気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、PowerhoofとDave Lloyd氏開発、PC/Mac/Linux向けに7月18日にリリースされたポイント&クリックアドベンチャー『The Drifter』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、速い展開が特徴のポイント&クリックアドベンチャー。職を転々とし、一カ所にとどまらないMick Carterは、ある日故郷の街に帰り、そこで殺人事件を目撃します。ハイテク兵士に追われることとなり、貯水池に突き落とされて死んでしまうMick…しかし死の数秒前に戻った彼は、陰謀、殺人、そして狂人の千年にわたる執念が絡み合う罠に引きずり込まれていきます。記事執筆時点では日本語未対応。
『The Drifter』は、2,300円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Dave こんにちは!僕はDave Lloyd、オーストラリア・メルボルンのインディーゲーム開発デュオPowerhoofの二人のうちの一人です。子どものころからポイント&クリックアドベンチャーをプレイして育ちました。お気に入りをひとつ選ぶのは難しいですが、あえて言うならシエラの『Quest for Glory 1(Hero's Quest)』ですね。あの世界に飛び込んで、あちこちを探索するのは何度やっても飽きがきません。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Dave 本作は、ポイント&クリックアドベンチャーにしては珍しく、テンポの速い作品です。本来このジャンルはゆったりとしたペースのものが多いのですが、私たちはあえてアクション満載でスリリングな体験を目指しました。このアイデアは、ジャンルの枠にとらわれずに自由に実験できた短いゲームジャムで生まれました。それまではずっとコメディ系のアドベンチャーゲームを作っていたのですが、よりシリアスなトーンがプレイヤーの心に強く響いたのがとても印象的で、気に入ったのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Dave もちろん、昔からポイント&クリックアドベンチャーをプレイしてきたので、その影響は間違いなく受けています。ですが、一番大きな影響を与えているのは大衆小説や大衆映画です。いわゆるチープなスリラー小説や、70年代のB級映画ですね。特に、マイケル・クライトンの「アンドロメダ病原体」や「プレイ -獲物-」といったテクノスリラー、「羊たちの沈黙」のような犯罪/探偵スリラー、そして映画ではジョン・カーペンター監督の「ジョン・カーペンターの要塞警察」や「遊星からの物体X」などに影響を受けています。
また、本作は非常に「オーストラリア的」で、舞台も架空のオーストラリアの都市です。そのため、私たちが子どもから観てきたオーストラリア映画やテレビ番組からのインスピレーションも大きいです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Dave 本作の開発にはとても長い時間がかかりました。着手してからもう6年になります!一番のハイライトは、PAX Ausのようなイベントで本作を展示することができたことですね。プレイヤーが実際にプレイしてくれる様子を間近で見たり、彼らと直接会話できたりするのは本当に素晴らしい体験でした。「なぜ自分たちはゲームを作っているのか」と言う、その原点を思い出させてくれる、かけがえのない時間だったのです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Dave フィードバックは本当に素晴らしくて、圧倒されるほどです。Steamでの好評なレビューにもとても感激しています。中でも一番嬉しかったのは、「ページをめくる手が止まらない本を読んでいるようだ」と言ってくれた人たちの声です。また、これまでポイント&クリックアドベンチャーを遊んだことがなかった人たちが本作をきっかけにこのジャンルに触れて、「すごく楽しかった」と言ってくれたのも嬉しかったですね。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Dave 本作はストーリー重視のゲームなので、ゲームプレイ自体にアップデートがあるタイプではありません。ですので、主にメニューのちょっとしたオプションなど、プレイの快適さを向上させるQoL機能の追加が中心になります。個人的には、いろいろなカメラフィルターを追加してみたいと思っています。そういうちょっとした要素も面白いですよね。しかし何より、次の大きな展開はスイッチへの移植です。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Dave これは間違いなく検討していることのひとつですし、すでに日本語ローカライズに関するやりとりも行なっています。ただ、翻訳すべきテキストは約80,000語もあるので、かなり大きな仕事になります!
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Dave はい、もちろんです。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Dave 私たちのゲームについて読んでいただき、ありがとうございます!もしプレイしていただけたなら、思いっきり楽しんで、オーストラリアのアクセントも味わってもらえたら嬉しいです。本作が完成した今、家族と一緒に日本へ休暇で訪れる予定です。ずっと計画していたので、とても楽しみにしています!日本に行くのが待ちきれません!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








