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異色の“自撮り視点”ホラーADV『Cyan Heart』プレイレポ―“一人称でも三人称でもない”カメラワークが生む、不自由さと恐怖

少女サラの「インカム視点」を通して、廃施設の最奥をめざします。

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異色の“自撮り視点”ホラーADV『Cyan Heart』プレイレポ―“一人称でも三人称でもない”カメラワークが生む、不自由さと恐怖
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2026年10月9日、個人開発者の塩 惺瑛(Shoei Sio)手がける『Cyan Heart』がリリースされました。

本作は、ゲームのカメラ視点としては異色となる「自撮り視点」で探索を進めるホラーアドベンチャーです。

プレイヤーは主人公の少女・サラを操作して、廃墟の施設を探索しながらギミックの解除やパズルを解き、危険なエネルギー「シアン」を食い止めるため施設の最奥を目指していきます。

プレイヤーは通常の一人称視点や三人称視点のように正面を直接見ることができず、画面に映る背後の景色や足元、彼女の怯えた表情を頼りに探索を進めていくのが最大の特徴です。

本記事では、そんなこのゲームでしか体験できない「唯一無二」のプレイフィールをお届けします。

◆操作、言語、オプション設定

まずは各種オプションについて。本作は、キーボード・マウスおよびパッドに対応しています。筆者は、Steamコントローラーを使用しましたが、特に問題なく最後までプレイできました。

また、本作は日本語を含む多言語に対応しており、UIや表示テキストにおいて特に問題はありませんでした。解像度や画面モード、カメラの揺れ、BGMの音量なども設定できます。

ふと思ったのは、「シアン」色にぼんやりと蛍光する明朝体のフォントやUI、タイトルロゴに至るまで、洗練されたデザインが目を引きます。

ちなみに、開発者の塩惺瑛氏(Shoei Sio)はデザインを専攻している現役大学生とのこと。その抜群のセンスも納得ですね。

◆前例のない「自撮り視点」で廃施設を探索!唯一無二の恐怖と不安を体験しよう

本作主人公・サラ

ゲームを起動すると、荒涼とした空間にロシア帽(ウシャンカ)を被った、主人公の少女「サラ」が映し出されます。その表情はどこか不安に満ちています。

そして間髪入れずチュートリアルを兼ねた操作説明へ。基本操作は、左スティックで前進、右スティックで視点移動、LBで一時的に正面を向き、そしてRBでズームできます。

また、Bボタンで体を反転させ、Aボタンでオブジェクトをインタラクトすることも可能です。

サラの眼前には、シアン色(青緑色)の液体が入った大きな器が現れます。いったいこれは……?次の瞬間、それに吸い込まれるように画面が歪みます。

気づくと、薄暗い施設のような場所にいたサラ。あたりには、さまざまな機械やコンピューターが転がっています。

Aボタンでインタラクトでき、メインモニターコンソールにアクセス。したいところですが、パスワードを要求されます。

あたりを見渡してみると、いかにもな数列が書かれたメモを発見。これを入力し無事アクセス成功。

BSP A-1

そしてDドライブに欠けたカセットを挿入し、「BSP A-1」という地下施設(コロニー)を探索していきます。

自撮り視点は新鮮でありながらも、かなりのストレスになる

本作最大の特徴は、一人称でも三人称でもない独特の「自撮り視点」が基本画面となること。サラ自身が持つポータブルデバイス「CSZ8x2」を通して、プレイヤーの視点が「インカメラ視点」へと固定されます。

この視点において、サラが画面手前に向かって歩いていくことが「前進」で、画面奥に行くと「後退」になります。つまりプレイヤーは、「画面に映る彼女の顔や背後の景色だけが頼りになる」という、極めて不自由な操作を強いられるのです。

このカメラワークなかなか新鮮な感覚ですが、同時にプレイ中は強いストレスを感じてしまいます。それに、任意に方向転換するのも慣れるまではかなり操作的に難しいですね。

常に何かに怯えるような表情のサラ

また、進行方向が見えないため、曲がり角の先や部屋の内部を事前に確認することができません。サラの足ブレや歩行に伴うカメラの手ブレがリアルで、ダッシュをすればカメラが彼女の顔を煽るように上を向くため、視界はさらに制限されます。

本作はモンスターは一切出てきませんが、この「先の見えなさ」によって、画面に何が飛び込んでくるか分からない不安と恐怖が常に付きまとっていました。

サラの怯えたような不安そうな表情も、自撮り視点だからこそプレイヤーとの連帯感や一体感に繋がるため、余計に不安を煽られます。個人的には、この怯えた顔が少しだけ性癖に刺さってしまうのは内緒です…。

施設の奥へと進むと、突如として「何か」に襲われるサラ。画面が切り替わり、ここから本格的に物語が始まります。

本作のもう一つの特徴は、レトロなローポリ風のビジュアルです。薄暗い青色のライティングやデジタルノイズが混ざり合った不気味なアートスタイルは、『serial experiments lain』や『Mouthwashing』といった作品の雰囲気を意識したと制作者自身が言及しており、サイケでアングラな唯一無二の世界観を構築していました。

「仲間」からの連絡が入る

本来であれば、社会のインフラを支えていたクリーンなエネルギー「マゼンタハート」。それが、すべてを侵食し狂わせる危険な「シアン」へと変貌し、地上はすでに崩壊状態にあります。

サラは、このシアンの侵食を食い止めるため廃墟となった施設を訪れたわけですが…あたりには誰もおらず孤独です。

しかし代わりに、地上にいると思われる「仲間」からの音声通信が時折入ります。プレイヤーはこの仲間との無線連絡をナビゲーション代わりにして進むべき道を探したり、物語の背景を紐解く情報になります。

LBで正面を向くことが可能

またデモ版と違い製品版では、「自撮り視点」による過度なストレスを和らげるためのサポートシステムが実装されています。

例えば、「チラ見システム」を使えば一時的に進行方向を向くことができ、気になる場所やオブジェクトなどを注視することが可能。ただし、完全に正面の視点に切り替わるわけではありませんが、周囲の状況を部分的に察知する手がかりになります。

ピン刺し移動

そして、行きたい場所や目的に向かって画面上にピンを刺せば、そこへ自動で移動してくれます。自撮り視点(画面手前に向かって進む操作)のままでは歩きにくい複雑な地形や、見えない通路への移動をサポートしてくれるかなり有用な機能です。

本作は、謎解きも重要なファクターで、やりごたえがあります。ここではシャッターを開くため、シアン初期化パネルに正しい色を配置しなければならないのですが…特にヒントなどなく途方に暮れます。

少し道を戻りながら周囲を探っていると、扉のスイッチを発見したので中へ。

すると、パネルに表示されたものと同じようなオブジェクトがあり、青と赤の配線で繋がれています。なるほど、おそらくこれが先ほどの謎解きのヒントになるのでしょう。

さっそく戻って再度入力してみると……

無事接続が完了し、扉が開いて次のエリアに進みます。

こんなふうに、ゲートロックを解除するためのパスワードを突き止めたり、昇降機を降ろすために操作盤でクレーンを制御したりと、先へ進むには多くの試練が待ち受けています。

地上と連絡を取りながら、新たな施設へと向かっていくサラ。

最初のうちはただの暗い廃墟ですが、進むにつれて画面にデジタルノイズが走り始め、世界の狂気である「シアン色」に染まった異様な光景や、かつて施設にいた者たちのログ(記録)が現れます。

果たして、彼女は無事「シアン」の暴走を食い止めることができるのか。そして、「なぜサラは、危険を冒してまで自撮りで記録し続けなければならないのか」という、ゲームの根幹たる問いの答えは見つかるのか。

ぜひプレイして確かめてみてください。

本作は、プレイヤーに「自撮り視点」という強烈な制約を課すことから始まり、それを「キャラクターの表情を観察する」「音と光を頼りにシステムを使いこなす」という独自のゲーム性に昇華し、じわじわと迫る不安と恐怖を生んでいました。

また、『lain』を彷彿とさせるサイバーパンクなローポリグラフィックや退廃的なBGMも世界観にマッチしており、高い没入感があったのも魅力。クリアまでのプレイ時間は2~5時間程度とコンパクトなのも良かった点ですね。

一方で、視界の狭さとカメラワークから3D酔いを起こしやすい点や、正面の状況が把握しづらいため探索やパズルの難易度が高く、操作性に強いストレスを感じる点は賛否の分かれる点で、唯一無二の「自撮り視点」が逆にプレイの敷居を高くしているかもしれません。

とはいえ、その世界観やシステムは一見の価値あり。ぜひプレイして欲しいホラーゲームだと思います。



『Cyan Heart』はPC(Steam)向けに、10月19日まで10%オフ1,170円で配信中です。

《DOOMKID》


心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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