『ウィッチャー3 ワイルドハント』日本語ローカライズ担当者とストーリーライターにインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『ウィッチャー3 ワイルドハント』日本語ローカライズ担当者とストーリーライターにインタビュー

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『ウィッチャー3 ワイルドハント』日本語ローカライズ担当者とストーリーライターにインタビュー
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ポーランドのデベロッパーCD Projekt REDが贈る、ダークファンタジーRPGシリーズ最新作『ウィッチャー3 ワイルドハント(The Witcher 3 Wild Hunt)』。Game*Sparkとインサイドでは、プレビューやインタビュー取材記事をたびたびお届けしている作品ですが、この度ローカライズを受け持つスパイク・チュンソフトにて、日本語版プレイデモが初披露。それに合わせ、本作のシニアライターを務めるヤクブ・スザマレク氏と、スパイク・チュンソフトのローカライズプロデューサー本間覚氏にインタビューを行い、改めて詳しい話を聞くことができました。

なお、PS4日本版プレイデモの詳細はこちらの記事をご覧ください。

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■シニアライターが語るウィッチャーの世界設定、シリーズ初心者への配慮も


シニアライターのヤクブ・スザマレク氏

――今回は、脚本担当の方がいらっしゃるので、『ウィッチャー3 ワイルドハント』で描かれるストーリーの概要を、あらためて教えてください。

ヤクブ・スザマレク氏(以下 スザマレク): 一言で言うと、本作の物語では、主人公ゲラルトと彼を取り巻く人々との関係が描かれます。彼が身近な人々をどうやって守っていくのか、というところに焦点が当てられています。また、ゲラルトがモンスタースレイヤーであるという部分もゲームプレイやストーリーに影響を与えています。彼の特殊な能力は強力であると同時に、人々に恐れられる存在であるため、キャラクターに二面性があり、我々ライターが興味深い物語を考えることができるのです。

――今作の脚本は、アンドレイ・サプコウスキの原作小説の内容をベースにしていますか?

スザマレク: ゲームの登場キャラクターや舞台は、サプコウスキ氏の書かれた小説に基づいたもので、原作に絡めたシーンなどはありますが、本作の脚本そのものはCD Projekt REDが新たに書き起こした全くのオリジナルです。

――「ウィッチャー」シリーズを知らない新規ユーザーでも単体のゲームとして遊べるということですが、具体的にどのような作り、配慮がされているのでしょうか。

スザマレク: 今作はシリーズの3作目に当りますが、初めてのユーザーでもプレイしやすくなるような、様々な仕組みが取り入れられています。まずゲーム冒頭の、ゆっくり進行するプロローグで、「ウィッチャーとは何なのか」「ゲラルトとは誰なのか」といった疑問や、キャラクター同士の関係を、ストーリーを追いながら理解できるようになっています。プロローグとチュートリアルをプレイすれば、「ウィッチャー」の世界に慣れ親しんだ状態でメインストーリーに入れるかと思います。また、ゲーム内に、出会ったキャラクターや訪れた場所などの情報を補完する用語辞典があったり、ゲーム外でも公式ウェブサイトで情報をまとめています。さらにゲーム内で書物を購入すれば、より深い世界観を知ることができるでしょう。

■魅惑あふれる3人のヒロイン、もちろん恋愛要素もアリ


QAアナリストのバルトシュ・オクマン氏(左)
実はセリフのライティングやゲームプレイプレゼンまで様々な作業を担当しているそう

――ゲームプレイデモで、女性キャラクター「シリ」について説明がありましたが、『ウィッチャー3 ワイルドハント』には、他にも二人の女性キャラ「イェネファー」と「トリス」が登場します。彼女たちの存在についても教えてください。

スザマレク: イェネファーはゲラルトの最愛の女性であると同時に複雑な関係にもあり、口論に至ること多くあります。ただ、二人は何年ものあいだ疎遠だったので、再開を果たす場面が本作で描かれることになります。それはウィッチャーファンにとって興奮の瞬間であり、そうでない人にも二人の関係を知るきっかけになるはずです。

トリスは、ゲラルトとイェネファー共通の友人でありながら、前作『ウィッチャー2』をプレイすれば分かるようにゲラルトと恋愛関係だったこともあるため、今作では三角関係が濃厚に描かれます。

最後に、シリは三人の中で最もミステリアスな女性です。彼女はウィッチャーになるためゲラルトに修行を受け、我が娘のように育てられていたので、血縁のない養子という形で設定されています。シリは特別な力を秘めていて、彼女を追っていくことで色々明らかになるので、実際にゲームをプレイして見届けてほしいです。

『ウィッチャー3』では、例えばシンデレラの ような絶対的ヒロインは存在せず、各々が複雑な性格やキャラクター性を持っていて、プレイヤーはゲラルトを通じて女性たちと関わり、過去の出来事などを解き明かしていくのです。

――前作にあった恋愛・ロマンス要素は。

スザマレク: シリはあくまで弟子であり養子なのでゲラルトの恋愛対象ではないのですが、トリスとイェネファーに関しては、プレイヤーがゲラルトの身になってよく考え、どちらかを愛するかを選んで、専用のクエストやストーリーが進行していきます。

■ユーザーの声に耳を傾け、RPGを心から愛するスタジオカルチャー


日本語に堪能な、ビジネスデベロップメントマネージャーのラファール・ヤキ氏(左)

――今作は舞台がオープンワールドになって自由度が増したと思いますが、気になる点として、オープンワールド性とストーリー性はどのように共存しているのでしょうか。

スザマレク: 確かにそこは大きな挑戦でした。オープンワールドと作りこまれたストーリーというのは水と油で、両方を高いクオリティーで達成したゲームはかつてなかったでしょう。我々は『ウィッチャー3』で実現できたと考えています。本作のメインストーリーはそもそも一本道ではありませんので、色々な所を寄り道することになるのですが、その過程で広大なウィッチャーの世界各地をふんだんに使った形になっていて、プレイヤーはどの地域からでも始められるし、途中で別の場所に行ったり、サイドクエストに挑戦したりと、ストーリーにからめた各地域の設定が用意されています。

――前作『ウィッチャー2』ではユーザーからどのようなフィードバックがありましたか。また、『ウィッチャー3』ではそれらが取り入れられているでしょうか。

スザマレク: 『ウィッチャー2』が完璧な作品だったとは思っていません。ユーザーのコミュニティーでは問題点が指摘されました。そうした声を聞き逃さず、ファンが遊びたいと感じるように次回作で取り入れたのです。まず、ユーザーから不評だったQTEは『ウィッチャー3』ですべて撤廃しました。他にも戦闘システム面でユーザーがネガティブに感じた点がありました。例えばボタンの反応速度、ゲラルトのアニメーション、カメラ視点、様々な角度で不評だった部分を、『ウィッチャー3』ではガラリと変えて刷新し、ユーザーの期待に応えられるような調整を続けています。

常にユーザーの意見に耳を傾けて、ゲームを良くしたいと考えているので、日本のユーザーの皆さんもぜひ『ウィッチャー3』をプレイして色々と意見を寄せてください。

――CD Projekt REDがRPGジャンルのゲーム作りにこだわり続ける理由は何ですか。

スザマレク: 我々の目標はとにかく最高のものをつくり上げることです。過去10年間にわたってRPGを作り続けてきました。REDengineというRPG作りに特化したエンジンも保有しており、最高のRPGをおくり出せるという自信があります。シューターや他のゲームを作ることもできるでしょうが、その分野で最高の作品になるとは思っていないので、今後もRPGの開発にこだわっていきたいと思います。次回作の『Cyberpunk 2077』もRPGです。

――CD Projekt REDのスタジオカルチャーや会社として特徴があれば教えてください。

スザマレク: 質問に答える前に、会社の歴史を簡単に説明しておく必要があります。CD Projektは、約20年前、ポーランドのワルシャワで、当時ティーンエージャーだったMarcin IwinskiとMichal Kicinskiによって創設されました。最初は、『Baldur's Gate』や『Planescape: Torment』などの他社製RPGをローカライズしてポーランド内で販売流通していたのですが、ゲームが余りにも好きだったので、自分たちで作ってやろうという考えに至ったのです。それ以降、CD Projekt REDというゲーム開発に特化した部門が出来ました。我々がRPG好きであるのは設立当初から変わっておらず、社員全員がRPGを愛しています。それがスタジオカルチャーだと言えるでしょう。

我々は売上にこだわることなく、RPGという定義を変えることを目標としています。我々自身が本当に良いと思えるものを作りたいのです。現在スタジオには230名程度の開発者がおり、最高のRPGを作るという目的を持って、ポーランドだけでなく、世界中から集まってきています。

■日本語ローカライズは海外と同時進行、声優の収録も一苦労


スパイク・チュンソフトのローカライズプロデューサー本間覚氏

――ローカライズプロデューサーの本間さんにお聞きします。テキスト量が膨大な作品だと思いますが、日本語ローカライズするにあたってどれくらいの労力がかかっているのでしょうか。

本間覚(以下 本間): 具体的にいつから着手しているかは話せませんが、翻訳などは去年からやっています。私も過去に数十万ワードクラスのプロジェクトを色々担当してきましたが、『ウィッチャー3 ワイルドハント』に費やした時間は他の作品よりも圧倒的に多いです。シナリオはもともとポーランド語で執筆されていて、それが英語に翻訳されて、その英語を我々が日本語に翻訳しています。今回、海外とほぼ同じタイミングでの発売を予定していることもあって、それが同時の進行で、音声の収録も同時でした。通常、日本語の音声収録は、英語の音声が先にあって感情表現などを参考にして声優さんに演じてもらう場合がほとんどなのですが、今回は間に合わないので、私がテキストをチェックして「ここは怒ってください」とか細かい部分も台本に記入して、声優さんの演技を収録しました。

何よりゲーム自体の規模が大きいことと、海外と同時に発売したいということが重なり、大変なことになっています(笑)。

――この規模のRPGが、海外とほぼ同時に出ることは、これまでほとんどありませんでしたからね。では、ローカライズに当たってこだわった点、特に大変だった点は。

本間: 本作にはダイアログの分岐がものすごくたくさんあります。しかも、単純に選んだ選択肢で進行するのではなく、ある選択肢を取った時に、このフラグが立っていればこっち、そうでなければこっち、というように一つのクエストに本当にたくさんの分岐が用意されています。従ってクエストが全く違う結末を迎えることがあり、それを理解しないと翻訳も上手くできず、声優の方もきちんと演技ができません。私はそうしたクエストの流れ、どういう結末があって、どういうパターンやプロセスがあるか把握することに最も力を入れました。私はポーランドで実際にゲームをじっくりプレイしてきて、元の作家が伝えたかった内容を正確に伝えること、その流れを把握して、プレイの経験に基づき私が納得できる内容にすることを大切に考えて取り組んできました。

日本版の出来、声優の演技は、ポーランドの開発スタッフにも好評でした。新規ユーザーさんには日本語音声の方が敷居は下がるでしょうし、コアなファンには英語の音声で楽しんでもらえるので、最大限に門戸を広げたいと思っています。

――各声優さんを選んだポイントは。

本間: たとえばゲラルトは、とても老練な剣士で、あまり軽くない声だとイメージしていました。実はビジネスデベロップメントマネージャーのラファールが日本の声優好きで、「この人がいい!」みたいなリクエストもあったりして、ポーランドのスタッフとも相談しながら、色々な都合やキャラクターの年齢感も踏まえてチョイスしました。

――『ウィッチャー3 ワイルドハント』はCERO Zレーティングに認定されていますが、海外版からの表現の違いはありますか。

本間: 実は、現段階で北米版や欧州版についても性的な表現等を調整中で、まだ大元ができていないので、どの程度の差ができるか私も分かっていません。ただ、日本ではCEROが明確に定める表現があると思うので、そういったところは守っていく必要があり、何もしないということはないはずです。CEROと可能な限り調整をして、オリジナルに近い形でゲームを提供したいと考えています。

――わかりました。では最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

スザマレク: 繰り返しになりますが、日本のユーザーは『ウィッチャー3 ワイルドハント』をプレイするのをためらわないでほしいです。シリーズ未体験でもストーリーに没入できるような仕組みがたくさんあるので、ぜひ気軽に遊んでください。

――本日はありがとうございました。



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『ウィッチャー3 ワイルドハント』は国内でPS4とXbox One向けに2015年2月26日に発売予定です。
《Rio Tani》

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