気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Megasploot開発、PC向けに8月18日に早期アクセスが開始された生き物育成スローライフシム『Nimbit Frontier』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ニンビットと呼ばれるかわいい生き物を集めていく、くつろぎ系ライフシムゲーム。ちっちゃくてかわいいニンビットたちを育て、生息環境を整え、移ろうアンダーワイルドを探索してフラグメントやレア種を発見します。ニンビットを孵化させて、お世話し、各地にある保護区へと解き放つのが目的。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Nimbit Frontier』は、1,800円で早期アクセス配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Megasploot『Nimbit Frontier』のゲームデザイナーを務めているMegasplootです。本作の開発は妻との2人チームで行っており、妻がアート全般を、私が主にプログラミングとゲームデザインを担当しています。私たちは5年以上にわたって『Nimbit Frontier』の開発を続けてきました。それ以前は、夫婦で同じAAAスタジオに勤務していました。
以前は「一番好きなゲームは?」と言う質問に対して、子どもの頃に大好きだった作品として『Heroes of Might and Magic III』『ワンダと巨像』『Portal 2』『ポケットモンスター』と言ったタイトルを挙げていました。しかし現在では、AAA作品よりもインディーゲームを楽しむことの方が圧倒的に多くなったため、かつての回答が今の自分の好みを完全に反映しているとは感じなくなっています。今は多種多様なインディーゲームをプレイしており、大好きな作品が多すぎてとてもひとつには絞れません。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Megasploot『Nimbit Frontier』は、バトルで戦わせ続けるためではなく、最終的には種の保全のために野生へと還すことを目的とした生き物育成スローライフシムです。プレイヤーは「アンダーワイルド」と呼ばれるローグライトなフィールドを探索し、絶滅したと思われる種を発見したり遺伝子的フラグメントを収集したりします。そして「ニンビット」を孵化させ、彼らのための生息地を作り、お世話をし、野生で生きていくために必要なスキルを教えていくのです。
同ジャンルの他の多くの作品と比べて、私たちは「生き物のお世話をする」と言うプロセス自体に大きなゲームプレイの比重を置きました。卵からニンビットを育て、自分の手で作った生息地へと迎えます。ニンビットたちは自らが過ごす環境をとても気にするため、プレイヤーは餌の探し方や生存スキル、さらには成体になった時の鳴き声まで教えてあげる必要があります。
開発の当初から、他の作品とは一味違う、温かみのある生き物育成スローライフシムを作りたいと考えていました。そのアイデアは「生き物をバトルや牧場経営のために使うのではなく、彼らを幸せにするために人々が生息地を作ってあげる世界」を思い描いたことから始まりました。そして「この世界では野生動物の保護活動家がまるでスーパースターのように扱われる」と言う設定を思いついてからは、本作のその他の要素が一気に形になっていったのです。
生き物を野生に還すと言う行為を「自分のコレクションを失う寂しさ」ではなく、「一匹の生き物の育成成功」として感じてもらいたいと思いました。この中心となるテーマを軸に、探索、戦闘、街での生活、交流、釣り、マイホームのカスタマイズ、そして「ニンビティア」としての成長要素と言った多様なシステムを構築しました。スローライフ要素とローグライト要素の両方が、生き物育成と言うメインの部分をより豊かに盛り上げてくれるのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Megasploot生き物を育てる過程でプレイヤーにどんな感情を抱いてほしいかを考えた際、単なる「リソース」の管理ではなく、生き物一匹一匹に愛着を持って接しているような感覚を味わってもらいたいと思いました。現実世界における野生動物の保護活動や自然に還す取り組みが、そうしたアイデアの大きなインスピレーションとなっています。
ゲームとしては、個々の生き物と互いに一対一で触れ合い、トレーニングを行うと言う体験において『たまごっち』や『ソニック』シリーズの「チャオガーデン」から強い影響を受けました。また『Stardew Valley』のような作品は、スローライフシムの醍醐味である街での生活、日々のルーティン、そして住民との人間関係の描き方の参考にさせていただきました。
さらに、スローライフシムと並行して危険な領域を探索していくと言うゲーム構造は、『ルセッティア ~アイテム屋さんのはじめ方~』や『Moonlighter』『アザーライフ アザードリームス』『ルーンファクトリー』と言ったゲームからインスピレーションを得ています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Megasploot開発の初期段階において、本作の中心となるゲームプレイをデザインしていた時の出来事が最も強く印象に残っています。当時、『Slime Rancher』や『Stardew Valley』と言った生き物を育てるゲームを研究していたのですが、そうした作品のゲームプレイの多くが、最終的には「生き物が産み出すものを換金すること」で完結していることに気づいたのです。しかし、これは私たちが求める「ほのぼの」とは少し違い、『Nimbit Frontier』で表現したかった「動物に優しい」と言うテーマにもしっくりきませんでした。
私は何日もこの問題について悩み続け、ある日の夜、ふと目を覚ますと「スノードーム」のことが頭に浮かんだのです。スノードームの中に広がる、小さく完結したひとつの世界…そこから「生き物一匹一匹のために小さな生息地を作り、その環境がどれだけその生き物に適しているかによって報酬が得られる仕組みはどうだろうか?」と言うアイデアへと繋がっていきました。
そこまでたどり着くと、「生息地を作る目的は、その生き物が野生で一人立ちできるように準備してあげることであるべきだ」と言う答えが自ずと見えてきました。それは、親を亡くしたり傷ついたりした動物たちを世話して野生へと還す、現実の野生動物管理員の姿とも重なりました。このアイデアが、最終的に『Nimbit Frontier』における生き物の世話と言うゲームプレイの中心になったのです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Megasploot生き物のお世話システムやアートワーク、キャラクター、そして何より「バトルではなく保護・野生復帰がテーマ」と言うコンセプトについて、非常に多くの励みになるフィードバックをいただいています。プレイヤーの皆さんが、生息地のデザイン、ニンビットの福祉やサバイバルスキル、釣り、そしてアンダーワイルド探索で起きる様々な出来事と言った要素に、情熱を持って取り組んでくださっていることに驚いています。
それと同時に、早期アクセス期間中に寄せられるフィードバックは、ゲーム内で悪い意味で気になる箇所を特定する上でとても役立ちます。快適性の向上をはじめ、繰り返し行うアクティビティのバリエーション追加、アンダーワイルドのコンテンツ追加、街の住民たちとの関係をさらに深める新たな要素などのご要望をいただいています。
中でも私にとって最も心に残っているのは、プレイヤーの方が私たちがニンビットたちを通して表現したかった意図を完璧に理解してくださる瞬間です。私たちはプレイヤーに、ニンビットを「かけがえのない一匹の生き物」として愛着を持って育ててもらいながらも、「野生に還すことこそが真のゴールである」と言うことを感じてほしいと思っていました。プレイヤーがニンビットに深い絆を感じ、彼らが一人立ちして野生へ還る準備が整った時に誇らしい気持ちになっているのを目にするたび、本作のユニークなテーマがしっかりと届いているのだと実感します。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Megasploot私たちが最も優先するのは、快適性の継続的な向上です。生息地の管理や日々のルーティン作業をよりスムーズに行える機能の追加をはじめ、カスタマイズ要素の拡張、そしてプレイヤーの皆さんが煩わしさを感じている部分の改善に取り組んでいます。
また、大型アップデートでは、成長要素、住民との人間関係、そしてアンダーワイルドを拡張していく予定です。具体的には、キャラクターとの関係性を深める追加シーン、ペットやキャラクターのカスタマイズの拡充、新たなボスや探索コンテンツ、そして既存プレイヤー向けの目標の追加などを行います。さらにその先の大型アップデートでは、新たなバイオームの追加も計画しています。
現在、本作のメインコンテンツのプレイ時間は約20時間(サイドコンテンツを含めると30時間以上)となっていますが、正式リリースまでには、メインコンテンツだけで35時間以上のボリュームへと拡張することを目指しています。
『Nimbit Frontier』は早期アクセス中のため、ゲームのどの領域の開発に最も注力すべきかを判断する上でも、プレイヤーの皆さんからのフィードバックを積極的に活用しています。生き物のお世話要素については全体的に非常にポジティブな評価をいただく一方で、NPCとの交流やクエスト、恋愛要素の拡充を望む声も届いています。これらは今後のアップデートで重点的に強化していく方針です。
――本作の日本語対応状況について教えてください。有志翻訳は可能ですか?
Megasploot現時点で『Nimbit Frontier』は日本語ローカライズに対応していません。私たちは非常に少人数の開発チームであり、また早期アクセス期間中は膨大な量のテキストやコンテンツの変更が頻繁に発生するため、ローカライズの実施は私たちにとって非常に大きなプロジェクトとなるのです。
ですが、日本語は正式リリースでぜひ対応させたいと思っている言語のひとつです。追加するからには、今後ゲーム内容がアップデートされていっても、しっかりとメンテナンスし続けられる体制を整えたいと考えています。
また、日本のファンの方々から「日本語に翻訳したい」と言うありがたいお声を直接いただくこともあり、大きな励みになっています。有志による翻訳にするか、プロの翻訳者に依頼するか、あるいはその両方を組み合わせた形にするかについては、現在検討を重ねているところです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Megasplootはい、もちろんです。プレイヤーやコンテンツクリエイターの皆さんが『Nimbit Frontier』の配信を行ったり、YouTubeやTwitchなどのプラットフォームで動画を投稿したりすることを歓迎しています。収益化を伴う配信や動画に関しても、特別な制限などは設けておりません。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Megasploot『Nimbit Frontier』に興味を持っていただき、本当にありがとうございます。このゲームは私たち夫婦2人にとって非常に大きなプロジェクトであり、5年以上の歳月をかけて生き物たち、世界観、キャラクター、そして各種システムを作り込んできました。
生き物育成やモンスター収集ゲームが日本において非常に長い歴史を持ち、熱狂的なファン層に支えられていることを私たちはよく知っています。生き物を育て、最終的には野生に還すと言うコンセプトが、プレイヤーの皆さんにこれまでにない少し特別な生き物育成体験をお届けできればと願っています。
『Nimbit Frontier』は現在早期アクセスを通じて進化を続けており、世界中のプレイヤーから寄せられたフィードバックのおかげで、本作はすでにとても良くなってきています。将来的に、より多くの日本のプレイヤーの皆さんに本作を体験していただける日が来ることを楽しみにしています。
改めまして、『Nimbit Frontier』にご注目いただき心より感謝申し上げます。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








