会場ではSCE Worldwide Studiosの吉田修平プレジデント、SCE Research and Developmentのリチャード・マークス氏、アントン・ミハイロフ氏が登壇し、ビジョンや開発機のスペックについて説明しました。
PS4には有線で接続され、解像度は1080Pで視野角は90度以上。スピーカー機能を内蔵し、3Dサウンドの出力に対応し、頭の向きによってサウンドの方向が変化します。ヘッドトラッキングは内蔵の加速度センサーとジャイロセンサー、そしてPlayStation Cameraによって行われ、リアルタイムに映像に反映されます。
デュアルショック4だけでなく、PlayStation Moveでの操作にも対応し、モーフィアスでVRの映像を体験しながら、実際に腕を振って剣を振るうなどの操作も可能。ユニークなところではゲーム画面をテレビにミラーリング出力して、他のプレイヤーと協力・対戦プレーなどもできます。なお、これらのスペックは今後修正される可能性があります。
はじめに吉田氏は「ゲーム業界では技術の進化が梃子となって、新しい体験を創出してきた」と切り出し、PSが切り開いてきた、さまざまな技術オリエンテッドな体験(3Dグラフィックス、ブルーレイ、シェアボタンなど)について振り返りました。そして「これらの新体験が次の標準となり、ブランドを作り上げる」と続け、「次のイノベーションはVRだ」と説明しました。VRは「存在感」を提供する上で最も良いイリュージョン(魔法)を提供するといいます。
もっともSCEはVRに関して、さまざまな研究開発を行ってきました。PlayStation MoveをHMDに装着して、ヘッドトラッキングに使用するなどは、その一例です。これらの成果は、2012年に配信されたPS3向けアクションアドベンチャー『DATURA』で、その一部が垣間見られました。その後も社内で研究開発が続けられ、このたびはれて一般向けに披露。吉田氏は「多くのディベロッパーからフィードバックを受けて、プロトタイプを改善していきたい。それがGDCで発表した理由だ」と語ります。
■PlayStation Moveでの操作にも対応し、さらなる没入感を提供
続いてリチャード・マークス氏がモーフィアスのコンセプトを「サイト」「サウンド」「トラッキング」「コントロール」「イージーオブユース」「コンテンツ」という、6つのキーワードで表現しました。
「サイト」とは文字通り視界のことで、これまでにもソニーではさまざまなHMDを発売してきましたが、モーフィアスはゲームに最適化されているため、それらとは一線を画す体験になるとのこと。ヘッドマウントユニットを頭部に被ると、プレイヤーの眼前に迫力ある広大な3D空間が出現します。
VR体験には「サウンド」の要素も欠かせず、SCE独自の3Dオーディオ技術が採用されます。映像とサウンドはトラッキングによって追随。前述の通りPlayStation Moveでの操作と併用すれば、実際に異世界に入り込んだかのような感覚で楽しめるといいます。
一方で使い勝手が良くなくては、ゲーム機の周辺器機としては失格で、電源オンでの抜き差しなどにも対応。質疑応答では「開発機は有線接続だが、ワイアレス化は大きな技術的挑戦だ」というコメントも聞かれました。またプラットフォームホルダーとしてSDKなどを早期に提供すると共に、業界内でエコシステムを作り上げたいと抱負が語られました。
最後にモーフィアスでゲームデザインがどのように変わるか、アントン・ミハイロフ氏がキーワードをあげて説明しました。
一般的にモーフィアスのようなHMDは周辺器機だと捉えられがちですが、実際にはそれによってゲームデザインがガラッと変わってしまうため、考え方の変化が必要だとミハイロフ氏は語ります。ミハイロフ氏曰く「VRは周辺器機ではなく、メディアだ」とのこと。中でも一番重要なのが、何度も登場した「存在感」で、これを軸にしたゲームデザインが求められます。
■ゲームをVRの世界に牽引するために業界で盛り上げていきたい
存在感は単に視覚的表現に留まりません。例としてPlayStation Moveと併用する場合、手の動きもセンシングされます。このとき壁に向かって手を突き出すとどうでしょうか。プレイヤーの手はまっすぐ伸びても、キャラクターの手は壁にめり込まないように、手を途中で止めるなどの配慮が必要になります。つまりVRで本当に存在感を尊重するためには、細かいところでさまざまな配慮が必要になるというわけです。3D酔いについて、さらなる配慮も必要でしょう。
一方で視界や聴覚が高いレベルで支配されているため、ふだんのゲームとは比べものにならないほど、感情が刺激されることは言うまでもありません。ホラーゲームなどと非常に相性が良いことは、すぐに想像がつくのではないでしょうか。他にモーフィアスを装着してのMMORPGなどは、誰でも考えつくところ。初心者が上級者に、バーチャル世界で実際にコーチを受けながらプレイする、などもあり得るでしょう。
さらにミハイロフ氏はモーフィアスを装着しているプレイヤーと、それ以外のプレイヤーによる対戦・協力プレイなどのアイディアも披露しました。ゲーム中に役割を変えて、モーフィアスを装着しなおして続きをプレイ、といった展開もあり得ます。ミハイロフ氏は「VR体験はソーシャルなもの」として、一人でもくもくと遊ぶだけのモノではないといいます。
ゲーム業界でバーチャルリアリティといえば、昨年のGCCで一躍目玉となったオキュラスリフトがあります。同社に協力してソフトウェアを作り込んでいるのが、FPS『ハーフライフ』などで知られるバルブです。吉田氏は「彼らのプロトタイプをいち早くリリースして、情報や技術を共有していく姿勢をリスペクトしています」といいます。
実際、オキュラスリフトは発売前にもかかわらず、すでにディベロッパーや研究者が入手し、さまざまなコンテンツを開発するなどして、たくさんのフィードバックを提供しています。吉田氏は「そうした姿勢に私たちは大きなインスパイアを受けると共に、励まされました」とコメント。ゲームをVRの世界に持っていくために、もっともっと議論していきたいと語りました。
【GDC 2014】「Project Morpheus」は「周辺器機」ではなく「メディア」で、すべてを変えていく…SCEセッションレポ
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