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GDC 13: ゲームデザインを模索し続けた『FTL: Faster Than Light』、製作者による事後分析

インディー系タイトルとして驚異的な完成度を誇る『FTL: Faster Than Light』について、開発元のSubset GamesからJustin Ma氏とMatthew Davis氏がその製作過程を語りました。

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インディー系タイトルとして驚異的な完成度を誇る『FTL: Faster Than Light』について、開発元のSubset GamesからJustin Ma氏とMatthew Davis氏がその製作過程を語りました。

『FTL』は宇宙船のキャプテン気分を味わいたいというところからスタートしました。宇宙での戦いにフォーカスしたゲームは数あれど、宇宙船そのものに重点を置いた作品がほとんどないことに着目。さらに、プレイヤーの体験こそが至上の目標であり、ゲームプレイの構造や仕組み、果てはジャンルまでが二の次であったとしました。

セッション前半は「初期のデザインと試作プロセス」。

開発コンセプト。

クルーが実写の猫であること以外、最初期の段階でひな形と呼ぶべきものが完成しています。この時点で打ち出されているコンセプトは、まずSF風ゲームが得てしてアクション系のジャンルを採るのに対し、宇宙船にフォーカスしようとしたこと。シールドやエンジンは攻撃により破壊され、修理が必要となること。多種族とのテキストベースでの交流や戦闘が発生することなど。

プレイ済みの方ならお分かりいただけるとおり、ゴールがすでに明確であったように思えます。しかし、実際には雰囲気作りやフィーリングはともかく、ゲームジャンルすら定まっていなかったそうです。オープンワールド風にする案もあったとか。

そこで、第一歩として「小さな船を乗組員で運営するゲーム」へと舵取りしました。この時点でのゲームシステムが幾つか候補に上がります。ゲームの目標はサバイバルのみ、操縦・エンジン・酸素・シールド・ドア・センサーの要素、クルーはグリッド単位で移動、酸素の流れや火災と爆発などの要素、出力バーの概念などです。

いかにもなデザインながらも適切な「開発中」。
コンセプトスケッチではなく、もうクルーが動きまわっていました。

この最初のプレイアブル状態での課題は、「何が面白いのか?」「何が面白くないのか?」「ここからどうすればいいのか?」。結果を知っている者からすれば半ば出来上がっているように見えなくもありませんが、ここからが冒険だったのです。

プロトタイプで候補に上がった要素は、最終的に採用された宇宙船同士の一対一対戦のほかには、空間移動や、複数の敵船、シールドや兵器の配置、自動での出力制御など。

こういう可能性もあったということ。

空間的な部分が決定しても、やはり課題は「何が面白いのか?」「何が面白くないのか?」「ここからどうすればいいのか?」。ここでまた舵取りです。船の移動要素は放棄・分割画面での戦闘を採用(船内にフォーカス)・すべての要素をできるかぎり統合する・出力バーの再デザイン。優れたゲームが生まれる過程は生易しくありません。

結論は、第1に、中核となる要素がプロジェクト全体を導くということ。第2に、主要な目標だけが不変であるということ。第3に、繰り返し面白さを追い求めるということ。宇宙船そのものにフォーカスするというコンセプトに端を発し、いかにして『FTL』が出来上がったのか、示唆に富む内容です。

そして名作誕生へ。


後半が「リリースに向けての経験」。いかにして『FTL』が世に出たかについてです。まずKickstarterを始める前にも課題は「何が面白いのか?」「何が面白くないのか?」「ここからどうすればいいのか?」。繰り返されるこの発想から、確固たる軸のようなものを感じます。

いざKickstarterが始まると、目標金額の10,000ドルには数日で到達。最終的には目標金額の20倍以上も集まりました。すると、異常ですらある注目度の高さによる変化が発生します、まず、人々の目に晒されながら開発するということはそれまでとは異なるものがあるということ。ゲームが変化に飛んだものになることを期待されるようになったこと。船のカスタム要素を削除せざるをえなかったこと。面白さを追求すればするほど開発が遅れること。つまり、必ずしもプラス方向に振れてばかりではなかったのです。

大量に集まったカネはゲームデザインにまで影響を及ぼします。リリース日をとるか、ゲーム要素の拡充を取るか。ファンからの切望される要素の導入。コンテンツの再評価(音楽・イベント・船・武器・エイリアンの数など)。耳に残るゲームサウンドとサウンドトラックが創りあげられたのも、巨額の出資があってこそです。

さて、ベータテスト直前の段階に辿り着きます。ここで再び「何が面白いのか?」「何が面白くないのか?」「ここからどうすればいいのか?」。ベータ版を配信することでまたゲームが変化します。具体的には、あまりに熱心にプレイされたあまり難度が高まったこと、フィードバックから効率的なデバッグができたことなど。前者については、「イージーモードがノーマルモード」と『FTL』の先人たちが表現する傾向からも成る程といった感じがします。最後の質疑応答でも難度の高さについては突っ込みが入っていました。

4回目の自問。

しかしながら、またも問題が発生します。というのも、あまりに多くのプレイヤーにベータを配信した弊害が出たのです。意見に応じるにあたりゲームシステムの統一感が損なわれそうになったり、船の解禁システムが複雑になったりしました。後者に関しては、実際にプレイしてみればすぐにわかりますが、なかなか新しい宇宙船を獲得できません。ベータもただ配りまくればよいというわけではないということでしょう。

船頭多くして船山に登るにならないため、つまり当初から重視していたゲームの一貫性を保つため、カットされた要素もあります。破壊工作員やモンスターとのエンカウント、ガス兵器、宇宙ステーション要素(ストアとは別?)が挙げられました。

ともあれ、こうした紆余曲折を経て2012年9月14日とうとう正式リリースを迎えたのです。

完成。

講演を通して、中核部分をブレさせないこと、作品に必要なものが何かを突き詰めることが強調されていました。『FTL』は"合う"人には徹底的に合う誘引力を秘めた快作です。ローグライクでSFでRPG的進行でストラテジーで宇宙船のタイマン。言葉にするとごちゃ混ぜに聞こえますが、プレイしたら強烈なコアの存在を感じられることでしょう。そうした魅力がいかにして、初志貫徹のコンセプトに基づき創造されたか、じつに興味深い話だったのではないでしょうか。

なお、質疑応答で飛び出ざるを得なかった次回作については、言葉を濁しながらも「次のプロジェクト」が進行中であると応じていました。一体次の「目標」が何なのか、『FTL』を作ったクリエイターの太刀筋は簡単に読めそうにありません。
《Gokubuto.S》

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