「203」のマーキングやパネルの継ぎ目、脚の細かな部品も維持されています。一方、テクスチャの細かさやライティングには大きく差が出ています。3Dモデル自体が綺麗なこともあってか画質設定を下げてもかなり綺麗に見えるようになっています。本作品も例外ではなく戦闘機が主体な本作品においては画質設定を下げても戦闘機自体はかなり綺麗です。

他の場面も見てみましょう。こちらはOPの冒頭シーンとなります。細かい水滴であったり肌の質感など差異はあるのですが低設定でもイベントシーンが綺麗に見えるのは見事と言っていいでしょう。ULTRAとHIGHでは、雲の細かな凹凸や陰影が比較的よく保たれており、全体の印象に大きな違いはありません。
ただし、ボート表面の水滴など、細かな部分には差が見られます。違いが分かりやすくなるのはMEDIUMから。画面左上から中央に広がる雲を見ると、輪郭や内部の陰影がぼやけ、ULTRAやHIGHほど細かな起伏を感じられなくなっています。人物の見た目は大きく変わらないだけに、背景の雲に目を向けると差が分かりやすいでしょう。
LOWでは、ボート底面に落ちる影にも注目です。上位設定に比べて光と影の境界が硬く、角張って見えます。設定を下げても場面全体の雰囲気は残っていますが、空の精細さや影の柔らかさには、段階的な違いが表れています。

最後にDLSS別のフレームレートを見て記事を締めましょう。
DLSSの効果が分かりやすいのは4Kです。DLAAでは平均64.2fpsだったところ、Qualityでは87.0fps、Ultra Performanceでは124.3fpsまで向上。フレーム生成なしでも、平均fpsを大きく引き上げられています。
ただし、気になるのは最低フレームです。QualityからBalanced、Performanceと変更すると平均fpsは順当に伸びるものの、ログの値は逆に低下しています。Performanceでは平均104.1fpsに達している一方で最低フレーム値はDLAAと近い水準にとどまりました。平均fpsが高い設定ほど低い側の数値も改善するとは限らない結果です。
また、2KやHDではDLSSによる平均fpsの伸びが小さくなり、HDのDLAAとQualityの差は約4.8%でした。最低フレーム値には改善が見られるものの、平均fpsをさらに伸ばす目的では、設定変更の効果が限定的になっています。
ただ、公式にフレーム生成が対応していない現状ではRTX 5090で4Kの結果を見る限りでは他のグラフィックボードで4Kで100FPS以上を出すのは非常に難しいかもしれません。
綺麗な空と快適な空戦、どちらも楽しむために

RTX 5090における4K環境での各種グラフィック設定でのベンチマーク検証結果を振り返ると、今回の検証で最も印象的だったのは、グラフィックプリセットを「LOW」まで下げても戦闘機本体のモデリングやイベントシーンのクオリティが大きく崩れず、非常に美しいビジュアルが維持されている点です。

一方で、RTX 5090でも4K/ULTRAではGPU使用率がほぼ上限に達し、平均fpsも100fpsには届きませんでした。フレーム生成に対応していない現状では、高フレームレートを狙う場合はプリセットやDLSS設定の調整が重要になります。滑らかさを重視する場合は、まず「MEDIUM」以下へ落として最低fpsを引き上げる調整が有効かと思われます。
せっかくなら目の前の敵機だけでなく、その向こうに広がる景色も楽しみたいところです。無理のない設定を見つけて空へ飛び立ちましょう。
『エースコンバット8』はPlayStation 5 / XBOX Series X|S / PC(Steam)で2026年10月2日発売予定です。











