■チャンスが開かれたプラットフォームに
今年の東京ゲームショウのSCEブースでは初日からコナミ小島監督やカプコン小野プロデューサーら、著名なクリエイターが登場しステージイベントが行われています。冒頭、河野氏はこうしたクリエイターに触れ「彼らが力を入れたタイトルを作ってくれているのは心強いことです。才能ある人々がチャレンジしたいと思って貰えるプラットフォームにしなければなりません」と語りました。
それは既に著名になった人のみではありません。「プラットフォームは開かれてなければなりません。新しい才能にも広くチャンスが開かれている必要があります。その一つがインディーです。これは今に始まったものではありません。プレイステーションが立ち上がった時から『ゲームやろうぜ』のような取り組みをSCEはずっとしてきました。SCEのオリジンはソニー・ミュージックの血が流れています。タレント発掘をしていこう、というのは血がなせるものかもしれません」と河野氏は言います。
また、取り組みは様々な段階のクリエイターに行われるとのこと。「角川ゲームスさんとは『Project Discovery』というプロジェクトを行っています。これはプロ・アマチュアの垣根を超えて、シナリオやキャラクターデザインを募集するものです。インディーは既に完成度が高い方が多いように思いますが、まだ学校でゲーム作りを学んでいるような方まで、ゲームに可能性を感じてくれている人達には出来る限りの事をするべきではないかという風に思います」
こうした「チャンスを開く」という取り組みの中で河野氏は開発支援に力を入れると述べました。特に今後はソーシャルやマルチデバイスといった今までにない技術がどんどん出てくるため、特に重要になるのではないかと河野氏は言います。「開発サポートチームもかなり忙しくなっています。現場からは早く人を増やしてくれという声も出ています。サポートは大手パブリッシャーもインディーも基本的には区別なく対応していくつもりです」
■PS4、日本のユーザーへの「誠意」は他にもある
9日にプレスカンファレンスを行ったSCE。様々な発表があった中で、予想外の反応だったのは「PlayStation Vita TV」だったそうです。「私自身は凄く可能性を感じていて、特別なプロジェクトとして、私も毎週参加してミーティングを行ってきました。元々のコンセプトは、ゲームから少し遠ざかってしまったり、縁の無かった人を惹きつけたい、というものでした。しかし蓋を開けてみるとゲームファンの方からも大きな反響があり、新型Vitaと一緒に買うという方がとても多く、これは驚きでした」とのこと。
一方でプレイステーション4の日本発売日については「きっとがっかりされるだろうな、とは思っていました。覚悟はして、でもちゃんと話そうと思っていました」とか。「SCE全体や地域毎の事情、タイトルの揃い方を全体的に考えると2月がベストではないかという結論でした」と河野氏は言います。
遅れたことへの見返りではないですが、日本向けのプログラムとしてジャパンスタジオが開発する『KNACK』のダウンロードコードが同梱されるほか、延長保証が付いてくることが9日の発表会では明らかにされました。しかし、河野氏は他にもあると明言しました。「『KNACK』はとても良いゲームだという自信を持っています。しかしいかんせん新しいIPでその価値が広く理解されているとは思っていません。延長保証も良いことだけど、背中を押すには弱いかもしれない。もう一個、何か誠意はないのか、ということを考えています。これは謝罪ということではなく、遅くなったことで、がっかりされている方がいるのであれば、それにきちんと応えたいということです」
同じく発表会で明らかにされた新型PSVitaについては「初代はコアゲーマー、新しいもの好き、ガジェット好きというような方が中心になってくれました。今後はそれを外に広げていきたいと考えていて、女性や若者を意識した柔らかめのデザインになりました」とのこと。デザインについては「商品を担当しているターゲットユーザーに近い人達の意見を尊重して、今のトレンドを取り入れながら仕上げました」とのこと。
PSVitaに関してはそろそろPSPからの移行を意識しているようです。「新しいプラットフォームが出ても瞬時には切り替わりません。必ずオーバーラップする時期があるのですが、携帯機に関してはそろそろPSVitaに移行しても良い時期だと考えていて、今年に入ってからはそれを意識したコミュニケーションを行っているつもりです」
■プレイステーション4が生み出す世界
SCEが思い描く未来は「A Day With PlayStation」に集約されるようです。
「ここで描かれている世界はプレイステーション4とPS Vitaで実現可能な世界です。この世界を実現するためのソフトの作り方や、ああした遊び方を意識した作り込みをやっているところで、同じように他のパブリッシャーさんにも呼びかけています」
プレイステーションの世界に人々を引き込んでいくために重要となりそうな「SHARE」ボタン。ゲームプレイの様子を動画で公開できるというものですが、各パブリッシャーからはポジティブな反応があるようです。「権利をクリアするためにどのくらいの労力が必要なのかはさておき、ゲームプレイを配信できるという価値について議論が起きています。凄くポジティブな姿勢を感じます」
■ゲーム産業を成長させる使命感をもって
インタビューの後半で河野氏はプレイステーションの優位点として、過去から築き上げられてきた膨大な宝のようなゲーム資産があると述べました。「宝の山をどう再活性化していくかはとても重要です。ビジネス的にも、ゲームを産業として考えた時に、古いものを見直すようなトレンドができればもっと広がるのではないかと。過去の素晴らしい資産のもう一度魅せていくのはプラットフォーマーとても大きな課題と捉えています」これは遊びの幅を広げることに繋がりそうです。
「ゲーム産業全体の活性化のためにコンソールは非常に大事だと思っています。一方で、ソーシャルがゲームにもたらしたものも大きなものがあります。例えばF2Pは既にプレイステーションでも幾つも事例があります。気軽にゲームを遊ぶ人を増やすのも、本格的なゲームを遊ぶ環境を整えるのも、産業として伸びていくためには両方が必要です。その中で、私達にはコンソールを活性化させていく責任があります。PS4、PS Vita、PSVita TV、いずれも"こんな世界を実現したい"という夢を叶えるプラットフォームにしなくてはなりません。私達自身の夢や使命感も持ってプレイステーションの世界を作っていきたいと思っています」
【東京ゲームショウ2013】SCEJA河野プレジデントに聞く「プレイステーション」とゲームの未来
《土本学》特集
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