『No Man's Sky』開発者インタビュー―小さなインディースタジオが創造する壮大な宇宙 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『No Man's Sky』開発者インタビュー―小さなインディースタジオが創造する壮大な宇宙

昨年12月にラスベガスで催されたPlayStation Experienceの会期中、『No Man's Sky』の開発を指揮するディレクターSean Murray氏にインタビューを行い、開発にかける想い、スタジオの裏話、そしてデモを実演しながらのゲームディテールまでを訊いてきました。

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Hello GamesのSean Murray氏。『Burnout』シリーズのCriterionを経て、2009年同社を創設。

2013年のVGXで、『Joe Danger』の開発元で知られる英国インディースタジオHello Gamesが発表した、PS4/PC向けのスペースアドベンチャーゲーム『No Man's Sky』。宇宙空間や無数の惑星を自由に探索できるという、野心的かつ壮大なゲーム性を備え、トリプルA作品と肩を並べてゲーマーから高い期待が寄せられているタイトルです。

Game*Sparkでは、昨年12月にラスベガスで催されたPlayStation Experienceの会期中、本作の開発を指揮するディレクターSean Murray氏にインタビューを行い、開発にかける想い、スタジオの裏話、そしてデモを実演しながらのゲームディテールまでを訊いてきました。

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Game*Spark: 『No Man's Sky』がVGXで発表されてからちょうど一年が経過しましたが、開発状況はいかがでしょうか?

Sean Murray: 今回ラスベガスで新しい映像を披露しましたが、それがまさに開発の仕上がり状況です。もともとクリスマスに向けてある大きな開発の節目を目指していて、ソニーからPSXで公開しないかと声がかかり、数週間全力で取り組んでその目標を達成しました。ゲームがアルファなのかベータなのか、あるいは完成間近なのか、リリース時期に関してはまだお話しできません。ユーザーの皆さんがそれを推測し始めるのを避けたいからです。


Game*Spark: 以前、Hello Gamesのオフィスが水害に遭ったニュースがありましたが、どのような状況だったのでしょうか?

Sean Murray: ちょうどVGXの発表が終わった後でした。『No Man's Sky』がインディーゲームでは到底考えられない大きな扱いを受けて、開発チームは有頂天になっていました。そんな気分になったら、誰だって間違いを起こすものです。みんな仕事を休んで、英国内のスタジオの近辺で洪水がニュースになっていたのに、クリスマスとイブはパーティーで大騒ぎをしました。ホリデー気分でオフィスに戻った時はもう手遅れで、地下にあるスタジオは完全に水没していて、パソコンも、家具も、機材も、開発キットも、何もかも壊れてしまいました。クリスマスに相応しくないその惨状にチームは落ち込みましたが、やがて現実を受け入れて、壊れたものを修復、使えないものは処分し、大量の家具や備品を補充しました。

何もかも放り捨てて最初からやり直すのは、ちょっと面白かったです。最終的にオフィスが元に戻るまでに2ヶ月を要しましたが、開発チームはみんな一緒に作業する中で、ある種のやる気に満ち溢れていて、本当に楽しかったです。家具もすべて新調しましたからね。

Game*Spark: スタジオはまだ地下にあるのでしょうか?

Sean Murray: はい、同じ場所です。もう大雨が降らないことを願っています。ちょうど1年程前の事件でしたが、それ以前は60年くらい浸水していないので、大丈夫であってほしいです。本当にただ恐ろしい出来事でしたね。


Game*Spark: では『No Man's Sky』について。本作のコンセプトと、どのような経緯でアイデアが生まれたのかを教えてください。特に、Hello Gamesが前回手がけた『Joe Danger』とは似ても似つかないゲーム内容です。

Sean Murray: 確かにその通りです。大半のインディーゲームは、スタジオの規模が限られているので、作るゲームの規模も限られています。PlayStation Experienceのイベント会場でも、ものすごい数のインディーゲームが展示されているのを見たはずですが、それら作品はすべてある一定のサイズと分野に絞られていて、トリプルAタイトルと区分されていました。『Joe Danger』は、まさにそんなインディーゲームに分類される作品でした。大半のゲームスタジオは、自分に見合った規模のゲームを作ろうとするはずです。ところが間抜けで賢くない我々は、自分たちの規模を超える野望がありました。とにかく壮大なゲームが作りたかったのです。

Game*Spark: なるほど。

Sean Murray: おかしな話に聞こえるかもしれませんが、開発チームにこう言ったんです。「雑誌の表紙を飾るような、E3のステージで大々的に紹介されるようなゲームを作りたい」と。小さいスタジオだからこそ、何か大がかりなゲームを作ってやろうと。そう断言して、大変なこともたくさんある中、本当に誇らしく感じられるゲーム作りができます。我々は『Joe Danger』も本当に良いゲームだと自負していて、愛を注いでいましたが、発表会などで取り上げられメインストリームで話題になったり、大きく注目されることはありませんでした。

そういう背景もあり、『Joe Danger』を作っていた初期からチームは野心を秘めつつ、『No Man's Sky』がまだ『Project Skyscraper』というプロジェクト名で呼ばれていた頃から話し合いを進めていたのです。私は、誰かに教えたら正気と思われないような、あるSFゲームを昔から作りたいと思っていました。「宇宙を創造してどこでも自由に行ける」なんて子供じみたアイデアですが、チーム内で検討を進めるうち、次第に現実になっていったと思います。


Game*Spark: 『No Man's Sky』はSCEからサポートを受けていると思いますが、吉田修平さんには会いましたか?

Sean Murray: 吉田さんとの出会いは転機でした。私は彼の大ファンでしたし、Hello Gamesのスタジオに実際に足を運んでくれたのです。我々が独立系のインディースタジオであるにも関わらず、ソニーはE3やPlayStation Experienceの発表会でステージに立たせてくれました。人生を変えるような重要な出来事です。最近みんながこぞって彼をゲーム中に登場させています。私が過去に出会った中でも最高に愛すべき幹部ですね。

Game*Spark: 『No Man's Sky』のゲーム性について、「もし無限に宇宙を作れるなら、開発者は神」などというユーザーの声もありました。実際のところ、本作の自動生成システムはどのように機能し、どれくらいのスケールを備えているのでしょうか。

Sean Murray: OK。実際にゲームプレイデモを見てみますか?

Game*Spark: お願いします!

なんとここから、Murray氏がDUALSHOCK 4を手に取り、『No Man's Sky』のゲームプレイデモを実演してもらうことになりました。


デモは、PlayStation Experience発表会で披露されたのと同じ、プレイヤーの船が宇宙ステーションから飛び立つシーンからスタート。Murray氏いわくPSXでは、まだ心配な部分もあったため録画映像の上映だったのに対して、今回はリアルタイムでのゲームプレイです。Murray氏の船は雪で覆われる極寒の惑星に突入し、マップ上に表示されるTrading Post(交易所)に着陸。ここでは手に入れた資源の売買が可能とのこと。

技術的な情報として、広大な惑星上の地形は、プレイヤーのいる一定の周囲のみプロシージャル生成され、ディスクやクラウドサーバーなどにデータが一切残らない仕組み。ローディング時間もほとんど存在せず、60fpsのゲームプレイが実現しています。

まだ謎の多い『No Man's Sky』のシステムですが、本作では様々なプレイスタイルが用意されているとMurray氏。プレイヤーは交易商人になって資源を取引するのも良し、傭兵になるのも探検家になるのも自由。新たな惑星を開拓するなどしてお金を稼ぎ、自分の船をアップグレードしてワープドライブによる移動範囲を拡張し、最終的な目的のひとつとして、「銀河系の中心」を目指すことになります。

ゲーム中、プレイヤーは銀河系全体マップを開いて、途方もないスケールの宇宙空間を見渡すことができます。あちこちに点在する小さな白いドットはすべて太陽で、それぞれに太陽系の惑星群が存在。プレイヤーは過去に訪れたことのある場所に超光速移動(Hyper Jump)が可能です。惑星内と同じくプロシージャル生成されるという銀河系の構造はオンライン上で全プレイヤーが共有しており、自分が初めて訪れた未探索の惑星には、オリジナルの名前を付けることができるそうです。


超光速移動を使わずに銀河系を旅することは可能なのか? という質問に、「可能ですよ」とMurray氏。ただし、『No Man's Sky』の宇宙は、本物の宇宙と同じくらいのスケールで構築されているため、ある星から別の星にHyper Jump無しで移動するのは、理論上は可能でも、天文学的な途方もない時間を要することになります。本作では、音楽さえもプロシージャルに生成されていて、アンビエントで流動的なサウンドに身を任せながら、壮大な宇宙の旅を楽しむのも悪くありません。

Sean Murray氏の提案で、ランダムに選んだ惑星のひとつを訪れてみることになりました。自動生成システムはまだ開発途中で、何が起こるかわからないためここからは写真撮影も控えてほしいと同氏。筆者の「ストップ!」の合図で強引に未開拓の惑星をひとつ選び、さっそく宇宙船を向かわせます。発音できない妙な名前が付けられたその星は、薄暗く赤黒い大地が広がり、赤いクリスタル状のオブジェクトがあちこちにそびえ立つ、過去の映像でも見たことのない幻想的な場所。

「良かった。クリスタルにSubsurface Scatteringが適用されているね」とMurray氏。つい2週間前に、自らコーディングしていたグラフィック技術なのだとか。

宇宙船を降り、惑星に降り立った後、リソース収集要素を見ることができました。プレイヤーは周囲の地形をまずスキャンして、『Minecraft』を思わせるブロック状の物体で表現される資源を探します。資源を見つけたら次は装備中の武器を使ってそれらを採掘。銃型の武器で少しずつ射撃しながら資源を集めるのは地味な作業ですが、武器をアップグレードすればグレネード型の攻撃で広範囲を採掘できたりと、資源回収要素が退屈にならないような工夫もあるということです。惑星上のあらゆる物、さらには惑星そのものも破壊可能だというのは驚きです。


さて、デモはここでいったん終了。残り時間もわずかの中、いくつか質問を続けました。

Game*Spark: 新たに惑星を発見したら、資源の採掘以外に、何かできることや目的はありますか?

Sean Murray: 惑星を探索することで、交易所、エイリアンの寺院、墜落船、最も高い山頂、あるいは最も深い海といった、いくつかの鍵となる地点を発見できます。それらの場所を最初に見つけたプレイヤーには報酬が与えられます。よりすごい場所を見つければ、より良い報酬が得られるでしょう。

Game*Spark: 宇宙船を作ることはできるのでしょうか?

Sean Murray: いいえ。プレイヤーは、「銀河の中心」を目指す過程で、宇宙ステーションにある船を購入できます。ゲームを進めることでさらに上質な船を見つけられるでしょう。武器もアップグレードしていきます。本作で出来ることは、探索や採掘だけではありません。プレイヤーの敵ももちろん存在します。それは、惑星上にいるクリーチャーだったり、The Game Awardsの映像で披露された巨大なロボットだったりします。プレイヤーの探索には常に危険が伴います。殺されることもあります。何もかも失う可能性があります。

Game*Spark: 最後に、日本のゲーマーも『No Man's Sky』には大きな関心を寄せています。何かメッセージは。

Sean Murray: まだ日本のユーザーさんにリーチできていないのが現状です。我々は常に日本のゲームから大きな影響を受けています。前作の『Joe Danger』は、とても任天堂的なゲームでした。『No Man's Sky』も同じで、インスピレーションの面では『モンスターハンター』のようなゲームが挙げられます。我々は、そうした息吹と美しさが感じられるものを作ろうと心がけています。事実、『No Man's Sky』は、他の多くの欧米産ゲームと異なり、大変カラフルなゲームです。これが日本の皆さんへのメッセージになるかはわかりませんが、我々が作ろうとしているゲームのタイプは理解していただけたはずです。

Game*Spark: わかりました。本日はありがとうございました。

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インタビュー後、Murray氏をはじめHello Gamesのスタッフは、『No Man's Sky』に対する日本のユーザーの声を教えてほしいと話していました。Game*Sparkの記事を通じて、読者の声をデベロッパーに伝えることも可能なので、コメント欄で意見をお聞かせください。

『No Man's Sky』は、PlayStation 4向けに海外で2015年のリリースが予想されています(公式サイトの表記は「未定」)。
《Rio Tani》

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