音楽界で高い権威を持つグラミー賞を受賞したことがあるオルタナティブロック・バンドのイマジン・ドラゴンズ(Imagine Dragons)。
そのボーカルDan Raynolds氏と兄弟のMac Raynolds氏が、長年の夢であったゲームスタジオNight Street Gamesを起ち上げて送り出すのが『Last Flag』です。 ゲーム業界とは異色の経緯を持つ兄弟が、お互いのゲームへの思い出から生み出した『Last Flag』は、シューターゲームで人気のルール「キャプチャー・ザ・フラッグ」を元に、宝探しやエリア争奪要素を取り入れたTPSヒーローシューターとなっています。
本稿では現在Steamで体験版が配信中の本作の流れと、実際にプレイしてみた感想を交えながら紹介し、最後に開発者インタビューとイマジン・ドラゴンズのボーカル Dan Raynolds氏が音楽だけでなくゲーム制作にガッツリ携わっていたという内容をお届けします。
ゲームの流れ
『Last Flag』はリスポーンありの5vs5ヒーローシューターです。現時点では9人のキャラクター“コンテスタント”が用意されており、コンテスタントはそれぞれパッシブ、2つのアビリティ、アルティメットスキルを所有しています。所有している武器もアサルトライフルやスカウトライフル、斧やクナイだったりと個性に富んでいます。

ルールは敵陣から旗を自陣に持って帰ってくるキャプチャー・ザ・フラッグがベースですが、そこにマッチ内で手に入るキャッシュを使ってアビリティとアルティメットスキルを強化するMOBA要素もあります。
70年代風の世界で中継されている対戦ショーに参加しているという設定なので、司会者が常に試合展開をアナウンスしてくれるカジュアルな雰囲気ですが、同時にしっかり競技性も確保しているカオスなゲームです。

ゲームが始まるとお互いのチームがそれぞれの旗を隠す役1名と、4名がマップを探索してお金を持っている“キャッシュボット”を倒すフェーズが1分あります。キャッシュボットは10体がランダムに配置されていて「かくれんぼ」になっています。 この時点だとアビリティが封印されているので、近距離戦向きのコンテスタントはちょっと大変です。
旗隠し役はできるだけ相手に見つからないような場所に設置します。自陣の最奥に隠す人もいれば、あえて敵陣ギリギリに設置して裏をかく人もいて毎回楽しませてくれます。

旗隠し+キャッシュボット破壊フェーズが終わると全員リスポーン地点に転送され試合開始です。

さっそく敵の旗を奪いに行きたいところですが、闇雲に探しても効率が悪いです。 そこで重要なのがミニマップとマップ中央にあるA、B、Cのレーダータワーです。
敵チームのエリアはミニマップ上で赤く塗りつぶされていますが、Aのレーダータワーを制圧するとAの赤いマスが次第に消去されていきます。 そして、マスが消えた地点に旗があるとマップに旗が表示されるので、レーダータワーを制圧するのが大切なわけです。さらに、レーダータワーはリスポーン地点にもなるので大きなアドバンテージになります。

同時に、制圧したタワーに留まっていると体力が回復します。『Last Flag』の回復手段は一定時間止まるか、あるコンテスタントが持っている回復アビリティを使うか、敵をダウンさせてフィニッシャーをするかの3つです。 この中で一番回復効率がいいのがタワーなので、タワーの重要度はとても高いです。
タワーを争奪するまでにかかる時間は短くリスポーンは少し時間がかかるので、タワー3箇所全てを占領するのが難しく、常に奪い奪われの激しい戦いが繰り広げられています。

もちろんタワー争奪に関与せずに探索して旗を探すのも有効です。旗が近くにあると音とエフェクトが出ます。 旗を確保したら拠点に持ち帰って突き刺し、一定時間守りきったら勝利です。

ただし、旗を所有している間はアビリティが一切使えなくなる上、常時位置バレするので戦闘が厳しく、ソロで駆け抜けるのは厳しいものがあります。 それでも駆け抜けたくなる、それがキャプチャー・ザ・フラッグの魅力。
一度旗を見つけると旗の設置場所が全員に共有されます。 先に旗が見つかると奪い返してもその後も旗を狙われ続けて不利になるので、タワー制圧と探索はどちらも重要です。息をつく暇がありません。

旗をゲットしても、敵もこちらの旗を所有している場合は、どちらかが旗を落とすまで拠点に突き刺せません。 旗持ちを守る護衛役になるか、旗を奪った敵を追跡する役目を担うか瞬時の判断が求められます。

無事に敵の旗を拠点に立てたら70秒間の防衛フェーズが始まり、旗を取り戻そうと押し寄せる敵を凌ぎ切れば勝利、旗を奪い返されたらまた旗を取りに行く羽目になります。
両チームの攻防が続き試合が一定時間経過すると延長戦に突入し、防衛に必要な時間が短縮されるうえに、制限時間内により多くのスコアを持っていたチームが勝利という形式に変わります。延長線突入時に防衛側だったらいいですが、奪われてしまった側だと時間の余裕が一切なくなります。それでも諦めなければ逆転のチャンスもあるのが、キャプチャー・ザ・フラッグのおもしろいところです。

筆者は10戦ほどプレイしましたが、テンポがいいと10分以内に終わる試合もありました。だいたい長くても20分で終わる印象です。

コンテスタントは9人いて、各キャラには操作難易度が表示されているので、初めて触る方は初心者向けのコンテスタントを選びましょう。高難易度キャラに比べて初心者キャラは素直な性能をしていることが多く、決してキャラ性能で負けているなんてことはありません。 なんなら初心者キャラのほうがオールラウンドに強かったりします。

アビリティはどのキャラも特徴がハッキリしていて、スカウトは鳥視点での索敵と長距離高速移動、ナイヴズは透明化とリスポーン地点を増やせるポータル、アーセナルは攻撃タレットと回復タレットというように、どのキャラもそれぞれの役目にあったアビリティを持っています。銃撃戦が苦手なら旗探しに長けたナイヴズを選んだり、強力な火力とヒールが出来るアーセナルを使ってサポートに回ってチームに貢献といった選択肢もあります。

キャラクターの操作感はTPS+Unreal Engine 5ということもあって『フォートナイト』に似ているものがあります。 エフェクトやマップ描写なども近いので、『フォートナイト』経験者ならスッと入っていけるはずです。

戦闘はアビリティのエフェクトが派手ですが、敵に当たったのかどうかのヒット感や手応えが薄い印象です。 銃撃も同じく命中した感覚が乏しく、このあたりはまだまだ体験版が始まったばかりのゲームという感じ。
TPSシューターだけど一押ししたい音楽面!

『Last Flag』の特筆すべき点はミュージックの良さ。『Last Flag』は70年代風の世界で行われている対戦ショーという設定を活かし、70年代風のミュージックをDan Raynolds氏自らが手掛けています。 さらに、グラミー賞ノミネートの JT Daly、そして Dave Lowmiller(Battlefieldシリーズ、Dead Spaceシリーズ)も一緒に作曲しているので、どの音楽も耳に残るキャッチーさがあります。
正直、対戦シューターにBGMは重要視されるものではなく、なんなら不要なものと言い切る方もいるでしょう。実は筆者もその一人です。 ですが、このゲームは一度BGMを付けたままプレイしてみてほしいです。競技性はあるものの、ハードコアよりカジュアルでカオスを目指しているゲームだからこそ、BGMがあっても気になりません。
あと、新作PCゲーム初回起動時によくある鼓膜破壊級の大爆音トラップはありません。最初から程よいボリュームに設定されているので安心です。これ、PCゲーマーの方なら分かってくれるポイントだと思います。 この部分にDan氏が関わっているかは不明ですが、総じて音楽へのこだわりを感じます。
『Last Flag』は現在Steam向けに体験版を配信中ですので、皆様もプレイしてみてください。 製品版は2026年に買い切り型での販売を予定中。 その後にコンソール版もリリースを予定。
次ページでは、開発者インタビューをお送りいたします。











